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遠い国の犯罪 アメリカ探偵作家クラブ傑作選(12)、ヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンク編 |
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アンソロジー(海外編集者) | 出版月: 1990年03月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1990年03月 |
No.1 | 6点 | 雪 | 2019/02/20 20:59 |
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「エキゾチックな犯罪」をテーマに掲げて編纂された、かなり変わった短編集。インド・ボンベイの鳥葬寺院〈ダクマ〉を背景にしたエドワード・D・ホック「マラバールの禿鷲」から、日本の京都で起きた二件の自殺事件を扱うヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンク「愚か者の報告書」まで全16編収録。
ホックの〈サイモン・アークの事件簿〉やリリアン・デ・ラ・トーレの〈探偵サミュエル・ジョンスン博士〉など、当時は完訳などおぼつかなかったマイナーシリーズからの選出や、他にも聞いたこともない作家が何人か。 何篇か選ぶならまずタヒチのボラボラ島で、巨大なシャコ貝に右腕を挟まれて水死した少年の謎を探るジョー・ゴアズ「パフア」、ワンランク落ちて西アフリカ・リベリア共和国の首都モンロビアの港で、ダイヤモンドの原石に仕組まれた陥穽に踊らされる白人たちの物語、ジーン・ダーリング「マッチ作りの小屋」。古き良き時代を思わせる味わいのアマンダ・クロスの処女短編「ターニアが消えた」。 次点はニューメキシコの土俗臭も濃厚なヘレーン・ホワーレイス・フィップス「聖像彫刻師の妻」。個人的にはゴアズが図抜けてると思いますが、それ以外はダンゴかも。二位以下はバーバラ・オウエンズの「ささやかな居場所」か、あるいはジョンスン博士ものを推す方もあるかもしれません。 昔のアンソロジーを漁っているとアンソロジーピースの「さらば故郷」を始め、異色作「ダール アイ ラブ ユ」やミステリマガジン400号記念の「サン・クエンティンでキック」など、ゴアズ短編をよく見かけるのですが、超一流どころには及ばないもののシチュエーションも多彩で、さほどハズレがありません。エドワード・D・ホックやロバート・L・フィッシュらと並ぶ、オンリーの短編集を組める作家なのではと思います。 |