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[ 本格/新本格 ]
陰摩羅鬼の瑕
百鬼夜行シリーズ
京極夏彦 出版月: 2003年08月 平均: 5.53点 書評数: 34件

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講談社
2003年08月

講談社
2006年09月

講談社
2006年09月

No.34 5点 nukkam 2024/01/07 04:02
(ネタバレなしです) 2003年発表の百鬼夜行シリーズ第7作です。「宴の支度編」と「宴の始末編」合わせて講談社文庫版で2000ページに達する巨大作の「塗仏の宴」(1998年)に続く作品で、多くのシリーズファン読者が待ちに待ったと思いますが果たして期待に応えた作品だったでしょうか?文庫版で1200ページ近い大作なのはこのシリーズらしいですが、これまでの作品に比べて登場人物は少なくシンプルな展開の本格派推理小説だと思います。それでいて「塗仏の宴」には及ばないもののこれだけ長大な作品になったのはワトソン役の関口の対人恐怖症と失語症が実にしつこく描写されるからでしょう。症状が悪化したのは「塗仏の宴」での体験で「壊れた」からと説明されており、あれを読んだ立場から評価するとごもっともと納得はできるのですがそれにしてもくどい、くどすぎます。舞台が洋館のためかこのシリーズの特色である妖怪要素が弱く、京極堂による憑物落としも強引に挿入されたように感じました。「鉄鼠の檻」(1996年)が宗教的なら本書は哲学的、巻末解説を哲学者が書いています。

No.33 4点 雪の日 2022/03/30 18:42
面白いけれど途中てダレてしまう

No.32 5点 HORNET 2021/11/23 19:20
 作者の長々とした薀蓄、長口上は嫌いじゃないが(というかむしろそれが真骨頂?なのだが)、この仕掛だけでこの長さはちょっとやり過ぎかな。殺人が起こるまでに500ページ(ノベルスで読んだけど、文庫だったらもっと?)。
 しかも正直、この仕掛けは後半にかかったころから分かってしまっていた。
 儒学と仏教に関する薀蓄はそれなりに面白かったので、たのしい読書体験ではあったが、ミステリとしての驚きややられた感は弱い。
 ただ、嫌にはならない。やっぱり次も読みたいと思ってしまう。うーん。

No.31 5点 じきる 2020/11/13 00:41
核になるアイディアは悪くないし、それなりに読ませるレベルには仕上がってるんだけど、流石にボリュームを膨らませ過ぎたかな。
ダボついた部分を削ってスマートにしてくれればもっと良い作品になったと思う。惜しい。

No.30 5点 ボナンザ 2019/09/20 16:57
いかにも京極といった作品だが、これ一本で700ページ以上持たせるのは無理があったと思う。
終わり方はさっぱりしていて鉄鼠、絡新婦、塗仏のごちゃごちゃした感じよりはいい。

No.29 5点 レッドキング 2018/05/31 22:00
つまるところは、これも一種の叙述密室トリックね。

(2021/4/12 追記)「姑獲鳥」の「知覚」に対して、「概念」による叙述トリックを狙ったのだが、「知覚」では有効に作用した榎木津礼二郎の能力に該当するアイデアが、ここでは拵えられなかったんだな。

No.28 7点 好兵衛 2018/04/24 16:21
京極先生の、百鬼夜行シリーズ。
私は、大好きです。

他には無い、
大事なシリーズとして毎回読ませてもらっています。

推理小説としては、私とは相性が悪く。
ミステリの祭典では、
評価が低くなってしまいがちですが。

今回のトリックと言うか、謎の部分は
私としては、大好きで。面白かったです。
面白いこと考えるなぁって感じで、
このトリックの、センスの良さが好みでした。

ただ、少し優しい気もします。

百鬼夜行シリーズ特有の衒学が少なく感じましたが。
所作から、比べるとライトな雰囲気になってきてる思います。

百鬼夜行シリーズの中では、
本格推理小説色が強いのではないかな?
と思います。

以下評価参考
10~7 妖怪、ぺダントリー好き 京極氏のキャラクター
     話しの語り口、雰囲気が好き。
     京極氏ファン(もうやみつき)。

6~4  おどろおどろしい雰囲気を味わいつつ
     謎、殺人もおまけ程度に欲しい人。

3~1  筋の通ったトリック、オチ。論理的な解釈結末
     をこの作品にもとめてみる方。
     本格を読むつもりで見る方。

No.27 4点 いいちこ 2017/01/26 21:38
作者に本格ミステリを執筆する意思がないのは、もとより承知しているが、それでもなおミステリとしては強く不満が残る作品。
冒頭に提示された謎の不可解性は十分であるが、明かされた真相は衝撃的というより、乱暴な印象が強く納得感がない。
その真相を成立させるための構築力の高さはさすがだが、そのために膨大な紙幅を割くことを余儀なくされ、そのボリュームが読後の不満に拍車をかけている。
榎木津・京極堂が犯行を阻止しなかった理由も、前者は安易、後者は不可解であるし、この真相が関係者の間でこれほど長く露見しなかったというのも無理筋の印象が強い。
読物としての面白さは引き続き一定水準を保持しているが、本作の本質的なあり様を考えれば、批判的な評価とならざるを得ない

No.26 5点 羊太郎次郎吉 2016/10/21 07:10
元刑事の伊庭が見ていて不愉快だった。古き良き時代の男と言えばそうなのかもしれないけど、現代人の目線ではただのハラスメントジジイ。他人の奥さんに丈夫な子供をたくさん産めというのも今ならセクハラだよなあ。駐在の奥さんが健康で何人も生んでる人だから良かったけどさ。これが妊娠しづらい体質な人だとか前回帝王切開でもう産めないとかいう人だったらどうする気だったんだろう。

No.25 6点 初老人 2014/05/07 21:46
世間的には評価が低い(中には酷評と言ってもいい意見も散見される) ようだが、個人的には結構気に入っている一冊。
とはいえ犯人像や犯行の動機があまりにも察しやすいので、本格的な謎解きを求めているファンの中には物足りない、と感じる方もいるかもしれない。

No.24 6点 TON2 2012/11/05 22:22
(ネタバレ)
前作から待ちに待った京極堂シリーズです。
外界から隔絶された屋敷の中で育ったために、「死」という概念が欠けてしまったという一発トリックものです。
舞台が長野県の諏訪、白樺湖あたりなので、土地勘があり、面白く読めました。
「絡新婦……」「塗仏……」と比べると、大きくスケールダウンした感じが否めません。

No.23 5点 mohicant 2012/10/24 22:59
雰囲気はいいが、ミステリとしてはいまいちだった。犯人も動機もすぐにわかったし、驚きはなかった。

No.22 5点 ムラ 2011/05/05 18:59
面白かったかどうかと言われるとけっこう楽しめた作品。
京極にしては館あり、見当違いの考えをする警部ありとなんとなくオーソドックスな推理物っぽいけど、まぁそんなわけもなく。
ミステリかと思ったら死の壁を読んでいる感覚だった。もう一度あの作品を読み直したくなる。
犯人が最初っから検討つくけど、どちらかと言えばホワイダニットに当ると思うからそこは満足。動機についてはイマイチ見当つかなかったので。
中番の中だるみさえなければなお満足だったのに残念。
なお、京極シリーズの中では割とまともな方の榎さんが見られる。
いっつもいっつも後手に回る京極の姿を見るのも段々慣れてきた。

No.21 4点 メルカトル 2010/06/06 22:23
断っておくが私は京極夏彦氏のファンである。
しかし、本作に関してはどう考えても高評価は与えられない。
犯人は最初から分かっているし、ミステリ的な仕掛けもない。
犯行の動機がくどいほど繰り返し説明されるのもマイナス要因にしかならない。
唯一、見所は関口と横溝正史氏との邂逅であろう。
もう少しコンパクトにまとめられていれば、評価も変わったかもしれないが・・・無駄に長くした為、逆に中身が薄っぺらになっている気がしてならない。
この点数は大きかった期待の裏返しだと思っていただきたい。

No.20 9点 E 2009/04/11 18:43
とりあえず 大好きだ!!
事件内容自体は静かに起こり、静かに終結した感じ。
このシリーズが好きですし、この話も限りなく(?)好きですが
やはり一言。
伯爵、4回繰り返すならもう結婚するなよ!!

No.19 7点 rintaro 2008/09/10 22:14
第一作「姑獲鳥の夏」で人間の知覚や世界認識の危うさを描いたのに対して今作は死というものの定義の危うさを描いた作品。犯人が最初に分かってしまうのもそんなに欠点にならなかった、ミステリーの分類をすればホワイダニットなんだろうけど、多分この作品をただミステリーとして採点するのは少々お門違いなのだろう。魍魎の匣だとか絡新婦の理のような「動」の魅力は無いが幻想的な「静」の魅力のある作品。

No.18 1点 touko 2008/09/10 18:21
犯人は最初に指定しているは、動機は繰り返し語られるは、内面描写や物語は陳腐だは、一体何がしたかったのか……出版社との約束で無理にネタ切れなのにダラダラ枚数書かなきゃならなかったんでしょうかねえ?
これを読まされる読者も不幸なら、作者もかわいそうになるという悲しい作品。

No.17 4点 おしょわ 2008/01/28 22:30
冒頭で犯人が特定できていしまう唯一の京極作品です。
絡新婦でもここまではっきりとは分かりませんでした。
全体的に低調です。

No.16 6点 姑獲鳥 2007/08/07 23:47
うーん…伯爵目線の部分が読んでいて少しつらかったです…京極堂シリーズのなかでは質は落ちると思います。
それでも京極堂と沼上君が話していた話題はとても興味深くて面白かったです。

No.15 1点 yoshi 2007/08/06 22:01
薫子が殺されることを100%知りながら、「まだ情報が足りない」と館に乗り込むことを拒絶する京極堂。「誰も正式に依頼してこない」という理由で殺人が目の前で起こるのを見逃す榎木津。そしてラストは考えられる限り最低の結末。トリックも何もなく、一番怪しい人が犯人。ひどいねえ。こんなもの有難がって読んでる人がまだいるとは。


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