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[ 本格 ]
エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン、国名シリーズ
エラリイ・クイーン 出版月: 1956年01月 平均: 6.97点 書評数: 37件

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早川書房
1956年01月

東京創元社
1959年01月

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1962年01月

早川書房
1978年04月

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2013年09月

グーテンベルク21
2015年04月

東京創元社
2016年07月

No.17 5点 好兵衛 2012/04/02 22:38
国名シリーズも中ごろに入ってきてしまった。
さて、日本で人気の高いエジプト。

こういうロジック一点で解決というものは
好きです。だたし、いかんせん一点過ぎないか。
とも思ってしまう。

とにかくどんどん読みやすくなってくるし、
ハラハラしますし、
絵的にも派手なので読めない!!ということは
なくていいのですが。

犯人断定へのロジックがもうすこし
ちらばっていてもよかったかもしれません。
少し、ものたりないかな。

でもあの一点のロジックはとても好きですね。
確かに犯人はあの人だけです。

No.16 4点 mini 2012/04/02 09:51
今年は1年間に渡って”ツタンカーメン展”が開催される、皆様ご存知でした?
現在は6月上旬までの上半期に大阪が会場となっており、8月~12月までの下半期は東京に会場が移る
西日本在住の皆様、黄金のマスクを見るのは今がチャンスですよぉ~

ところで何でツタンカーメンが有名だか皆様ご存知ですか?
実はツタンカーメンってエジプト古代王朝の各ファラオの中では、さして重要な存在だったわけじゃないんだよね
義父はそれまでの多神教を捨て一神教を採用した宗教改革で有名なイクナートンことアメンホテプⅣ世
このイクナートンは、特に事業も行なわず、それまでの都を捨て遷都し、一心不乱に祈ってただけの王だったという説がある
ツタンカーメンは即位後は都を元に戻すが、少年で即位し若くして亡くなった病弱な体質の王だった
しかし重要な存在の王でなかった事が後世に名を残したのだ
エジプト王家の墳墓というのは金銀財宝などの副葬品が有る為、長年に渡って盗掘に遭い被害を免れた墳墓は殆ど残っていない
ツタンカーメンの墓は奇跡的に盗掘されず副葬品の殆どが手付かずのまま発掘されたのだ、多分ツタンカーメンが重要な王じゃなかったのが幸いして泥棒が目を付けなかったのかも知れん
今年の日本はエジプト・イヤー、ってのは大袈裟か(苦笑)

さてエジプトと言えば最初はこれだ、何たって題名に「エジプト」が付いているんだから
この作品の肝は要するに”○○○が犯人”というパターン、これは同作者が別の某有名作でも使用している
某有名作ではこのトリックを巧妙にさり気なく使っており、読者にそれと悟らせないのが上手い
一方で「エジプト十字架」では、こんな死体を登場させたら読者に当然ながら怪しまれるの承知で、その疑惑をどう逸らすかに賭けた作品だ
取って付けたようなエジプト十字架という趣向も、こんな死体の姿にする必然性を付加するのが目的だろう
もっともいくら地方の警察だとは言え、普通は死体の○○を調べるとは思うが
某作品のように読者に悟らせないのではなく、中盤で読者の疑惑通りに一旦解明し、さらにプロットを紆余曲折させて読者の混乱を狙うという新たな手口だ
流石はクイーンと言いたい所だが、どうしてもケレン味でミスリードする必要性は分かるけど、地味好きな私の好みじゃねえなぁ
真相は大部分は看破した、例の薬壜の手掛りは直感じゃなくて論理的に推理した、でもアマチュアっぽくて面白くない推理だな
3点でもいいかなと思ったが、私の嫌いな館ものじゃなくて屋外の事件という事で1点おまけ

No.15 7点 HORNET 2012/01/16 22:09
 首なし死体、T字十字架への張り付け、連続殺人という、小説でしかありえない、陰惨で劇場的な展開は基本的に好き。エラリイの国名シリーズを読むのは4作目だがこれだけ事件が間断なく連続するのは、(「悲劇4部作」を除いて)珍しいのではないか。一事件を追う過程がじっくりと描かれているのもそれはそれでよいのだが、こういう、間断なく事件が続くことで謎が深まる(=逆説的だが、逆に真相が見えてくる)展開も停滞感がなくてよい。そういう意味で、飽きることなくページを捲ることができた。
 ただし、真相解明への決定打の提示については、うーん・・・だし、何よりもこれだけの大掛かりで劇場的な犯罪を仕組むにしては動機が抽象的&大衆的過ぎる気がするのが難点(もっとはっきり言えば薄弱)。ツヴァール家とクロサック家の対立という、それらしい背景が用意されていただけに、それなりのものを期待していた。

No.14 7点 あびびび 2011/09/19 13:46
犯人のために?裸体主義者などを登場させ、混迷の道へ誘っているが、よく考えてみると、犯行ができる状況にあるのは彼だけ…と、途中で気づいた。

果たしてエジプトは関係あったのか、なかったのか、よく分からないまま読み終えてしまった。それにしても最後の最後で犯人が残した手掛かりですべてが明らかになるなんて…。

それがいかにもリアルだが、物語の上ではもうひとつ現実味がない。

No.13 4点 キトウY 2011/07/11 05:00
国名シリーズの中ではやたらと高評価なので
期待して読んだのですが失望させられました
読者を飽きさせないように話しをやたらと派手にしたはいいももの
そのせいで肝心のプロットがご都合主義の最低レベルのものになってしまっており
何故これが高評価なのか正直疑問です

No.12 7点 isurrender 2011/05/30 22:53
トリックに関しては、まさに「古典」という感じでしたね

それにしても、序盤で長々と語られるエジプトなどのうんちくが、結局最後のオチを言いたいがための壮大な前振りだったなんて(笑)

No.11 8点 smile66 2011/02/28 00:13
最後の犯人特定のロジックよりも中盤のパイプの推理ロジックが素晴らしいと思います。

派手な事件なので飽きずに読めましたが、プールで伸び伸びしているクイーン君は暢気すぎると思います。

No.10 8点 E-BANKER 2010/12/22 23:43
国名シリーズ第5弾。
確か小学生のとき図書館のジュブナイル版で読んで以来の再読・・・(当然内容は覚えてませんでした)
~T字型のエジプト十字架に次々と磔にされていく小学校長、百万長者、スポーツマン、未知の男! その秘密を知るものは死者のみである。ついに匙を投げたと思われたエラリーの目が突然輝いた。近代のあらゆる快速交通機関を利用して、スリル満点の犯人の追跡が繰り広げられる~

読み終わってすぐの感想はただ「面白かった」の一言。
他の方の書評どおり、広大なアメリカ合衆国の東半分を縦横無尽に、愛車を駆って走り回るエラリーの姿は、他作品にはない躍動感やスリリング性を感じさせられます。
創元文庫版の解説で山口雅也氏が触れられてますが、この作品が発表された1932年は、「ギリシャ棺」や「X」「Y」も発表されており、まさに作家E.クイーンの最盛期とも言うべき年・・・そんな脂ののりきった作品を堪能させていただきました。
解決場面での有名な「ヨードチンキの推理」は、それだけではたいしたロジックではないのですが、真犯人が残したこの小さな齟齬から、連続殺人事件の謎が一気に解明されるという爽快感こそが本作の白眉でしょう。
「T」の謎自体は、従来の「首切り殺人」の理論を踏襲するものですし、確かに中盤やや冗長な部分もあるため、最終的にはこれくらいの評点で・・・
あと「裸体主義の新興宗教」って結局必要だったんでしょうか??

No.9 9点 toyotama 2010/12/09 18:18
この展開だとこの人が犯人かもなあ、というのはなんとなくわかるんだけど、何度「あ、やっぱり違うのか」と思ったことか。
国名シリーズは「創元推理文庫」と「ハヤカワミステリ文庫」で半々に読んだんだけど、何か違う作家のような気がする。
どうやら、評判の良い作品群がハヤカワに偏ったようです。
最後のシカゴまでの追跡シーンはハラハラドキドキでした。

No.8 6点 ミステリー三昧 2010/10/30 01:03
<創元推理文庫>国名シリーズの5作目(長編)です。
この作品の特徴は、首なし死体の晒し上げという猟奇的な連続殺人とエラリーの一人舞台ですね。お父さんが開始早々フェードアウトすることもあり、本格的に息子エラリー・クイーンをメインとした探偵小説となってきました。小説の舞台も「劇場」「デパート」「病院」のように限定することなく、各地を駆け巡る派手な展開がウリ。さすがに前作には劣りますが、リーダビリティーは高いと思います。ただ読み終わりの感想として、欠点が一つ。この猟奇的な連続殺人を解決するに至っての手掛かりが少なすぎるし、提示するタイミングも遅いかなと。私的にはタイトルが『エジプト十字架』ということもあって、「T」を象徴とした見立ての意味に犯人に直結する何かがあると思っていました。しかし、意外にも「読者の挑戦状」の一歩手前で提示された、ある小さな手掛かりがフーダニットを看破する上で9割近くのウェイトを占めていたことに驚きました。言われてみれば「なるほど」です。シンプルで無駄のないロジックです。ですが、小説の長さの割にこれだけだと「読者の挑戦状」を添えている割に不親切だし、フーダニットに面白みも厚みもありません。これだけで勝負させるなら、わざわざ長編で読ませなくても「短編」で十分だったかと思います。まぁ、でも「首なし死体の晒し上げ」がフーダニットに意外性をプラスしているので、これはこれで推理小説としてはまとまったかなと。
余談ですが、国名シリーズの半分を読了したので、少し整理すると『オランダ靴』>『フランス白粉』>『ギリシア棺』>『エジプト十字架』>>『ローマ帽子』といった私的評価になりますね。ここで主張したいのは『フランス白粉』のクオリティの高さです。傑作と言われる『ギリシア棺』『エジプト十字架』にはないロジックの派手さを改めて評価するべく、このような結果としました。とりあえず国名シリーズの私的ベストは『オランダ靴』に決定。国名シリーズには、これ以上の作品はないと判断しました。ですが、これからの国名シリーズにも期待はなくしていませんので、引き続き楽しく読ませていただきます。

No.7 7点 kanamori 2010/07/19 16:36
国名シリーズの中では「ギリシァ棺」と並んで、派手な展開をみせる作品。
エジプト十字架の特殊な形状によって、××ネタであることを隠蔽するというアイデアが創作の出発点だったと思われます。
初心者の頃に読んだので、気持よく騙された記憶があります。

No.6 5点 りゅう 2010/02/09 20:50
国名シリーズでは最も評価の高い作品のようだが、あまり感心しなかった。最後の犯人追跡の場面はテンポが良く読みやすいが、中盤あたりは単調で退屈だった。
 色々詰め込みすぎていて、ゴチャゴチャした印象。警察の捜査が杜撰。探偵エラリー・クイーンの講釈もあまり説得力のあるものではない。第3の殺人の実現可能性には疑問あり。
 このような遠大な犯罪計画を立てる犯人が存在するとは思えない。

No.5 8点 okutetsu 2009/07/01 05:29
ラストのハラハラ感はいいですね。
ロジックも秀逸だと思いましたが創元版は1ページ目にまさかのネタバレがされてあるので気をつけたほうがいいと思います。

No.4 8点 測量ボ-イ 2009/05/30 17:37
国名シリ-ズの中では、ひときわスケ-ルの大きい作品。
読んでいる途中、この展開で犯人特定できるの?と当時
思ったものです。
国名シリ-ズの中では「オランダ靴」に次いで好きな作
品です。

No.3 7点 2009/03/23 22:59
少なくとも昔は、国名シリーズ中のベストと一般的に言われていた作品です。乱歩をはじめとする当時の日本ミステリ界では、猟奇的な連続殺人事件というクイーンにしては珍しい「怪奇性」と「中盤のサスペンス」が、好まれたのでしょう。事件の進展が長期間にわたるため、実は個人的には少々退屈なところもあったのですが。
現代において、直感で犯人を当てることは難しくないでしょうが、「結末の意外性」というより推理はやはり見事です。最後の事件現場での手がかりについてはかなりの行数を費やして目立つように書かれていますが、その意味するところを見破るのは至難の業でしょう。そこから連続殺人全体の構図が一気に見通せる気持ちのよさ。
ただ、最後に犯人を追跡していくアクション・サスペンスには、それで逮捕できるのだったら、あの有名な手がかりは結局必要なかったのではないか、とも思ってしまいました。

No.2 7点 Tetchy 2008/08/22 15:20
アメリカの東半分をエラリーが犯人を追って駆け回る云わば「動のクイーン」が本書のウリとなるだろうか。
T型の十字架に磔にされた首のないT型の死体という今までにないショッキングな見立て殺人が、本作の、シリーズから一歩抜け出ようとする作者の強い意志を感じるのはよいとしても、首なし死体の首のない理由がごく単純だったのが、ちょっと残念。

しかし今回も挑戦は敗北。あの太字の一行に「参った!」と唸らされた。それでもやはり不満はある。

なぜトマス・ブラッドは犯人とチェッカーをやるために、家族のみならず、執事ら使用人らも含めて人払いしたのか?

またスティヴン・メガラの殺害について、桟橋にあったボートを盗んで犯行に及んだ事までは解っているが、どうやってその桟橋まで犯人は侵入できたのか?まだ警察はブラッドウッド界隈を見張っており、メガラが犯人をおびき寄せるべく、警察に警護を解くようにいった事実は、この犯人は知りようがないではないか。つまりこの犯人はそれまでブラッドウッドのどこに潜んでいたのかが全然解らない。

この辺が曖昧なままで終わってしまった。それだけが残念!

No.1 9点 あい 2008/03/11 17:02
面白かった。エラリーが犯人にたどり着く論理はシリーズ最高レベルのものだと思う。しかし犯人を特定することが読者への挑戦状の数ページ前からしかできないというのはあの長い物語でどうなんだろうと思った。


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