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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
八つ墓村
金田一耕助シリーズ
横溝正史 出版月: 1959年01月 平均: 7.71点 書評数: 42件

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東京文芸社
1959年01月

講談社
1970年01月

角川書店(角川グループパブリッシング)
1971年04月

角川書店(角川グループパブリッシング)
1971年04月

講談社
1974年01月

講談社
1977年08月

KADOKAWA / 角川書店
2001年10月

出版芸術社
2007年03月

No.22 8点 りゅう 2011/10/18 19:52
 再読です。過去の猟奇的な大量殺人事件、突然の家督相続の話から巻き込まれる連続殺人、洞窟での冒険など、サスペンス性に富んだストーリーはミステリとしての読み応え十分です。
 本格ミステリというよりもサスペンスミステリよりの作品だと思います。そのことは、連続殺人に巻き込まれた主人公の視点で物語が語られていること、金田一耕助が事件をどう見ていたかは真相説明まで明らかにされていないことからも伺えます。主人公には真相を解明しようとする姿勢はなく、自分の身に起こった出来事を忠実に書き記しているだけです。一方、金田一耕助は依頼者からの入れ知恵によって当初より犯人の目星が付いていたわけで、作者はミステリとしての体裁を整えるためにも金田一耕助の視点を物語の記述に入れるわけにはいかなかったのです。作者は、この作品では謎解きよりもストーリー性を重視したミステリを書きたかったから、こういった記述方法を選んだのだと思います。
 真相説明で金田一耕助自らが語っているように、この事件での金田一耕助は探偵役として機能していません。警察と連携を取って、犯人と推定していた人物に監視をつけていたら、5人目以降の人物は殺されずに済んでいたでしょう。
 最も疑わしい人物が途中で失踪したこともあって、関係者のアリバイは全く問題にされておらず、記述された内容だけでは犯人を特定することは困難だと思います。しかしながら、金田一耕助の真相説明は、私が気付いていなかった犯人のミスを指摘していて、感心しました。

No.21 9点 判子 2011/05/31 16:29
正直、先駆けというだけの作品の過大評価だと思っていました。
全く違いました。常に展開していくストーリー、怪しく美しい雰囲気、意外な結末。
どれをとっても現代の作家では太刀打ちできないと思います。

No.20 8点 大泉耕作 2011/04/09 23:11
リアルでトリックや推理にかけても素晴らしいの一言。
読者を飽きさせない展開も古臭さを感じられません。
生涯に残る一冊です。

(後記)
再読にあたり、最初の採点を変更。

No.19 9点 HORNET 2011/01/08 21:43
 因襲はびこる閉ざされた村,広い古屋敷に住む由緒ある家系・・・こうした,設定だけでも「背筋が寒くなる」横溝世界は,血しぶきが飛ぶホラーよりもよほど怖いと感じます。現代は三津田信三がこの路線を引き継ぐのみ,希少な作家であり作品です。
 そうした横溝世界がこれでもかと味わえる作品。夜読んでいると,トイレに立つことが出来なくなります。この作品のモデルとなった「津山三十人殺し」という事件が実際にあったことを知り,ますます震え上がりました。

No.18 9点 あびびび 2010/10/16 17:49
岡山生まれの作者が、津山30人殺しを題材にしたスリラーだけに、生々しさを感じる。

また洞窟を舞台にしているので、恐怖感も倍増、おどろおどろしたミステリに徹した横溝正史の真骨頂ではないか。

読んだのは30年も前だが、いまだに犯人の息づかいが聞こえる。

No.17 9点 kanamori 2010/07/31 18:08
伝奇冒険スリラーの傑作。
戦国時代の落武者と八つ墓伝説や、大正時代の大量惨殺事件など、主人公の「私」こと辰弥が訪れる前の八つ墓村の雰囲気作りが秀でていると思います。
双子の老婆を始め、いわくありげな田治見家や村人の行動もおどろおどろしさを醸しだし、クライマックスの鍾乳洞の追跡劇で頂点を極めています。ただ、シリーズの名探偵を配したために、本格ミステリとして見た場合は二級品の誹りを免れないのが惜しい。

No.16 5点 江守森江 2010/06/07 07:12
悲しいかな「八つ墓村」に最初に接したのが渥美清が金田一を演じた映画だった。
そのせいで「金田一」と「寅さん」のイメージが被るダメージを結構長い間引きずってしまった。
小学生の頃、肝試し大会で幽霊役のお兄さんが「祟りじゃ〜っ!」と飛び出してきた程の流行語だった事が懐かしく思い出される。
金田一を傍観者にした原作と違い、映像化作品達は、それなりに金田一が活躍する推理物からホラー仕立てまでバラエティーに富む(古い映画二本は未見)
金田一シリーズ番外編と捉えて読めば楽しめるのかもしれないが(最初の接し方の問題もあり)個人的にはもう一つ乗り切れない作品だった(再読して更にその印象が強くなった)

No.15 10点 E 2010/03/13 21:30
この作品はきっと文法や構成等の方面からも「名作」と
なるのでしょうが、自分はそういう面が全然読み取れない
人間です・・・。

しかし、判らなくとも 大好きです!!!

恋愛要素が本当に惹きこまれました・・・
あんなに素晴らしい女性二人が登場するだけでもう満足。

横溝正史巨匠の作品で 堂々一位!
傑作です。

No.14 9点 STAR 2010/02/06 23:08
残虐な昔の事件・閉鎖的な村・・・などかなりの怖さ。

後半の宝さがしや恋愛・・・なんでもあり!それでいてうまくまとまっていると思います。
金田一耕助シリーズの中では一番おもしろいと思います。

No.13 6点 E-BANKER 2010/01/24 16:23
金田一耕助シリーズの超有名作。
冒頭の「津山三十人殺し」と彷彿させるシーンはまさに戦慄ものです。
主人公の周りで次々と殺人事件が起こる謎、「なぜ殺されるのか?」という部分が本作のキモでしょう。
これまでの書評でも書かれていますが、本作にはロジックというものはなく、金田一も事件当初から一貫して「傍観者」的な立場であり、最後になって「実は・・・」という展開です。
まぁ、これをどうこういう気はないのですが、本作については映像の方がうまく世界観を表せるような印象です。

No.12 4点 文生 2010/01/21 13:24
冒険譚としての評価が高いですが、私はこれを金田一の推理ものとして読んだので失望感が大きかった。
海外の有名作品を劣化再生させた動機の謎は新味のかけらもないし、何より金田一の「私は最初から犯人を知ってたんですよ」という台詞はあんまりだ。
8人も殺されたのに・・・。
冒険譚をメインにするならば中途半端な本格要素は削った方がよかったのではないだろうか。

No.11 6点 ミステリー三昧 2009/08/16 23:06
<横溝正史自選集3>金田一耕助シリーズの代表作(長編/1949)です。
私にはなぜ推理小説と呼べるのか理解できません。一番の謎は被害者のミッシングリンクを軸にした犯行の目的にあると思うのですが、伏線が不十分で説得力が薄かったです。そもそも謎を前面に押し出した作風ではないので探偵の必要性がありません。また、この物語を合理的な解決のある推理小説として仕上げる必要性もありません。物語として読む方が評価を下げずに済んだし、大量猟奇殺人自体に合理的な解決などあり得ないと思っています。人がバンバン死ぬからという理由で推理小説らしいと感じることもありません。ある程度の限度がなければ、動機に関しての説得性も薄れてきます。期待していただけに残念ですが、まだあります。
評価を下げた最大の要因は解決編を「蛇足扱い」にしたことです。「初めから犯人を知っていた」というセリフで金田一耕助に対する好感度も非常に下がりました。そのセリフを入れたことによって殺人事件自体が盛り上げの一部でしかなかったと勝手ながら感じてしまいました。解決編は金田一の言い訳作りのためにあったようなものと判断しました。
よって「宝探しを絡んだ冒険小説」+「主人公の周りを取り巻くラブロマンス」を融合したエンターテイメントと確定し、この点数にしました。謎をテーマとした本格推理小説とはかけ離れていて掴みどころが難しい横溝流推理小説にイマイチ馴染めない私がいます。

No.10 8点 kai 2009/06/05 16:10
面白い。でも、金田一耕助シリーズの中には他に見るべき作品があると思う。

No.9 9点 月火水木金 2009/05/03 11:19
私は割と読むのが遅いほうですが、これはスラスラ読めてたった一日で読破しました。
それだけ面白かった。文章も読みやすいし、舞台設定も怖いがワクワクする。
ラストはしんみりと感動させられます。

ただ金田一耕介は脇役に甘んじているので・・・耕介の推理が見たい人にとっては物足りないかも。

No.8 10点 だい様 2009/03/05 10:28
金田一耕助シリーズ

シリーズとしては珍しい冒険活劇でさらに主人公が金田一耕助ではないという異質の作品。
恋愛要素が満載でコレはツボに入りました。

No.7 9点 spam-musubi 2009/01/23 09:31
ふと思い立って20年ぶりに再読。
昔は気付かなかったが、この人の文章はものすごく読みやすいですね。
何十年も前に書かれたとはとても思えない。

また、ヒロインといえる女性3人は本当に魅力的。
・はきはきした姉御肌
・おっとりした年上のツンデレ
・一途な妹的存在
とまぁ実に今風な「萌え要素」満載な感じで、読んでて笑ってしまいました。

ストーリーも起伏に富み、平易な文章もあってアッと言う間に読了。
推理小説としてはイマイチ、これではホラー、といった方もいらっしゃいますが、
そういった狭い枠に収まらない、単純に娯楽作品として超一級の作品だと思います。
最後が明るいハッピーエンドなのもいい!

ただ1点、金田一がまるっきり活躍しなかったのが残念ですが。
あれだけの大量殺人の後で「最初から犯人の目星はついていた」ってお前…

No.6 10点 nukkam 2009/01/14 09:29
(ネタバレなしです) 1949年から雑誌連載が開始され、途中で中断を挟みながらも1951年に完結となった金田一耕助シリーズ第5作ですが今回はあまり名探偵らしさを発揮していませんし(登場シーンも少なく、ほとんど脇役です)、本格派推理小説としては問題点も多いです。しかし巻き込まれ型サスペンスと冒険スリラーのミックスタイプとしては最高の出来栄えで、壮大なスケールとはらはらする展開にページをめくる手が止まりません。

No.5 9点 シュウ 2008/09/24 15:35
自分にとって初横溝だったので特別な作品です。他の作品の絶世の美女的なヒロインたちと違って文章を見る限りではあまり美人ではなさそうだけど
魅力を持った女性が多く登場し、ミステリだけでなくサスペンスあり伝記あり冒険あり恋愛ありホラーありとこれだけ様々な要素が絡み合い、
破綻してなく楽しく読める作品というのは他にあまりないと思います。
ただ推理小説としてみるとちょっと地味な感じではあるかな。

No.4 9点 おしょわ 2008/05/05 22:34
思いのほか、皆さん採点が辛いんですね。
これだけおどろおどろしい作品は他にないです。

No.3 7点 白い風 2008/03/05 20:59
これも小説のイメージより映像の影響の強い作品だと思う。
特に頭に懐中電灯をさして、人を襲うシーンは作品の内容を知らない人でも知っている有名なシーンですから。
(多数のパロディもありましたし)
ただ、トリック等を考えると他の有名作品と少し差がある気がします。


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