皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 愛人岬 |
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| 笹沢左保 | 出版月: 1981年05月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 光文社 1981年05月 |
![]() 光文社 1987年03月 |
![]() 徳間書店 2003年03月 |
![]() 光文社 2009年03月 |
| No.2 | 6点 | 斎藤警部 | 2026/01/15 23:45 |
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| “Xとは、永遠の別離であった。 そう思うと、ある種の感慨とともに、Xだけに対する愛着が湧く。”
主役は若いOL。 妻子ある男性(先輩エリート社員)と恋愛関係にある。 その男性の親友(金持ちの風来坊)が或る日、京都府は奥丹後半島、犬ヶ岬の海上にて死体で発見される。 同じ場所で同時に、愛妻家で知られる人気文化人タレントの妻が死体で発見された。 密室とアリバイと愛人関係。 愛人関係が密室を生成し、密室がアリバイを生成した。 三位一体トリック。 そこへ “指輪” の謎が悩ましく絡みつく。 瞬殺で偽装心中 “ならず” の不穏と違和感を捲って、意外な容疑者がミステリの場に登場する。 遠方からの証人も現れる。 あちらのアリバイ、こちらのアリバイともに綱引きの手を緩めない。 喉に引っ掛かる際どい物証。 ごく自然に咄嗟の機転、そこで読者に新たな疑惑。 二つの事件(?)の絡み合いは、どちらか一方に集約されるのか、されないのか。 二人の探偵役候補(?)の奇妙に微妙な擦れ違いのような、相反し合いのような、対立に至るような、信頼が息づくような、興味深い関係性。 「 ( 前 略 ) 当然なんじゃないかな」 そこで、わだかまりは消えた・・・ 本当にそれでいいのか・・・ 読者にしてみたら、思わせぶりな疑惑の鈍い光は留まり続けているじゃないか・・・・・・ 最終章で明かされたアリバイ/密室トリックの肝となる部分に向かって、小説の冒頭部から既に大伏線が張られていたのには、唸りました。 だが、仮にこのトリックを(殺人等でないにせよ)実際に実行してみたら 「ほほう、君もやるねえ」 と感心されるだろうが、これが推理小説の根幹トリックと思えば、どこかちょっと弱い。 アリバイと密室が不可分という所に折角のアピールポイントがあるのに、これではいかにも勿体ない。 また、執拗なエロス描写(エロではない、エロスです)が実は上記トリックを成立させる重要な鍵(!)に繋がっているのだが、それにしたって夥しいセ◯クスシーンはさすがにトゥーマッチ、ちょっとしつこい、ミステリ領域から逸脱していると感じます。 「簡単で単純な仕掛けではあるけど、人間の習性と心理をごく自然に応用しているだけに、下手をすると崩すことが不可能なアリバイになったかもしれない」 ↑ 独白文での自画自賛(?)、ちょっと笑いました。 そんなこんなで小説の惜しいアンバランスが結末で露呈された形になったのがナントモで、7点の壁(6.5以上)は惜しくも越えませんが、6点でもかなり上のほう(6.4以上6.5未満)という評価です。 読む価値は充分にあります。 |
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| No.1 | 4点 | E-BANKER | 2013/10/08 21:12 |
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| 1981年発表。作者一連の「岬シリーズ」の一作。
本作で何と200作目の長編という、作者にとって記念すべき作品(だそうです)。 ~丹後半島・犬ヶ岬の断崖で起きた連続殺人事件。被害者の男女の接点が見つからないまま有力な容疑者となったのは男の友人である水沼雄介だった。水沼の愛人・古手川香織は雄介の無実を証明するため鹿児島へ向かう。だが、そこで見つけたものは、香織を苦しめるある事実であった。アリバイ崩しの妙味と男女の哀切を見事に描ききった本格推理小説の傑作!~ ひとことで言うなら「二時間サスペンス」にぴったりの作品。 (悪い意味で・・・) 紹介文にあるとおり、ミステリー的な本作の肝は「アリバイ崩し」ほぼ一本。 しかも、『容疑者が密室に閉じ込められることでアリバイが成立している』という魅力的な設定なのだ。 こう書かれると、密室トリックとアリバイ崩しがどのように融合しているのか?と期待するのだが・・・ これが見事に裏切られることになる。 このトリックは頂けない・・・ 作者のトリックというと、「霧に溶ける」や「求婚の密室」のサプライズ感十分のトリックなどが思い出されるんだけど、これは正直なところ、トリックというよりも「勘違い」というべきだろう。 こんなあやふやでリスクの高い賭けをする真犯人の心情はかなりリアリティに欠けるのではないか。 あと、男女の絡みのシーンが余りに多すぎ! その描写力には感服するしかないけど、終章に至っても延々絡みのシーンが続くとさすがに辟易してきた。 ミステリー的には評価できない作品ということだろう。 |
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