皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 誘惑の鬼気 |
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笹沢左保 | 出版月: 1987年06月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
![]() KADOKAWA 1987年06月 |
![]() KADOKAWA 1989年12月 |
![]() 徳間書店 1995年05月 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2025/05/18 16:30 |
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(ネタバレなし)
製薬会社が新設した食料品部門でスタッフとして働く29歳の独身美女・前田佐紀子。彼女は5年前、家電メーカーの技術者で6歳年上の栗原大伍の新妻だったが自宅で強盗にレイプされ、その相手を殺してしまった過去があった。大伍によって死体を始末してもらった佐紀子は新婚生活を続ける気にならず、夫との合意の上で離婚の道を選ぶ。事件の後は男性恐怖症もあって恋愛関係にいっさい消極的だった佐紀子だが、今では学生時代からの親友である美女・小笠原由美の夫である青年社長・剛に好意を抱き始めており、剛の方も妻の由美がいる身ながら佐紀子に関心があるようだった。だがその由美は実は5年前のあの事件当時、偶然の状況から佐紀子と大伍に不審を抱いている気配があった。 土曜の深夜、深夜アニメを観たあと徹夜で朝の6時まで仕事して、さて寝る前に何か一冊読みたいと思い、日曜の早朝にこれを手に取る。 こーゆー時は笹沢佐保あたりがさらっと読めてそこそこ面白く、手ごろだ。 1995年の徳間文庫版で読んだが、元版の刊行は87年。 例によって『サルまん』のレディスコミック編のノベライズで紙幅の5分の3(もっとか)を使ってるような笹沢エロロマンだが、途中で呆れるくらいに唐突に殺人が起こり、そのノリに付き合えるなら少し面白い(作中のリアルで殺された被害者にはナンだが)。 オトナの読み物の間隙を縫うようにミステリ要素が小出しにされる構成だが、事件? 犯罪? の輪郭はなかなか見えない。 その辺の興味が、かなりやむを得ない状況だったとはいえ他人を故殺し、しかもその事実を闇に葬ったヒロイン主人公の着地点への興味とあわせて、そこそこ読ませる。 ラストのサプライズは冷静に考えれば決して予想がつかない種類のものではなかったのだろうが、こっち(評者)は読み手の視線を別の方向に引っ張ろうとする? 作者の話術に幻惑(そんな大げさなものじゃないが)されて、ちょっと意外であった。まあ、こっちがチョロいので、気が付く人は途中でもしかしたら、とピンとくるだろう? それでもそれなりに面白かった。 |