皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 警察小説 ] はみだし刑事 |
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| 笹沢左保 | 出版月: 1985年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 徳間書店 1985年12月 |
| No.1 | 6点 | 人並由真 | 2025/11/08 01:55 |
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| (ネタバレなし)
警視庁の事務職・勤務部に10年間奉職した現在33歳の酒好きの巨漢・大和田正人。飲酒癖がたたった彼は、2年前に妻・葉子に愛想をつかされ、愛人を作られて離婚を経験した身であった。そんな彼は半年前から念願の犯罪捜査係の刑事として、溜池署に赴任。30代半ばにして初めて捜査の実働をする「見習い刑事」として署内での友軍的な立場を許された彼は、事件関係者の心の機微に触れながら、事件を解決していく。 古書市のワゴンで拾った、1975年の双葉ノベルス版(たぶん元版)で読了。主人公・大和田の8編の事件簿が収録された連作短編集。 正直言って謎解き要素は薄いし、そもそも事件や事態の関係者の方から真実を語ってくれる話も少なくない。 推理小説というよりは敷居の低いヒューマンドラマの興味でひっぱる連続刑事ドラマ、それも『夜明けの刑事』『明日の刑事』のようなお茶とお煎餅を口にしながら昭和の茶の間で観るような、誰も研究同人誌なんか作らないような通俗番組の作風……というのがいちばん近いような感じである。 ただ、それはそれで妙に心地よくはあり、たまにはこーゆーのもいいな、というところ。Amazonの文庫版のレビューでは笹沢の初期の傑作・秀作群と比べてボロクソだが、いやまぁ、そりゃ比較する方があーた……という気分になった。 人間臭いはみだし刑事の主人公を軸にした連作短編読み物として、これはこれでアリではあろう。 病院の待合室や、遠出の際の電車内のお供には最適な一冊であった。 |
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