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地雷グリコ
青崎有吾 出版月: 2023年11月 平均: 7.83点 書評数: 18件

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KADOKAWA
2023年11月

No.18 6点 chaos 2024/09/19 18:20
全体的にとても面白かったです.でもフォールーム・ポーカーについて疑問があります.ルールでは「触れていいカードは交換するカードのみ」なのに彼女は「ほかの2枚もめくって確認.♠3と♠4」.私はてっきり彼女の「反則負け」と思いましたが,結果は違いました.「反則負け」が正解ではないでしょうか??「触れずにめくった」という解釈でしょうか??
どなたか教えて下さい!!!

No.17 7点 蟷螂の斧 2024/08/21 11:23
①地雷グリコ 5点 「すごろく」で考え付いたら10点ですけど、まあ無理か。これは単に3の倍数だからね
②坊主衰弱 5点 昔からある〇〇〇〇ネタ。〇が好きな人はすぐわかる
③自由律ジャンケン 7点 3種プラス2種でのジャンケン。2種類の形を間違えると「空手」となり負ける。ルールをうまく使ったアイデアは想定外で楽しめた。また本作全体の意図が見え始める点が良い。ということは①②は小手調べと言う位置づけで、各短編としての評価ではなく、長編での評価としなければならないのかな?
④だるまさんがかぞえた 6点 早口、早歩き禁止。鬼(標的)は50文字以内、子(暗殺者)は40歩程度で5セット行なう。各回、文字数と歩数を記入する。同じ数の場合、次の賭け金は10倍。主人公は不利な子(暗殺者)を選んだ。スカッとしたオチではない
⑤フォールーム・ポーカー 9点 短篇のオチとしては本作がベストでしょう。緊迫感もあったし。ただ、一人称は1人だけにして欲しかった。「私」が3人も出てきて、ルールより、こっちの方がこんがらがったりして(笑)

No.16 10点 タピオカ 2024/08/19 22:04
(ネタバレ注意)

頭脳戦、心理戦を帯で謳っているが正当にゲームしていると言えそうなのは最初の「地雷グリコ」だけかな。他は如何にルールの盲点をついて勝利を掠めとるかの発想力の勝負になっている。その発想力を許容できるか否かで、この作品を楽しめるか決まってくると思う。これから読む人はそういったところ注意が必要かも。

個人的には「自由律ジャンケン」までは楽しめた。「自由律ジャンケン」で主人公が仕掛けた作戦には下を巻いた。「だるまさんが数えた」はギリ許せるとして、「フォールームポーカー」ではルールも複雑だし、反則級の行為が頻発。火事を起こすのは正直やりすぎだと思うし、そもそも奇術部の旧部室棟がゲームの舞台じゃなかったら、主人公はどうするつもりだったんだろう。

でもこれだけ面白い短編をいくつも収録できた時点で、短編集としては上出来な部類だと思うんだけどなぁ。大体の短編集って1つか2つ面白いものが収録されていれば上等なものだし。主人公の戦略も相手の性格を見抜いて、緻密に、理的に計算されている。勝負が決まったときその全貌が明かされるのはミステリー的で面白い。

どうすっかなぁ。おまけで10点にしとくか。

個人的ベストは「地雷グリコ」と「自由律じゃんけん」。

No.15 5点 hsiyehmeipo 2024/08/10 21:38
自由律じゃんけんが一番面白かった。全体的に面白いのだが、一番の山場であるポーカーが文だけだといまいち絵が想像できなく入り込めなかった。
アニメ化や漫画化、ドラマ化を前提とした作品であると思う。文章だけだとちょっと複雑さが把握しづらく、アニメや漫画で見たらまた評価が変わると思う。

No.14 10点 HORNET 2024/07/15 16:13
 勝負事にやたらと強い女子高生・射守矢 真兎(いもりや・まと)。学園祭の場所取りをかけ、お馴染みの階段ジャンケンゲーム「グリコ」をアレンジした勝負に挑んだり(「地雷グリコ」)、かるた部の雪辱を晴らすため、百人一首絵札の神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。お気楽ちゃらんぽらんキャラなのに、次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――本格頭脳バトル短編小説、全5篇。
 殺人のない「日常の謎」系連作短編集ながら、「本格ミステリ大賞」「日本推理作家協会賞」受賞も納得の傑作。ゲームの駆け引き、水面下にある緻密な計算、ひょうひょうとした主人公・真兎の立ち振る舞い、本当に面白かった!
 作品によってややこしさは多少あるものの、よくこんな「+αゲーム」のネタを考えるなぁ、と素直に脱帽。特に一編目「地雷グリコ」と四編目「だるまさんがかぞえた」がよかった。
 読者の好みによって評価は分かれるかもしれないが、私は断然「好き」なほう。副次的なストーリーとして展開される、真兎と絵空、鉱田の物語の着地点も心地よく、十分に満足した。

No.13 5点 虫暮部 2024/07/12 12:05
 こういうややこしさは苦手。『カイジ』なんかもゲーム自体には今一つ乗り切れなかったなぁ。
 “ルールに則った読み合い” ならば、理屈としては何処までも裏の裏を読めるのであって、結局ストーリー展開上作者に都合の良い段階の読みを採用して勝敗を決しているに過ぎない、とか思ってしまう。
 良く出来てはいるのだろうが、まぁ好みの問題ってことで。

 〈地雷〉は、かなり確実に踏むけれど、最大でも計30段のダウンに留まるわけで、実はジャンケンの勝敗の方が結果に直結すると思う。真兎の勝利は、あの仕掛けのおかげと言うより、中盤で地道に巻き返したからでは?

No.12 7点 みりん 2024/07/10 21:47
その昔、ギャンブル漫画がエンターテイメントの頂点であると思い、読み漁っていた時があった。
まさか小説であの楽しみを味わえるとは。本サイトでのジャンル分けは「その他」になっているが、本作が皮切りとなって「ギャンブルミステリ」というジャンルを追加せざるを得ないほど、今後生み出されていくといいな(^^)

地雷グリコ 7点
心理戦の先に得るものは文化祭での屋上使用権。デスゲームでないのが新鮮です。まあ流石に鈍い私でも見え透いた仕掛けですね。掴みとして最高。

坊主衰弱 5点
これは特に工夫がなくて唯一イマイチだったかな。

自由律じゃんけん 7点 
自分で役を作るという斬新なジャンケン。1番タネがわからなくてマジックのようだった。

だるまさんがかぞえた 8点
ルールの盲点を突く。漫画でいうと『ジャンケットバンク』型のバトル。そんなのあり!?と反則一歩手前の勝ち方。こういうのがやっぱりたまらん。

フォールームポーカー 8点
ギャンブルものでポーカーが登場すると間違いなく傑作になるという私の法則(ただしワンポーカーは除く笑) 仕掛けの多彩さを考えると、流石にこれが1番かな。

全体的に高水準であるが、ギャンブルものとしては少し物足りない。決して、人が死なないからというわけではない。ではなぜか?短編集だからだ(←謎理論w)
優勢劣勢が何度も入れ替わるなかで、苦境に立たされながらも、初期から仕掛けられていた思いも寄らぬトリックでひっくり返す。このカタルシスを存分に味わうためには短編では物足りない。
ぜひ続編では『嘘喰い』のエアポーカー、『ライアーゲーム』の密輸ゲーム、『カイジ』のEカード、『エンバンメイズ』の皆月戦に匹敵するほど、緻密でかつ奇想天外、手に汗を握るような心理戦を長編で一発お願いしたい。そして、オリジナルギャンブル小説は本作の大ヒットを機にもっと流行ってほしい。

No.11 8点 take5 2024/06/30 15:54
ギャンブル&青春&どんでん返し小説。
各ゲームが非常にロジカルで、人間も、
高校生らしい心の揺れがよく描かれて、
エンタメとして、第一級の作品でした。
5話の短編が徐々に加速していきます。

結局は真兎が勝つんですわかってます。
それでも二転三転にワクワクできるのが
青崎有吾さんの才覚、ドラマのシナリオ
そして漫画の原作も担当しているようで
シンプルに魅せ方を知っている方です。

因みに、裏技以外の各ゲームの推論は、
難関中学の入試問題を感じるんですよね
これ分かる方きっといらっしゃるはず。

この時点で本サイトの3位にランクされ、
皆様にお勧めできますが、かわりに名作
連城三紀彦氏の戻り川心中が6位に…残念

次回作、早く出ないかなと願っています。

No.10 8点 八二一 2024/06/21 20:40
高校生同士の頭脳バトルが楽しめる連作短編集。だが、長編としても成立しており、ひとつの大きな物語としての魅力がある。
ゲームはどれも独創性があり、ロジカルに練り上げられている。また、高校生たちが生き生きと描かれており、青春小説としても上質である。

No.9 9点 zuso 2024/05/22 21:24
都立頬白高校に通う女子高生の射守矢真兎が活躍する5編からなる連作短編集。
誰もが知っているゲームのルールにひと手間加えることで、複雑かつ先が読めない対戦を演出している。その上で心理戦を仕掛ける駆け引きの描写が読ませる。
ゲームの行方もさることながら、青春学園ドラマとしても読み応えがあるし、読後感も爽やか。
年末の各種ランキングで上位になることが確実と思えた一冊。

No.8 8点 パメル 2024/05/06 06:34
主人公は女子高生の射守矢真兎。亜麻色のロングヘアに短めのスカートにぶかぶかのカーディガン。いつも飄々としていて、一見やる気のなさそうな彼女の特徴は、勝負ごとに滅法強いこと。いざゲームが始まると誰もが驚くような洞察力と閃きを見せる。
そのゲームは、グリコ、神経衰弱、じゃんけん、だるまさんが転んだ、ポーカーといった誰もが馴染みのある子供の遊びにアレンジを加えており、全体が統一されている中での駆け引きが楽しめる。読み合い、ルールの穴を探り、心理戦を仕掛け合い、完璧に見えた相手の戦略を真兎が毎回、土壇場でひっくり返してみせるのが痛快。
物語の始まりは、文化祭でどの団体が一番人気の屋上を使うか決める勝ち抜き戦。次第にスケールが大きくなり、最終的には大金が動くゲームと発展していくのだが、ギャンブル小説でありながら、同時に最後まで青春学園小説の基本線は逸脱することない。克明に描かれる機微も、あくまで高校生の等身大の悩みや迷いに寄り添っているのが特徴的で女性同士の友情物語でもある。エンターテインメントとしての語り口の巧さがあり、どこまでも爽やかで軽妙でありながら熱い勝負が成立しているのが素晴らしい。
いつも真兎を応援する友人の鉱田ちゃんや、対戦相手の理論派の椚先輩や豪快な佐分利生徒会長、図抜けた頭脳を持つ雨季田などキャラクター造型も魅力的。「カイジ」や「賭けグルイ」といったギャンブル漫画が好きな人には特におすすめしたい思考ゲームミステリの傑作。

No.7 9点 sophia 2024/04/06 19:15
最初の2話は肩慣らしといったところで、その後段々ときな臭いゲームに巻き込まれていく展開が面白い。ギャラリーの客観視点や対戦相手の視点、真兎の視点とカメラの切り替えが巧みで、駆け引きの妙を描くことに成功しています。しかもゲームとは、戦略とは、人生で大切なものとは、といった重いところまで軽快なタッチで描いて3人の女子高生の爽やかな友情物語に仕上げており、青春ミステリにもなっています。「カイジ」や「ライアーゲーム」が大好きな私にとっては最高の作品でした。こういうものを小説であまり読んだことがないので、おまけして9点にします。

No.6 8点 まさむね 2024/04/04 20:31
 まずは、対戦するゲームの設定が絶妙です。じゃんけんグリコ、神経衰弱、だるまさんが転んだなど馴染み深い遊びをベースとして、それに追加されるルールもさほど複雑ではないので、面倒くさがりな私でも、スッと頭に入ってきます。だからこそ、ゲームの奥深さも理解しやすい。
 射守矢真兎の快進撃?に爽快感を抱きながらの、中盤以降の展開も好印象。頭脳戦のみならず、ルールの隅を突く戦略や心理戦の要素が抜群に面白かった。どの短編も楽しめたのですが、特に「自由律ジャンケン」と「フォールーム・ポーカー」が良かったかな。

No.5 8点 人並由真 2024/02/11 19:51
(ネタバレなし)
 前半は、悪くはないが、そんなに評判ほどにイイかな……? という感触。
 だが第3話で<ソッチ>の方向に舵を切ってから、ハジけた。
 そして星越高校(&絵空)との対決編である山場の第4・5話は、怒涛の勢いであった。

 クライマックスは、青春ドラマとしてのまとまりの良さにも涙が滲む。
 でもベスト編は第5話と僅差で第4話。
 勝負が決まる瞬間の真兎の、地味にサディスティックな物腰がたまらない。

 当然ながら青崎先生は続編シリーズを書く構え満々のようで、これは楽しみ。今後は異性の恋愛からみのライバルとかも出て来るんだろうなあ。

No.4 8点 mozart 2024/01/21 18:38
初読段階ではポピュラーなゲームに追加されたルール(とその立て付け)に対する深い洞察力と対戦相手の心理状態から想定される戦略を先読みする能力が「異常に」優れた主人公の明晰な頭脳を単に後追いでトレースすることでひたすら「感心する」物語かなと思いましたが、再読してみてミステリー作品として散りばめられた伏線・回収と読者向けのくどいほどロジカルかつ丁寧な(図解も含めてやや説明的な)解説がツボにはまってしまいました。それに加えて登場人物のキャラ設定(特に塗辺クン)が実に秀逸で非常に楽しめました。
これだけのストーリー展開を面白い読み物として作り上げることのできる作者の頭脳にもただただ驚嘆するばかりです。

No.3 9点 silver cloud 2024/01/14 23:41
誰もが知っているゲームにルールを追加して、全然予想できない展開を作り出す。ゲームの結果は決められているけど、その結果にたどり着く'HOW'が見事。
青崎有吾って頭いいね。俺のベストは『自由律ジャンケン』と「だるまさんがかぞえた」。

No.2 8点 メルカトル 2024/01/01 22:28
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
Amazon内容紹介より。

誰もが一度はやったことのあるであろう「じゃんけんグリコ」(地域によって呼び名が異なるらしい)。じゃんけんをしてグーで勝てばグリコと言って三歩進み、チョキで勝ったらチヨコレイトで六歩進む、あの遊び。これを応用して、階段の途中に三ヶ所地雷を仕掛ける事が出来るというルールで勝負するのが表題作。これがトップに配されています。

他にも坊主めくりと神経衰弱をミックスした『坊主衰弱』等のゲームを、主人公で滅法勝負ごとに強い射守矢真兎が強敵を相手に飄々と勝負していく連作短編集。そして最後に最強の敵であり、昔仲間だった因縁の相手との変則ポーカーの大勝負に挑みます。
いずれもルールの盲点を突いて、意外過ぎる妙手を打ち続ける真兎。相手の心理を読み尽し、その裏をかいてどんな場面でも冷静な判断を怠らないこの主人公には、正直憧れすら抱いてしまう魅力があります。サブキャラもそれぞれ個性的で読んで良かったとつくづく実感出来る作品です。特に驚いたのは『だるまさんがかぞえた』で見せた反則スレスレの大技で、誰も予想だにしない結末を演じて見せます。これだけでも必読と言えるでしょうね。
ミステリ作家ならではの奇想が読者を魅了します。優れたギャンブル小説であり、素晴らしい頭脳戦と心理戦を堪能できること請け合いです。

No.1 8点 文生 2023/12/09 10:21
『カイジ』や『賭ケグルイ』などを髣髴とさせるギャンブル小説ですが、そこに本格ミステリ作家としてのノウハウを駆使し、単なる駆け引きやイカサマをの域を越えた推理やトリックをたっぷりと盛り込んでいるのが楽しい。
マイペースで勝負ごとにめっぽう強い女子高生・射守矢真兎、堅物で理論派の生徒会役員・椚先輩、審判役でつかみどころない塗辺くんなど、キャラクターもみな個性的かつ魅力的。エンタメ小説として抜群の面白さを誇る傑作です。


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