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地雷グリコ
青崎有吾 出版月: 2023年11月 平均: 8.14点 書評数: 7件

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KADOKAWA
2023年11月

No.7 9点 sophia 2024/04/06 19:15
最初の2話は肩慣らしといったところで、その後段々ときな臭いゲームに巻き込まれていく展開が面白い。ギャラリーの客観視点や対戦相手の視点、真兎の視点とカメラの切り替えが巧みで、駆け引きの妙を描くことに成功しています。しかもゲームとは、戦略とは、人生で大切なものとは、といった重いところまで軽快なタッチで描いて3人の女子高生の爽やかな友情物語に仕上げており、青春ミステリにもなっています。「カイジ」や「ライアーゲーム」が大好きな私にとっては最高の作品でした。こういうものを小説であまり読んだことがないので、おまけして9点にします。

No.6 7点 まさむね 2024/04/04 20:31
 まずは、対戦するゲームの設定が絶妙です。じゃんけんグリコ、神経衰弱、だるまさんが転んだなど馴染み深い遊びをベースとして、それに追加されるルールもさほど複雑ではないので、面倒くさがりな私でも、スッと頭に入ってきます。だからこそ、ゲームの奥深さも理解しやすい。
 射守矢真兎の快進撃?に爽快感を抱きながらの、中盤以降の展開も好印象。頭脳戦のみならず、ルールの隅を突く戦略や心理戦の要素が抜群に面白かった。どの短編も楽しめたのですが、特に「自由律ジャンケン」と「フォールーム・ポーカー」が良かったかな。

No.5 8点 人並由真 2024/02/11 19:51
(ネタバレなし)
 前半は、悪くはないが、そんなに評判ほどにイイかな……? という感触。
 だが第3話で<ソッチ>の方向に舵を切ってから、ハジけた。
 そして星越高校(&絵空)との対決編である山場の第4・5話は、怒涛の勢いであった。

 クライマックスは、青春ドラマとしてのまとまりの良さにも涙が滲む。
 でもベスト編は第5話と僅差で第4話。
 勝負が決まる瞬間の真兎の、地味にサディスティックな物腰がたまらない。

 当然ながら青崎先生は続編シリーズを書く構え満々のようで、これは楽しみ。今後は異性の恋愛からみのライバルとかも出て来るんだろうなあ。

No.4 8点 mozart 2024/01/21 18:38
初読段階ではポピュラーなゲームに追加されたルール(とその立て付け)に対する深い洞察力と対戦相手の心理状態から想定される戦略を先読みする能力が「異常に」優れた主人公の明晰な頭脳を単に後追いでトレースすることでひたすら「感心する」物語かなと思いましたが、再読してみてミステリー作品として散りばめられた伏線・回収と読者向けのくどいほどロジカルかつ丁寧な(図解も含めてやや説明的な)解説がツボにはまってしまいました。それに加えて登場人物のキャラ設定(特に塗辺クン)が実に秀逸で非常に楽しめました。
これだけのストーリー展開を面白い読み物として作り上げることのできる作者の頭脳にもただただ驚嘆するばかりです。

No.3 9点 silver cloud 2024/01/14 23:41
誰もが知っているゲームにルールを追加して、全然予想できない展開を作り出す。ゲームの結果は決められているけど、その結果にたどり着く'HOW'が見事。
青崎有吾って頭いいね。俺のベストは『自由律ジャンケン』と「だるまさんがかぞえた」。

No.2 8点 メルカトル 2024/01/01 22:28
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
Amazon内容紹介より。

誰もが一度はやったことのあるであろう「じゃんけんグリコ」(地域によって呼び名が異なるらしい)。じゃんけんをしてグーで勝てばグリコと言って三歩進み、チョキで勝ったらチヨコレイトで六歩進む、あの遊び。これを応用して、階段の途中に三ヶ所地雷を仕掛ける事が出来るというルールで勝負するのが表題作。これがトップに配されています。

他にも坊主めくりと神経衰弱をミックスした『坊主衰弱』等のゲームを、主人公で滅法勝負ごとに強い射守矢真兎が強敵を相手に飄々と勝負していく連作短編集。そして最後に最強の敵であり、昔仲間だった因縁の相手との変則ポーカーの大勝負に挑みます。
いずれもルールの盲点を突いて、意外過ぎる妙手を打ち続ける真兎。相手の心理を読み尽し、その裏をかいてどんな場面でも冷静な判断を怠らないこの主人公には、正直憧れすら抱いてしまう魅力があります。サブキャラもそれぞれ個性的で読んで良かったとつくづく実感出来る作品です。特に驚いたのは『だるまさんがかぞえた』で見せた反則スレスレの大技で、誰も予想だにしない結末を演じて見せます。これだけでも必読と言えるでしょうね。
ミステリ作家ならではの奇想が読者を魅了します。優れたギャンブル小説であり、素晴らしい頭脳戦と心理戦を堪能できること請け合いです。

No.1 8点 文生 2023/12/09 10:21
『カイジ』や『賭ケグルイ』などを髣髴とさせるギャンブル小説ですが、そこに本格ミステリ作家としてのノウハウを駆使し、単なる駆け引きやイカサマをの域を越えた推理やトリックをたっぷりと盛り込んでいるのが楽しい。
マイペースで勝負ごとにめっぽう強い女子高生・射守矢真兎、堅物で理論派の生徒会役員・椚先輩、審判役でつかみどころない塗辺くんなど、キャラクターもみな個性的かつ魅力的。エンタメ小説として抜群の面白さを誇る傑作です。


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青崎有吾
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