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[ 本格/新本格 ]
体育館の殺人
裏染天馬シリーズ
青崎有吾 出版月: 2012年10月 平均: 6.52点 書評数: 27件

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東京創元社
2012年10月

東京創元社
2015年03月

No.27 7点 mozart 2023/06/23 08:04
犯人を特定するための数々のを情報を伏線として散りばめておいて最後に探偵がそれを悉く拾い上げて解説するという本格ミステリーの定番的展開ですが正直こうした話は好みですね。ストーリーもライトで読みやすかったです。

No.26 5点 虫暮部 2023/06/03 12:51
 緻密、と言うよりはチマチマしたロジック。リ-ダビリティも微妙に高くない。心意気は買うが、それに免じて一歩歩み寄った上で、こちらが楽しみ方を心得ているからこそ楽しめた、との印象である。

 体育館はサイズが大きく、抜け道なんかは色々ありそうで、“視線の密室” を納得しづらい。実際、見取図に描かれている二階通路が作中で軽視されてない? 皆が死体に注目している隙に通路から飛び降りて外に逃げた、との可能性もあるのでは。

No.25 6点 nukkam 2023/04/25 23:54
(ネタバレなしです) 青崎有吾(1991年生まれ)の2012年発表のデビュー作で裏染天馬シリーズ第1作です。私は改稿された創元推理文庫版(2015年)で読みました。頭脳明晰なのに駄目人間設定の裏染天馬の登場は約100ページほど物語が進んでからですが、明快な推理を早速披露して名探偵らしさを印象付けます。その後の捜査場面は地味だし登場人物は無駄に多くて個性も感じられませんが、「読者への挑戦状」の後に続く解決編の章では犯人の条件を列挙しながら唯一の犯人を丁寧に論理的に絞り込んでいく、王道的な本格派推理小説として楽しめました。巻末解説で辻真先がアニメオタクでもある裏染のアニメ蘊蓄に感心していましたが、アニメに詳しくない私にはほとんどわかりませんでした。でも長々とアニメ知識を解説して謎解きを興ざめさせたりはしていないのは個人的には好ましく映りました。

No.24 6点 zuso 2021/05/16 23:18
探偵がアニメオタクというキャラ付けがやや鬱陶しい。ロジック部分は、鮎川哲也賞の選評にも載っているが、確かに飛躍しすぎの感はある。ただし、取りあえず説明はついているというか、大筋で問題は無いレベルではないだろうか。

No.23 7点 mediocrity 2021/05/09 05:49
殺人は1件のみ。アリバイ、関係者の証言、残されたアイテムから犯人を論理的に絞っていく。かなり地味なストーリーで、小説としては正直あまり面白くはない。まさか傘だけであんなに引っ張るとは。
謎解きは満足だったが、アニメや声優関連と思われる話がいくらなんでもくどすぎると思った。

No.22 6点 斎藤警部 2021/03/29 17:17
「疲れたなあ。一日に何人もの人間と話すってのは、だめだな。三人が限度だ」

いきなり登場人物一覧外の人間を犯人名指しする探偵役(笑)。 緻密なロジックと、地味さが味な殺人舞台/背景の重ね具合にいまひとつ妙味ってもんが足りないな。。 密室構成要素のうち、施錠の経緯はちょっと目を引いた。 真犯人の意外性は薄いけど(そこはキズではない)、更に奥があるとは思わなかった。。(だが、更にあるとしたらこの方向でしょうって見え透いてるから意外性は低い)。 だがちょいと引っ掛かりのあるバッドエンド、ってのとは違う、以降作に気を持たせる最後の悪い台詞。。 ともあれ全体的に悪くない。 アニヲタっぷり全開な台詞やら何やらも、門外漢ながら愉しい。

不良のフの字も無いよな高校生の殺しの手際が良過ぎるのは確かにファンタジーの領域。傘の件にしてもゆらぎの大きい部分を白黒付け過ぎとは感じるが、そのへん勢いで押し切ってくれてれば何も問題無かった。 ただ、そこまで勢い付けるエネルギーは無いし、意欲的なよく伸びるロジック(やはりこれが本作最大の美点でしょう)にも、手堅いトリックにも、地味派手とはまた別の次元で、いま一歩華がないのがな。。 真犯人特定ロジック披露のクライマックスはちょっとワクワクしましたが。。 惜しいな。。 だけど全体的に面白いし、作者の未来を感じるんだよな。。

しかし、ナウなヤングの作品だとばかり思ってたら、既にほぼ(古い数え方で)ひと昔も前の刊行なんですね!

No.21 7点 ボナンザ 2021/02/01 21:48
ここまで純度の高いフーダニットが現代に読めるとは・・・。
裏染のキャラが無理やりオタクであることをアピールさせている感があるが、そういったキャラクターやストーリー性を置いておいても高評価。

No.20 7点 ミステリ初心者 2018/04/28 10:56
 若干のネタバレがあります


 犯人を一人に断定できる、本格度の高い作品でした。帯に書いてあった、"クイーンの論理+学園もの"の看板に偽りはありませんでした。

 難癖をつけるとしたら、犯人の手際がよすぎて、まるでアサシンクリード。他の方のレビューでも指摘されていた点ですが、被害者は悲鳴とか抵抗とかなかったんでしょうか?
 あと、探偵のキャラクターが好きになれないというか、苦手でした。ネタのわからないことばかり喋っていて、さっぱり?でした。唯一理解できたネタは、バキとジョジョの"!"と"ツ"のつけ方のくだりだけでした。

 表紙の傘をさした女性は誰だったんでしょうか? 柚乃…?

No.19 6点 いいちこ 2018/03/26 19:32
真相解明プロセスの論理性の高さ、作品の各所に配されたガジェットの活用の巧みさ等、デビュー作としては出色のデキだろう。
明かされた真相がややもするとサプライズに乏しく、犯行計画のフィージビリティにもやや難点を感じるが、全体としては極めて堅牢な本格ミステリであると言えよう。
6点の最上位

No.18 6点 パメル 2018/03/20 22:24
平成のクイーンと呼ばれるだけあり、現場に残された物証から次々とロジカルに推理し、消去法で犯人を特定する過程は、パズラー好きには十分楽しめると思います。
探偵役が、アニメオタクでノリが軽いためラノベ風な作品に仕上がっている点は好みが分かれるでしょう。(何を言っているのかわからない時があった)
巻末の選評で北村薫氏が、あることを指摘し、可能性をひとつにあっさりと切り捨てるのは乱暴だと述べていたが、この点は同感でした。

No.17 7点 makomako 2017/10/15 08:38
作者の作品は初めて読みました。
なかなかの力作と思います。本格物が好きなら興味津々であることは間違いない。
密室の謎、犯人の推理を少しずつ解き明かしていく過程はとても興味深い。
なかなかやるなあ、といった感じ。
ぜひこの作風を保って私たち読者を楽しませていただきたい。

以下多少のネタバレ。
気になったのは密室脱出のトリックですが、これは相当偶然が重ならないとすぐばれそう。
さらに本当はあり得ないのが、殺人の状況。
ナイフで一突き、周囲の人たちに分からないほど悲鳴すら上げさせない。しかも短時間に死体を移動する。そして平気な顔をしている。
これはゴルゴ13なみ(ゴルゴは銃で撃つので音が出るが)のプロの仕事ですよねえ。
この仮定からすると犯人はプロであり学生はほぼ除外されてしまい(学生で殺人のプロという設定ならありですが)、このお話は成り立たなくなってしまいます。
こんなことが気にはなるのですが、推理小説は基本的にお遊びということとして、楽しく読みました。

No.16 7点 2017/10/02 10:26
鮎川賞作品。
作者は好きなだけでなく、クイーン作品をかなり読み込んでいると思われる。若いのに、ようやるなぁ。

小道具がたくさん登場し、みなうまく使ってある。
読み終わればわかりやすいのだが、ほとんど解けなかった。
密室も結果的にはたいしたことないのに、やられてしまった。ショボすぎるわりに密室、密室と騒ぎすぎる感があったからかな。
傘は重要なキーであることはわかったが、作中でこれほど議論されるとはね。これには驚いたし、ようがんばってると感心もした。
エピローグはどんでん返しというほどではなく、ちょっとした味付けのオマケ。いま風でこれも悪くはない。
とにもかくにも総合的にみれば、デビュー作品として上出来すぎる謎解きミステリーだった。
キャラクタ的には高校生たちのユーモアのある会話がおもしろいが、物語性については楽しめる要素はほとんどない。まあ本格重視だからこんなものだろうか。

こういうのが今の時代、喜ばれるかどうかは甚だ疑問ではあるが、今後ぜひともがんばってほしい。

No.15 7点 ねここねこ男爵 2017/09/21 12:37
推理部分はかなり良くできています。
全体のテンポもよくサクサク読めます。
続編だとかなり鼻につくテンプレラノベ臭も、今作は気になりませんでした。

ただ、他の方も書かれているとおり放送室のロジックに穴があります。
それから、物証が『そのものずばり犯行の痕跡』なのか『犯人のミス』なのか『犯人の仕掛けた罠』なのかの判断基準がご都合主義的なのがほんのちょっと気になりました。
この作品に限らないやむを得ない部分だとは思うのですが、少し気を使って欲しかったかも。

全体的にはおすすめです。面白かった。

No.14 7点 邪魅 2017/02/25 00:30
平成のエラリークイーンの異名に恥じぬ傑作でした
傘の推理に目が行きがちですが、個人的には第一の条件で犯人を絞る部分の方が華麗だなと思いましたね
傘に関しては粗がないわけではなく、それでも十分しっかり考えられているでしょう
ただ、如何せん密室脱出のトリックが今一つの感がありそこが評価を落としているのが惜しいです

No.13 8点 測量ボ-イ 2017/02/09 22:56
お-これは・・
今のご時勢、これだけガチガチ本格で挑んだ若き作者の心意気に拍手。
確かにアラはありそうですが、それさえも今後の伸びしろという意味
で好感持てます。
採点は今後の期待料も込めて。

No.12 7点 青い車 2016/09/29 21:50
 これだけ若い新人作家が、こんなにもロジックで攻めた長編を書いてくれたことに初めて読んだときは驚きました。高校が舞台ということに必要以上に依存しないストイックさにも好感が持てます。
 具体的な推理内容に関しては、一本の傘からいくつもの推理を導き出すところはまんま『オランダ靴の謎』を連想させますし、他にもリモコンの置き場所や被害者のポケットなど、なかなかに凝った推理ポイントがいくつもあります。密室から脱出するトリックの実現性にはやや疑問が残るものの、それも丁寧な説明があるので不満にはなりませんでした。デビュー作としては文句なしの出来。

No.11 6点 りゅうぐうのつかい 2016/04/26 16:06
事件は、学校の体育館で起こった殺人事件1件のみで、事件を取り巻く状況はいたってシンプル。「読者への挑戦」を付けた本格志向の作品(もちろん、私は真相も犯人も全くわからなかった)。
この作品は、ロジックが売りのようであるが、確かに論理的な推理が示されている部分もあるが、強引な決めつけによるロジックの綻びも随所に見られる。
犯人の密室からの脱出は意外な方法ではあるが、危険すぎるし、この方法が使えるかどうかを記述内容だけでは読者に判断できない。
現場に残された傘の存在が大きな欺瞞になっており、解決編はなかなか読みごたえのある内容であった。


(ネタバレ)
裏染が示した、DVDとビデオデッキのリモコン切り替えの論理だが、他の理由も十分に考えられる。
たとえば、次のような理由だ。
①演劇部員が前日にリモコンでビデオの電源を切った際に、誤ってDVDの切り替えボタンを押した。
②事件のあった直前に、朝島がDVDを見て、それを他人に知られたくなかったので、コンセントをビデオの方に戻した。
また、犯人がDVDの内容を直ちに確認しなければならなかった理由も説得力に欠ける。確認せずに、2枚とも持ち出せば良かったのではないだろうか。犯人が映像関連に重点を置いて捜査が進められることを危惧したから、という理由を挙げているが、まるで説得力がない。
傘の論理に関しても、ブランド品だから置き忘れの傘ではないと決めつけているのは強引だ。たとえば、部室に置き傘をしているようなケースなら、ブランド品でも構わないはずだ。また、傘を2本持って出入りする生徒が防犯カメラに映っていなかったことから、学校の外に出て傘を入手した可能性はないと断じているが、折りたたみ傘で外に出て、戻ってくる時には折りたたみ傘を畳んでバッグに入れれば良いだけではないだろうか。帰りのときだけ、ご都合よろしく、備品室の傘を借用したことになっているのは、どうにもいただけない。

No.10 7点 パンやん 2016/04/07 17:50
大学生が書いた青春ミステリーで、実に読み易くキチッと論理的につくられていて、わかりやすいのが嬉しい。キャラづくりもうまく、登場人物の多いわりにスッキリしているのもいい。叙述ものの口直しには、頭の体操にもなって最適ですなぁ。映像化可能で、Eテレがピッタリ。

No.9 7点 ロマン 2015/10/24 23:36
「使い古されたもの」というのは、それがあまりに優れているがゆえに繰り返し擦り切れるまで使われていく運命にあるのだと思う。ロジックへの執拗なまでのこだわりは、クイーンの時代から変わらずミステリファンを魅了し続けている。体育館を舞台に起こる密室殺人の謎が、やはり歴史を彩る数々の名探偵と同じく変人ぶりを発揮する天才少年によって鮮やかに紐解かれていく様は、とても美しく興奮させられた。キャラクター描写や軽やかな筆致も心地よく、今後の展開にも期待が高まる。

No.8 7点 E-BANKER 2015/08/02 22:00
2012年発表。第二十二回鮎川哲也賞を受賞した作者のデビュー作。
“平成の和製クイーン”との異名も耳にする本格パズラー(とのことだが・・・)
いつものとおり文庫化を待ち読了。

~風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長の少年が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった。早めに授業が終わり現場体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかるが・・・。死体発見現場に居合わせた卓球部員・柚乃は学内随一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。内緒で校内に暮らしているというアニメオタクのダメ人間に・・・~

いろいろ評価はあるだろうが、これほど端正なパズラーは久々に読んだ気がする。
まさにジグゾーパズルのように、ピースのひとつひとつに拘り、伏線を丁寧に撒きながら組み上げていくミステリー。
他の方もご指摘のとおり、「クイーン」になぞらえるのも、あながち間違えではないと思える。

プロットの中心は実にオーソドックス。
密室殺人とアリバイトリック。そしてその二つが瓦解した時に判明するフーダニットの刹那。
確かにロジックの穴は目に付いたのだが、やはり本格好きとしては、徐々に真犯人が絞り込まれていく緊張感・ドキドキ感は何者にも代え難い瞬間なのだ。
(小道具の使い方もなかなか面白い)
一本の「傘」に纏わるロジックも、“若気の至り”と評することもできるのだが、その心意気を買いたい。
動機については・・・まぁ敢えて触れないでおこう。
(学園ミステリーでもあるわけだから、こんなもんだろう)

真犯人解明後に更なるドンデン返しが判明するラスト。これはやや蛇足感というか中途半端感は残った。
若さ溢れる(?)筆致とともに、その辺りは今後に期待というところ。
とにかく、今時こんなコテコテでロジック全開のミステリーを書いてくれたことには素直に敬意を表したい。
次作も楽しみ。
(さすがに「鮎川哲也賞」はレベルが高いね・・・)


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