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[ 本格 ]
赤毛のレドメイン家
別題『赤毛のレッドメーン』『赤毛のレッドメーンズ』『赤毛のレドメイン』
イーデン・フィルポッツ 出版月: 1956年01月 平均: 6.38点 書評数: 21件

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東京創元社
1956年01月

新潮社
1958年01月

東京創元社
1959年01月

東都書房
1962年01月

角川書店
1963年01月

講談社
1977年10月

旺文社
1979年05月

集英社
1999年03月

東京創元社
2019年11月

No.21 8点 YMY 2023/07/11 22:33
犯人は、着実冷静に犯罪計画を立て、冷酷非道に実行する。この犯人に対する名探偵ピーター・ガンズは、人間観察に重点を置き物的証拠のないこの大犯罪を、過去の歴史を研究し心理学者の緻密な分析で、犯人に相対するのである。
探偵対犯人の息詰まるような対決、知恵の戦い、何気ない対話にも二重三重に計算されている。文学に育てられた作者の並々ならぬ底力がみられる。

No.20 7点 zuso 2020/12/03 18:50
従来のミステリにおける犯罪者像に飽き足らず、新しい悪を創造したかったのか、「人間は、こんな動機でも人を殺せるんだよ」と言っているような衝撃的な作品。

No.19 6点 猫サーカス 2020/06/30 17:57
犯人が駆使したトリックにしても、真相を隠蔽する作者のトリックにしても、現在の読者にとってはそれほどの新鮮味はなく、結局今なお評価に堪えるのは、犯人たちの強烈なキャラクター造形と、その犯行動機ということになるでしょう。この最後に語られる動機の意外性だけは、現代の読者にも充分なインパクトを与えるでしょう。

No.18 6点 ◇・・ 2020/04/19 20:37
江戸川乱歩が、読むたびに印象が変わる万華鏡のような作品だと言い、最も評価した作品で、ある一族を襲う悲劇の物語。単純に見えた事件が二転三転し、意外な結末を迎える。
特に冒頭の径で女と会う場面。当たり前だけど、初読の乱歩が言った万華鏡という言葉は、印象が変わるということも言っているんだけど、全編に満ちる色彩とかのイメージが素晴らしいことを指して言っているんでしょう。
フェアプレイという意味で言うと、今だと御法度かなというような記述、無理めのトリックもあるけれど、それを割り引いても推理小説の楽しさに満ち満ちている。

No.17 5点 弾十六 2020/02/23 05:14
1922年出版。雑誌Popular Magazine 1922-4-7〜6-7(5回連載)が初出か。
Popular Magazineは小説中心のパルプ雑誌。この頃は隔週刊行。当時20セント(=337円)208ページ。40年前には新潮文庫(橋本福夫訳)、今回は創元文庫の新訳(2019)で読みました。
時々「やがて彼には衝撃が襲う」みたいな先回り文章がたくさん出てきて、これ、当時の流行だったんでしょうかね。物語の興味を削ぐこと夥しい。
40年前に読んだときの記憶は、なんか陰鬱でつまらなかった印象しか残ってなかったのですが、導入(特に第1章)は非常に面白い。でも、途中から「志村、後ろ!」のヤキモキ感。(もう古いですか?) 弟子アガサさんのヘイスティングスを思わせるようなノロマな展開。さて結末は…
この小説、ブレンドン刑事の一人称で行くべき作品。そーなれば恋愛描写はもっと盛り上がる。ネタは良いのですが構成が下手。恋敵に感じるジリジリしたやりとりとか、名探偵に対するライヴァル心とかをもっと効果的に描けるはず。でもそんな胚芽を乱歩さんは気に入ったのでしょうね。翻案『緑衣の鬼』も読んでみたい。
以下トリビア。
現在価値は英国消費者物価指数基準1922/2020(57.20倍)、£1=8116円で換算。
p9 貯金は五千ポンド(five thousand pounds saved): 4千万円。
p37 二万ポンド: 1億6千万円。遺産。
p40 外傷の手当てに使う苔の巨大な集積所(a big moss depôt for the preparation of surgical dressings): 苔の種類はsphagnum(peat moss)。第一次大戦では、大量の戦傷者が出たため包帯が不足した。戦争初期に、園芸家Isaac Bayley Balfourと軍の外科医Charles Walker Cathcartは、英国に豊富な二種の苔S. papillosumとS. palustreが特に傷を癒すことを見つけ、多くの命が救われた。歴史的には普仏戦争(1870)辺りまで、苔で傷を覆う療法があったようだ。
p82 ヴェルディの初期のオペラを歌っている(His song was from an early opera of Verdi): 何の歌か気になる。初期の名作といえば「ナブッコ」(1842)、有名な「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」なんてぴったりか。
p108 探偵さん(the sleuth): これはカタカナ表記が良かったのでは?
p135 コーンウォール出身には多いメソジスト派… 楽しいことは許されんと考える連中: Methodistは禁酒禁煙や几帳面な生活様式を重視する。コーンウォールに多いのか…
p161 最新流行の安全剃刀(the newfangled safety razors): 交換刃の安全剃刀は1904年の特許。第一次大戦でガスマスクをつけるため毎日ヒゲを剃る必要が生じ流行したようだ。
p175 パイプの掃除には羽根を使って(For the master's pipe... He uses feathers to cleanse it): パイプの管部分に通して使うようだ。
p226 嗅ぎ煙草… 鼻が肥大: 嗅ぎ煙草の習慣は鼻を肥大化させ、テカテカにするらしい。
p240 ガボリオ: ここは探偵小説への言及ではない。この作品には、小説みたいな事件だ!という感嘆や探偵小説のもじりは見られない。
p244 アクロスティック: わかりやすいミニ講座。英国では1924年以後、クロスワードにその地位を奪われることになります… (ここを読んだ感じでは鍵の作り方がクロスワードに引き継がれている感じ)
p333 飼い葉桶のなかの犬(a dog in the manger): ギリシャの古い寓話に遡る話らしい。イソップ童話で広まった。英wikiに項目あり。

No.16 5点 レッドキング 2019/07/14 09:12
いかにも英国通俗小説に出て来そうなヒロイン。こんなの出しちゃったらミステリでは当然に・・・。
乱歩がこれを「探偵小説NO.1」みたいに推したってのは分からんではない。彼、これのトリックとか以上に小説自体に嵌ってしまったんだろうな。当時の日本人にとって、あんな欧州風景や西洋美女への憧憬たるやさぞかし強かったことだろう。

No.15 8点 クリスティ再読 2018/12/18 23:07
「闇からの声」がやや古臭く感じたこともあって、大昔読んだなりの本作、今回楽しめなかったらどうしよう?なんて少し構えていたんだが...いや、悠然とした大ロマン、といったあたりが好感!なポイントだったのが評者としても意外なほどである。
たとえばジュセッペ・ドリアの造形なんだけど、イタリア人らしく大仰で芝居がかったあたりが、オペラチック、と言ってもいいくらい。でロマンの化身みたいな未亡人ジェニーと、このドリアとの夫婦仲がブレンドン視点だと本当に幻惑的、といっていいような妖しい煌めきを見せている...これ本当にオトナな趣味の小説だな。
というかね「本格史観」みたいな進歩発展史で見ると「まだミステリとしては不徹底」というようなことになるのかもしれないけど、フィルポッツの狙いは浪漫的な田園小説を書くことの方にあって、そこに20世紀的な新しい「ミステリ」のアイデアを盛り込んで構成してみた、というくらいのものなんだろう。「ミステリ」は本作ではパーツの一つに過ぎなくて、全体の小説としての構成の中で、本来は「ミステリがどう生かされているか?」と問うべきなんだろうね。言い換えると本作はミステリ古典のように見えて、ミステリの視点だけで判断すべきではない小説なんだと思う。
だから最後の犯人の告白なんてねえ、ロマンの極みだよね。殺人の経緯なんてほぼ忘れてたけど、この最後の告白だけはしっかり覚えていた。本作は「読み直して良かった」と思えるよ。

No.14 7点 2018/12/10 09:38
あのような事件だと、多くの読者は疑うはずです。
でも、著者がウラをかくこともあるし、ウラのウラ、さらにまたウラをかく場合だってある。
ということで、後半まで疑いをいだきながらも、ずっとワクワク感が持続しました。
ということでトリックは、当時なら上等、いまでも十分に通用するレベルです。

サスペンス要素がたっぷりあるし、人物が面白く描いてあったり、場面を種々変転させたりと、著者は楽しませる要素を熟知しているようです。エンタメ小説としてのプロットは抜群の出来です。
最後の告白の分量が多すぎることだけが、マイナス点です。

情景描写を多く盛り込んで文芸作品に見せながらも、じつは、読者を惹きつけるのが巧みなコテコテの大衆文学作品でした。

No.13 5点 nukkam 2016/08/03 07:24
(ネタバレなしです) 英国の文豪イーデン・フィルポッツ(1862-1960)は長命の上に作品数も膨大で、ミステリーも19世紀から書いているそうですが代表作とされるのは1920年代から1930年代にかけて発表されているようです。1922年発表の本書は本格派推理小説ですが、風景や恋愛を丁寧過ぎるぐらいたっぷりと描いていて謎解きに集中したい読者にはまわりくどく感じるかもしれません。発表された時代は本格派推理小説黄金時代に突入していますがこの作風はむしろ19世紀のミステリー(普通小説に犯罪要素が加わった程度の過渡期的な作品)に近いかも。謎解きの出来栄え自体も大げさな芝居を見ているような感じで現代の読者が見破るのはそれほど難しくないと思います。江戸川乱歩が「万華鏡の色彩」を引用してべた誉めしていることでも有名ですが華麗さよりもむしろ重苦しさを感じます。

No.12 8点 ロマン 2015/10/20 15:40
犯人像が怪物的過ぎるなど、一部の人物造形が過剰なきらいはある。だが、推理小説としての構成は、それによって不自然になっていない。言うなれば、構成を有機的なものにするため、登場人物をその枠の中で十全に利用できており、作者が彼等に流されない冷静さを感じた。これは当時としては新しかったのかもしれないし、故に推理小説の姿勢の手本として、名作とされ、読み継がれているのだろう。現在となっては珍しくもないトリックだが、推理小説初心者の頃に読み、驚くことができて良かったと思う。

No.11 7点 斎藤警部 2015/06/18 19:17
割とスレちゃった後に読んだせいもありましょうが、冒頭部で真犯人というか真相にピンと来てしまいました。。 しかし流石に文豪フィルポッツ、物語の魅力でぐいぐい引き込んで離しません! 構築美も相当なもの。 乱歩先生が絶賛したのも納得ですね。 先生の仰る『万華鏡』効果は、真相にすぐ気付いてしまったせいなのか、自分には起こりませんでしたが、他の作品ではその様な大地と空ごと幻惑されるような感覚は何度か味わっております。幸せな事です。

No.10 6点 蟷螂の斧 2015/03/27 18:53
(東西ベスト48位)1922年ということで時代を感じる作品ですね。アイデアは、当時として見るべきものがあると思います。ただ、トリックの見せ方(解決篇)があまりうまくないと感じました。サプライズがラストの一行的なものであれば、傑作に値するのでは?という思いです。また、ブレンドン刑事の恋心も、もっと効果を上げることができたのではないか?。前半は事件そのものより、恋愛の方に主体が置かれていたわけですから・・・。後半、引退した刑事の登場により、その効果が半減してしまったようです。残念。

No.9 3点 mini 2015/03/13 09:56
昨日12日に創元文庫からイーデン・フィルポッツ「だれがコマドリを殺したのか?」が刊行された、サスペンス風味の悪女ものらしい
実は以前に同じ創元文庫で刊行されていたのだが、入手難で埋もれていたのを新訳復刊したようだ、旧版の題名は「誰が駒鳥を殺したか?」で何故か”ひらがな”と”カタカナ”に変更されている、内容的な理由でも有るのだろうか?それとも単なる”今風”って事?
それと「だれがコマドリを殺したのか?」は原著的にはもう1つの名義であるハリントン・ヘクスト名義で書かれており、本来なら翻訳もへクスト名義で出すべきだと思う
商売上の大人の事情なのかも知れないが、こういうのが創元の嫌いなところなんだよなぁ、きちんと別名義で刊行した国書刊行会の例の全集に入った「テンプラー家の惨劇」が浮いちゃっているんだよね

新刊の「だれがコマドリを殺したのか?」は1924年作だがその2年前の作が「赤毛のレドメイン家」だ、しかし「赤毛」は私にはつまらなかったなぁ
まぁ私は”館もの”やその延長である”一族もの”という設定に全く興味の無い読者で、そもそも「何々家の~」が付く題名自体が基本的に嫌いなのだけどね(苦笑)
「闇からの声」の方が比較的に面白かったのを考えると、「赤毛」は作者本来の持ち味ではないのかも知れない
1922年の作である「赤毛」が本格長編黄金時代の幕開けを告げるかのよう喧伝されてきたのは乱歩御大の影響だろうが、フィルポッツは1888年からミステリーに手を染めているという息の長い作家歴で、「赤毛」も1910年代位の感覚で書かれていると思える
私は書評上は書かれた時代性を考慮する主義なので、もし「赤毛」が第一次大戦前に書かれていたのならそれなりの評価も出来るのだが、1920年代に入っての作だけにあまり弁護も出来ない
例えば「赤毛」の2年後に書かれたA・E・W・メイスンの「矢の家」などは新しさを感じるだけにねえ

二流作家っぽいフィルポッツの未訳作を今後出す必要性が有るのかという問題もあるけど、今後出すなら森英俊氏が推奨していた「The Jury」か、倒叙ものらしい「Portrait of a Scoundrel」か、”クイーンの定員”にも選ばれた中編集「My Adventure in the Flying Scotsman」あたりだろうか

No.8 6点 ボナンザ 2014/04/08 21:35
乱歩や小栗が評価しているだけのことはある。
二転三転する印象にめまいがする。

No.7 6点 TON2 2012/11/26 18:16
集英社文庫「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリー①」
乱歩が激賞し、1930年前後の作品として第1位に選んだ作品です。
犯人が己を常人と異なる才能を持つと過信し、犯罪を芸術のようにとらえ、あまりに美的に飾ろうとするがゆえに尻尾を出してしまうというのは、宮部みゆきの「模倣犯」にも通じるものがあります。
今の捜査技術なら、血痕があればDNA鑑定により誰のものかわかってしまいますが、第二次大戦前ならこんなものでしょうか。それ故に、成り立つトリックです。
犯罪も捜査も優雅だった古き良き時代の作品です。

No.6 7点 測量ボ-イ 2012/11/02 20:12
かの乱歩が絶賛したという、古典名作。今回ようやく縁あって
読む機会がありました。
古典作品だけに、すれっからしの方には真相はわかり易いです
が、雰囲気つくりも含めてなかなかの良作だと思います。

(余談)
書かれた年代が年代だけに、確かにトリックは古めかしく、犯
人も読みなれた人ならわかり易いです。
でも特にここ数年僕は思うのですが、真相が分かったのと、そ
の作品の個人的評価は別物だと感じています。
少なくとも僕の場合、真相がすぐ分かった=つまらなかった=
低評価 という思考回路にはならないです。
逆に近年の作品の方が真相をやたら捻ったりコロがしたりして
わかりにくくし、結果的に作品の価値をさげているような気も
しなくはないです。
まあ作者の肩を持てば、読者に真相を簡単に看破されない為の
やむなき措置なのかも知れませんが・・・推理作家も大変ですね。

比較的ライトな国内作品を数作読んだ後に、趣向を変えてこう
いう作品を読むのもいいですね。

No.5 7点 E-BANKER 2012/01/21 21:29
ミステリーランキングには必ず名前を挙げられる1922年発表の名作。
江戸川乱歩が激賞し、自身が「緑衣の鬼」として翻案した作品としても有名。

~1年以上の月日を費やして、イギリス・ダートムア地方からイタリア・コモ湖畔に起こる三重四重の奇怪なる連続殺人事件。犯人の脳髄に描かれた精密なる「犯罪設計図」に基づいて、一分一厘の狂いもなく着実冷静に決行されていく。三段構えの逆転と、息もつかせぬ文章の味は、万華鏡の如く絢爛として、緻密であり、サスペンスに富み重厚なコクのある世界的傑作~

う~ん。さすがですねぇ・・・
数多のランキングで上位に押される作品だけはある。
それだけの気品というか、オーラを確かに内包している。
「緑衣の鬼」を既読のため、フーダニットについてはほぼ最初から予想がついていたものの、それでもプロットの妙は十分に味わえた。
もちろん90年近く前の作品だし、古めかしさは隠せず、純粋なミステリーとしての評価よりは、ミステリー部分+文学的要素としての評価をすべきなのでしょう。

しかしまぁ、ジェニーこそ「毒婦」の極みだねぇー
ジェニーに手玉にとられるブレンドンの哀れなこと・・・他人事とは思えなかった(!)
真犯人の造形の見事さも本作のグレードを高めている要因なんだろう。

かなりボリュームのある作品ですが、未読の方は十分一読の価値はありだと思います。
(できれば、本作→「緑衣の鬼」と読むべきだろうなぁ。個人的に逆になったのは失敗だった)

No.4 7点 2011/04/02 00:06
久しぶりに再読していて、何となく似たところがあるなと思ったのは、クイーンの初期某有名作です。トリックの根本にも同じような発想があるのですが、月日をかけた一族の連続殺人という点でも共通しています。クイーンの作品には、本作のようなベタな恋愛は全くありませんが。
そんなわけでクイーンと比較しながら読み進んでいくことになってしまいました。するとやはり、犯人に対する疑惑を隠しておいて、最後に急転直下暴露する手際ということでは、あまり感心できません。途中でほとんど真相に近い可能性をピーター・ガンズが指摘してしまっていますし、犯人の言動にも、あまりに疑いをまねきそうなところがあるのです。構成上読者には犯人がすぐ直感的にわかってしまうのは、かまわないと思うのですが。
しかし、それでも思っていた以上におもしろく再読できました。このゆったりしていながらサスペンスもある展開はさすがです。昔から文学的だと言われていますが、芸術的に高度というより、雰囲気がいいんでしょうね。

No.3 8点 kanamori 2010/07/18 17:10
この作品も読了時の感動と現在の客観的評価の狭間で揺れる微妙な立ち位置の古典本格ミステリ。
レドメイン家兄弟を被害者とする連続殺人のプロットは、真相が透けて見えるのですが、登場人物の造形(特に真犯人)や中心となる舞台の一つ、イタリアのコモ湖畔の情景描写など、非常に文芸臭が漂い印象に残っています。

No.2 6点 こう 2009/01/03 23:04
 海外古典で日本ではミステリの人気投票で「Yの悲劇」と1位を争っていた作品の様です。
 現代では残念ながらミステリとしての瑕は多い作品だと思います。明らかにアンフェアな描写、警察官(メインは一人だけですが)のあまりにも無能な点、トリックも通用しないトリックですし、訳もかなり古いので読みにくいです。
 ただ、犯人の造形については1922年作ということを踏まえると素晴らしいです。その部分は個人的には評価したいです。
 フィルポッツはこれしか読んだことがないのですがヘクスト名義の作品が面白い様なのでそちらに期待しています。 


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