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[ 本格 ]
緑のカプセルの謎
ギデオン・フェル博士シリーズ/別題『緑のカプセル』
ジョン・ディクスン・カー 出版月: 1958年01月 平均: 7.35点 書評数: 23件

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東京創元社
1958年01月

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1961年03月

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2016年10月

No.3 8点 ミステリー三昧 2010/05/15 12:11
<創元推理文庫>フェル博士シリーズ10作目(有名な?)「毒殺講義」を含むカーの代表作
毒入りチョコレート事件というネーミングだけで一冊の小説が書けてしまいそうなほど、インパクト大な序盤の展開。そのテーマをためらいなく3章以降から脇に置いてきぼりにしてしまうカーの余裕とサービス精神が伝わる魅力に溢れた一冊でした。
肝心の真相なのですが、実際、毒入りチョコレート事件の真相は肩透かしでした。序盤の展開はなくても問題ない気がする。それだけに子供が可哀そう。
メインである実演会の実態なのですが、これは「おいおい、ありかよ!!?」といったズル賢さが満載。私としては盲点に引っかかりまくりで何一つ本質を見極められず、ホント頭が下がる思いでした。まぁ、深く考えたわけではないんですけど・・・ここで一つだけ苦言を呈すなら、このトリック「そんなに上手くいくかな?」というのが第一印象。確かに至る所に罠が散りばめられている分、ある突破口を指し示す手掛かりも同時に分散されている訳でアンフェアには成り得ないのですが、素直に納得できない部分が多少あってモヤモヤ気味。ただ、フーダニットはこの人でしかあり得ないという状況作りはかなり巧いですね。実演会で「実際起こったこと」が分かれば、犯人も分かる、毒入りチョコレート事件の真相も分かるという構成には間違いなくなっているので、何とも言えない細かなディティールの利いた傑作でした。

No.2 9点 2009/01/12 12:06
カーに限らず、犯人以外の登場人物が事件を複雑化するミステリはかなりの数にのぼると思いますが、この作品では特に、被害者が犯人と共同して読者を騙しにかかってきます。要するに被害者が考え出したトリックを犯人がうまく利用したということなのですが、それが実に巧妙にできているのです。
犯行を証明する決定的証拠は、読者には全く予想しようのないものですが、その証拠がなければ推理が成り立たないわけではありませんし、フェル博士の名前が出てくるところがユーモラスでもあります。緻密に構成されたパズル小説が好きな人にとっては満足のいく作品だと思いますが、派手な展開を期待する人向きではありません。

No.1 8点 Tetchy 2008/12/07 00:49
カー自ら「心理学的推理小説」と銘打った異色の作品。
『皇帝のかぎ煙草入れ』の感想でも書いたが、カーの持論“Seeing is deceiving(目は嘘をつく)”を直球ど真ん中でテーマにした作品。
毒殺というテーマと何度も繰り返される推理のトライアル&エラーからアントニー・バークリーの傑作『毒入りチョコレート事件』へのオマージュだと思うが、明からさま過ぎるのがカーらしい。

それだけに留まれず、なんといってもマーカスが仕掛けた観察実験とそれに関する質問に対する各人の見間違いの指摘がす語ぶる面白い。
文章でしか語られないのに、映像として目に浮かび、しかもそれが錯誤するように実に巧妙に仕掛けられているのが、明解に解るのだ。
これだけでも御飯3杯はイケル!(嘘です)


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ジョン・ディクスン・カー
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