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[ 本格/新本格 ]
新幹線殺人事件
森村誠一 出版月: 1970年08月 平均: 5.89点 書評数: 9件

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光文社
1970年08月

角川書店
1977年01月

青樹社
1993年04月

角川春樹事務所
1997年05月

光文社
2004年03月

角川グループパブリッシング
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No.9 6点 まさむね 2021/09/13 21:40
 2つのアリバイトリック。1つ目の新幹線電話の件は、なかなか面白いですね。ある1点だけが判れば、「水平思考アリバイ」とやらは、読者としても気付きやすかったかな。2つ目のトリックは、何というか、最初の捜査で警察が気付いてほしかった。
 トリック以外にも、警察の捜査や芸能界を交えて読ませてくれます。終盤の転換もいいですね。ただ、これを言ってはオシマイかもしれないけれど、2つの殺人とも、そんなリスクの高い手法を採る必要がないのでは…と気になって仕方がありませんでした。

No.8 6点 人並由真 2021/06/14 04:03
(ネタバレなし)
 小~中レベルのメイントリック2つ。それぞれ何かしょぼいような気もするが、掛け合わせの妙で、ともにコストパフォーマンスの良い、使い方をしてるかもしれない。

 事件と捜査が、意外な方向に変遷してゆくストーリー。この着想の部分で点を稼いだ作品で、ある程度のグレイゾーンまで許せる人になら、そこそこ面白いパズラー(もしくは謎解き興味の強い警察小説)でしょう。

 あとは芸能界をカリカチュアライズした業界もの小説としての読み応え、かな。いや描写そのものにはウソは少ないのだろうが、ここまで油臭い書き方をするのが、ああ、正にいつもながらの森村作品だなって、感じ。

 6.5点という意味で、この評点。森村作品は時たま読みたくなり、それなり(以上)に楽しめることも少なくないんだけれど、なかなか7点以上はあげたくないというか(汗)。

No.7 6点 文生 2017/11/10 21:18
第1の殺人と第2の殺人にそれぞれ鉄壁のアリバイが用意されているという初期森村作品らしいトリック大盤振る舞いの作品。ただ、最初のアリバイの方は凝った作りではあるものの、アリバイに共犯者が必要だという点がちょっとマイナス。第2のアリバイの方はアイデアはユニークだが、それを実行するにはあまりにもリスキーな気がする。力作ではあるけれど、傑作と呼ぶにはあと一歩及ばないといった感じです。

No.6 7点 斎藤警部 2015/08/03 11:47
芸能界への偏見爆発! そりゃ社長連中は他業種に較べてもワルい輩が多そうだが(偏見済みません)、実際に動いてる芸能人達を包括的にそこまでボロクソに言わなくても。。「彼らは実際何の芸も無いくせに」とか言ったそばから「声色遣いの演技ならお手の物であろう」って、芸があるのか無いのかどっちやねん!!
ここまでトンチンカンな言葉の無茶攻めされると、平素より作品内でオブラートに包まずボロクソ言われている彼の大っ嫌いなサラリーマン社会も権力界も実は彼が貶すほど本当は悪くないんじゃないか、って一筋の希望が見えて来るような気さえします。

閑話休題。 そりゃ安っペラい所もちょぃとあるけど、まだ若くてギラギラした良さがあり、捜査途上こそが愉しいアリバイ系本格推理(社会派とは言い難い)として充実の一作だと思うぞよ。

No.5 6点 E-BANKER 2011/01/21 21:56
アリバイ崩しを主題とした作者初期の本格ミステリー。
光文社の新装版で読了。
~「ひかり66号」に流れる鮮血。殺された男は、芸能プロダクションの実力者だった。折しも、万博の音楽プロデューサーという巨大な利権をめぐり、2大芸能プロの暗闘が続いていた。犯人はライバルプロダクションの人間か? 「ひかり」に絶対追いつけない「こだま」、新幹線の時間の壁が捜査陣の前に立ち塞がる~

仕掛けられたアリバイトリックは2つですが、2番目のトリックは非常に分かりやすくてやや低レベル。(推理クイズなんかによく出てくるたぐいのものです)
やはり、メインは新幹線を舞台にした最初のトリック。
もちろん、今読めば「なぁーんだ」という程度の感覚なのですが、トリック自体、作者らしく非常に丁寧に作りこまれているのがウレシイ・・・
何より「発想の転換」とでもいうべき解法(作中では「水平思考アリバイ」などと呼んでますが・・・)がいいです。「ひかり」に決して追いつけないはずの「こだま」に乗っていた男が、いかにして殺人を行ったのか? 新幹線電話を使ったトリックというのも当時は斬新だったのでしょう。
「大阪万博を間近に控えた頃の芸能界」という舞台設定もなかなか面白く読ませていただきました。
(この頃の日本は、活気や夢があってきっといい時代だったんでしょうねぇ・・・)

No.4 4点 江守森江 2010/05/23 22:48
書かれた当時は、タイトルの新幹線にも新鮮味があり、時刻表絡みなアリバイも本格ミステリの代表格だったが、この手の作品は鮎川哲也だけで充分に満足していたし、森村誠一には梶山季之(当時一番好きだった作家)の後継者として期待していただけに本格ミステリ路線への変更にガッカリした。
残念ながら、そんな印象しか残っていない作品。

No.3 5点 測量ボ-イ 2010/05/18 20:56
僕が推理小説を読み始めたとき読破した作品のひとつ。
謎の設定の魅力の割りに、解決が平凡だった印象が残り
ます。個人的には「高層の死角」の方が良かったです。

No.2 7点 makomako 2010/05/16 11:41
この作品が出た頃たまたま新幹線のなかで読んだ。乗っている間読みふけり時間を忘れていた覚えはあるが、内容はすっかり忘れてしまっていた。今回読み直してみると本格推理物としてもなかなか凝った内容で、トリックなども十分に吟味されていることに感心した。時刻表のトリックはあちこちひねり回して無理やり作り出しましたという傾向に陥りがちであるが、きちんとした設定の上さらにひとひねりふたひねりがあり最後に意外な結末が用意されている。結構面白いですよ。

No.1 6点 2009/06/19 21:29
殺人事件の捜査と、事件の背景にある芸能プロダクションの内幕を交互に描いていく構成は、社会派的な部分が生な形で出すぎているとは思いますが、なかなかおもしろく読ませてくれます。
本作が書かれた当時、新幹線からの電話はすべて記録されていたという点を利用したアリバイは、よくできています。しかし、それが途中で解明されるとほぼ同時に発生する別の殺人とのつなぎ方は、前半が無駄骨という感じがして、あまり好きになれません。似たパターンは鮎川哲也にもありますが。
その第2の事件のアリバイトリックもかなり凝っています。刑事たちがどうやってそれに気づくか、という点は、どちらも似た状況に遭遇することでひらめくというもので、犯人の計画に比べてありきたりなところ、もう一つ論理的な鮮やかさが欲しいという気もします。


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