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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
野性の証明
証明シリーズ/村長警部
森村誠一 出版月: 1978年01月 平均: 7.00点 書評数: 3件

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角川書店
1978年01月

角川書店
1978年03月

講談社
1978年06月

KADOKAWA/角川書店
2015年02月

No.3 7点 文生 2022/08/19 10:46
寒村での大量殺人という、まるで八つ墓村のような凄惨な事件の描写に引き込まれ、それに続く地方都市の首領と生き残りの少女を引き取った自衛隊員との暗闘も読み応え十分。加えて、皮肉な結末がインパクト大です。多少荒唐無稽な点は否めないものの、エンタメ性の高さでは著者の代表作である『人間の証明』を上回る力作です。

ちなみに、高倉健&薬師丸ひろ子主演の角川映画とは全くの別物で、原作では主人公が自衛隊と闘ったりはしません。

No.2 8点 斎藤警部 2017/04/02 22:18
おお、未だ見えぬ物語の終結部に浮かび上がる、遥かなる接点の蜃気楼よ。。。

「セックスした」の意味を、泣けるほどミステリ文脈で意義深い遥かなる遠回しに言い放った森誠の心意気には震えさせてもらった。しかも、それに続く文脈のスリルへの連繋よ。思えばその直前には敵陣どうしの旨味ほとばしる暴露合戦が最高の人肌で併走させられていたんだっけ。更に。。 やばいぜ、このへんの森誠。 しかしそこには同時に如何にも青臭い露骨さへの危うい傾斜面も潜んでいるのだが。。。構わんさ。見た所、一方の探偵役らしき者が或る事件の犯人でもあるような気がするムズムズが持続。更に、その容疑人を泳がせるために。。。。。参った。。

岩手は北上山地の寒村で起きた、一集落十数名鏖殺(みなごろし)事件。ところが、被害者全て集落民と思いきや、一人明らかに外地から観光客の若い女性が混じっており、その代わり地元側で一人だけ行方不明の幼い少女<<映画では薬師丸ひろ子>>。。 章が切り替わり、その双方(観光の女性と少女)に繋がりを持つ一人の屈強にしてジェントルな男<<同じく高倉健>>が主人公としてようやく現れる。彼は鏖殺事件の強力な容疑者だ。
一方で同じ東北の福島(らしき架空の県)内陸の某大都市では、市の治安と発展を暴力の恐怖で采配する一族がその磐石の基盤を揺るがされかねない事態が、徐々に侵攻を見せ始めるのだが。。。

まさかのオカルト性を見せ付ける飛び道具と、地道ながらスリル有る植物学調査。
章が切り替わる毎の視点の交差ぶり、交錯ぶりも旨き味わい。
戸籍の告白。。、、これは怖い。 おとうさん。。 か。。。

中盤よりこりゃ意外と通俗サスペンスの味わいかな、と思ってたら最後はずっしり社会派魂で締められた。

ピコ太郎や棟方志功と同じ青森県青森市生まれの彬光先生、病床での決死の解説檄文は泣きました!!

No.1 6点 2012/02/27 10:31
森村氏の代表作とされる「人間の証明」が心を打つ作品だっただけに、本書のほうが一般的には人気が少し落ちるのかもしれませんが、個人的にはこっちのほうが好きです。
大量虐殺の生き残りの少女が自衛隊員と、巨悪とに立ち向かうというとんでもない設定で、驚愕のラストあり、サスペンス(アクションかな)ありの強烈なエンタテイメント・ミステリー作品です。ストーリーは素晴らしくかつ馬鹿げてもいますが、ここまでやってくれれば思う存分に楽しめます。もしかしたら海外でも通用するのでは、という気さえします。

証明シリーズ第1作「人間の証明」で新境地を切り拓き、第2作の「青春の証明」が普通っぽすぎたためか、3作目の本書ではまた決めてくれました。
「青春の証明」が普通っぽいと思い込んでいますが、実際どうだったか、実はまったく記憶にありません。ゴメンナサイ。。。


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森村誠一
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