皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 狩人の悪夢 作家アリス&火村シリーズ |
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有栖川有栖 | 出版月: 2017年01月 | 平均: 6.43点 | 書評数: 14件 |
![]() KADOKAWA / 角川書店 2017年01月 |
![]() KADOKAWA 2019年06月 |
No.14 | 6点 | ことは | 2025/02/09 18:19 |
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読んでいるときの心地よさが、実によい。
少しずつ事件の様相が見えてくる感じや、ひとつの事実がわかるたびにディスカションして全体の構図を確認するところは、初期クイーンの捜査パートや、鬼貫物の長編の読み心地だ。「これが謎解きミステリの楽しみだよな」と感じる。 それに比べると、解決部は、少し物足りない。犯人の思いや背景などは味があるが、それほど意外な推理や構図はなかった。 あと、編集者の江沢鳩子がとても魅力的に感じた。口調がよいのか? どこがいいのか説明が難しいが、プロな感じか? 生き生きとしているように感じた。 |
No.13 | 5点 | たかだい | 2024/12/19 02:20 |
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良かれ悪かれ安定感のあるシリーズだと思います
今は使われていない廃屋で殺害された被害者、切り落とされた手首、落雷による倒木で道が塞がれるという不測の状況、そこにきて被害者のストーカーという最有力容疑者が見つかり解決は時間の問題かと思われる 手堅い謎が提示され、作中のセリフで言うところの「散らかった」状態を徐々に解きほぐしていく過程が楽しめる 正直、そこまで派手なトリックがあるわけても真相が意外という程でもない一方、場当たり的な対処でこの状況を作り出した犯人像はある意味でリアリティがあるなと思ったりもする なにより「有栖川有栖」の話の作り方、語り方が良いからなのか一度手に取るとグイグイ読めてしまう魅力はあるように思います |
No.12 | 5点 | nukkam | 2023/12/04 23:36 |
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(ネタバレなしです) 短編集「赤い月、廃駅の上に」(2009年)からホラー小説も書くようになった作者なので、2017年発表の本書もタイトルからその種の作品かなと想像したのですが火村英夫シリーズ第9作の本格派推理小説でした。ホラー作家が登場するし、死体は手首を切り落とされていますが全くホラー演出はありません。ただ盛り上がりに乏しいままメリハリのない展開で進行するのが読んでて辛かったです。終盤には知的バトルと言うべき謎解き場面が用意されていてここはさすがに盛り返します。しかし作中人物から「ミステリなら火村先生のような持って回った書き方や出し抜けの飛躍が推奨されるのかな?」とミステリを揶揄するような発言が飛び出すように、火村の説明は論理的であっても推理の根拠が十分には感じられず私のような凡庸読者にはどこかすっきりない解決でした。 |
No.11 | 7点 | 猫サーカス | 2022/02/14 18:30 |
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アリスはホラー作家の白布施に誘われ、京都府亀岡市にある白布施の家を訪ねる。翌日、白布施のアシスタントで急死した渡瀬が住んでいた家で、首に矢が刺さり右手首が切断された女の死体が見つかる。現場には、犯人のものらしき血の手形も残されていた。論理性を重視する本格ミステリでは、警察の介入を排し名探偵が活躍しやすい環境を整えるため、絶海の孤島や吹雪の山荘が物語の舞台に選ばれることがある。落雷による倒木で道が寸断され、容疑者が現場近くにいた六人に限られる本書も、このパターンを踏襲しているように思える。ところが火村による謎解きが始まると、本格ミステリのお約束に見えた倒木が実は事件解決の重要な鍵だったと明かされるので衝撃が大きい。それだけではなく、なぜ被害者の手は切断されたのか、犯人が現場に手形を残した目的は、といった不可解な要素を合理的に説明することで、容疑者の中から犯人になり得ない人物を除外していき、唯一絶対の真相を導き出しすプロセスは、数学の証明問題のような美しさがある。 |
No.10 | 5点 | ボナンザ | 2021/06/08 22:11 |
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このシリーズでは比較的珍しいロジック系フーダニット。
話があまり進まない割には長いのが微妙。 |
No.9 | 7点 | パメル | 2020/09/08 09:28 |
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作者と同姓同名の有栖川有栖が、人気ホラー作家である白布施正都との対談をきっかけに、彼の邸宅へ招かれる。「夢守荘」と名付けられたそこには、眠ると決まって悪夢を見てしまう悪夢の寝室があり、有栖はその部屋に泊まって一晩を明かす。翌日、右手首のない女性の死体が発見される...。
手首の切断理由は?壁に残された血の手形の目的は?現場にあった弓矢、流れていた音楽など、不可解な要素を合理的にロジックを積み上げて犯人、犯行方法を導き出していくプロセスは美しい。また思いがけないことが実は事件の重要な鍵になっており衝撃が大きい。 真相が全て明らかになると同時に、ある人物への悲哀溢れる半生と犯人が絶対悪ではなかったことを仄めかす逸話を添えて幕となるエピローグなど謎解きと人間ドラマが愉しめる。 ただ、事件自体は派手な演出や奇抜な要素が盛り込まれているわけでもないし、登場人物も少ないため地味に感じる方もいるだろうし、フーダニットとして愉しめないかもしれない。 |
No.8 | 6点 | ミステリ初心者 | 2019/12/20 19:25 |
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ネタバレをしています。文庫版を読みました。
有栖川さんは、本格オブ本格な作者だと思っています。そのためか、私自身の期待値が上がりすぎてしまったようです(笑)。 作風は非常に読みやすく、無駄なところが少ない、本格色の強い作品です。個人的に火村のキャラクターが好みではないものの、解決編前あたりまですらすらと読めました。 これは私だけなのかもしれませんが、大泉の死体が運ばれた廃屋が、落雷地点より北か南か判断がつきませんでした(笑)。1周目読んだときには、大泉の死体を外に運べないから北のほうだと思っていましたが、56pと219pを読み返し南の廃屋のような気もしました。結局結論が出ず、2パターン考えました(笑)。 何回も読み返し、私も矢作と白布施以外は容疑者から外すところまでは考えました。どうしても、矢作を容疑者から外せませんでした。悔しがりながら解決編を読みましたが、いまいち納得がいきませんね(笑)。犯人の手首を切ったり、ビニール紐を残したり、もしものことを考えた行動を多用しているので、矢作の"証人が確定してないのに音楽をかける行為"だってだれかが通るかもしれないという考えがあったかもしれないし、火村や警察が矢作の都合がよいように考えるかもしれない。裏の裏をかくようなことを言っていては仕方がありません(笑)。心理的アリバイというのでしょうか? これは好みではありませんね(笑)。 ※追記:突発的犯行の可能性が高かったことも留意しなければダメでした(笑) 期待値が高すぎたのかもしれませんが、フーダニットとしては江神シリーズの納得感には及ばなかったです(涙)。 |
No.7 | 7点 | ねここねこ男爵 | 2017/11/13 21:40 |
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安定と信頼の有栖川ロジック。
極めて限定された状況下なので、犯人の意外性は期待できませんが、とっ散らかった犯行現場に火村准教授が秩序をもたらしてくれます。学生アリスの探偵役である江神さんとは毛色の違う、リアリズムに満ちた狩りは見事。 火村英生シリーズは学生アリスシリーズと比べて量産型作品というイメージがあったのですが(超失礼)、『鍵の掛かった男』あたりからまさにツートップと呼ぶにふさわしいクオリティになった感じがします。しかもどちらもロジカルでありながら性格個性が異なりきちんと住み分けがなされていて素晴らしい。 ロジックよりトリック、フェアプレイより衝撃や意外性重視な人は読んではいけません。 |
No.6 | 7点 | 測量ボ-イ | 2017/10/21 17:54 |
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良作ですね。
犯人の意外性はそれほどでもないですが、この作品の主眼 はそこではないような気がします。 |
No.5 | 6点 | HORNET | 2017/09/03 20:47 |
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久しぶりの火村シリーズ長編、まずは楽しんだ。今まで通りの、純粋な王道のフーダニットが最近逆に希少な気がして、そんな中での有栖川作品はファンにとっての寄る辺になる。
今回は、緻密に計算し、やり遂げた犯人の手口を読み解くのではなく、火村曰く「散らかっている」(だったか?)犯行の跡を読み解いていくというものだった。落雷をはじめとした不測の事態に右往左往したうえで、半ば場当たり的に弄した策の跡をたどっていく道筋となる(だった)ので、精緻なロジックを好む読者が正面突破しようとすると難しかっただろう。かくいう私も、はっきりいって各事象を全く結び付けられず、ただただ火村の推理を追うだけだった。 不測の事態に応急的に、場当たり的に対応するということは、実際の犯罪では大いにありそうなことで、そう思うと面白く読み応えがある作品だと感じた。(ただ小説のような綿密な「トリック」を犯人が計画するようなことはまずないだろうが) |
No.4 | 6点 | 虫暮部 | 2017/05/01 10:05 |
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手首切断の論理がゴチャゴチャしていて判りづらい。“カウダカウダ!”の手掛かりは都合良過ぎな気がする。合意の上でのゴーストライターが悪いとは思わない。
“柱をはさんで首を絞める”というアリスの案を火村先生は“ドタバタ喜劇”と評したが、被害者は抵抗しにくく加害者は力をかけやすく寧ろ有効な殺し方だと思う。 |
No.3 | 7点 | makomako | 2017/03/05 10:43 |
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このところぐっと懐が深くなってきた有栖川有栖氏の火村シリーズの長編ということでさっそく読んでみました。
なかなか長い。殺人事件の話となるまでに相当ページがさいてあります。それでも飽きさせずに読ませるのはさすがに最近の有栖川有栖。充実していますねえ。 登場人物は少ない。犯人たる人物は極めて絞られています。かなり最後まで行かない犯人は分からない。後付けで真相を暴露するといったかたちなら、誰が犯人でもこの小説は成り立ちそうなのです。 まあ怪しげな人は初めから怪しそうなのですが、推理小説の常として怪しそうな人は犯人でないことが多いからなあなどと、余分なことを心配しながら読むこととなりました。 どんでん返しはあるのか?期待しながら読んでいました。 結果は書きません。読みごたえは十分で読んで損はありませんよ。 |
No.2 | 8点 | ボンボン | 2017/02/10 23:19 |
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これはすごい、お見事。純度100%の有栖川有栖ではないか。前作「鍵の掛かった男」が物語重視のずっしりした作品だったのに対し、本作はまどろっこしいほどの火村的推理、背理法やら消去法やら、犯人との緊迫の対決が際立つ。私には、本格とかミステリの技法について語る知識はないが、古式に則った美しい推理小説なのだと思う。
これまでの火村シリーズの長編のような、印象的な舞台設定や動きの大きな展開はない。ミステリとして、特に珍しくない材料で出来ているのだが、そのことによって一層推理の凄みが増して見える。勝負に出た、という感じだ。 ただ、せっかくだから、もう少し「悪夢」を使い込んでほしかった。アリスのまあまあ嫌な感じの夢もとても良かったが、メインテーマのナイトメア感が足りないかな。 といっても、当たり前だが、読ませる巧さは変わりなく、本筋以外のところも相変わらず面白いので、これから読む方には、その点安心して楽しんでいただきたい。 |
No.1 | 8点 | 青い車 | 2017/02/03 19:21 |
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『鍵の掛かった男』以来の長篇は、火村英生という人物のクールさが光る力作でした。
有栖川有栖は難しい道を自分で選んだ作家です。この2017年において、逃げも隠れもせず真っ向から古風なスタイルのパズラーを書く労力は並大抵ではないでしょうし、火村を論理だけを武器にした名探偵として活躍させるのもまた難しいはずです。しかし、それでもなお作者自身が好きな作品をずっと書き続けています。事実、今回もそのスタイルはまったくブレず、純粋な論理のみで犯人を落としています。死体の手首が切り取られていた謎の解明、二段構えの犯人の思惑の看破、そして詰めの消去法推理、すべてが冴えわたっています。 総じて、今回も「いつもの有栖川有栖」を崩さないクオリティで、今年書く予定という国名シリーズ新作にも期待が高まります。ファンとしてはこの作風を限界まで貫いて欲しいものです。あと、余談ですが、最後の最後のプチ・サプライズも嬉しかったですね。 |