皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] モロッコ水晶の謎 作家アリス&火村シリーズ |
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有栖川有栖 | 出版月: 2005年03月 | 平均: 5.28点 | 書評数: 18件 |
講談社 2005年03月 |
講談社 2008年03月 |
No.18 | 8点 | 虫暮部 | 2021/01/08 14:27 |
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この機会に書くと、私が有栖川有栖で特に好きなのは、いずれも短編で「ペルシャ猫の謎」「絶叫城殺人事件」そして「モロッコ水晶の謎」。“ロジカルなフーダニットの人”なのは承知の上で、それを上回る飛び道具に痺れる。
ところが文庫版解説には「モロッコ水晶の謎」の別解釈が示されていて、成程そう考えればグラスを取った順番から推理は可能。但し作品のキモは台無しだ。余計なことしやがって。と言ってはいけない。別解が成立しない設定をきちんと作るのも作者の仕事ってわけだね。 「ABCキラー」。某がいきなり殺人に走るところが苦しい。説得力が無くても動機めいた言葉を残してくれれば、“そういう人間もいる”と(多分)受け入れられるのに、“まるで判りません”じゃな~。 |
No.17 | 7点 | ボンボン | 2016/05/18 15:12 |
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人間の手前勝手な内面世界を暴き、厳しく鞭打つ中編3つ+α。 どれも捻りが効いていて良い。作者のネタ一発勝負の短編は、自分にはあまり合わないので、これくらい書き込まれているとだいぶ楽しめる。
表題作の実に繊細で微妙な結末は、「これぞ有栖川有栖」と言っていいと思う。さすがだ。この真相のアイディアは、文章が上手じゃないと、なかなか怖くて手を出せないのではないか。 3作とも、平均以上にアリスが積極的に推理して一生懸命言葉を発しているタイプのものなので、軽快で愉快な読み心地。 そして、そして、何と言っても3作の間に挟まったおまけ漫画のような「推理合戦」が可愛らしい。こういうのが短編集とかに毎回入っていればいいな。 |
No.16 | 7点 | 青い車 | 2016/02/05 19:30 |
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このサイトでは評価厳しめですね。僕はどれも安定の面白さで、トータルで見ても水準以上と思うのですが。中篇三作だけでなく、遊び心のあるショートショートが挟まれているのもいい構成です。ただ、やはりがっつりとした長篇を楽しみたいという欲求は解消しきれない、という気持ちも拭えません。
以下、各話の感想です。 ①『助教授の身代金』 先日ドラマ版も放送されていました。従来の誘拐ものとは似て非なる二転三転する展開が面白く、登場人物はけして多くないのに意外性もちゃんとあり、快作といっていいと思います。 ②『ABCキラー』 もともとはアンソロジー用に書かれた作品。元ネタ作品では大きな鍵になっていた動機がおざなりに処理されているところが気になるものの、サイコキラーものの新たな解として十分楽しめます。 ③『推理合戦』 箸休め的な作品ですが、綺麗にオチが決まっていて痛快です。 ④『モロッコ水晶の謎』 表題作であるこの作品をどう見るかがこの作品集の評価の大きなポイントでしょう。それまで味わったことのなかったトリックで、拍子抜けと感じる人もいそうですが僕はいい意味で衝撃を受けました。 |
No.15 | 6点 | 風桜青紫 | 2016/01/14 04:47 |
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作家アリス短編でも割と充実した短編集だと思っているので、評価の低さに驚く。『助教授の身代金』も『ABCキラー』もトリックのパンチは強くないものの、人物の心理的な動きを解決にからめたなかなかの作品だ。『推理合戦』は小夜子たんがかわいい。『モロッコ水晶の謎』は「登場人物のなかの論理」に着目した作品である。これをテーマにした『叫びと祈り』の成功を見る限りこの着眼点は悪くないように思えるが、異国文化という壁に圧倒的な説得力があったあちらに比べれば、ややアピールに欠けていたように思える。しかし毒殺トリックとしては間違えなく野心的な作品だし、毒殺トリック好きとしてはこのような形式でも掘り出し物として歓迎したいのだ。 |
No.14 | 4点 | E-BANKER | 2013/02/16 22:36 |
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お馴染み、火村助教授(今なら准教授か?)&推理作家アリス・コンビの作品集。
今回も滋賀~京都~大阪~兵庫と、関西圏を股にかけての捜査行・・・ ①「助教授の身代金」=助教授とは別に火村のことではなく、ドラマで助教授役を演じたある俳優のこと。いかにも狂言めいた誘拐事件に巻き込まれる二人なのだが、火村がたどり着いた真相は意外なもの・・・。ただ、何かピンとこないプロットなんだよなぁ・・・。 ②「ABCキラー」=クリスティの名作「ABC殺人事件」のオマージュとして出版されたアンソロジー収録作品。確かに、元ネタをひと捻りもふた捻りもしてはいるのだが、これも何だかピンとこない。そもそも最初の二件の動機や背景は何だったのか? 声明文を送りつけた奴は? いろんなものが置き去りにされたまま強制終了という感じ。 ③「推理合戦」=これは「箸休め」的ショート&ショート。別にねぇ・・・ ④「モロッコ水晶の謎」=中編ほどの分量のある作品。意図的に書き順を遡っているのだろうが、あまり意味がないように思える。謎の中心は毒を入れたタイミングと動機なのだろうが、どちらもあまりピンとこないんだなぁ・・・。フーダニットは分かりやすいし、あまり褒めるところはない。 以上4作。 相変わらずこのシリーズのクオリティは低いように思える。 特に、今回の収録作については、作者あとがきでプロットの「狙い」が書かれているので理解できたが、そうでなければ「一体なにが書きたかったのか?」という感じになったに違いない。 それほど「ピンとこない」のだ。 確かに、短編ミステリーとしてのまとめ方は旨いと思うし、ソツはないのだが、だからといって満足できるレベルではないだろう。 ちょっと辛い評価かもしれないが、どうもこのシリーズとは相性が悪いのだ。 (「これがいい」と言えるのはないかな・・・) |
No.13 | 5点 | まさむね | 2013/02/04 22:02 |
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中編と呼んでもよい長さの短編3本+掌編1本で構成。
表題作の真相は,ある意味で衝撃的。確かに心理としてはあり得るのだけれども…うーん。でもまぁ,個人的に火村シリーズの短編は「色々あって,それで良い」と捉えているので,良しとしておきましょうか。 ちなみに,この作品集で一番印象に残ったのは「推理合戦」と題する掌編。こういうのは好きなんだなぁ。 |
No.12 | 5点 | HORNET | 2011/01/09 19:52 |
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火村シリーズの短編集。クリスティの「ABC殺人事件」にちなんだ「ABCキラー」,水晶占い師を題材にした表題作など,それなりに楽しめましたが,運や偶然がからんでくるネタが多かったような気がします。 |
No.11 | 2点 | キトウY | 2010/11/21 02:11 |
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表題作についてペルシャ猫を思い出すくらい
ないだろうと言いたくなる出来 |
No.10 | 3点 | 星屑の仔 | 2010/08/25 01:00 |
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現代ミステリにおいて、「あれ」を使ってはダメでしょう。
ま、他はそれなりに面白かったんだけどね・・・。 |
No.9 | 6点 | E | 2010/06/20 23:42 |
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国名シリーズ、楽しめました。
でも表題作の真相はどうだろう・・・う~ん・・・ある意味リアルティがあるのですが、ミステリートリックとしてあれは無理あるでしょうッ!!(ぇ) |
No.8 | 6点 | 測量ボ-イ | 2009/07/31 19:43 |
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2~3年前に読んだものを再読しました。
表題作「モロッコ水晶」ですが、この結末、僕はまあ否定的 には見ないですが、賛否は分かれるでしょうね。 「ABCキラ-」は某古典名作の単なる模倣ではなく、それ なりにオリジナリティはありましたが、結末は何だか微妙な 感じでした。 |
No.7 | 5点 | こう | 2008/11/24 02:14 |
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「ABCキラー」はそもそもオリジナルの「ABC」が好きではないのもあるのですがそれをひねっているとはいえありがちな落ちで好きではありません。
「モロッコ水晶」はこのロジックをありとするかどうかで評価がわかれそうですが個人的にはありだと思いました。ただし犯人以外でも無差別殺人(というか誰でも良かった殺人)であれば他にも犯行可能な人物がおりクイーンのように「実現可能な人間はこの人間しかいない」とゆうロジックとは違う点が気になります。他の人間を消しこむには枚数の制約があるのかもしれませんが中編とはいえそメインがこの「ロジック」のみなのは少し寂しいです。 |
No.6 | 4点 | マニア | 2008/09/26 19:17 |
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うーん、読後もすっきりしない感じ。
「助教授の身代金」は、緊迫的な誘拐の場面から殺人事件の捜査に切り替わり、最後に全ての謎が解けていくという構図が面白い。真相は予想の範囲内で衝撃度には欠けるが、物語の流れが良い。 「ABCキラー」は、プロットも真相も中途半端な感じ。魅力的な謎がどんどん尻すぼみになっていく感じ。 「モロッコ水晶の謎」は、人間の微妙な心理を突いた変化球作品。でも、自分的にはあの解決はいただけない。もっと、鮮やかな論理を期待してたのに・・・。「狂信者」の恐ろしさを味わえた点でおまけ。 超短編の「推理合戦」が一番楽しめたかも! |
No.5 | 4点 | いけお | 2008/06/10 21:38 |
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別にそんなことはないんだろうがトリックが雑な印象。 |
No.4 | 7点 | おしょわ | 2008/01/28 22:16 |
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国シリーズとしては良くできたほうだと思います。 |
No.3 | 7点 | vivi | 2007/06/03 02:23 |
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世間にとっての真実が個人にとっての真実ではないというズレを見事についたのが表題作。
世間の目で見たら見えないことも、個人の立場になって見ると見えてくるのでしょう。 後書きを見ると、もっと長く書き込みたかった作品らしいですね。 ロングバージョンを読んでみたい気がします。 シリーズもここまで来ると、火村のキャラクターにかなり同調して読んでしまいますね。 素敵な探偵役です。もちろんアリスも。 |
No.2 | 6点 | ギザじゅう | 2005/04/20 17:27 |
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マレー、スイスと正統派傑作が続いたのに、モロッコがこれですか…?ペルシャほどひどくはないけど、変化球気味の作品はいまいち好きにはなれない。さらにこの程度の中途半端な歪んだ作品もだめだ。 「助教授の身代金」はまぁ満足作品。丁寧に伏線が張ってあるのはいいが、誘拐ものとしてはどうなの?そもそもあの会話から○○を見破れるものか? 「ABCキラー」は一番つまらなかった。『ABC殺人事件』まだ捻れるやないか、とはいえ捻りすぎやろ。さらに犯人の行動が決められたように何かをなぞっているようで、説得力に欠けている。 「モロッコ水晶の謎」のこの捩れたロジックも…。あれに納得性を持たせるには、中篇サイズが必要なのもわかるが、それだけってのは…。 |
No.1 | 3点 | ざき | 2005/03/19 20:15 |
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「モロッコ水晶」駄目だった… あれはないだろう、もうちょっとなんとかならなかったのか? |