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[ 本格/新本格 ]
後悔と真実の色
西條刑事シリーズ
貫井徳郎 出版月: 2009年10月 平均: 7.50点 書評数: 8件

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幻冬舎
2009年10月

幻冬舎
2012年10月

No.8 8点 レッドキング 2019/02/27 20:49
存在するだけで嫉妬や悪意を買う男、自分自身の憎悪や嫉妬に苦しむ男、自分の痛みには過敏だが加害者であることには無自覚な男達、失ってみて初めて思い知る価値ある事柄・・・ 
警官ヒーローものかと思いきや、主役のどん底転落とわずかな再生兆しの物語。「指切断猟奇連続殺人」テーマにも関わらず、江戸川乱歩賞でも鮎川哲也賞でもなく、また直木賞でもなく山本周五郎賞にこそふさわしい作品。なんというか「読んでよかったな」としみじみ思える話で、それがフー・ホワイダニットミステリと自然に同居してるってのが凄い。・・・ただ、タイトルがダサい。

No.7 8点 HORNET 2018/09/11 20:17
 東京の下町の空き地で女性の死体が発見された。通り魔の犯行かと思われたが、死体には右手の人差し指が欠損しているという妙な特徴があり、同じ特徴を持った女性の殺害事件がその後続いたことにより、警察は同一犯による連続殺人事件と断定、捜査本部を立ち上げての捜査に乗り出す。
 そんな中、インターネット上に<指蒐集家>の名で自らを犯人と名乗る人間が登場。その記述内容から、<指蒐集家>は真犯人と分かる。警察を挑発するように、犯行の様子を書き込んだり、次の犯行を予告する<指蒐集家>。警視庁捜査一課の西條輝司は、捜査本部の一員としてその捜査に奔走するが―

 真相の仕掛けにも唸らされるし、西條という刑事の凋落と矜持を描いた刑事物語としても骨太の内容。必要以上に二転三転して冗長な印象も少しあるが、全体としてミステリとしての面白さと、刑事の人間物語としての面白さと両立されている秀作。
 面白かった。

No.6 9点 初老人 2014/06/03 21:03
こちらのサイトの高評価を受けて購入しました。読後最初の印象は、この作品は、デビュー作である慟哭を彷彿とさせる、というものでした。それくらい全体の雰囲気などが良く似ていますが、多視点での登場人物の書き分け等、明らかに進歩の跡が見て取れます。
西條の転落ぶりについては、自業自得と嘲りたくなるような気持ちと、ただただ気の毒に思う気持ちと、しかしそのような立場に追い込まれてもなお鋭い推理を発揮する姿に感心したくなる気持ちとが混ざりあい、自分でも複雑でした。
犯人については、試行錯誤した結果、やはりこの人しかいない、と考えた人が犯人でした。
全体としては、非常に楽しい読書の時間を提供してくれた作品でした。

No.5 9点 いけお 2013/04/14 22:36
暗く重めな全体の雰囲気と個性的な人物。綿密なプロット、多方面からの描写など貫井作品好きにはたまらない。
ただ、貫井作品だと知った上で読んでいるのでラストの驚きが減ってしまうのが贅沢な難点。

No.4 8点 ayulifeman 2012/04/08 01:03
指が切り取られる連続殺人事件。
警察内部の状況とかリアリティがあって濃ゆい空気感に触れられる。
中盤から最期に向けての吸引力はものすごかった。
西條つらいね。

No.3 6点 3880403 2011/04/05 23:31
想像出来たので驚きはしなかったが自分に合っている作家なのでよしとする。

No.2 6点 kanamori 2010/08/26 17:45
連続殺人鬼”指蒐集家”を追う刑事群像を描いた警察小説風ながら本格ミステリ。
主人公格の西條を始め刑事たちの造形を、重層的に多視点で描いていて、ミッシングリンクものの本格ミステリ趣向がかすんでしまう程ですが、真相を知れば全て意味があったことが分かる。
しかし、探偵役の西條に対する後半の扱いは、いかにも「慟哭」の作者という感じでした。

No.1 6点 シーマスター 2009/11/11 23:57
貫井作品だから当然単なる本格ではないが、例によってミステリ部分は緻密な構成で、「驚くべき真相」が仕組まれているといっても褒め過ぎではない仕上がりになっている、と思う。

しかし、いくつかのエピソードは纏め方が唐突だし、小ネタの1つである「日時のミスリード」はいくら何でもひどすぎる。こんなものは無関係な一般人でもその可能性を思いつくだろうし、ましてや警視庁を頭とする東京中の警察が全くそれを想定できなかったなんていう展開は現実味に欠けること著しい。

またリーダビリティの面でも『愚行録』や『乱反射』などの直木賞候補作品に比べると、若干引けを取るように感じられるのは、自分が警察の内情話にあまり関心が高くないことのみに由来するものだろうか。(直木賞候補だから面白いとか云うつもりは勿論ない)
生身の体臭が感じられるような切々とした心情描写は、作者の真骨頂の一つであり大いに惹きつけられるところではあるが、今回は全体的に少々くどい印象が拭えなかったと感じたのは、本作と自分の相性が今ひとつだったことの証左なのかもしれない。

どこまで内容と関連づけられたものかは分からないが、装丁のブルーは美しい。


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