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ミハスの落日
貫井徳郎 出版月: 2007年02月 平均: 5.40点 書評数: 5件

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新潮社
2007年02月

新潮社
2010年03月

東京創元社
2016年09月

No.5 5点 パメル 2023/07/19 06:42
海外を旅しているように思わせてくれる世界の都市を舞台にした5編からなる短編集。
「ミハスの落日」スペイン有数の製薬会社の会長からベニートは、突如呼び出しを受ける。訪れると母親の昔話を聞くことになる。旅情あふれる雰囲気は好きだが、密室トリックは無理がある。動機は切なくやるせない。
「ストックホルムの埋み火」レンタルビデオショップに勤めるブランクセンは、客にストーカー行為をし、挙句の果てに殺そうと決意する。しかし、すでに誰かに殺されていた。淡々と物語が進むところは好みではないが、最後に意外な事実が判明するという驚きがある。
「サンフランシスコの深い闇」保険調査員の「おれ」は、旧知の刑事から知り合いの保険金が早く下りるように段取りしろと言われる。その事件に興味を持ち、調べを進めるとその知り合いは、過去に二度夫が死んで保険金を受け取っていることが判明する。恐怖小説になりそうなテーマを軽い文体で描いている。真相は先が読めてしまった。
「ジャカルタの黎明」ジャカルタの娼窟でディタの元夫が殺され、悪徳刑事に付きまとわれていた。一方、彼女には日本人の上客がつき満たされていたのだが。悪徳刑事や娼窟というノワール素材を使いながら、最終的に世界を反転させるトリッキーな作品。
「カイロの残照」旅行社でガイドを務めるマムフードは観光客から、夫がエジプトで失踪した手掛かりをつかみたいと相談を受ける。連城三紀彦作品を想起するような反転で、後味は悪いが印象に残る作品。

No.4 6点 ミステリーオタク 2021/01/27 22:39
海外の、名前は誰でも知っている5つの地(表題作もメインステージは下記のとおり)で繰り広げられる5つのヒューマンミステリー。
すべてのストーリーにとびきりの美女が絡んでくる。


《ミハスの落日》
真相は特段驚きが大きいものではないし、トリックに至っては残飯もの。
まあ、バルセロナが主舞台のセンチメンタルストーリー・ミステリー風ということで楽しく読めた。

《ストックホルムの埋み火》
前半はいかにもミステリチックな展開でそれなりの捻りもあるが、結局心情描写が強い作品になっている。

《サンフランシスコの深い闇》
これ、保険会社と警察のスタッフは間違いなく記憶にあるが、ストーリーは全く思い出せず。
登場人物たちのキャラクターがやたら濃い割にミステリーとしては薄味のため忘れてしまったのか、別の話だったのか判然とせず・・・と思っていたら、解説に「別の中編集のある作品の続編」であることが書かれていて、ようやく思い出した。

《ジャカルタの黎明》
ミステリーとしてはこれが一番面白かった。
しかし動機は苦しい。
ところでこの国って人の頭を撫でるのはNGじゃなかったっけ?

《カイロの残照》
これはキツい。


あまり貫井らしさが出ている作品集とは言い難いが、押し並べて読みやすいので異国情緒が気分転換にはなる。ただし、いい転換になるかは保証できない。

No.3 6点 yoneppi 2014/01/11 19:34
久しぶりに海外旅行がしたくなった。

No.2 6点 E-BANKER 2012/01/15 15:22
すべて外国の都市を舞台にしたノン・シリーズの作品集。
街の魅力的な風景が目に浮かぶようで、トラベルミステリー的な味わいも感じられます。

①「ミハスの落日」=スペインの観光都市・ミハスが舞台。30年前に起こったある密室殺人の謎が明らかにされますが、トリックそのものは超偶然の結果というもの。本作は「後期クイーン問題」とも絡めて描いたと作者は語ってますが、イマイチ伝わらず・・・
②「ストックホルムの埋み日」=主人公は伝説的な刑事を父に持つ男・ロルフ。父の人生を否定しながら自身も刑事となり、気付けば父と同じ境遇と化していた自分・・・既視感はあるが、なかなか味わい深い。
③「サンフランシスコの深い闇」=3人の夫がすべて亡くなり、そのたびに保険金を受け取る美女。当然、保険金殺人の疑いがかかるわけですが、美女の過去や身辺を探るうちにある疑惑が浮かび上がってくる。
④「ジャカルタの黎明」=売春婦が連続して殺される事件が発生しているジャカルタ・コタ地区。ハンサムな夫と別れた主人公の売春婦が夫殺しの疑いをかけられるが・・・。ラストはサプライズある真相が明らかになる。
⑤「カイロの残照」=主人公はツアーガイドの男。あるアメリカ人美女のガイド役を務めることになったが、美女からある事件に関する協力を求められることに・・・そして、男にも危険が及ぶことになるが、意外なラストが訪れる。

以上5編。
5編は完全に独立した話だが、「美女が登場し、それが事件に深くかかわってくる」という共通項がある。
(やっぱり、「事件の陰には女あり」ということなんでしょうね)
貫井氏らしいトリックや練られたプロットなど、ミステリー的なインパクトを期待すると、ややスカされる感じはあるが、どの作品も深い味わいがあり、さすがに作家としての懐の深さを感じさせる。
旅のお供には良い作品でないでしょうか。
(④⑤辺りがお勧め。因みにストックホルムの街中は美女で溢れているらしいです。住んでみたい・・・)

No.1 4点 いけお 2009/05/27 01:29
舞台が海外なので微妙に違和感があり、短編ごとの内容も深くない。


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