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[ 本格/新本格 ]
仲のいい死体
郷原部長刑事
結城昌治 出版月: 1972年01月 平均: 5.40点 書評数: 5件

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講談社
1972年01月

KADOKAWA
1983年04月

東京創元社
2008年08月

No.5 6点 斎藤警部 2022/06/24 17:30
「君は白い鼻毛を見たことがあるかね」
「いえ」

燻製風にドライで薫り高いユーモア、何を差し置いてもこれだ。そこだけくり抜いては引用しづらい、全体に埋もれてこそ生きるユーモアの数珠繋ぎが本当に素晴らしい。珍々軒の不味そうなラーメンすら気になった。ミステリ好きの生臭エロ和尚が錦鯉の長谷川さんに見えて仕方ない。 昭和三十年代、舞台は山梨の片田舎。あまりにも「無さそう」な組合せの男女心中屍体が貧乏寺の構内で発見される所から始まる、賑やかなドタバタと、抑制の効いた言葉の戯れとが併存する、結城昌治のオモロな面がシラッと前面に押し出された(それでも仄かな暗さが漂っているのが魅力の)著者初期の佳品。

「おれはもっといろんなことを知ってるんだぜ。ミミズにはキンタマが四つもあるんだ」
「うそをつけ」

最後に絞り出される謎解きの旨みに「ホホウ」と顎を撫でていたら、、それまでのユーモア進行さえ裏切って唐突にも程がある解決と結末!! 確信犯のスットコ軽○○派(?)動機!! その妙なバランスで変に羊頭狗肉な所さえユーモアの一構成要素だ。参ったな。。 旧い角川文庫、巻末解説(九鬼明)の一文 “間然するところのない田舎町の風物、人情が読者の心に定着したころを見計って、作者は一気にカタストロフに突っ込む。” ってのが、本作のオヨヨな結末感覚をきれいに言い当てていました。 だけどアレだ、心中事件に先立っての、近過去の自殺事件。こいつの、ミスディレクションにも繋がる不思議な立ち位置は、なかなかの珍味だな。

No.4 5点 nukkam 2019/06/18 21:53
(ネタバレなしです) 1961年発表の郷原部長刑事三部作の最後を飾る本格派推理小説です。もっとも創元推理文庫版の巻末解説によれば郷原が脇役として登場する作品が他にあるようですが。過去の2作と違って地方を舞台にして転勤した郷原の(やや頼りなげな)活躍を描いているのが特徴です。重要な手掛かりをもう少し早い段階で伏線として登場させていればとは思いますが、通俗性やユーモアの中に埋もれることなくしっかりした謎解きを用意しています。

No.3 5点 ボナンザ 2017/09/02 00:13
二作目までとはやや趣向を変えた変化球。
犯人当てはまあまあ。

No.2 6点 kanamori 2011/11/06 17:36
ひげの郷原部長刑事シリーズの3作目。これまでの東京から、山梨の片田舎の警察に異動していて、奇妙な偽装心中事件を含む連続殺人のミッシングリンクに挑みます。
あまりヤル気のない署長や無能な署員、寺の住職の突飛な行動など、洒脱な文体と独特のブラック・ユーモアで描かれる田舎町の人々が面白い。
事件を複雑にしてしまった真相には、アリンガムの某短編を連想させるものがある。

No.1 5点 江守森江 2009/06/02 22:57
郷原部長刑事3部作の3作目。
犯人当てになっているが解決編はあっさりしている。
今回は最後だからか主役の郷原部長が犯人を指摘する。
当時の田舎の雰囲気がよくでている。


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