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[ ハードボイルド ] 幻の殺意 旧題『幻影の絆』 |
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結城昌治 | 出版月: 1964年01月 | 平均: 7.50点 | 書評数: 2件 |
角川書店 1964年01月 |
KADOKAWA 1971年03月 |
東京創元社 2022年07月 |
No.2 | 7点 | 空 | 2012/02/29 21:42 |
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最初に読んだ結城昌治作品が、本作でした。そのため、作者に対しては叙情的ハードボイルドという印象がしばらくは残っていたものです。今回再読してみると、初読時に感心した人間関係による謎作りとその解答は、多少記憶に残っていたことを考慮しても、たいして意外でもないなと思いました。犯人の設定も、いまひとつ。それでもその人間関係の描き方、事件解決後部分でのテーマの盛り上げ方はやはり感動的です。登場人物中、逮捕された息子の中学時代の同級生だった男が、意外になかなかいい役です。
初版時のタイトルは『幻影の絆』で、その方が内容には合っているでしょう。改題後の角川文庫版を持っているのですが、これは1971年3月が初版出版となっています。一方同年4月には本作を基にした映画『幻の殺意』が公開されているので、ひょっとしたら映画の方にタイトルを合わせたのではないかと勘ぐりたくなります。 |
No.1 | 8点 | Tetchy | 2008/04/27 01:41 |
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殺人犯人の容疑者として逮捕された息子の無罪を晴らそうと父親が独力で真相を探る。
終戦20年後という高度経済成長期を舞台にした話で、あの頃にはこういう話がよくあったのだなぁと思われる。 250ページ弱の長編で、淡々と物語は進み、実際すぐに読み終わったが、読後じわじわと感じるものがあった。 ロスマク風家庭の悲劇を扱っているのも味わい深い。 最後の 「そして幸福は、あるいは愛は、無知の上のみ築かれていくのか」 この一文が痛い。 |