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[ サスペンス ] シカゴ・ブルース エド・ハンター&アンクル・アム /別邦題『わが街、シカゴ』『悪徳の街』 |
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フレドリック・ブラウン | 出版月: 1971年01月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 4件 |
![]() 東京創元社 1971年01月 |
![]() 東京創元社 2020年09月 |
No.4 | 6点 | 斎藤警部 | 2025/05/09 09:30 |
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この読後感! 明るくてさびしくて楽しくて。 かなりやばい事ウヤムヤにして。 シリーズ一作目にして処女長篇は '色々あって' 上々の滑り出し。
「あの男はバカじゃないが、正直者でもない。 そうかといって 'げす' 野郎でもない。 あれがちょうどいいんだ」 シカゴ酒場街の裏通りにて撲殺死体で見つかったのは、給料日の印刷工、ウォレス・ハンター。 その息子で18歳のエド・ハンターは、ウォレスの兄で(エドの伯父に当たる)見世物興行師の '訳知り' アンブローズ・ハンターを頼り、父の死の真相解明に向け困難の道へと足を踏み入れる。 エドには義母のマッジ・ハンター(父の後妻)がおり、その娘にはガーディ・ハンター15歳がいる。 ハンターだらけの狩猟大会が始まりそうで、日本の某人気マンガ/アニメをも思わせるが、伯父のアンブローズがアムおじさんと呼ばれる所などは、もっと有名な日本の絵本/アニメを髣髴とさせなくもない。 アム伯父がカネを攫ませた(!)刑事や、事件現場近くの酒場のおやじ(こいつ何か隠してる..)、容疑者と目される地元のギャングとその手下/情婦等がぞろぞろ登場し、伯父の口から父の予想外に色彩豊かな遠過去が語られ、やがて伯父も知らない◯◯絡みの近過去が明かされ、更には・・・!! この事件真相には ァレッ.. と思う方もおいででしょう。 わたし的には、優しすぎる男の優しすぎる愛情物語としてそっと胸のうちにしまっておきたい '或る真相' です。 それにしても、エドの '心変わり' を経てのラストシークエンスは本当に素晴らしい。 心に残ります。 "ぼくはいきなり泣き出して醜態をさらさないうちに、駅を出た。" いわゆる英語邦題の 'シカゴ・ブルース' は、マディ・ウォーターズらの音楽とは無関係です。(但し音楽、特に或る楽器は大事な役割を果たす) シカゴの街に沈滞する憂鬱という事のようですが、それにしては、ちょっとカラッと明るすぎる文章肌触りではありますね。 原題は 'THE FABULOUS CLIPJOINT(絶世ぼったくりキャバレー)'。 これもシカゴの街を意味しているようです。 1947年の作だから、シカゴがまだ全米人口第二位(L.A.の二倍くらい)の特大都市だった頃。 |
No.3 | 5点 | ボナンザ | 2021/11/07 20:26 |
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短編集とはまた違ったいい意味での青さを感じる一作。 |
No.2 | 6点 | mini | 2014/03/04 09:57 |
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先月末に論創社からフレドリック・ブラウン「ディープエンド」が刊行された、未訳で残っていた作者中期のノンシリーズ作で紹介文だとサスペンス小説っぽい、ブラウンの未訳長編は残り僅かでミステリー分野の長編刊行って久し振りじゃないかなぁ
F・ブラウンはSFとミステリーの両刀使いで、いずれにしても短篇作家のイメージが付きまとうが、長編の数もかなり多く一概に短篇作家とは決め付けられない、この辺は例えば同じ異色短篇作家のロバート・ブロックも同様か F・ブラウンはSFとミステリーの両刀使いと言うだけでなく、短編も長編も両刀使いなのである そのブラウンのミステリー長編はノンシリーズにも定評の有る作が多々有るが、シリーズものに限定するならもちろんエド・ハンターシリーズである、シリーズ第1作がMWA新人賞受賞作「シカゴ・ブルース」だ 他が未読なので推測だがシリーズ全体だと私立探偵小説の趣なんだろう しかし「シカゴ・ブルース」はシリーズ第1作目という事も有って、エドがこの道に入るきっかけとなる自身の家族に関係した事件となっていて、2作目以降とはちょっと切り離して見るべきかもしれない シリーズ入門にはこの作から読むしかないわけだが、シリーズ全体がこんな感じなのかは他のシリーズ作も読んでみないと分からない |
No.1 | 5点 | kanamori | 2011/04/10 17:31 |
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私立探偵エド・ハンター、シリーズの1作目。
本書のエドは18歳の見習印刷工という設定で、伯父のアンブローズの手を借り、シカゴの街を舞台に、父親の殺害犯を追うというストーリー。 当時はある程度評価されていた作品なのか、早川書房からも「わが街、シカゴ」のタイトルで邦訳が出ているようです。 謎解きミステリとしては平凡な内容という印象ですが、後にエドと共に探偵事務所を開くアム伯父と街の人々との交情や、エドの成長物語として読むのが正解かな。シリーズを通して読まないとよさが分からないのかもしれない。 |