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[ 本格 ] 三人のこびと エド・ハンター&アンクル・アム |
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フレドリック・ブラウン | 出版月: 1962年10月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
1962年10月 |
東京創元社 1962年10月 |
No.1 | 8点 | 人並由真 | 2021/05/04 04:25 |
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(ネタバレなし)
一年前に実父ウォリイと死別した「わたし」こと19歳のエド(エドワード)・ハンター。エドは芸人の伯父アム(アンブローズ)とともに、巡業サーカス「J・C・ホバート・カーニバル」一座の旅に加わっていた。だがその年の8月半ば、サーカスの周辺で素性不明の小人が殺害される事件が起きた。ついで今度は団員が飼っていたチンパンジーが、そして7歳の黒人の児童ダンサーが殺される。<三名の被害者>はみな、広義の「こびと」といえる存在で、さらにエドは殺害されたチンパンジーの幽霊まで目撃した。エドとアムのコンビは、懇意になったアーミン・ワイス警部とともに、事件の謎に迫るが。 1948年のアメリカ作品。エド・ハンターシリーズの第二弾。 大昔に読んでいたはずだが、事件の真相も犯人もほとんど失念。しかし終盤のあるポイントで、やっぱり読んでいた! と思い出す(汗)。 サーカスの団員仲間で、エドと同世代の美少女が2人登場。その双方と三角関係になるエドくんの青春ドラマの行方が、サブストーリーとしてなかなか読ませるが、やはり最大の興味は<三人のこびと>がなぜ次々と殺されたかという<ミッシング・リンクの謎>。この魅力的な謎の提示と、真相の開示はなかなかイケる。 実は伏線は結構目立つように張られており、こちらも当該の箇所はちゃんと一度はメモしていたのだが、そのあとの筋立てが起伏に富んで楽しいので、いつのまにか念頭から薄れていた(ああ、情けない)。 しかし解決で事件のパズルのピースが綺麗に収まっていく流れはすこぶる快感で、特に第三の事件の意外な経緯はハタと膝を打つ。 ところでこの数年、ブラウンのミステリ諸作を何冊も読んで、この作家が地方巡業サーカス興業に独特の思い入れを抱いているのはよくわかっていたつもり。 それだけに本作はそういう系譜の作品群の真骨頂だろうと予期していたが、いざ実物に触れなおすと、サーカスそのものの熱狂に関しては意外にあっさりな感じであった(もちろんそれなりには描写されているが)。 同じブラウンのサーカスものなら、前に読んだ『現金を捜せ!』の方が、ずっと作家のサーカスに抱くくすぶった情念を、実感させる。 それでもとにもかくにもミステリとして秀作で、青春探偵エド・ハンターシリーズの重要な過渡期編であることは間違いない! エドに対し、君は探偵に向いていると背中を押してくれたワイス警部もいい人だ(マイ・脳内イメージは、手塚マンガの下田警部みたいなキャラだね)。 【以下:余談ですが】 最後に、実にワタクシ事ながら<本サイトに、まだ登録&レビューがない作品ばかり、しばらく続けて読んで、投稿してやろう>と、実は数か月前から考えて実行しておりまして、本書でめでたく、ひとくぎりの100冊目とあいなった。ジャンジャン。 だからどうした、というお話(笑・汗)ですが、その記念に大好きな本シリーズの、そしてもう一度読み返してみたいこの作品をセレクトしたというワケで。 また明日からもイージーゴーイングにミステリ(&SF、ホラー、ファンタジーそのほか)を読み続けますので、みなさま、どうぞよろしくお願いします。 |