皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 悪夢の五日間 |
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フレドリック・ブラウン | 出版月: 1967年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 1967年01月 |
No.2 | 6点 | 人並由真 | 2022/10/22 16:28 |
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(ネタバレなし)
アメリカのどこかの町フェニックス。そこで「ぼく」ことロイド・ジョンソンは、妻エレンの従兄妹であるジョー・シットウェルとともに、株式仲買会社を経営していた。この数ヶ月、町の周囲では謎の犯人による、人妻を狙う営利誘拐事件が続発。最初の被害者の女性は夫が警察の介入を願ったために殺され、かたや二人目の夫婦は犯人の指示通りにしたため、金は奪われたものの、妻は無事に生還した。そんななか、今度はエレンが姿を消し、2万5千ドルを要求するメッセージがある。謎の犯罪者は先の誘拐事件の結果を教訓に、警察に知らせるなと言ってきた。 1962年のアメリカ作品。 主人公のロイドはたぶん30代前半。中背なのはともかく、太ってるという描写があり、この手の事件の災禍にあうサスペンスものの主人公にはあまり見られない? その辺の小市民的なキャラ設定がちょっと面白い。 蟷螂の斧さんのレビューにもあるが、2万5千ドル(ドル固定時代なら日本円で900万円)という身代金を数日内に工面するため、主人公があちこち奔走する図が生々しい。 そんななか、以前の誘拐事件の関係者とも関わりあい、細かいことはあまり書かない方がいいだろうが、そこからのキャラクター描写なども小説としてなかなか面白い。 現在の事件、さらには過去の誘拐について、ロイドとごく一部の今回の件を知った者の間で、犯罪の中の意外な仮説を探っていくくだりもあり、意外にミステリ味は芳醇な作品? ともいえるかも。 でもって、終盤の決着は……もちろん、これもあんまり書かない方がいい。個人的には面白かったが、読者によっては、もしかしたら(以下略)。 中盤の、愛妻エレンの命を案じての笑えないドタバタ劇からして、どっか赤川次郎の出来のいいときみたいな感じもする一編。まあこれはトータルの評価の良しあしではなく、あくまで作品全体の雰囲気みたいな感触だけど。 ブラウンのノンシリーズ編としては、中の上か上の下ランクの一冊というところ。評点は、7点にしようか迷う、この数字という感じで。 |
No.1 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2016/04/24 16:52 |
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裏表紙より~『けんかしたままになっている妻のエレンがいない。そしてタイプライターにはさんであったのは、二万五千ドルの身代金請求書!つい最近の誘拐事件では、人質の人妻が殺されているのだ。ロイド・ジョンソンは二万五千ドルの金策に必死になって駆け回った。そして期限の五日目、低い、ゆっくりした男の声が電話に出た・・・・・・。悪夢の五日間をなまなましく描く、鬼才ブラウンの誘拐スリラー劇!』~
”徹夜本”から選んだ一冊。フーダニットよりも主人公の金策の様子を楽しむような作風です。最後の一行では、ホロッとしてニヤリとさせていただきました。 |