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[ サスペンス ]
どこまでも殺されて
連城三紀彦 出版月: 1990年05月 平均: 7.00点 書評数: 5件

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双葉社
1990年05月

双葉社
1993年06月

新潮社
1995年07月

No.5 6点 ボナンザ 2022/01/03 17:17
あっちよりも先なんですね・・・。でもオチのインパクトでは流石に劣る。

No.4 6点 2021/05/24 20:28
 冒頭に掲げられた謎の手記。「どこまでも殺されていく僕がいる。いつまでも殺されていく僕がいる」―― 僕はこれまでに七度も殺され、今まさに八度目の死を迎えようとしている・・・。彼の叫びをなぞるかのように高校教師・横田勝彦の元に「ぼくは殺されようとしています。助けて下さい」という匿名のメッセージが送られ続ける。生徒たちの協力を得て、殺人の阻止と謎の解明に挑む横田だったが。周致な伏線と驚愕の展開に彩られた本格推理長編。
 『褐色の祭り』に続く著者十一番目の長編で、雑誌「小説推理」1990年2・3月号に分載。ただし連載期日の関係で、刊行はこちらの方が半年ほど早い。90年代に刊行されたものでは唯一恋愛要素のない純ミステリで、それもあってか「このミステリーがすごい!」など各種年間ベストに複数ランクインし好評を博した。しょっぱなから第三長編『私という名の変奏曲』を思わせる謎で読者を惹き付けるが、あれに比べると内容は一発芸に近く、解答もやや納得し辛い面もある。
 更に謎解きを行うのは三年B組担任の横田ではなく、きびきびした物言いの人気女子・苗場直美。想像力に優れた実務家肌で機転も利く彼女が頭脳となって同級生たちや担任を使い、徐々に「ぼく」を包むベールが剥がされていくという、準ジュヴナイルめいた味わいもある。ただし扱われる事件はヘビーで、頭脳明晰とは言え高校生にはやや荷が重く、そのせいか作品のキモとなる手記部分の手掛かりについては精緻さに欠ける。探偵役の年齢を上げ、この点をクリアすれば佳作以上も狙えたろう。
 掴みは非常に魅力的だが、そういう訳で点数は6.5点止まり。ただしやや埋没気味のこの時期のものとしては、十分及第点に値する出来である。

No.3 9点 蟷螂の斧 2012/11/19 10:26
「7回も殺されている」・・・一体どういうこと???という謎をひきずりながら物語は進みます。妄想ではないこと(きっちりしたオチ)を期待しながら読んでいくのですが、途中、男子高生が教師に助けを求めるあたりから、やはり妄想でしかない?と思ってしまいます。その辺の描き方は秀逸だと思います。そして、裏表紙にある「驚愕の展開」になるのですが、大変満足な結果でした。

No.2 7点 E-BANKER 2012/02/05 22:27
1992年発表のノンシリーズ長編。
実に連城らしい、用意周到に張り巡らされた伏線が見事な作品。

~「どこまでも殺されていく僕がいる。いつまでも殺されていく僕がいる」。七度も殺され、今まさに八度目に殺されようとしているという謎の手記。そして高校教師・横田のもとには、ある男子生徒から「僕は殺されようとしています。助けてください」という必死のメッセージが届く。生徒たちの協力を得て、殺人の阻止と謎の解明に挑むが・・・~

とにかくプロットが見事。
冒頭からいきなり『七回も殺された』という男の手記が登場し、早速作者独特の作品世界に引き込まれてしまう。
ファンタジーか妄想としか考えようのない話なのだが、きっと合理的解決が成されるのだろうと、ついつい期待してしまう。

そして、ある高校を舞台に、1人の優等生の心の闇があからさまにされていく展開に・・・
『七回殺された』という不合理については、ほぼ「そうだろうなぁ」という推理が行われるが、実はそこからがこの作品のスゴイところ!
確かに伏線はいろいろと張られてあったんだよなぁ、と気付いたのは読了後。
とにかく「見せ方」が秀逸なのでしょう。
同じようなプロットは他の作家でも十分に捻り出せるとは思うが、作者の何とも言えない「ジメジメした筆致」にかかると、独特の読みごごちと読後感を持ってしまう。

コンパクトな分量で余計なサイドストーリーへの寄り道などがないのも好評価。
(とにかくうまいねぇ・・・)

No.1 7点 こう 2008/06/23 00:11
 冒頭よりいきなり、これまで7回殺され今また殺されようとしている、という内容の告白から始まるいかにも連城作品らしいストーリーです。
 ただ高校が舞台でメインキャストが高校教師とそのクラスの女子高生で教師が包み隠さず生徒に報告し二人で推理してゆく設定はかなり無理がありました。舞台上止むを得なかったのでしょうが。
 真相は予想しやすいもので連城作品中ではひねりは小さめかもしれません。(どちらかというと他作家で類型の作品があるので予想しやすいのかもしれません。)
 尚舞台が高校のためか他作品で見られる叙情さはこの作品では見られません。
 個人的には叙情さが苦手なのでそれがなくても作品そのものは楽しめました。


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