海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト

[ サスペンス ]
さらわれたい女
歌野晶午 出版月: 1992年01月 平均: 6.50点 書評数: 22件

書評を見る | 採点するジャンル投票


角川書店
1992年01月

講談社
1997年11月

角川書店
2006年01月

No.22 7点 虫暮部 2021/08/03 13:02
 ネタバレしつつ揚げ足取り。
 部屋の借主である会社A。その関係者Bさん。Aと契約している会社C。そこに勤めるDさん。
 しかし、Dさんの本作品に於ける役割は、Cの社員ではなく“Bさんの愛人である”ことだ。
 Dさんが別の仕事をしていれば、便利屋が糸を辿ってもDさんに出会うことはなかった。この出会いで真相に気付いた。
 つまり、結末から逆算して、手掛かりになるように作者が人物を配置しているのである。ちょっと露骨じゃないかなぁ。確かに、手掛かりをきちんと用意するのは大事だけど。

No.21 5点 バード 2019/12/21 13:57
一番面白い作品がデビュー作という人は多いが、歌野さんはデビュー作の『長い家の殺人』から、『葉桜』にかけて明らかに実力を伸ばした作家と思っている。

本作であるが、話の筋は悪くないと思うし、メインの人物誤認ネタは素朴だがgood。
ただ、多くの箇所で表現や人物描写がこなれてなく、今一つ物語にのめりこめないまま読み終わった。作家として跳ねる前の助走作品だなという出来。
あと、本作の仕掛けはシンプルで良いのだが長編のメイントリックとしては少し弱い気もする。100~150ページの中編向けのトリックと思った。

さっと読め、楽しめはしたが、他人に歌野作品を勧める場合にわざわざ本作を選ばないかな。同時期の歌野作品同士で比べても『死体を買う男』の方が好きです。

No.20 6点 パメル 2017/10/26 01:33
便利屋の主人公は、夫の愛を確かめるためだと狂言誘拐を依頼され、思わぬ方向に巻き込まれていくストーリー。犯人と便利屋の駆け引きには、惹きつけらるし二転三転する展開で飽きさせない。またリーダビリティーが高くスラスラ読める。伝言ダイヤル・ダイヤルQ2・転送サービス・自動車電話など当時としては最新の通信手段の小物の使い方も上手い。
ただ、犯人の計画のある部分があまりにも杜撰な点と、結末が予測出来てしまう点が残念。

No.19 7点 Tetchy 2017/06/07 23:20
誘拐ミステリも数あるが、今回歌野氏が仕掛けたのは狂言誘拐。それも夫の愛情を確かめたいがための誘拐という、ちょっと浮世離れしたお嬢様育ちの容姿端麗の人妻の変わった依頼で幕を開ける。

1992年というバブル真っ盛りの時期に書かれた本書。そこここに時代を感じさせる記述が散見されて懐かしさを覚えた。偽装して現れた誘拐の捜査をする警察官が来ていたのがアルマーニ調のスーツ(となぜかアタッシェ・ケースにクマのぬいぐるみを携えての登場と、逆に目立つような恰好なのがよく解らないのだが。とにかくパーティーや女性へのプレゼントが横行していた当時こんなアンバランスな恰好が普通だったのか?)だったり、まだ携帯電話は普及しておらず、自動車電話やショルダーフォンがセレブの持ち物となっていた時代だ。そんなまだアナログ社会で狂言誘拐を頼まれた便利屋が立てた方法がなかなか機知に富んでいて面白い。
警察からの逆探知を逃れるために今では災害時に使われるようになったNTTが提供する伝言ダイヤルサービスや今は無き悪名高いダイヤルQ2を利用して、録音やパーティラインによるやり取りで直接電話を繋げないようにしたり、自宅ではなく会社の方に電話したりするなど、工夫が凝らされていて読み手の予想の斜めを行く展開でどんどん読まされてしまった。

しかしそんなコミカルなムードも物語半ばで一転する。狂言誘拐の依頼人の女性が潜伏先で何者かによって殺害されてしまうのだ。そして依頼を請け負った便利屋が依頼人に渡した誘拐計画のメモをネタに殺人犯に犯罪隠蔽の片棒を担がされることになる。

誘拐する側とされる側の側面で描きながら、いつしか殺人の罪を着せられ、やがて殺人事件の捜査へと転じるツイストの効いた作品。そう、本書は誘拐あり、殺人あり、人捜しありの実に贅沢なミステリなのだ。

しかしこの頃歌野氏は本書の前に『ガラス張りの誘拐』という同じく誘拐を扱った作品を書いている。誘拐ミステリはなかなか数多く書かれるものではないのでこれは非常に珍しいと思える。そしてそちらも本書同様意表を突く展開でなかなか事件の様相が掴めなかった。しかしその反面アイデアに走り過ぎて作品としてのバランスに欠けるような印象も拭えなかった。
しかし好評を以って迎えられた乱歩の文体を模した『死体を買う男』を経た本作は『ガラス張りの誘拐』で覚えた消化不良感を払拭する出来栄えでとにかく謎から謎の展開でクイクイ読まされてしまった。ただやはり結末の付け方は慌ただしく、読書の余韻としては物足りなさを感じた。アイデアはいいものの、物語としては不十分。つまりこの頃の作品には『葉桜~』に至る以後の歌野晶午作品の萌芽が見られる貴重な作品群といえるだろう。

No.18 6点 メルカトル 2013/01/24 21:43
再読です。
巧妙なプロット、意外な展開、さすがに歌野晶午と言いたいところだが、いかんせん面白みに欠けるのがどうもね。
本格的な誘拐物では勿論ないし、さりとてユーモア・ミステリとも違う。サスペンスと呼ぶにはやや緊迫感に欠ける。
じゃあ、どういうスタンスで読み進めば良いのか、正直迷ってしまう。
しかしながら、十分水準点はクリアしているし、読みやすいので苦痛は感じない。
ところで、ジャンルは何に投票すれば良いのだろうか、本格か、サスペンスか、ちょっと迷ってしまう。なんとも表現しがたい作風なのだ。
ラストは、個人的にはこれで良かったのではないかと思う。
それほど意外性はないけれど、無難な着地の仕方だろう。
まあ、結局右往左往しながら、主人公の何でも屋と一緒に冒険を楽しむ作品なのかな。

No.17 6点 mozart 2012/10/24 15:59
「偽装誘拐」の手口は見事だし、テンポ良く読めた。小説半ばで死体が発見されてからは、主人公が真犯人に迫っていく過程も緊迫感があって、グイグイ引き込まれるように読み進めることができた。結末は(警察の介入タイミングなど)ややご都合主義だったけれど、全体としては「葉桜~」に通じる快作だと思う。

No.16 7点 蟷螂の斧 2011/10/12 18:00
1991年作品ということで、自動車電話が出てきたり、懐かしい感じがします。初期?の作品らしく正攻法で書かれているという印象を持ちました。題名、本文1行目にインパクトがあり、内容も楽しめました。

No.15 8点 itokin 2011/06/02 13:10
全編を通じて結構楽しめた。主人公のキャラ、目先の困難に右往左往する有様が丁寧の描かれ、それでいてスピードもあり話もよく練られ、最期の二転三転もよい。歌野さんの才能を買う一冊です。

No.14 5点 E-BANKER 2010/10/14 21:14
初期のノンシリーズ。
文庫版解説の法月氏によれば、「葉桜~」に代表される現在の作風につながる出発点の作品ということらしいです。
世間で「誘拐もの」は玉石混交、いろいろな作品がありますが、レベル的にいえば決して高いとは思えません。
何より、いくら似ているとはいえ、ほんとに見間違うかなぁ・・・というのが大きな疑問です。そこがあっさり片付けられてるところは、納得性を下げてしまいます。
プロットそのものは、まあよくできていると思いますし、見せ方の問題だとすれば、ちょっと勿体無い気はしますね。
ラストも既視感たっぷりですが、法月氏のおっしゃるとおり、まさに作者のステップアップの第一歩というべき作品なのかもしれません。

No.13 6点 まさむね 2010/09/22 20:20
無理に奇をてらうことなく,正攻法で書かれた誘拐ミステリ(まあ「誘拐ミステリ」って言って良いのか,やや躊躇する面もあるが)。
特筆すべきトリックがあるわけではないが,軽快な語り口&展開で,純粋に楽しめると思う。
こういう,大掛かりではないけども安定感あるミステリは,結構好み。
なお,この作品,結構「葉桜~」に活かされているような気がする。

No.12 7点 spam-musubi 2010/04/22 18:26
自らが誘拐されることを依頼するという
あまり聞いたことのない始まり、
意表をつく真相、
そして勧善懲悪的なラスト。

大がかりなストーリーではないが
サクサク進む話は読みやすく、
後味も良い、佳作ミステリといった印象。

No.11 5点 simo10 2010/01/17 13:02
冒頭の一文で引き込まれた。
誘拐後の事件も意外だし(背表紙に記載されているけれど、ここまで載せないで欲しい)、よくできている作品だと思います。
意外な探偵役は歌野作品ならでは。
ちょっとうざ目なあの賢い感じの彼がその後の事件に絡んでこなかったのも意外だったかな。
内容的には軽いんだけれども、この軽さ、読み易さが良い。

No.10 8点 シュウ 2008/11/19 22:48
面白かったです。こんな鮮やかな誘拐トリックは久しぶりに読みました。ちょっとせこいけど。
それなのに真犯人に間抜け扱いされる主人公がなんか可哀想(笑)
ラストも良かったです。最後の1ページは格好良さにしびれました。

No.9 6点 いけお 2008/04/05 02:40
シンプルなので軽い感じで楽しめた。

No.8 5点 こをな 2007/11/15 10:43
 普通に面白いです。読んでる途中で真相は予想できてしまいますが、文章が読みやすいし、主人公を応援する気になってたので完読しました。

No.7 6点 なの 2007/11/14 22:01
話の筋はかなり早い段階で予想出来ます。
しかしラストはなかなか粋というか意外。
結構好きです、このラスト。

No.6 7点 dei 2007/08/24 22:00
「誘拐モノ」はあまり好きじゃないけどこれはひねりが効いててとてもよかった。

No.5 8点 桜ノ宮 2004/07/14 23:04
ハラハラ、ゾクゾクしました。
ただラストがちょっと。。。。
歌野さんの一人称は、好きですね。
ワイルドな感じが◎

No.4 7点 じゃすう 2004/03/02 21:52
ノリが好きです。スピード感があり、サスペンスにあふれていました。主人公にも共感できる部分があってのめりこめました。
少しネタバレしますと、

個人的に黒幕は頭の切れる彼かとも思っていたのですが大外れでした。

No.3 6点 SHINE 2002/07/08 23:20
読み始めはすらすらと、のめり込む様に読める内容なのでおもしろい。だがラストがイマイチかな。トリックではなく、事件の解決のしかたがあまり好きではないかな。


歌野晶午
2019年11月
間宵の母
平均:6.33 / 書評数:3
2017年09月
ディレクターズ・カット
平均:6.00 / 書評数:4
2016年11月
Dの殺人事件、まことに恐ろしきは
平均:6.71 / 書評数:7
2014年10月
ずっとあなたが好きでした
平均:6.17 / 書評数:6
2012年12月
コモリと子守り
平均:6.50 / 書評数:4
2011年10月
春から夏、やがて冬
平均:5.92 / 書評数:13
2011年09月
密室殺人ゲーム・マニアックス
平均:4.24 / 書評数:17
2010年10月
舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵
平均:5.50 / 書評数:6
2009年08月
密室殺人ゲーム2.0
平均:5.68 / 書評数:25
2009年05月
絶望ノート
平均:6.00 / 書評数:10
2007年11月
舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵
平均:5.36 / 書評数:14
2007年09月
ハッピーエンドにさよならを
平均:5.73 / 書評数:11
2007年01月
密室殺人ゲーム王手飛車取り
平均:6.29 / 書評数:42
2005年10月
そして名探偵は生まれた
平均:6.15 / 書評数:13
2005年08月
女王様と私
平均:4.86 / 書評数:14
2004年09月
魔王城殺人事件
平均:5.79 / 書評数:14
2004年02月
ジェシカが駆け抜けた七年間について
平均:4.07 / 書評数:14
2003年11月
家守
平均:6.21 / 書評数:14
2003年03月
安達ヶ原の鬼密室
平均:6.74 / 書評数:23
葉桜の季節に君を想うということ
平均:7.07 / 書評数:114
2002年06月
館という名の楽園で
平均:6.20 / 書評数:20
2002年02月
世界の終わり、あるいは始まり
平均:5.89 / 書評数:35
2000年10月
生存者、一名
平均:7.03 / 書評数:33
1999年06月
放浪探偵と七つの殺人
平均:6.79 / 書評数:28
1998年08月
ブードゥー・チャイルド
平均:6.59 / 書評数:17
1996年09月
正月十一日、鏡殺し
平均:6.44 / 書評数:16
1995年07月
Rommy
平均:6.83 / 書評数:24
1992年01月
さらわれたい女
平均:6.50 / 書評数:22
1991年05月
死体を買う男
平均:6.39 / 書評数:41
1990年08月
ガラス張りの誘拐
平均:5.04 / 書評数:25
1989年08月
動く家の殺人
平均:6.20 / 書評数:25
1989年02月
白い家の殺人
平均:5.79 / 書評数:28
1988年09月
長い家の殺人
平均:4.87 / 書評数:62