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[ 本格/新本格 ]
硝子のハンマー
防犯探偵・榎本径
貴志祐介 出版月: 2004年04月 平均: 6.81点 書評数: 53件

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角川書店
2004年04月

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2007年10月

KADOKAWA / 角川書店
2008年01月

No.53 7点 makomako 2024/02/09 18:46
出だしからして本格推理小説ですといった感じ。
泥棒が探偵というとんでもない設定と若く美しい弁護士がとても無理と思われる密室殺人の謎を解いていく。
その過程がなかなか面白い。弁護士さんの、とんでも推理なども出てくるが、泥棒探偵さんはすごく精緻な謎解きを行っていく。
全然犯人がわからない、密室の謎解きも分からないままに、突然犯人と思われる人のお話が始まる。
あれこれ何?どういうつながりなのと思っていると、最後は見事につながって解決となります。
その間複雑な過程をひとつづつときあかしていくのですが、私にははっきり言って全部分かったとは思い難い。
でもきっと正しいんだろうなあと思いつつ読みました。ひょっとしたらとんでもないトリックかもしれないけど、でもそうなんだと納得させてしまうところがすごいです。

No.52 7点 ぷちレコード 2022/02/23 22:39
ビルの12階、内廊下には監視カメラ、窓には嵌め殺しの防犯合わせガラス。密室であるはずの社長室で社長が殺された。
仮説を立てては壊し、立てては壊す純子と榎本の推理の顛末を描く第一部と、一転して犯人の視点から、殺人の動機や計画の詳細、犯行後の不安と孤独を描いた第二部。
論理的に構築された謎が論理的に解かれていく過程が楽しい。

No.51 8点 斎藤警部 2022/02/11 12:18
“犯行の全体像を把握されないかぎり、凶器を発見されることもないのだから。”

物理密室トリックに惹かれない私だが、この物理トリックは、熱かった!! なんちゃって密室でなく、正々堂々物理的に本物の密室が相手! 密室である事の必然性は強く、トリックと不可分!! 自分も気を付けないと。。(って??) 夥しいダミー解決案も素晴らしく魅力的。 タイトルが何のミスディレクションやら隠喩やら大ヒントやら、気を持たせてくれ心地良し。 これはもしや、ミステリ読みならではの先入見をどえらく長いテコでもって手玉に取ろうって企画なんじゃ.. なんて妄想は愉し。探偵役の憤り弾け、ザックリ刺さる第一部サドゥンエンドを抜け、真っ新な地点から大いなる憶測引き連れズイズイ進む第二部が頼もしい。(ホームズ長篇を彷彿と) 本格とクライムの時間差ジャンル融合、というより、第二部のクライムノヴェル部分を包み込み、全体では本格ミステリですね。この「意外な■■設定」で100%フェアな本格に仕立てるために、第二部が必要だったのかもな.. 最後のちょっとしたオチも素敵。 ちょっと大きい瑕疵やら緩いとこあると読後気付いたのですが、、読中は全く眼中の外でした。

No.50 5点 雪の日 2020/04/21 14:27
トリックは良かった。

No.49 9点 バード 2019/07/06 10:28
甘いかもしれないが非常に楽しめたので9点で。

別解をひたすらつぶしていくやり方は、私が探偵ならそうする、というやり方なので個人的に好み。それに真相が別解と比べて一番インパクトがあり、尻すぼみ感がないのもgood!真相の物理トリックは高校物理の範囲で理解できるもので、シンプルながら面白かった。
あえて多くは語りません。

No.48 6点 ミステリ初心者 2019/05/01 00:35
ネタバレをしています。

 始まって100pぐらいは、猿・ロボットが出てきて、なにやらバカミスの香りがしましたが、杞憂でした(笑)
 前半半分は、事件発生~探偵による検証と仮説→否定を繰り返す構成です。専門用語なども多かったですが、非常に読み易かったです。
 後半半分は、倒叙形式のような感じでした。犯人の半生~殺人のシーンまで、かなりのページ数があるにもかかわらず、前半と同じく一気読みできるほど読み易いです。凝った構成でした。

 以下、好みではなかった部分。
 これまでにない密室のパターンで、はっとさせられました。しかし、それを推理小説として成立させるために、多くの難題があります。介護ロボット、頭部を手術した被害者の存在でそれをクリアしていますが・・・。
 はめ込みの窓って、あんなに簡単にいじれるものなのでしょうか? 自分は窓ガラスに対する知識がまったくの無知なので、真相聞いたときはピンときませんでした。推理小説を問題としてみた場合、いまいちかもしれません。

 自分は、実は、純子によるとんでも推理"監視カメラの前に廊下の写真を置いた"や"秘書三人が入れ替わり時間を稼いだ"は結構好きです(笑) 無理がありますが。

No.47 8点 蟷螂の斧 2018/10/15 15:11
流石のリーダビリティで一気読み。物理的密室の新機軸。第二部の倒叙式の斬新さ。主人公の裏稼業。ラストの口説き文句。VERY GOOD。

No.46 8点 HORNET 2018/07/28 15:45
 「密室トリック」というのは既にやり尽くされてしまったという諦観を、吹き飛ばしてくれた。こんな斬新なトリックが生まれるのなら、まだまだ捨てたもんじゃないなぁ、と思った。数ある密室ものの中でも、印象に残る作品。
 作者としても満を持して臨んだ様子がうかがえ、前半では別解が一つ一つ丁寧につぶされていく。ミステリとして非常にフェアだとは思うが、ちょっとその部分が長いなぁとは感じた。
 後半は犯人の視点から、犯罪を犯すまでの過程が描かれていくのだが、こちらは非常に引き込まれる展開で、長い作品ながらも飽くことなく読み進めることができた。

 「鍵のかかった部屋」や「狐火の家」などのシリーズの後発作品を先に読んでから読むと、榎本と青砥弁護士の関係性(というか榎本の青砥への態度)が、始めは微妙に違うなーと感じた。簡単に言うと、青砥弁護士の評価(能力的にも女性としても)が、結構この最初の作品では高い感じがする。後発作品ではどちらかというと、「トンデモ推理をする天然弁護士」と「理知的で冷静な泥棒探偵」というイメージが強いのだが・・・

 何にせよ、本作品の密室トリックはとてもよかった。介護ロボット等、周辺の設定も無理なく、そして必然性をもって筋に絡んでいて、非常に上手いなぁと感じた。

No.45 7点 パメル 2018/06/21 01:12
この作者は、代表作の「黒い家」・「クリムゾンの迷宮」などホラー作家のイメージがある。しかし、この作品はガチガチの本格もの。(詳細な平面図も嬉しい)
暗証番号が必要なエレベーターに監視カメラ、非常階段はオートロック、窓は防弾ガラスと最新鋭の厳重なセキュリティーシステムの中での密室殺人。
推理すればするほど、不可能さが強まっていく。建物の構造を踏まえ、豊富な防犯知識で、ありとあらゆる仮説を立て検討されていく討論が読みどころでしょう。
前例のない斬新なトリックは素晴らしいが、専門知識が無いと推理が難しい点が残念。

No.44 7点 青い車 2016/10/10 23:50
 なかなか凝った構成です。第一部の最後で殺害トリックに気が付き、第二部では犯人が犯行に至るまでの経緯を描いています。すごいのは、下手をしたらダラダラしてしまいそうな第二部が緊張感を保ったまま読めたところです。事件関係者の描写は少ないものの、青砥純子は生き生きしていますし、榎本径の喰えない性格もいい味を出しています。監視カメラをどうクリアするか熟考し、不可能を排除し、最終的には論理的にトリックを解明する、手堅い流れもすばらしかったです。アクロバティックさには欠けますが。あと、象徴的なタイトルの付け方も秀逸です。

No.43 7点 ロマン 2015/10/24 23:32
高層ビル内で起きた密室殺人に挑む青砥と榎本の活躍を描いた本格推理小説。この手の密室殺人は「そんな馬鹿な」という感情が先に来てしまいあまり楽しめず終わる事が多いのでそこまで期待せず手に取った作品だったが、人物の描写が魅力的でトリックを証明する方法もじりじりと一つずつ可能性を検証していく形なのでその過程も含めて非常に楽しめた。防犯に関して知識のある探偵役がここまで頼りになるとは…。それにしても「硝子のハンマーは砕けてしまった後が一番危険なんですよ」は名言である。

No.42 8点 CHABI 2015/08/06 22:20
トリックはよく出来ています。
構成もよいと思います。
ただ、犯人視点の解決編の2部が少し長すぎたかな。
もう少し簡潔にしてもよかったと思います。
防犯意識を高める作品です。

No.41 4点 りらっくま 2014/07/17 22:59
貴志さんの作品ではクリムゾンの迷宮」や「狐火の家」など読んだ後、推理作家協会賞の作品を大いに楽しみに読んだのですが・・・
以下ネタばれ


まず、あのダイヤが何故犯人に横領したお金で買ったのかわかるのか不思議。そして、犯人にいつまでもあの社長室にダイヤがあると思わせたのか謎。やっぱり社長を殺害したのが最も謎。前の日に
ダイヤだけ盗んでたら逮捕はなかったでしょう。被害者が訴えられない性質のものだし。。。詰めが甘いところが多すぎて読了後唖然とした。

No.40 5点 初老人 2014/07/13 23:55
トリックの独創性という点では文句なし。にもかかわらずこの点数にしたのは、犯人視点に切り替わってから話の勢いが削がれ、スピード感溢れる物語をスローダウンさせているように思われるからだ。犯人の正体が明かされるのも、犯人側の視点からのみで緊張感に欠ける事甚だしい。これではいかにトリックが素晴らしくても、構成上の不備があったと思われても仕方のない事のような気がする。 しかし私は散々批判したものの、この構成が斬新な試みであったという事がおそらく評価の一因となり 、本作が日本推理作家協会賞を授賞したという事実に対しては素直に喜ばしい事だと思っている。それでもなお、残念ながら私は、この大胆な試みを買う事は出来なかった。

No.39 7点 いいちこ 2014/03/20 17:53
相変わらず完成度は高い。
ブレイクスルーにはもう一歩

No.38 7点 itokin 2013/11/05 13:03
本格のアイディア、キャラの立て方、話の進め方等十分面白さは感じられたが、話が二分されてることで、盛り上がりが欠けたことが気になった。榎本と純子の絡みで最後まで押したほうがよかったように思うが・・・。ただし、隙のないトリックの解明など貴志さんの力量は十分推し量れる。

No.37 7点 smk 2013/10/07 23:23
犯人の動機、トリックの必然性ともによく練られた良作。
後半部分も一気に読めました。

No.36 8点 mohicant 2013/08/05 22:38
 密室トリックとしては過去に例がないタイプだと思います。タイトルも思いっきりヒントになっているのに、このトリックには全然気がつかなかった。ド本格の作品です。

No.35 6点 Q-1 2013/01/20 20:22
榎本、純子(探偵役)目線で犯行の真相を追い可能性を潰していき、
犯人目線の物語仕立てでトリックを明かすという構成は意外と珍しい?気がしました。

私は介護ロボットの動きが全くイメージできず自分で推理することは諦めたので
後半の犯人目線の章からが面白く感じました。

もっと犯人に闇金業者が絡んでくると更にドキドキハラハラ読めたのではないかと思います。

No.34 6点 測量ボ-イ 2012/09/29 12:11
取り敢えず読み始め、途中でTVドラマで見たことを思い
出しました(苦笑)。
トリックはまずまず斬新ですし、悪くはなかったですよ。
特に防犯関係の薀蓄は参考になりました。
ただ後半に話しは冗長な気がするのが不満点。


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