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[ 本格/新本格 ]
ミステリークロック
防犯探偵・榎本径/文庫は『ミステリークロック』『コロッサスの鉤爪』二冊に分冊
貴志祐介 出版月: 2017年10月 平均: 5.40点 書評数: 5件

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KADOKAWA
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2020年11月

No.5 8点 makomako 2024/01/18 20:22
このサイトではあまり評価が高くないようですが、私は久しぶりに大胆かつ壮大なトリック(ことにコロッサスの鉤爪)を楽しみました。
大胆不可能型のトリックはたいていははっきり言って全く無理でしょうという感じが免れないのですが、本作品は全く無理そうなまではいかない、うまくいけばあるかもしれないレベルに収まっているように思いました。
なかなか面白かった。

No.4 6点 E-BANKER 2021/07/31 20:32
防犯コンサルタント榎本と敏腕美人弁護士(?)青砥純子のコンビが活躍するシリーズ第四作。
単行本は「ミステリークロック」として一冊で刊行されていたが、文庫化に当たり分冊(「ミステリークロック」と「コロッサスの鉤爪」)されたものを読了。
2017年の発表。

①「ゆるやかな自殺」=4編の中では一番「緩い」作品。舞台は暴力団の組事務所。鋼鉄のドアという超堅牢な密室が榎本の前に立ち塞がるのだが、解法は割と簡単っていうか、すぐにバレそうな気が・・・
②「ミステリークロック」=分量でいえば最も長いのが本編。長いだけでなく、かなり細かく複雑なトリックを弄している。いくつもの「時計」が容疑者の前に「超堅牢なアリバイ」という密室を構成することとなる。でも、これは・・・視覚的にどうも浮かばないというか、こんなトリックを見破る榎本が逆に怖い。(「電波時計」の仕掛けなんて、よくこんなこと思いつくよなーというレベル)
③「鏡の国の殺人」=これもかなり拘ってる。拘ってるのは「監視カメラ」。「監視カメラ」に囲まれた密室の抜け穴を探すのが今回のテーマなんだけど、うーん。こりゃ読者では推理不可能だな。あと、途中登場するルイス・キャロル評論家のオッサンのキャラがかなり面白い。
④「コロッサスの鉤爪」=これがNO.1だろう。今回の舞台は何と大海原。「音の密室」に囲まれた大海原っていうんだからスケールがでかい。トリックの鍵となるのはある〇〇なんだけど(一般人は知らんよなー)、そんなチンケなことは置いといて、「密室」という使い古されたテーマをここまでスケールアップした作者に拍手。ただ、これ成功するかな?

以上4編。
「密室」に拘り続ける本シリーズ。しかも、今までお目にかかったことのないような、作者独特の角度で作られる密室が新鮮だ
確かに、これは一般読者には推理不可能だし、想像がつきにくすぎるし、犯人がここまで「密室」に拘る理由は分からないし、いろいろな齟齬はあるだろう。
でもいいのだ。これが貴志祐介が書きたい「密室トリック」なんだろう。でもまあ、例えば「硝子のハンマー」や「鍵のかかった部屋」なんかに登場する密室と比べると、だいぶ無理矢理感は出てきたなというのが正直な感想。
いつまで本シリーズが続くか、いや続けられるか。ちょっと心配な感じ。

No.3 3点 青い車 2019/01/01 21:33
 基本的に貴志祐介氏はギャグが不得手だと思います。他の作家なら受けてるにしても滑ってるにしても不快にはならないのですが、この本はどれもだらだらページ数ばかり稼いでいて、とにかくストレスが溜まるようなギャグが頻出しています。加えて表題作はトリックが辟易するほど盛り込まれていて「やりすぎ」の極致にあり、せっかくのアイデアがまるで生きてないような印象です。『硝子のハンマー』は感心しただけに、この出来は大いに不満です。

No.2 5点 虫暮部 2018/06/07 10:19
 「鏡の国の殺人」「ミステリークロック」。視覚的要素の強いトリックで、じっくりと、考え読めば面白い、かもしれないが読みながら、即イメージが出て来ない。話との組み合わせ方、もう少し、考える余地あったかも。
 「ゆるやかな自殺」「コロッサスの鉤爪」。明瞭な一発ネタだが、驚きと言うより苦笑を誘われる。なんじゃそりゃあと、つい叫ぶ。
 何かしら、噛みあっていない印象が、どの話にも見受けられ、総じて言えば、もう一歩。帯に短し襷に長し?

No.1 5点 HORNET 2018/05/04 18:35
 本職・泥棒の榎本径が探偵役を務めるシリーズの、4本の中短編を集めた一冊だが、全体的な印象としてはよく言えば緻密、悪く言えばやり過ぎの複雑な機械仕掛けトリックで固められている。
「ゆるやかな自殺」・・・4作品の中では一番分かりやすい。ミステリらしい、周到に計画された犯罪計画・トリック。こんなことまで頭が回るのであれば、このヤクザは相当「使える」組員だと思うのだが・・・
「鏡の国の殺人」・・・榎本が忍び込んだ美術館で、館長が殺されていた。美術館では先鋭の現代アーティストが「鏡の国のアリス」をテーマとした作品の展示準備に追われている最中で、複雑な鏡の迷路を用いたトリックが仕掛けられていた。図面付きで細かな説明なくては(あっても)理解が難しい複雑さである上に、科学技術まで絡んできてなんだか・・・
「ミステリークロック」・・・「そこまでやるか?」感が一番強かった、非常に手の込んだ複雑トリック。上に書いた印象が一番強かったのがこの表題作。
「コロッサスの鉤爪」・・・人間模様の描写は面白かった。200m、300mの深海を潜る「飽和潜水」のダイバーたちの間で起きた海上の殺人。これも科学技術が多分に絡んできて、真相(トリック)に思い切り関係していた。


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