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[ 本格 ]
ウッドストック行最終バス
モース主任警部シリーズ
コリン・デクスター 出版月: 1979年01月 平均: 6.50点 書評数: 18件

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早川書房
1979年01月

早川書房
1988年11月

早川書房
1988年11月

No.18 7点 ◇・・ 2024/01/10 18:49
ヒッチハイクをしていた二人の娘が行方不明になり、一人が死体で発見され、もう一人は姿を消した。発端は地味だが、意表を突く結末が待っている。
語り口がユーモラスで、何より主人公のモース警部の行動が、本当に真剣にやっているのか、と思うほど面白おかしく書かれていてとても愉快。

No.17 4点 レッドキング 2021/10/12 18:49
デクスター処女作。とある夕暮れ、ウッドストック行バスを待っていた娘二人。深夜、うち一人の性交の跡のある撲殺死体が、行先ウッドストックの酒場駐車場で見つかる・・・スーパースター探偵(ホームズ、マーロウetc.)でもアンチ名探偵(ドーヴァー、フロスト)でもない、平凡な警部(なかなかのハンサム中年と判明するが・)の地道なWhoWhatパズルロジック。「一万人」という容疑者から「一人」を絞り出す「ロジック」に大笑・・数も論拠も何たるアバウト・・でも嫌いじゃないぞ、こういうの。そこはよいのだが、犯人、キャラ的に分かり安すぎ・・驚きまったくなく・・

No.16 6点 ミステリ初心者 2021/08/12 20:01
ネタバレをしています。

 ニコラス・クインの静かな世界以来のコリン・デクスターの作品を読みました。
 個人的には、非常に読みづらかったです(笑)。警察視点で事件の捜査が進むので、情報が少しずつ明らかになっていき、途中でモース警部が推理をする→新情報が明らかになり否定される→新しい推理…の流れなのですが、私はこの流れの推理小説があまり得意ではありませんでした。事件の最初から読者が推理を楽しめる情報が提供されるアリバイトリック系・犯人当て・不可能犯罪などは、それについて考えながら読み進めるので退屈しないのですが。
 多重解決系としてみても、ちょっとパンチ力が足りない感じでした。論理的な推理、突飛な推理、いろいろな可能性が語られるとよかったのですが、モース警部による最後の推理以外はよく覚えていません。多重解決というより、後期クイーン問題(?)の連続のほうが正しいのでしょうか?
 また、主観の人物の文章もころころと入れ替わり、それも読みづらさを感じました。
 しかし、モース警部による真相の解明のシーンの推理は圧巻でした。非常に論理的だったと感じましたが、読みづらさもあり、私にはとても当てられなかったでしょう(笑)。
 あとは、モース警部の悲恋が書きたかった?のか作品全体的にまじめな雰囲気なのが残念でした(笑)。私のモース警部のイメージはもうちょっと面白おかしいキャラターだったような気がしますが、まあ私のモース警部歴はまだ2冊目なのでよくわかりません(笑)。

No.15 6点 文生 2020/08/04 19:56
1万人の住人の中から容疑者を1人に絞り込むロジックには思わず笑ってしまいましたが、それ以外の仮説にはそれほど面白味を感じなかったのが残念です。二転三転する推理と聞いて『毒入りチョコレート事件』や『ギリシャ棺の謎』のように誤答の一つ一つに魅力のあるもの、あるいはもっとぶっとんだバカミスを想像していただけにその辺はちょっと期待外れでした。
ただ、唯一バカミスっぽかった1万人の絞り込みロジックや真相の意外性などを含め、全体的にはそこそこ楽しめた作品ではあります。

No.14 8点 2020/07/22 08:49
 バスは、なかなかやって来なかった。夕ぐれに包まれたオックスフォードの街はずれの停留所で、二人の若い娘はじりじりしていた。何度も時間表を見直し、バスの姿を求めて道路の彼方をみつめる・・・・・・。
 ついに、シルビアという名の、挑発的な姿態をもったブロンドの髪の娘がしびれを切らして歩き始めた。ヒッチ・ハイクで行けばいい、男はミニ・スカートに弱いものだ――そして、もう一人の娘も彼女にひきずられるように姿を消した・・・・・・。
 ヒッチ・ハイクを試みた女性シルビア・ケイは、数時間後ウッドストックの酒場の中庭で、変りはてた姿となって発見される。死体には暴行された跡があり、長いブロンドの髪は無残にも血にそまっていた。だがTVで協力を求めたにも関わらず、シルビアと一緒にいた娘は名乗り出ようとしない。これはどういう事なのか? ヒッチ・ハイカーが変質者の毒牙にかかるケースは珍しくないが、今回行きずりの犯行に狙いをしぼるのは危険かもしれない。
 事件を担当するキドリントン、テムズ・バレイ警察のモース主任警部は、相棒に見込んだルイス巡査部長とともに被害者の身辺調査にかかり、捜査線上に浮かんだ同僚のタイピスト、ジェニファー・コルビーを追及する。だがなぜかジェニファーは、執拗なモースの尋問にも頑として口を割らなかった・・・。
 1975年にマクミラン社から刊行された、デクスターの処女作にしてモース主任警部シリーズ第一作。発表当初からの高い評価に加え数々の映像化(スピンオフ含む)を受けて、本国イギリスでのモースはシャーロック・ホームズに匹敵する人気キャラクターとなりました。直感に頼った妄想一歩手前の推理と溢れんばかりの人間臭さは、R・D・ウイングフィールドのフロスト警部と共に、非常に印象深いものです。
 ただし再読すると〈論理のスクラップビルド〉は意外に控え目。クローザー夫妻の告白などは、むしろクリスチアナ・ブランド風〈自白の連鎖〉に近い。さらに事件当夜の各人物の行動や心理状態、そこから類推される結論も単なる思いつきに留まらず、二作目以降よりも周到に構築されています。この部分の丹念さと複雑さが誤解のモトですね。真の意味で〈読者が煩悶するほどの仮説また仮説〉に値するのは、この手法を極限まで推し進めた問題作『キドリントンから消えた娘』だけでしょう。一作目という事もあり、イメージよりも結構正統派寄りです。中盤のお笑い推理も全くの無駄ではなく、ちゃんと捜査を進展させてますしね。
 モースのロマンスも過剰にならず、抑えた筆致ながら強い余韻を残します。簡潔に纏めると〈バランス良く丁寧に作られた秀作〉といった所でしょうか。良い作品ではありますが、尖り具合を含めた総合力で行くと『キドリントン~』には若干劣ります。

No.13 5点 ねここねこ男爵 2017/11/04 12:01
ロジックものは本来大好物なんですが、これは馴染めませんでした。他作品も結構読んだんですが…

推理を構築して破壊して構築して…ですが、リズムが平坦に思え、特に中盤は忍耐を強いられました。トンデモ推理も無いわけではなく、カタルシスを感じられないというか。残りページ数から「この推理も間違ってるんだろうな〜」と思ってしまいます。

英国の作家さんだそうで違和感になんとなく納得。
数学はフランスで発展した部分が多いのですが、数学的帰納法などの分野は英国で発展したそうで、高校数学なんかだとそこが他分野と比べてかなり異彩を放っています。「コレが産業革命を起こした国の思考法か…」と今回と同質の違和感を感じましたね。

なので、とてもおいしい料理なんだろうけど、口に合わなかったのでこの評価です。ごめんなさい。

No.12 7点 青い車 2016/09/10 22:31
 事件そのものは派手ではないものの、論理の試行錯誤の繰り返しで読者を引っ張っていってくれる作品です。中盤でモース警部が述べる乱暴すぎる消去法推理にはポカンとなりましたが。
 クライマックスで畳み掛ける推理は圧巻で、登場人物はそう多くないのにしっかり意外性も確保しているのはすばらしいです。法月綸太郎氏が『誰彼』で挑戦したという「デクスターしている」推理は処女作から完成されいていたことがわかります。ただ、抑制の利いた乾いた文章があまり好みでなかったことだけが心残りです。

No.11 9点 nukkam 2016/09/09 13:28
(ネタバレなしです) 英国で絶大な人気を誇る本格派推理小説家コリン・デクスター(1930年生まれ)の1975年発表のデビュー作となるモース主任警部シリーズ第1です(長編作品は全部モーズ主任警部シリーズです)。エラリー・クイーンの全盛期時代を思わせるような論理的なモースの推理が素晴らしいです(そして中盤での迷走ぶりもまた別の面白さがあります)。デクスターの作品はあまり登場人物に感情移入することがなく、物語として味気なさを感じることも多いのですが本書ではロマンスがいい味付けになっています。

No.10 7点 makomako 2016/07/10 10:31
 モース警部の推理が二転三転して物語の途中で分かりにくいところがあるが、それでも読み通していく面白さがありました。ことに女性が魅力的。容貌や外観などがあまり述べられていないのに、モース警部が好きになったスウは素敵です。
 最後に見事な推理の勝利となり、事件は解決するのですが、私には完全に納得しにくいところがありました。
 このお話は現代の科学捜査を全く無視していると巻末を書いた新保氏が指摘していますが、全くそのとうり。指紋や血液型程度の科学捜査も全くありません。こういった設定がことに変に思えないほど、物語が巧みにつづられているともいえましょうが、もしこういった設定とするなら完全なアームチェアーデテクティブが探偵役のほうがよかったかも。
 

No.9 7点 ロマン 2015/10/21 12:02
夕闇の迫るオックスフォード。なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、二人の娘がヒッチハイクを始めた。その晩、娘の一人が死体となって発見された。もう一人の娘はどこに消えたのか、なぜ名乗り出ないのか?次々と生じる謎にとりくむテムズ・バレイ警察のモース主任警部が導き出した回答とは…殺人事件において主人公の警部が推理するも新たな証言が出てきて、また別の推理をするも今度は新たな証拠が出てきて、を何回も何回も繰り返す。関係者は最初からきちんと協力しようよ、と何回も突っみたくなるが、警部のユーモア溢れるキャラとビックリな結論とでなかなか楽しめた。

No.8 6点 斎藤警部 2015/06/26 20:12
結末近くまでは(例の爆笑計算シーンを除いて)なかなかに退屈、まさかのバカアンチミステリじゃねえだろなあと案じながらチョィとあくびを噛み殺してたんだけど、モースの切れ味鋭い"最後の"論理展開で目が醒めました、一気にプラス1点半! ロジック<トリック<意外性の私も、こういうワクワクするロジックなら歓迎です。 何故某氏はわざわざまだるっこしい連絡手段を取ったのか、とかね。 真相が明かされてみると、漠然と思ってたのと随分違う人間関係、そして各人の実際の行動だったんだなあ、と感心。 実は某女子はモースの事を何とも思ってませんでした、ってサブオチなのかと一瞬思ったら、、違った! 犯人の殺人動機描写を巧みにぼかす優しさには読後気付きました。 まあでも、絵が浮かぶいい文章書きますよね。。

No.7 6点 ボナンザ 2014/07/03 16:23
二転三転する推理が面白い。トリックや真相に意外性はないが、解き明かされるまでの論理の流れは賞賛に値する。
ただ、世評で騒がれるほどの大傑作かというとノーだと思う。

No.6 5点 あびびび 2013/08/20 01:38
必ず海外ベスト100くらいには入っている秀作。でもこの作者とは呼吸が合わない。キドリントンは4点しかつけなかったが、ここでも5点が精一杯だ。これを皆さんの評価になぞって高得点をつけてもまったく意味がない。

モース警部のユーモアはなぜか笑えなかった。そう言えば同じタイプに見えるフロスト警部もあまり得意ではない。俺は人間そのものが固すぎるんだな(ミステリ界では)と、思う。

No.5 7点 あい 2013/03/18 11:07
思ったよりも読むのに時間がかかったが、モース警部の推理は読んでいて飽きなかった。鑑識上のデータによってではなく、様々な方向から推理し犯人に近づいていく、その過程が面白かった。

No.4 6点 E-BANKER 2011/04/19 23:10
モース警部シリーズの長編第1作目。
人間味溢れるキャラクターで、ニヤリと笑わせてくれるシーンも多い作品。
~夕闇の迫るオックスフォード。なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、ヒッチハイクを始めた2人の娘。その晩、ウッドストックの酒場でヒッチハイクをした娘の1人が死体となって発見された。もう1人の娘はどこに消えたのか。なぜ名乗り出ないのか?~

本シリーズと言えば、「仮説」を立てては壊し、立てては壊し・・・というイメージでしたが、本作はそれほどのクドさはありません。
ヒッチハイクをしたもう1人が分かりそうで分からないというもどかしい展開が続き、ダミーの犯人も次々に容疑者から消えていく・・・
ただ、個人的には前評判ほど面白いとは感じませんでしたねぇー。
なにか、単純な問題をわざと分かりにくく紆余曲折させているような感じといえばいいのか・・・モース警部の推理法も、読みながら今ひとつ伝わってこなかったんですよねぇ・・・
文庫版解説を読むと、作者は安楽椅子型の探偵を理想としており、指紋等の科学捜査やアリバイといった従来の警察捜査に関するくだりを敢えて省略しているとのこと・・・
まぁ、それはそれでいいんですけど・・・何かワンパンチ足りないようなモヤモヤ感が残ってしまいました。
(モース=ルイスのコンビのやり取りはなかなか面白い。)

No.3 8点 kanamori 2011/02/13 17:57
モース主任警部シリーズの1作目。
大団円まで推理の過程を明かさない過去の名探偵と違って、仮説を構築しては修正を繰り返し、それらを随時部下のルイスに開陳していくモースの謎解きは新鮮でした。本書の中盤での、北オックスフォードの人口1万人から幾つかの犯人の条件を当てはめて、最終的に赤い車の持ち主を1人に絞り込むやり取りが、まさに”机上の空論”的ロジックで笑えます。
「警部さん、とうとうクリスチャン・ネームを教えてくれませんでしたね」。この犯人のセリフで終わるエピローグが印象に残る。

No.2 6点 isurrender 2010/10/09 19:38
心理トリックで、面白かったです
ただ、登場人物、特に主人公のモースがあまり好きになれなかった

No.1 7点 2010/04/19 21:38
推理というか仮説をしつこく組み立てては壊していくことを繰り返すのが有名なモース警部シリーズですが、まだ第1作ということだからでしょう、本作ではそれほどではありません。実際にモース警部らしい仮説が始まるのは、全体の1/3を過ぎて彼が脚立から落ちる事故で2、3日動けなくなってしまってからです。要するに事故によるアームチェア・ディテクティヴ強制で、デクスター流が開始されたわけですね。
全体的には捜査側からの視点だけでなく、重要な事件関係者だと最初からわかる書き方で別の登場人物の視点をところどころに挿入する思わせぶりな構成になっています。
最終的な解決も、本作ではクリスティーなどにつながる案外オーソドックスな意外性が用意されています。モース警部の恋愛まで取り入れられるストーリーは、次作よりは一般向けと言えると思います。


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