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[ 時代・歴史ミステリ ] オックスフォード運河の殺人 モース主任警部シリーズ |
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コリン・デクスター | 出版月: 1991年04月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 6件 |
早川書房 1991年04月 |
早川書房 1996年06月 |
No.6 | 3点 | レッドキング | 2021/11/08 19:03 |
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デクスター第八作。今回は安楽椅子探偵回。大酒がたたり入院療養する羽目になるモース警部。女ざかり看護婦達へのスケベ心だけでは満足できず、差入れ本の19世紀犯罪記録の再検討に熱中し、業務でもないのに相棒ルイス刑事まで動員して「歴史ミステリ」パズル組み直しに床上邁進。記録上の船上女性殺人事件裁判が、誤審冤罪であったろう事までは突き止められるが、真相解明については「その可能性もある」の解釈で終わる。そりゃあ、百年以上も前の話だし、遺骨や丈比べの「物証」があっただけでもモウケもの。歴史とは終わることなき解釈で、歴史=ミステリだから、当然、歴史ミステリが面白くないわけがなく・・・ただミステリ作品として優れてるかどうかは、また別な話で。 |
No.5 | 5点 | 雪 | 2020/06/19 12:06 |
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十一月下旬のある土曜日の朝、モース主任警部は上司からの電話を受けた直後に吐血して失神し、ノース・オックスフォードのフラットからジョン・ラドクリフ第二病院の病棟7Cに搬送された。原因は不摂生による胃潰瘍だった。
まもなく回復し手持ち無沙汰の身を持て余したモースは、斜め向かいのベッドで亡くなった元インド駐屯軍将校・ウィルフリッド・デニストン大佐が自家出版した労作「オックスフォード運河の殺人」を紐解くことにする。それはある人妻が一八五九年、テムズ川本流を航行してロンドンに向かう船旅の途中で行方不明となり、死体となってオックスフォード運河に浮かんだ事件について纏めたものだった。 ダービー生まれのその女性ジョアナ・フランクスは二度目の夫のもとに向かうため、六月十一日土曜日の朝リバプールからはしけでプレストン・ブルックへ向かい、それから十一日後の六月二十二日水曜日にコベントリー-オックスフォード運河終点付近にある三角形の水路、通称"公爵の掘割"で発見されていた。 事件にいくつかの疑問を抱いたモースはがぜん乗り気になり、見舞いに訪れたルイス巡査部長やポドリー図書館員クリスティーン・グリーナウェイの協力を得て、百三十年前に起きた殺人事件の謎を病床から解こうとするが・・・ 1989年発表のモース主任警部シリーズ第8作にして、同年度CWAゴールド・ダガー賞受賞作。ジョセフィン・テイ『時の娘』ばりの歴史ベッド・ディティクティヴものですが、クラウン作品にしては味付けは薄め。格段に読み易くはあるものの、デクスター愛読者にとっては少々物足りません。短編集『モース警部、最大の事件』収録諸作の方が良い感じ。 第11章末尾で指摘される手掛かりなど見るべきものはあるのですが、基本的には直線一本道。特に捻りもなく、病院パートなどモースやルイスの掛け合いもいつもの分量以下。最後に被害者の生家に残っていた証拠を発見して、物語は終了します。 細かい部分を綺麗サッパリ忘却した上での再アタック。でも初読時も今回もあんまり印象良くないなあ。結局肝心のアレを、どこから調達したかは不明だし。今回は歴史推理なのでいちいち辻褄合わせを求める訳にもいかず、いつも以上に煙に巻かれた気がしてしまいます。 前後の二作『別館三号室の男』『消えた装身具』は未読ですが、今のところこれが一番下かな。好き嫌いの分かれる作家さんなので、気付かなかった本書の良さというのもあるかもしれません。オックスフォード運河に抱く郷愁も、英国と日本ではかなり異なるでしょうしね。 |
No.4 | 5点 | ボナンザ | 2015/05/24 17:05 |
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今作はストレートに終わってしまうが、読みやすく面白いのは確か |
No.3 | 8点 | mini | 2014/06/23 09:54 |
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「キドリントンから消えた娘」を読んだ時には私にはコリン・デクスターという作家は全く面白いと思わなかった、しかしこの「オックスフォード運河」はとても面白かった、何故なんだ?
そもそもデクスターという作家、何かと言うと”論理のアクロバット”というキャッチコピーが付くのだが、はたしてそうだろうか? 「キドリントン」でもモース警部の推理はロジカルではなくて要するに推測の羅列、極端に言えば”妄想のアクロバット”である どうもデクスターという作家自体、論理論理とクイーン風のアメリカン本格的視点で見る風潮が蔓延してるが私はあまり賛同出来ない、デクスターは英国作家だしね つまり黄金時代アメリカの本格派作家達と同列に扱うのは間違いで、本来は現代英国本格派、例えばレジナルド・ヒルあたりと同列に扱うべき作家なんじゃないだろうか 「オックスフォード運河」ではモース警部の皮肉な物言いが大変面白くいかにも英国調なんだよな、これはまさに伝統の英国本格の系譜ですよ さらに真相も実にシニカル、「キドリントン」なんかより「オックスフォード運河」の方が余程アクロバットしていると思う 私にとっては、デクスター見直したって感じだ |
No.2 | 6点 | E-BANKER | 2012/04/17 23:08 |
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1989年発表のモース警部シリーズ。
今回は病床に臥せったモース警部が、資料を元に100年以上前の殺人事件を解き明かす・・・というどこかで聞いたようなスタイル。 ~モース主任警部は不摂生がたたって入院生活を余儀なくされることになった。気晴らしに、彼はヴィクトリア朝時代の殺人事件を扱った研究書「オックスフォード運河の殺人」を手に取った。19世紀に一人旅の女性を殺した罪で2人の船員が死刑になったと書かれていたが、読み進むうちにモースの頭にいくつもの疑問が浮かんでくる。歴史ミステリーの名作「時の娘」を髣髴させる設定でおくる、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作~ 何か不思議な感覚の作品だった。 紹介文のとおり、モース警部が安楽椅子型探偵となって、凡そ書物だけを元に過去の殺人事件を解き明かすのだが、終盤、モースがなぜその真相に気付いたのかが、読者には皆目見当が付かないのだ。 読後に「なぜ?」と思っていたが、早川文庫版の法月綸太郎氏の解説を読んでると、デクスターに対するある評論家の言葉の引用があり、『デクスターの小説には魅力的な謎がない。なぜなら、謎が生じるためには、ある程度の情報がなければならないのに、その程度の情報すらデクスターは読者に与えようとしないからだ・・・デクスターのつまらなさ、納得のいかなさは、解決のつじつまは合っていても、なぜモースがその解決に至ったのかという点に、全く説得力のないことから来ている』とのこと。 まさにそうなのだ。 私が読後に感じたモヤモヤ感はこの評論家の言い分がピッタリ当て嵌まる。 (法月氏は、この批判に対する反論を試みているが・・・) まぁ、この批判は言い過ぎのところもあるが、本作も事件の真相(言い換えれば「からくり」)そのものは、なかなか魅力的なもので、「へぇー」と思わないでもなかったのだが、それに対する読者への伏線やらヒントは特になく、そういう部分でどうしても納得感が得にくい気がしてならない。 ただ、本作は「歴史ミステリー」という面もあるので、普通のミステリーとは若干趣を異にしているし、決してつまらない作品という訳ではないのでお間違えなく!(と、フォローしておく) (本筋とは全然関係ないが、モース警部がなぜ美女にモテるのかは全く不明・・・) |
No.1 | 6点 | ロビン | 2008/11/27 23:38 |
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確かに事件そのものよりもモースの入院ライフのほうが気になってしまった。素敵な看護婦さんが多いんですね。羨ましいです。
今回はあまり事件の様相が変わることはなく、ページ数も少なく読みやすいほうかと。「解決編だけで構成された物語」とはよく言われますけども、本書はデクスターの醍醐味の一つの、論理のアクロバットがあまり堪能できないのが残念。 |