home

ミステリの祭典

login
makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:895件

プロフィール| 書評

No.355 6点 七人の鬼ごっこ
三津田信三
(2013/11/03 08:17登録)
 ホラーと本格を結びつけるといった作者の意図は確かに感じられる作品です。ことに本作品はホラーのほうが強い感じ。
 犯人は以外だし、最後の結果もびっくりなのだがあんまり楽しくはなかった。
 


No.354 5点 キョウカンカク
天祢涼
(2013/11/03 08:12登録)
 これはまあメフィスト賞作品らしいといえばそれまでなのですが、本格物のような雰囲気で読むとかなりがっくり来ることは間違いない。
 キョウカンカクとは聴きなれない言葉であるが、ある刺激を受けるとそれと違う感覚も同時に刺激されて感じてしまう間隔のこととっ説明されている。主人公の女性は音から色が感じられるという感覚の持ち主で、その感覚のみで犯人を確信して強引にそれを結び付けてしまう。途中までは文章の問題はともかく比較的面白く読めたのですが、犯人が指名されてからの展開はもうめちゃくちゃ。極めて残酷な話となり私の嗜好にあわなかった。


No.353 8点 ある閉ざされた雪の山荘で
東野圭吾
(2013/11/03 08:01登録)
 この作品は20年ほど前に読んだのだが、当時は本格物の変り種といった印象が強かった。作者はかなりのへそ曲がりで新手の種を思いついたのでさっさと書いてみたという風に思えたのです。
 今回再読してみるとこの物語はまるみえの虚構のようでそうでもなく、登場人物がだまされそれを読むものもだまされるといった凝った内容がとても楽しかった。最終的にある意味でのハッピーエンドでもあり最近の東野氏にない暖かさがあった様に思います。
 ただ犯人の執念はすごすぎますけどね。


No.352 6点 パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から
似鳥鶏
(2013/10/20 13:07登録)
 三上氏のビブリア古書堂が当たってからこの手の物は良く見かけるようになったが、どれもビブリアより落ちると思います。似鳥氏のトリックメイクはなかなか優れていると思いますが、いかんせん直井巡査のーーッス言葉は何とかならないものかねえ。女の警官がこんな言葉使いは(作者もそんな風に書いてはいるのだが)いただけませんね。読むのが嫌になる。
 最後の話は犯人は何となく分かってしまった。犯人を決めておいてから後出しのような展開はもう少し何とかできそうなんだけど。
 氏のトリックメイクに期待はしています。


No.351 7点 白亜館事件
太田忠司
(2013/10/06 19:52登録)
狩野俊介シリーズもこのあたりから本格嗜好が強くなり仕掛けも大掛かりとなってくる。言ってみれば霞田兄妹シリーズが小道具を使用しているのに対して狩野俊介シリーズは大道具を使用したシリーズといえるかも知れません。
 漫画チックな表紙や挿絵にとらわれなければ(作者は気に入っているようですが)本格物として読んで遜色ないお話となっていると思います。
 すらすら読めて結構面白いと思います。


No.350 7点 目白台サイドキック
太田忠司
(2013/10/06 19:46登録)
 なかなか面白いのです。相棒ミステリーという分野があるのかどうか分かりませんが、本格物として遜色のない出来合いなのですが、最後に行くとがっくり(これをびっくり驚愕とは思えません)。どうしてこんな仕立てにしたのかわかりませんが、こういう形をとる必要がないように思います。最近の作者の傾向としてミステリーと幻想を融合しようとしているような傾向を受けますが、ミステリーの答えが幻想ではだまされたような感じとなるのではないでしょうか。
 本作品は最後にこんなかたちとなっていても本格物として問題はないのですが、いかにも本格物といった雰囲気で読ませた上でこういったこととなるといんちき臭い話と感じてしまうことは否めません。
 さらにこの作品は本格物としては明らかにキズだらけの終わり方をしています。謎が解き明かされていないところが多いのです。きっと続編が出て解決してくれるものと思います。
 作者は同郷で昔からずっと読み続けている数少ない方です。次を期待します。期待をこめた評価です。


No.349 7点 いつか、ふたりは二匹
西澤保彦
(2013/09/23 20:22登録)
 ミステリーランドの作品なので本格物のおどろおどろしさや残虐性は全くない。
 ファンタジックな性格が強く推理要素は少ないけど結構楽しました。こんなのも好きだなあ。


No.348 8点 銀扇座事件
太田忠司
(2013/09/23 20:19登録)
 どういうわけか狩野俊介シリーズでわたしが最も衝撃を受けた銀扇座事件がこのサイトにのっていないので追加させていただきました。
 このシリーズ初の上下二巻で登場し、上巻を読んだときは本当にびっくりしました。え?本当?。なんだか変だけどこんなのでよいの?でもまだ下巻もあるのだしいったいどうなったのだろう。
 このシリーズを読み続けていたものほどびっくりするだろうと作者も書いておられますが、まさにそのとうり。
 そのわりに下巻がもう一つではありますが、当時の衝撃を懐かしみ高評価です。これだけ読んだ方はもっと評価は下がるかも。


No.347 7点 久遠堂事件
太田忠司
(2013/09/23 20:08登録)
この作品は狩野俊介シリーズで最も衝撃を受けた銀扇座事件のあとに発表されたものと記憶する。
 途方もない建造物(巨大な釈迦涅槃像の内にお堂と宿坊があるという設定)でおきる事件のお話で、なかなか興味深い。前作ぐらいからこのシリーズはジュブナイルとして捕らえるより表紙に書いてあるように本格推理小説の様相が強くなってきている。
 結構面白かったですよ。


No.346 6点 美人薄命
深水黎一郎
(2013/09/23 19:58登録)
 本の帯には世界が反転する驚きと溢れでる涙の最終章とうたってあるけれどもそれほどのことはなかった。
 深水氏の作品は多彩な教養に裏付けられていてとても興味深いものであるが、この作品にはそういった要素は少ない。ただ洒落のような表題名とその外国語訳がついているのがこの作者らしいところ。
 まあ読後感も悪くないのでよしとしましょう。本当は氏の作品ならならもっとすごいものを期待していたのですが。


No.345 7点 魔術師の弟子たち
井上夢人
(2013/09/13 13:29登録)
題名からへたくそな超能力氏のお話かと思って読んだ。井上氏ならそんな話を書きそうなのでね。
 ところがどうしてどうして。致死性の病原体であるウイルスに感染して生きながらえたらあらふしぎ、とんでもない能力が3人の主人公に備わってしまっと思っていたら次第にその能力がものすごいこととなり、とんでもない展開となる。このあたりさすがに作者はうまい。だんだん深刻な話となり最後は救いがたいこととなりそう(なった)と思わせたところでちょっと違ったエンディングとなる。
 面白いですよ。


No.344 7点 腐葉土
望月諒子
(2013/09/13 13:16登録)
 かなり重い話でした。とんでもない人間、普通の人間、正義と善意の人間たちがくりひろげる話は非常に複雑に絡み合い最後にはどんでん返しもあって読み応えは十分です。
 文章に強い情熱が感じられるます。ただしそれが余ってかなりくどい。残酷冷酷なシーンはこの話には必須なのですが、これほどくどく語られるとここで嫌になってしまいそう。
 幸いというか海外旅行中飛行機の中で読んだので投げ出さずに読み通しました。
 読後感も悪くないし力作であることは間違いがないのです。もうちょっとさらりと書いて長さも三分の二ぐらいに納めたらもっと良い評価が得られそうです。


No.343 6点 降魔弓事件
太田忠司
(2013/09/04 16:26登録)
これは少年向きとしては結構悲劇的な内容です。作者は書きながら泣けてしまったとあとがきに記していますが、読後に印象が薄れる傾向の本シリーズの中ではまあ心に残るほうではあります。
 本書が発売されたときにすぐ読んだのですが、この本は何となく覚えていました。(他の俊介シリーズはほとんど忘却のかなた。新しく読み直しても全く忘れているので新鮮に楽しめました。記憶力の減退はよいこともあるのです。
 ただトリックや警察のずさんな調査(屋根に上ってちょっと調べれば分かることも分かることも探偵が調べるまで不明?、このトリックもちょっと調べれば絶対分かりそうなどなど)が目立って推理小説としてのできはやや悪いと思います。読後に印象が多少残ったということで評価はこの程度。


No.342 6点 天霧家事件
太田忠司
(2013/09/04 16:15登録)
 このシリーズの主探偵の俊介君はでてこない。いつも脇役の野上探偵が今回の名探偵となって活躍する。このシリーズは太田氏にとって本格志向が強い霞田兄妹シリーズとジュブナイル志向のの新宿少年探偵団の間にあるものと思います。トリックはちゃんと入っており読みやすいのですが、探偵が子供と猫では子供向け風といった雰囲気は否めません。
 その点本作品は大人のみの登場で子供向きのところが少ないかもしれませんが、俊介君が出てこないとちょっと寂しい気もします。
 このシリーズは結構深刻な話もあるのですが読んで気分が悪いということはないので気軽に読めます。長さもちょうど良い。
 ところが軽すぎるため読んでいる間は楽しいのですが、読み終わるとほとんど何も残らない。時間つぶしには最適なのだが。


No.341 7点 玄武塔事件
太田忠司
(2013/08/25 18:17登録)
ちょっと綾辻の館シリーズを思わせるようなお話です。ちゃんと本格嗜好ではあるのだが、俊介君の話なので軽くて読みやすくどうしても漫画チックなところはあります。まあそれがこのシリーズと作者の個性でもあるのですが。
 でだしはなかなかよいのです。結構わけありでおどろおどろしい雰囲気にもなりそうなのです。でもこのまま怪奇本格とはならずに終わります。
 話の内容からなら俊介君シリーズでないほうがもっとよかったのかも。結構などんでん返しもあることだし。 


No.340 7点 ガラスの恋人
森村誠一
(2013/08/25 18:02登録)
社会派ミステリーとしては読みやすい。歳の離れた過去に相当の何かを持った男女が惹かれあっていくさまはさベテラン作家らしく巧みに描かれている。しかも桐生という男がやたら強い。この男の過去は最後まではっきりしたことは述べられていないのだが、やくざ関係のゴルゴ13なみの殺し屋だったようだ。その割には女を失ったあとのダメージが怖くてやたら引いてしまっているところは、作者が歳をとったせいだろうか。
 こんな男ならもう少し決断力がありそうに思いますが。
 未消化なところも残るのですが、結構面白かった。


No.339 7点 夜叉沼事件
太田忠司
(2013/08/18 08:35登録)
 この小説が出てすぐ読んだのでもう20年ほどたってしまいました。今回再読しましたが内容はすっかり忘れていましたので楽しく読みました。
 俊介君シリーズは霞田兄妹シリーズとだいたい平行して出てきたので、当時こちらはなんとなくお子様向きのように思えたのですが(装丁も漫画チックでおじさんが読むには気恥ずかしい)、きちんとトリックも使ってあり軽めの本格物として十分通用する内容と思います。
 比較的つらい話なのですが読みやすく読後感も悪くありません。長さもちょうど良く一日でだいたい読めます。休日に読むにはちょうど良いと思います。
 このシリーズは本棚にすべてあるので読み直してみようかな。


No.338 6点 折れた竜骨
米澤穂信
(2013/08/11 15:33登録)
古典部シリーズなんかは結構すきだったのですが、インシテミルで米澤氏の小説に嫌悪感を感じて以来ちょっと遠ざかっていました。
 この作品は作家としてデビューする以前に構想されたとのことなので初期の作品のようなみずみずしさが味わえるのではと思いよんでみました。
 外国の名前ばかりで実に読みにくいのですが、何とか最後まで読み通しました。
 わたしの評価は皆さんと比べて低いようです。本格物のもファンタジーもすきなのですが、本格とファンタジーを融合させるととても変な感じに思えてしまうのです。
 本格のための無理やり作り話(所詮本格物は作り話なのですが)といった感が強くこういった話はさほど楽しくないのです。


No.337 7点 シートン(探偵)動物記
柳広司
(2013/08/04 08:25登録)
この手の話は好きです。確かに本格推理小説としてはちょっと甘いのですが、動物の行動から推理していく過程は実に面白い。
 シートン老人も友人と鳥の言葉で会話したりして誠に楽しい。からすの言葉にいたってはちゃんと五線譜がついており歌うこともできる(ちょっと歌ってみたのです)。
 話としては一番初めの「カランボーの悪魔」が断然面白く、以下少し落ちるように思います。
 話の数を減らしてでももう少し内容を濃くしてもらえていたらもっとよかった。
 これは子供が読んでもよいように書けるとは思いますが、あくまでも大人向きの小説です。


No.336 6点 幻竜苑事件
太田忠司
(2013/08/03 07:58登録)
 この作品もちゃんと本格嗜好にできているのですが、探偵がれいによって子供と猫なので(大人も端には出るが)かなり軽い感じとなってしまう。読みやすいしお話としてもそれなりなのだが、表装や挿絵がさらに漫画チックな雰囲気を盛り上げており、1作目の月光亭が結構よかったのにちょっと買うのをためらったことを思い出します(ずいぶん昔のことですが)。
 今回再読してみましたが、やっぱりそれなりに面白く一気に読破してしまいました。
 子供でも楽しめるというところはよいのですが、子供にはやや難しく大人には気恥ずかしいという若干中途半端な感じは否めません。
 本格物の入り口として読むにはなかなかよいのですが。

895中の書評を表示しています 541 - 560