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ミステリの祭典

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パラダイス・ロスト
D機関シリーズ

作家 柳広司
出版日2012年03月
平均点6.00点
書評数8人

No.8 6点 猫サーカス
(2023/05/05 18:37登録)
大日本帝国陸軍の内部に秘密裏に作られたスパイのエリート養成学校「D機関」の活躍を描く「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第三作。魔王と呼ばれ、過去の経歴が一切謎の包まれた男、結城中佐がたった一人で作り上げたD機関、とにかく能力が半端ない。いずれも一流大学の秀才であり、運動力や戦闘力にも優れ、語学もおそろしく堪能、さらには完璧な変装と、演技で別人になり切り、人身掌握術の達人であるという、ほとんど出来ないことはないのではとさえ思えるほどすごい連中なのだ。この超人的というべきD機関の若きスパイたちが、毎回様々な事件に遭遇したり、自らひき起したりする、それがこのシリーズの醍醐味である。それと同時に忘れてならないのは、この短編連作がミステリとして実によく出来ているということである。「死ぬな。殺すな。とらわれるな。」これがD機関の戒律である。すべて頭脳戦であり、意外性に満ちたスパイミステリである。

No.7 6点 まさむね
(2023/04/08 23:14登録)
 シリーズ第3弾。前2作と比べて短編として小粒、という印象も無くはないですが、やっぱりこのシリーズは安定した面白さがあります。マイベストは、日本駐在の英国人記者が結城中佐の正体を追う「追跡」です。

No.6 5点 E-BANKER
(2013/08/16 15:15登録)
「ジョーカー・ゲーム」シリーズも重ねること第三弾。
今回も結城中佐率いるD機関のスパイたちが世界を股にかけ暗躍する。

①「誤算」=舞台はパリ。ナチスドイツにより首都パリが陥落し、一部の市民がレジスタンスとして抵抗している・・・そんな時代背景。記憶喪失となってしまったD機関のシマノ(?)がレジスタンスの男女三名に囚われるが、彼らの隠れ家にドイツ兵が現れたとき・・・。それ程のサプライズ感はなし。
②「失楽園」=舞台はシンガポール・ラッフルズホテル(モームの小説で有名なホテルだな)。戦火の欧州と違い、ある種の平和ボケ状態となってしまったこの街にもD機関のスパイが現れる。ある殺人事件を軸にストーリーは展開されるが、真相は闇の中へ・・・
③「追跡」=日本に駐在している英国資本の新聞記者。彼はD機関の噂を聞きつけ、結城中佐の正体に迫ろうとする。その過程で、ある人物に辿り着くのだが、ここで官検の手が・・・。そして、結城中佐の正体は結局(?)
④「暗号名ケルベロス」=これは前編と後編に分かれた中編作品。舞台は、サンフランシスコ~横浜を結ぶ客船の船中。謎の英国人が毒殺されるのだが、真犯人は意外な人物(っていうかこんなの分からん!)。

以上4編。
シリーズの三作目ともなると、だいたい予定調和っていう感じが強くなる。
特に本作では、結城中佐は実際の出番はほとんどなく、英国を中心とした敵対国が彼の幻影に怯えて・・・というプロット。
ただ、前二作に比べると、プロットのキレが今ひとつ(ふたつ)落ちる。
シリーズ随一のボリュームとなった④も、逆に言えば中盤がやや冗長に思えた。

面白いシリーズだけに評価は厳しくなるけれど、相変わらず作品の雰囲気自体はいいし、大人が楽しめるスパイ小説として続編を期待したい。
(ベストはやはり③かな。②もマズマズ。)

No.5 7点 makomako
(2013/07/21 09:39登録)
 なかなか面白かった。実はわたしはこの作品が第3作とは知らずに購入してしまった。インターネット販売は気をつけないとこういったどじを踏むようです(わたしだけかもしれませんが)。でもぜんぜん読むのに不都合はありませんでした。
 うーむ、これぐらい優秀な人間が何人もいたら日本は負けなかったかもね。若干現実感がないためか楽しく読めたことは確かです。
 でもやっぱり最初の作品から読むべきなのでしょうね。早速購入します。

No.4 6点 HORNET
(2013/03/24 15:55登録)
 D機関の工作員達のあまりに卓越した、人間離れした能力・技量は小説という虚構ならでは。それだからこそ面白い。読んでいる間、現実から離れた別世界を堪能できる。短編で無駄なくまとまっているのもよい。虚飾のない武骨な筆致が作品世界に合っていて心地よい。
 シリーズを通して読んでいるので、作品を重ねるごとにこちらが慣れてきてしまっている感はあるが、質的には変わらず高いものを保っていると思う。

No.3 7点 白い風
(2012/10/31 23:39登録)
前2作に比べるとちょっと物足りなさも感じなくはないけど、それでも大いに楽しめました!
「誤算」「失楽園」「追跡」「暗号名ケルベロス」の4編。
やっぱり”魔王”結城の生い立ちに迫る「追跡」が面白かったね。
つい、ドラマ化されても面白いかも?と思っちゃいますね。

No.2 5点 haruka
(2012/06/03 14:16登録)
だいぶネタが尽きてきた感は否めない。

No.1 6点 kanamori
(2012/06/02 12:26登録)
「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第3弾。
ドイツ占領下のパリを舞台に記憶を失ったD機関員の工作を描く「誤算」。英領シンガポールのラッフルズ・ホテルを舞台に米海軍士官が巻き込まれる諜報戦の「失楽園」。サンフランシスコから横浜に向かう豪華客船上のスパイ同士の駆け引きと、殺人事件のフーダニットを前後編で描いた「暗号名はケルベロス」など。
3作目となると新鮮な驚きはないけれど、海外の様々な場所で太平洋戦争前夜におけるD機関の活躍を描いていて安定したクオリティを維持している。
駐日英国人記者が魔王・結城中佐とD機関の正体に迫る「追跡」が個人的ベストかな。因みに、西村京太郎の初期スパイ小説「D機関情報」の”ミスターD”はアレン・W・ダレス(のちのCIA長官)がモデルらしいが.....(これは関係ないか 笑)。

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