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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.16点 書評数:931件

プロフィール| 書評

No.931 8点 ルームメイトと謎解きを
楠谷佑
(2026/08/15 07:18登録)
全寮制高等学校の自殺事件とその後における殺人事件のお話です。
初めにすっきりした性格の主人公と癖があるが頭の切れる友人の出会いが、なかなか面白い。初めはなんて嫌な奴と思っていたのが、いつの間にか親友となっていくところは読んでいて心地よいのです。
殺人事件はある面での密室となり、犯人は主人公たちが住むあすなろ荘の住人に限られるように見えるが、捜査と推理の結果すべての住人が犯人から除外されてしまう。読み手は住人に犯人がいてほしくないような(一部嫌な感じのやつもいるが--これは作者がわざとふりまいたえさでありそうなことはわかるのですが)、でもそうでなくては不可解な事件が解決しないように見えるのです。
殺された犯人は権力をかさに着た嫌われ者。
何となくオリエント急行やそして誰もいなくなったなどを思わせる設定です。
そして犯人はこれら古典的名作とは違った形で提示されます。その時にようやくわたしはきちんと伏線が貼ってあったと気づいたのですが、すでに遅しで作者の罠に完全にはまったしまいました。
読後感も良く素敵な小説でした。
ぜひシリーズ化を。

尚ちょっとだけ不満な点を。多少のネタバレがあります。
ダメ推理に出てくるターザンのように木を伝って逃走したという推理は「案山子の村」でもダメ推理として出てきたもので、たとえくずの推理でも同じものを使うのはどうかと思います。
もうひとつ。
被害者が権力をかさに着て傲慢なことをやっていたのなら、被害にあった後には当然権力者の親がうるさく口出しして話の展開に大いに影響を与えると思われるのですが、そういったことが一切語られていないのはちょっと違和感がありました。
これがちょっと減点の理由です。


No.930 6点 忌名の如き贄るもの
三津田信三
(2026/08/08 10:52登録)
久しぶりに三津田氏の作品を読みました。
ちょっとこのシリーズから離れていたせいか、はじめの何とも言えない臨死体験あたりは何となく凡調な感じがしました。
私自身ホラーだけの作品があまり好きでないせいかもしれません。
でもホラーと本格の融合したような作風は結構好きです。
したがって途中ぐらいからはなかなか興味深く読みました。
二転三転する推理はなかなか面白いのですが、今回の取材ノートの絵がいつもより狭くて詳しくないため、事件が起きた状況が絵を見て理解することができにくかった。尼聞家や銀鏡家の位置がわかる村の絵などが入っていたらよかった。
私はこのシリーズでは結構絵を見て理解していたところがあったようです。


No.929 6点 グラスバードは還らない
市川憂人
(2026/08/02 14:44登録)
マリアと連シリーズの3作目。
最初からとんでもない展開となっているので、これがちゃんと解決するのか心配になるぐらいですが、さすが頭脳明晰な作者だけあってちゃんとした解決となっています。
ただこのシリーズすべてにいえることですが、ことにこのお話ではほとんど解決に至っていないと思われるマリアが突然トリックの解決から、それに至る経過まで見破てしまうといったところがあまりに不自然な感じがします。
それまでいかにもダメ推理していた人間が突如目覚めて真相を解決。
ちょっと変な感じですね。
少しずつ推理を重ねていって最終的にこうした結論に至ったというところがほぼないので、試験で問題を提出されて答えがわからないところで、正解を見せて頂いたといった感じになりました。


No.928 5点 鏡の中は日曜日
殊能将之
(2026/07/29 07:15登録)
過去と現在が混在する筋立てです。
本格ものでは時々ある形でこれ自体は問題がないのですが、最終的なトリックがあまりにしょぼい。
お話の続編のような二つの短編も入っているのですが、これがないとこの長編小説が尻切れトンボのようでもあります。
残念ながらこの短編はあまり感じがよくないなあ。
以前注目していた作家さんでしたが、私にとってはあまり感心しない出来でした。

以下ちょっとネタバレ
まず絶対の間違いは被害者の胃に睡眠薬が発見されたから被害者は熟睡していたというところ。これってまだ薬が胃から吸収されていないのだから効いているはずないと思われるのですが。作者が生きていたら絶対書き直してほしかった。
さらに密室殺人のトリックはほぼ無理そうな確率でのお話なのでかなり白けてしまう。


No.927 7点 ブルーローズは眠らない
市川憂人
(2026/07/25 06:42登録)
前作の出来からかなり期待して読んだのですが、まずまず期待を裏切らない内容でした。
青いバラというのは非常に作るのが困難ということは聞いていましたが、これをネタにこんな話を作った作者の力にまず敬服します。
お話の初めの内はどうももう一つ何が言いたいのか不明なところもあるのですが(これは本格ものでは当たり前ではあります)、次第に意外な展開となります。
最後はああこんなお話だったのかと、見事に作者にしてやられました。
私の好みとしてはジェリーフィッシュのほうがちょっと好きかな。

以下ちょっとネタバレ気味、
登場人物の性別が不明なところがありました。これも伏線といえば伏線なのでしょう。


No.926 7点 案山子の村の殺人
楠谷佑
(2026/07/18 08:42登録)
本格長編推理小説のほぼすべての要素を含んだ作品です。
トリックや推理の要素を楽しむ方なら最適の小説と思います。
作者は細かいところまで精緻に考え抜いてトリックを案出したようです。パズル型の小説としても良いのでしょうが、そうすればもっと短いお話となってしまう。
そこで長編とするには田舎の要素やちょっと怪奇な要素などを盛り込み、怪しげな人物も登場させてといった作業を加えて味付けしたのでしょうか。
そういったものがしっかり入っているのですが、読んでいると明らかに「味付けしましたよ」といった感じが否めませんでした。
作者にはもっと自然でしかもおどろおどろしい感じの作品を望みたいですね。
私の好みに合うお話でしたので、ちょっと贅沢なの要求をしてしまいました。
次の作品を期待します。


No.925 8点 ジェリーフィッシュは凍らない
市川憂人
(2026/07/11 07:28登録)
クローズドサークルの本格ものです。
クローズドサークルは推理小説では時々お目にかかるものですが、犯人が消えてゆきだれもいなくなってしまうところはまさに「そして誰もいなくなった」でした。
謎の解明でもあまり無理がない。綾辻氏がその手があったかと書いているように見事にしてやられました。
久しぶりに読んでいてワクワクするような小説でした。作者は素晴らしい能力の持ち主のようです。シリーズを読み続けます。
書評などを見るとこのシリーズは評価が高いようですので楽しみです。

一つ不満。
登場人物のせりふで、だれが喋っているのか不明なところが何か所かありました。確かにいちいち誰それが言ったと付け加えるのはあまり面白くはないのですが、誰が言ったか不明というのはやはり気持ちがよくはないです。作者は映画のような画像をイメージして書いておられるのかもしれませんね。


No.924 7点 あなたへの挑戦状
阿津川辰海 × 斜線堂有紀
(2026/07/11 07:14登録)
かなり作風が違う二人の推理小説家によるこういった企画はなかなか面白い。
私の好みからすると阿津川氏しの作品のほうが本格ものらしく、とんでもない発想もあり面白かった。
斜線堂氏の作品はお話自体に色々と無理が重なっているようです。
もちろん両方とも現実からいえば全く無理なお話ではあるのですが、阿津川氏の「水槽城」はいかにも本格ものの世界でのお話として読めたのですが、斜線堂氏の「ありふれた眠り」は、犯人が早い段階で限定されどうしてそんな行動をとったかというところが共感しがたかったため、無理なお話と感じてしまったものと思います。


No.923 4点 袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる
日部星花
(2026/06/20 07:55登録)
先祖の呪いで事件に巻き込まれやすく、巻き込まれるとその周囲がクローズドサークルとなり解決しない限り脱出できないという、とんでもない想定のお話です。
なかなかのことを考えるなあと感心します。
これならかなり自由に推理小説が描けそう。
何度か事件が学校で起きます。それも殺人事件まで起きてしまいます。
連作物のようでもあり、最終場面ではどんでん返し様のお話ともなっています。
これだけからみたら新しい本格ものの世界を切り開いたようにもみえるのですが、いかんせん話の中身がかなりしょぼい。
さらに高校生が学校で殺人事件に巻き込まれ、犯人も周囲に登場する高校生らしいなんてことになるといよいよ大変です。

以下ちょっとネタバレ

登場人物がとてもそんなことをやるとは思えないような性格に描かれているため、真相が暴露されると強い違和感を感じました。
こんな犯罪をやるような人物なら全体がそれなりに変な集団とするか、作者の駒のように人格があまり描かれないようにしないと。普通の高校生が普通に行動していて突然殺人犯でしたと言われてもふつう信じられませんよね。


No.922 5点 ラブカは静かに弓を持つ
安壇美緒
(2026/06/14 08:52登録)
読んで気分が悪いといったことがなく読後感も悪くない小説ですが、私にはあまり心に響きませんでした。
音楽に関してはそれなりの描写があるのですが、登場人物の外見が美人、長身など当たり前の表現しかないので、ことに女性の魅力に欠けると思いました。
女性の作家さんなので男性が感じるような感覚の表現は難しいのでしょうか。
唯一うまく描けているのがチェロの先生の浅葉さんです。この人は単純でなかなか素敵です。
主人公も結構めんどくさい性格で(社交障害?)、これが変化していく様子がお話の進行とともに進んでいくのですが、まあこんなもんでしょうといった感じです。
意外な展開といえばそうですが、評価は主人公のうじうじさが好みかどうかにかかるのでしょう。


No.921 5点 ダ・ヴィンチの翼
上田朔也
(2026/06/06 19:23登録)
この作品はファンタジーなんです。ファンタジーならもっとウキウキする感じが欲しいところ。
読んでいて悪くはないのですが、すごく魅力を感じるということもなかった。
ドラゴンクエストのストーリーだけを読んでいるといった感じでした。
RPGゲームは好きなのですが、ゲームがないお話だけだともう一つということとなってしまう。
小説としもっと魅力的になりそうなのですが、残念ながら何かが足りない。


No.920 6点 馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ
辻真先
(2026/05/15 07:42登録)
いきなり殺人があった後に悲し長いこと昔のテレビ局の内情のお話が語られる。
私のようにお笑い三人組やバスどおり裏などをリアルに見ていたものにとっては、ほとんどが故人となってしまったなつかしい俳優たちの話題と共に楽しく読めるのだが、若い読者にとってはちょっと長すぎて退屈するかもしれません。
作者は同郷の同学の先輩でもあり、そちらのお話も私にとっては興味深いものでした。
ただテレビ局特有の何とかディレクターの略語がたくさん出てきて、実際に何をやる職なのかがとても分かりにくかった。
肝心の殺人事件では現場の略図が乗っているのだが、被害者の位置が示されていないのでどのように事件が展開したのかがもうひとつわかりにくかった。


No.919 4点 汚れた手をそこで拭かない
芦沢央
(2026/05/06 07:23登録)
みなさんの評価が結構高いのに申し訳ありませんが、私はこういったお話は合いませんでした。
主人公が暗くてうっとうしいお話。特に「ただ運が悪かっただけ」で殺される中西などは読んでいても嫌になってしまうことばかり。それが延々と繰り返される。あーいやだなあ。こんな話読みたくないよ。といった印象でした。


No.918 7点 君の望む死に方
石持浅海
(2026/04/28 21:22登録)
かなり変わった設定でのお話。
こんなことがありうるとは思い難いのだが、本格推理はもともと思い難い設定で成り立っているともいえるのでそれは許しましょう。
素直にお話を読んでいくと精緻な理論で構成され、これを論破するさらに精緻な理論といった感じがするのですが、実は探偵碓氷優佳の理論はシャーロックホームズの理論と似ていて、感覚的な一つの可能性に過ぎないものを決定的な証拠としてしまうところがあるように感じます。
作者が意図するように素直に読んでいく読者ならすごく精緻な感じがしするでしょうが、ちょっと待てよと思う様な人にはちょっと強引でうまくいきすぎといった感じがするかもしれません。
私は素直に騙されるほうなのでちょっと違う可能性もあるがなあと思いつつも、楽しく読みました。


No.917 4点 此の世の果ての殺人
荒木あかね
(2026/04/16 21:14登録)
最年少で江戸川乱歩賞を取ったとのことでちょっと期待して読みました。
地球に隕石が当たり人類が滅びてしまうことが分かった後の殺人事件という、なかなかすごい設定です。
二人の女性が探偵となって事件を追っていくのですが、初めは何となく好ましい感じの二人が、だんだん異常なところを見せてきます。
犯人は出てきたところから何となくわかってしまったのですが、これまた極めて異常な性格。
かなり殺伐とした感じが漂い、私は好きになれませんでした。
たぶんこの作家さんとは感覚が合わないようなので読んでいて楽しくなかった。


No.916 7点 うしろから歩いてくる微笑
樋口有介
(2026/04/11 16:39登録)
樋口氏は同年代なので、多くの作品をリアルタイムで読んでいました。
いつも軽妙な受け答えが魅力の一つで、こんな受け答えができたらかっこよいだろうなあといつも思っていました。
女性の描写が実によく、多くの女性が個性的な魅力を持って描かれています。段落が変わるたびに出てくる風景描写もとても美しく、もともと文学小説を目指した方の作品であることがよくわかります。
本作が氏の最後の作品となってしまったことは誠に残念。
きちんとした推理小説となっていますが、軽妙な受け答えと女性の魅力を味わうだけでも私にとっては楽しかった。


No.915 5点 あらゆる薔薇のために
潮谷験
(2026/04/03 17:50登録)
特殊な設定の下での特殊なお話。
とんでもない病気を考え出したものです。それが前提となってのお話なので、これが受け入れられない方は全く馬鹿みたいに思えてしまうでしょう。
まあ本格推理なんてもともととんでもない前提に立ったとんでもないお話と言ってしまえばそれまでなのですが。
それにしても登場人物が無味乾燥。ほとんど個性が感じられない。名前も凝ったというより覚えにくい変なものばかり。容貌や外見、周囲の描写などが最低限しかないため人物が作者の駒としか感じられない。
読み進むとこういった書き方は作者がわざと意図して書いているようなのだとわかるのですが。
探偵役の警察のほうもかわいくない部下の女性やうるさい上司などが出てくるのですが、人物として感情移入がほぼできそうにない。
作者は才能がありそうに思いますが、あんまり好きでないお話でした。


No.914 6点 扉は閉ざされたまま
石持浅海
(2026/03/26 20:36登録)
倒叙ものは犯人や手口があらかじめ明かされているのでどうしてもそのあとの推理、ことに完璧に見える犯罪がちょっとしたところから壊れてしまうといったところが読みどころとなります。
そういった点からみるとこのお話はかなりうまくできていると思います。
犯人と探偵の関係はなかなか微妙で、この点はかなり面白く読みました。
ただ多くの方が指摘されているように、犯人の動機はやはり無理があります。この程度のことで友人を殺さなくてもよいでしょ。潔癖すぎるといってもほどがある。
それに名探偵も理性と冷静さが際立っているなら、こんな行動はとらんよね。でもこんな行動に出るところがちょっと好きなんだけど。


No.913 7点 伯爵と三つの棺
潮谷験
(2026/03/19 19:08登録)
ずいぶん古臭い時代のヨーロッパでのお話。貴族が特権階級でフランス革命が起きたばかり。
こういった設定は現代では成り立たないトリックがいくらでも使えるというメリットがありますが、この設定を単に古臭いと思えてしまうとお話に対する興味がなくなってしまいそうです。
私は結構この設定が気に入りましたので興味ぶかく読みました。
ほかの方も書いておられますけど途中で話がちょっとだれてきます。時代がかった性格の登場人物にもやや違和感を抱いてしまいそうですが、最後のどんでん返しはなかなかです。だまされた。でも読後感が悪くない。
おお。やるではないか。作者の違う作品も読んでみよう。


No.912 6点 ハウスメイド2 死を招く秘密
フリーダ・マクファデン
(2026/03/10 19:56登録)
翻訳物としては実に読みやすい。訳者が優れているのでしょう。
主人公のミリーはこの物語の初めの部分ではどうも優柔不断というか、すごく良い条件が目の前にあるのになぜかぐずぐずしている。
ある意味不明のぐずぐずではあるが、中盤以後になるとがぜんミリーらしく、とんでもない行動力となってくる。
前半読んでいると、大体お話の進行がわかってくるように思えたが、読み進むにしたがって予想を裏切る展開となる。
おおそうくるか。なかなかですな。
途中からは一気読みとなりました。

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