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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:875件

プロフィール| 書評

No.875 5点 檜垣澤家の炎上
永嶋恵美
(2025/04/01 21:26登録)
重厚な作品ではあります。
細雪を思わせる時代と状況設定。まさに関東版細雪とでも言いたいところなのですが、いかんせん谷崎のような色っぽさと妖艶さがないのです。
その代わりといっては何ですが、殺人事件が起こり推理小説の要素がありますが、これがあんまりよろしくない。論理的な推理の要素が少なく、感覚的な推理で犯人を見つけ出してしまう。登場人物があまり好みのタイプではなく、ことに主人公が表向きには上品だが実は嘘つきで性悪の傾向。さらに殺人を犯した犯人はとんでもない性格が、突然明らかになる。
これが本格ものではじめから変な人間ばかり出てくるのならまだ納得できるのだが、上品を装ったお話の中に突然サイコパスみたいな人が出てくるとさすがに違和感があります。
良いところがたくさんあるのですが、私にはあまり心に響かず、長い小説を頑張って読んだといった感じでした。


No.874 6点 QED 源氏の神霊
高田崇史
(2025/03/22 20:36登録)
この小説でのメインテーマは源頼政がなぜ超高齢なのに起ちあがったのかといったところなのでしょう。頼政は平家物語などでは源氏が立ちあがっても源氏にくみせず世渡りしていくのに、最後は無謀と思われる戦いをして一族を滅ぼしてしまうような感じに描かれており、一般にあまり評判がよろしくないように思いますが、この本を読みなかなかに素晴らしい人物であったと再認識しました。
もちろんQEDシリーズですから殺人事件が発生して、それに対してこの歴史推理が絡んでくるのですが、それがいかにもとってつけた感じは否めません。
QEDシリーズは作者の歴史観が桑原崇を通じて示されるところに興味を持つか否かによって好き嫌いが分かれると思います。
実際に起きた事件とこの特有な歴史観が結びつけることにどうしても相当に無理が生じてしまうことは否めません。
この作品ではそういった無理がちょっと目立つところが気になりますが、このシリーズが好きな方には悪くはないと思います。


No.873 6点 呪殺島の殺人
萩原麻里
(2025/03/04 21:39登録)
もし私がもっと推理小説を読んでいない頃にこれを読んだら、大いに関心していたものと思います。
残念ながらずいぶん多くの本格推理を読んでしまったので、このお話があちこちのミステリーをつぎはぎしたようなお話となってしまっていることにすぐに気づいてしまいました。
密室殺人、記憶消失、呪われた家族、いかにもといった登場人物などどれをとってもそんなのがあったなあというものなのです。
さらにシチュエーションが孤島で大雨、橋が流され、携帯は圏外。やってくれますねえ。
サービス精神旺盛。
でもオリジナリティ-はほとんどない。
作者が女性のためか、美人でセクシーであるはずの登場人物がたくさん出てくる割にもう一つ性的魅力がうかがわれないのも残念です。
作者の意欲はうかがわれますので、ほかの作品も読んでみましょう。


No.872 6点 古事記異聞 陽昇る国、伊勢
高田崇史
(2025/02/28 19:52登録)
このシリーズははじめは殺人事件などが起きましたが、今回は殺人などの事件は全く起こりません。
主人公たちの民俗学的な実地研究のような内容のみです。
したがって従来のような無理に事件に話を結びつけるといったことがないので、かえってすっきりと読めます。
ただしほとんどが伊勢の神様に対する今までと違って見方の検証のような内容ですので、こういった内容に興味がない方には退屈かもしれません。
私はこんなお話が好きなので関心をもって読みました。


No.871 6点 QED 恵比寿の漂流
高田崇史
(2025/02/24 20:00登録)
QEDシリーズは一時終了したと思いきや不定期に時々出てきますので、逃さないように読んでいます。
こういった歴史推理と殺人事件を組み合わせるのは非常に興味深い。
ただこういった人知れず続いてきた歴史背景が殺人の動機となるようなお話を何作も書くということはやはり難しいのでしょう。
今回は対馬でのお話で、首切り殺人が連続で起きたのを博学のタタルが独特の歴史推理のもとに一気に解いてしまいます。
相変わらず歴史推理は興味深いのですが、それがあっさり事件の解決となってしまうのはちょっと無理がある。ほんとにこんなことが動機で連続首切り殺人が起きうるもんなのですかねえ。
私は本シリーズのファンで、実際に対馬でここに出てくる神社の一部を見てもいるのでとても興味がわいたのですが、そうでない方はもうちょっと低い評価となりそうです。


No.870 4点 図書館に火をつけたら
貴戸湊太
(2025/02/18 20:42登録)
この小説は本格推理として書かれています。
推理小説の形としては、興味深い謎、不可能犯罪のように思える事件、そして密室とその解明などきちんと整っています。
読後感も良い。
これだけそろえば本格ものが好きな私としては高得点をつけたいのですが、残念ながら低い評価となりました。


以下ネタバレあり。
防犯カメラに人が映らなかったのは図書館の書庫に住んでいたため??。
ちょっとひどくないですかねえ。住んでいた人は食事やトイレはどうした?。服の着替えなんかも。推理小説なのでありファンタジーであるオペラ座の怪人じゃないのだから。
それに容疑者を特定していく手段が穴だらけで、とても納得できない。

表題がファンタジー風なので、いっそファンタジーとして書いてくれたら結構評価が高くなったと思います。


No.869 7点 世界でいちばん透きとおった物語2
杉井光
(2025/02/14 21:30登録)
1作目も凝った内容でしたが、これまた非常に凝ったお話でした。
第1作も出だしがとてもよく興味津々で読み進めましたが、本作品もお話として出だしから中盤へ興味深く読めました。
作中作のようなお話が作者の片割れが死ぬことにより突然終了せざるを得ないこととなる。ものすごく思わせぶりなところでの終了なのに生き残ているもう一人の作者は引き続いて書かない。どう見てもこのままでは収まらないから続きを予測して書いてみないかということとなるのだが。
もちろん最後には主人公が続きを書くこととなる。
できたお話はどんでん返し的な展開となり終了する。
お話は多くの謎が矛盾なく解決して終了するのだが、なにかしっくりしない感じが残りました。
たぶんこのお話を他人が続けて書くこと自体が本来無理だったのを、無理やりでっちあげたような感じがするせいなのでしょう。
こういった不満は残りますが、作者の力は感じます。
次作を期待しましょう。


No.868 7点 死はすぐそばに
アンソニー・ホロヴィッツ
(2025/02/05 21:45登録)
凝った構成でまず初めにホーソーンが述べたお話を小説化した世界が提示されるがが、作者が実際に尋ねてみるとまた違った環境と人物評価となる。
この辺りは時に見かけることもあるのですが、なんせ犯人と目される人が死んでしまい、告白したような文章まで残されている。
どう見てもこれで終了なのだが、小説はまだ半分ぐらいしか進んでいない。大体これで終わりならこんなお話は全然読むにたりないこととなる。実際小説の中でもそんなことが述べられているのに、まだまだ話が続くのであるからきっと新たな展開となろうと興味津々で読み進むことができました。
するとお話は大展開。
やっぱりこのままで終わるはずないよね。それにしても鮮やかな推理なのですが、これもまた決定的にダメだしされてしまう。
あれあれこれでは困るではないかと思っていたら、作者はきちんと解決させてくれました。
さらにホーソーンと助手のダドリーが分かれた原因も解明されます。
おもしろかった。

ちょっとネタバレ
一つしっくりしないところがあります。いまからでもよいからどうして木の下を掘り返さないのでしょうかねえ。そうすれば完全に犯罪が解決すると思うのですが。


No.867 6点 人面島
中山七里
(2025/01/04 10:04登録)
 前作があるのを知らずこの作品を読んだので、人面創が喋りだしたところでちょっとびっくりしたのですが、すぐになれました。
 設定は本格推理としてはよくあるパターンですが、なんせ人面創が名探偵なので本格ものとしてはちょっと異質です。
 さすがに中山氏の作品だけあって読みやすい。
 横溝正史の作品風でもあり、こういった雰囲気が好きな方は面白く読めると思います。
 残念なのは登場人物が殺されてどんどん少なくなっていくためもあり、私のようなほとんど作者の思うがままに騙されるタイプの読者でも、犯人は大体見当がついてしまうところでしょう。


No.866 6点 ボタニストの殺人
M・W・クレイヴン
(2024/12/30 08:41登録)
クレイヴンの作品は初めて読みました。
本作品がシリーズ5冊目だということも知りませんでしたが、読むのにさほど問題はありません。
これを読むと警察側の登場人物も標的とされた人達(めちゃくちゃなやつなので世間が死んでよかったと思っている)も、とても品が悪い。
クリスティの小説に出てくるような品の良さは全くなく、ひどい下ネタを言いまくる。イギリス人てこんなんだったのかなあ。
密室トリックに関しては雪密室のほうはさておき、警察が完全に見張っているのに殺人が実行されたのにはかなりびっくり。
最近の密室ものはとても無理な方法やどこかで読んだもののひねりといったものが多いなかで、ほぼ納得できる方法を使っていると思います。
ただしこのサイトで述べられているように医学的知識がないと分かりにくいかも。ついでに行ってしまうと被害者が受けた手術はたぶん内視鏡でできそうだし、開腹しても胃切除はしないであろうから、生涯食欲が落ちることはないと思われます。


No.865 3点 爆弾
呉勝浩
(2024/12/15 09:25登録)
皆さんの評価が高いのに、このような評価で申し訳ありません。
私にはこのお話は全く合いませんでした。
確かにミステリーとしては優れているのでしょうが、私は登場人物がグタグタと嫌味な発言を繰り返しているのに、嫌気がさしてしまいました。
さらに取り調べている側の警察さんも、いつも上司の態度に不満を抱えてでもまあ一生懸命にやるといった感じで、あまり感じがよくないのです。
愚痴の連続のようなお話でもあります。
したがってこんな評価でした。
ミステリーとして読んで楽しいと思われる方はとても良いのでしょうが、登場人物が好きになってしまいながら読む傾向のある読者にとっては好ましいものではありませんでした。


No.864 5点 名探偵の顔が良い 天草茅夢のジャンクな事件簿
森晶麿
(2024/12/12 19:49登録)
あまり中身の濃い小説ではありませんでした。
題名から見てもわかりますが、本格ものを真正面から挑んだのではなく、パロディーとして軽く作った作品です。
ジャンクフードがたくさん出てきて事件も密室、アリバイ崩し、双子トリックなど山盛りに出てきます。
サービス精神たっぷりで読みやすいのですが、どの話もまあこんなもんでしょうといった感じが否めません。
時間つぶしになら悪くはないですが。


No.863 7点 捜査線上の夕映え
有栖川有栖
(2024/12/05 15:20登録)
 このところ有栖川氏の長編は不可能トリックが表に出るのではなく、トリックはあるにはあるがそれがメインのお話ではなくて、アリスと火村の掛け合いや人情あふれ展開と美しい描写が重きをなしているように思われます。
 今回は瀬戸内海の孤島が実に美しく、そこに住む人たちもとても感じがよい。
 いいなあ。こんなところでしばらくのんびりしたい。
 さらに時々脇役で出てきているコマチ刑事が重要な役割を果たします。魅力的な人物です。
 読後感がよい素敵な小説でした。
 


No.862 7点 日本扇の謎
有栖川有栖
(2024/11/24 15:47登録)
 有栖川氏はトリックメーカーと評価されていることもあるようですが、ことに最近の作品ではお話の深みややさしさが加わってよい雰囲気が味わえます。
 本作品でも密室のトリックはちょっと推理小説が好きな読者ならあまりに簡単というか使い古されたものなのですが、本作品は密室トリックがメインではなく、記憶消失や家庭の事情などが主となる謎です。これをどう解決していくかが見せどころなのです。
アリスが次の作品のためのトリックをいろいろ考えて、ダメトリックを没としている姿は、さすが推理作家といったところ。
 はじめはちょっと緩いが、読んでいくとなかなか面白くて、読後感もよい。


No.861 6点 あなたが殺したのは誰
まさきとしか
(2024/11/12 19:12登録)
全く関係のないお話が最後にはきれいに一点に集中してくるといった、本格推理小説の基本からいえばよくできた小説お思います。
ただあまりに暗い。
この作家さんは力がある方と思いますが、私にとっては読んでいてこんな暗い、やりきれないお話を楽しむことはできそうにないです。
いわゆる社会派の小説であることは間違いなくこういった話を好まれる方はおられるとは思いますが、私はダメでした。
ただ小説としての出来は良いように思いましたので評価は私の読後感からすれば高くつけました。


No.860 3点 名探偵に甘美なる死を
方丈貴恵
(2024/10/24 18:58登録)
本格推理がパズルを解くようなトリックのみに興味を示す方にとっては、評価が高いのでしょうが、あまりにも人殺しをゲームとしてのみ扱って楽しいもんだろうかとちょっとでも感じるものにとっては、読むのが苦痛となりそうです。
三部作としてだんだんゲーム感覚が進化してきていると思いますが、ここまでなると私の感覚からするといやだなあ。
これを楽しむには殺される人にも愛する人がいて家族がいてなどとは考えてはいけないのでしょう。
私には全くあいませんでした。


No.859 7点 透明な螺旋
東野圭吾
(2024/10/14 07:56登録)
このサイトでは評価が低いようですが、私は気に入っています。
何を小説に求めるかによって当然評価は異なるのでしょう。
この小説に奇想天外な推理と本格推理にありがちなエキセントリックな探偵を期待すればこの小説の評価が下がるのでしょう。
作者はもともと本格推理でありがちな、ロジックだがとんでもなく、そして人間の情など全く考えたこともないといったお話から少し異なることがしばしばあり、そこが私としては好きなところ。
最近はちょっとこういった要素が薄くなり、若干冷たく薄利多売的小説が増えたような感じがしていましたが、これは推理とともに人間の情を訴えるところが強く出ています。
もちろん推理小説や実際の捜査なら問題となるところが大いにあるのですが、私はこういったところが好きなので、大いに感動しました。


No.858 7点 奔流の海
伊岡瞬
(2024/10/09 21:22登録)
一気読みされたとの評がありますが、私は一気読むことはとてもできませんでした。
まず初めのあまりに悲惨なお話。
若いころなら何とか読んでしまうのですが、最近はこういったひどい境遇のお話を読むのが苦痛になり、一度ならず読むのをやめていました。
でも思い立って読み進めると意外にそこからは読みやすい。
一見無関係なお話が最後に行くにしたがってつながってきます。
最後はハッピーエンド風となり、読後感はよい。
でもある程度展開は読めてしまうところがちょっと残念。
推理の要素は少ないが、読む人によってはとても感動的なお話となると思います。


No.857 4点 六法推理
五十嵐律人
(2024/08/31 10:24登録)
 どうもこの作家さんとは感覚が違うようで、いろいろな事件のなぞ解きがあるのですが、私にはどれも今一つピンときません。
 よく読むときっと探偵役のきちんとした法律による推理と、相手役の女性の推理が混ぜ合わさって回答となっているように思うのですが、私にはこにある連作のどのお話もしっくりこないのです。
 また主人公の家は父が裁判官で母が弁護士で兄が検事で、家で模擬法廷を開いているといったすごい家族で、みんなそれぞれ極めて優秀。しかし考え方は職業上かなり異なるといった設定なのですが、これまた私の感覚とは多少異なった人ばかり。
 どうもついていけそうにありませんでした。
 感性が合う方なら興味深く読めるのだと思います。


No.856 4点 彼女が最後に見たものは
まさきとしか
(2024/08/06 07:10登録)
こういった悲惨な社会派小説は一部の人には高評価となると思います。
私も若いころはこんなお話を根気よく読んでいたのですが、年をとるに従い読んで嫌になるお話に付き合うことが苦痛になってきました。
なんでわざわざ気分が落ち込むような話を読まされるのといった感じですかね。
こういった小説の探偵役は正義感にあふれた一徹な人が多いと思います。その方が共感しやすいですから。
本作品の探偵役はかなりエキセントリックです。
本格ものなら作り話の中での味付けのように思えますが、こういった話の探偵としてはちょっと違和感があります。
読んで疲れました。

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