home

ミステリの祭典

login
ファラオの密室

作家 白川尚史
出版日2024年01月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 虫暮部
(2024/06/27 12:30登録)
 AC『死が最後にやってくる』に期待していた世界はこんな感じかも。導入部の冥界探訪エピソードがとても良い。
 神官は神官、奴隷は奴隷、と立場に応じて思考にリミッターがかかっているあたりも世界設定を巧みに補強している。その観点で言えば “お前の人生はお前のものなのだ” と語るセティの父イセシが最も現代的でリベラル?

No.2 6点 mozart
(2024/02/03 12:31登録)
古代エジプト時代の物語であるとかそこで信じられていること(冥界の存在や死者の蘇り等)が「事実」であるとかいったことを所謂特殊設定モノとして受け入れることが前提となっていますがミステリーとしては結構「本格」でした。某作家のようなややバカミス?風の密室トリックもあったし。最後の「どんでん返し」も謎とは直接関係ないかも知れませんが伏線の回収という意味ではそれなりに納得の行くものでした(勿論最後まで気付きませんでしたが)。

No.1 6点 文生
(2024/01/14 10:44登録)
古代エジプトで謎の死を遂げ、ミイラとなった神官が失われた心臓の欠片を取り戻すために蘇るが、そこでファラオのミイラ消失事件に巻き込まれ…。

2024年 第22回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作ですが、本格ミステリとしてはイマイチ。密室状況における主人公の死とファラオのミイラの消失という2つの大きな謎が提示されるものの、真相はどちらもたいしたことはありません。むしろ、ピラミッドの石材運搬にまつわるサブの謎の方が気が利いているぐらいです。しかし、古代の神々が存在する世界での奇想天外な物語のなかに本格ミステリの要素を無理なく溶け込ませており、エンタメとしてはなかなかに読ませます。本格メインの作品だと思わなければ十分に佳品です。

3レコード表示中です 書評