たかだいさんの登録情報 | |
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平均点:5.06点 | 書評数:218件 |
No.218 | 8点 | 悪魔の涙 ジェフリー・ディーヴァー |
(2025/08/17 17:42登録) 実際に読んだのは何十年と前の事だが、それでも本書は印象に強く残っている あまり作家に拘っていなかった私が「ジェフリー・ディーヴァー」という作家を知り、以降、少なくとも海外作家の中では不動の一番となったきっかけになった作品でもある 氏の作品としては「リンカーン・ライム」シリーズが有名であるが、本作はノンシリーズ物という事も好転したのかもしれない それはさて置き本作だが、銃乱射事件と事件に関わる脅迫状が主軸となり文書の専門家パーカーが文書に秘められた僅かな痕跡から犯人像を浮かび上がらせていくサスペンス物である その真相というか結末も勿論面白いのだが、個人的には主犯の手足として無差別に銃を乱射して回る実行犯の存在が特に面白く感じた。手製のサイレンサーを装着したマシンガンで弾丸をばら撒く凶悪さと、主犯の言いなりになって自己に乏しく行動するある種の稚拙さ、そこに化け物じみたしぶとさが加わって『怪人』といった印象が強く残っており、(かなり時が経って多少なり記憶違いしてる可能性はあるにせよ)敵役として良いキャラしてたなと今でも思う |
No.217 | 6点 | 蛇姫荘殺人事件 和久峻三 |
(2025/08/17 16:21登録) 西村京太郎の「十津川警部」、内田康夫の「浅見光彦」、山村美紗の「キャサリン」と並んで2時間サスペンスの常連「赤かぶ検事」 名前は知っていてもシリーズ(というか和久峻三氏の作品自体)未読だった為、「○○館」だの「○○荘」だといったタイトルの館物が好物の私が一番興味を惹かれた本作をチョイスして読んでみた次第 1本の長編かと思いきや、やや長めの短編が3本から成る短編集でした タイトルになっている「蛇姫荘」はその内の2作目で、しかも言う程館物では無かったのは残念でしたが、中身は一番ボリュームがあって内容に力が入っていた印象 他の2作に関しては、話の筋書きは面白いが「その殺し方は無理ないかい?」なオチのやつと、倒れていた女性を救助しようとしたらそのまま犯人だと告発された男の話で、どちらも突っ込み所はあるが普通に楽しめる 文章がわりと軽快に感じられたのと、赤かぶ検事の自然体なキャラが性に合ったのかすんなら読み進められた作品でした 個人的には「西村京太郎」「吉村達也」に次いでかなり気楽に楽しめるミステリーを書かれる作家かもしれないと感じつつ、他のシリーズ作品にも積極的に触れてみようと思います |
No.216 | 3点 | 人面島 中山七里 |
(2025/08/15 17:24登録) 主人公は相続鑑定人を務める冴えない男で、男の身体には喋る(!?)人面瘡があり、この口の悪い人面瘡が事件を見事解決に導く探偵役を担うというかなり異色の探偵小説 設定の面白さやキャラクターの個性が光る作品というかシリーズで、個人的にはそれ以上でもそれ以下でもないと感じた 確かに何処となく横溝正史を想わせる雰囲気はあるものの、内容そのものにそこまで魅力が感じられず、真相も含めてあまり面白味は無かったように思います 私としては中山七里という作家は『護られなかった者たちへ』や『隣人はシリアルキラー』のような現代社会に根ざした社会派ミステリーで本領を発揮する作家という感じがしていて、少なくとも本作のような本格推理物は微妙な気さえします |
No.215 | 6点 | 魔女は甦る 中山七里 |
(2025/08/15 17:08登録) 猟奇殺人を扱ったサスペンスかと思いきや、巨大製薬会社の陰謀が絡むクライムミステリー…と思わせて、実はホラーという属性(ジャンル)てんこ盛りなミステリー作品 序盤こそ普遍的な警察小説と言った感じて話が進んでいきますが、被害者が元製薬会社の研究者という経歴から製薬会社に関するきな臭い話や、嬰児誘拐、新型麻薬を使った凄惨な事件も絡んで加速度的にストーリーが転がる様はなかなか面白かった 終盤以降(全体のおよそ1/3くらい)から展開がB級モンスターパニック映画のそれになり賛否は分かれそうですが、ヒッチコックの『鳥』然りそういった映画を見漁っていた時期もある私からすれば十分に楽しめる内容でした |
No.214 | 5点 | 雪煙チェイス 東野圭吾 |
(2025/08/14 16:43登録) スキー場シリーズの3作目 今回、事件の真相そのものはさして問題ではなく、追う者と追われる者のやりとりを楽しむエンタメ作品となっている 正直な話、本作はサスペンスと呼ぶ程緊迫感があるとは思えないし、そこに期待し過ぎると作中の雰囲気が軽すぎてダメだろうと思う 迂闊な行動のせいで殺人犯の汚名を着せられ掛けている大学生と、上司の見栄に振り回される刑事が織りなすドタバタな追いかけっこ…くらいに思ってエンタメと割り切ると意外と楽しめる 別にそこまで考えながら読んでいたわけではありませんが、ライトノベルを読むように肩肘張らずに気軽に楽しむ分には及第点な作品だったように思います |
No.213 | 3点 | 女王はかえらない 降田天 |
(2025/08/14 16:29登録) 子供には子供の世界があり、それは大人が思っている以上に残酷で残忍…って感じの話 特にイジメの内容があまりに生々しくて、基本的に嫌ミスが苦手な私にとって非常に読むのがキツかった…… 嫌ミスとして、また叙述トリック物としての出来は良いと客観的には思うし、文章も読み易くてスラスラ読める作品だとは思う この作品を評価する人が多いのも納得出来る ただし、私個人の感想としては生々しいまでの陰湿さがキツくて、とても面白かったとは言えない 叙述を絡めた真相という驚きを持ってしても、合わないものは合わない とは言え、降田天というコンビ作家には興味関心があるので、次は「すみれ屋敷の犯罪」辺りを狙ってみようかと思います(「少女マクベス」も興味はあるが、この作品と似た匂いを感じずには居られないので敬遠しておきます…) |
No.212 | 7点 | 007/ゴールドフィンガー イアン・フレミング |
(2025/08/13 19:23登録) 本家イアン・フレミングによる『007』は短編集「バラと拳銃」しか読んだ事がなく、しかもその短編集自体シリーズから見たら異色作が多めという事で本格的(?)な007は本作が初となる ショーン・コネリー版で映画化され、「ゴ〜ルドフィンガ〜」というエンディング曲のフレーズが妙に頭に残る作品だったが、本書はその原作である 金に異常な執着を見せる悪党「ゴールドフィンガー」とジェームズ・ボンドの対決という単純明快なストーリーながら、大まかにポーカー、ゴルフ、ノックス・フォート、飛行機と4Rに渡る攻防が描かれ、手に汗握るスリリングな展開は流石007と素直に思った 映画ほど派手なアクションシーンはあまりないが、かといってスパイ小説特有の難解さも(良い意味で)ないので読み易く、前述のように手軽に緊張感を楽しめる作品に仕上がっていると感じた |
No.211 | 6点 | まだらの蛇の殺人 阿井渉介 |
(2025/08/10 10:38登録) 以前レビューを挙げた「風神雷神の殺人」を含むシリーズ作品の第一弾です 将来有望の若手ホープと、ギャンブル狂いのロートルという凸凹コンビが、田舎の富豪一族を襲う『蛇の呪い』の謎に迫る本格推理物 相変わらずと言うべきかギャンブル狂いの相棒がどうにも好きにはなれないシリーズですが、一つのミステリー作品としては質は高めかなと思います ハブの数倍という強力な毒を持つ海蛇に噛まれて死んでいく兄弟、蛇が蠢く気配があちこちで漂い、蛇にまつわる伝承が残る池では過去に入水自殺も起きており、それらが一つの真実にまとまっていく様はなかなか面白かった シリーズとしては意外と気に入っているので、近々他の作品も読んでみようと思います |
No.210 | 7点 | 暗闇の囁き 綾辻行人 |
(2025/08/09 17:53登録) 現実の世界を舞台としているのに幻想的な世界観が漂う辺り、なんとなく綾辻行人らしさを感じるサイコスリラー(個人的にはサスペンスというよりこのように感じられた) 何故かタブーとされる子供「あっちゃん」、美しい兄弟、絶大な権利を握る父親、自失の母親、欲に駆られる叔母親子、怪しげな使用人夫妻…一癖も二癖もある登場人物が現れ、1人また1人と死んでいく 事件の謎、真相そのものも決して悪くはないが、この作品は作中の雰囲気こそが最大の見所だと個人的には思った |
No.209 | 6点 | 冤罪者 折原一 |
(2025/08/02 17:19登録) タイトルにあるように『冤罪』をテーマに、多彩な登場人物と重厚な内容で読み応えのあるサスペンス大作 正直な話、繁忙期なのもあってもう少し軽めなミステリーを読みたい気分だった中、事の他重い作風の作品に当たってしまい思った以上に読了に時間を掛ける事となったが、その甲斐はあったと言える作品でした ちょっと登場人物が多くて多少分かりにくい所はありましたが、作者・折原一の真骨頂も上手い具合に活きていて、終盤からラストに掛けての怒涛の展開も良い 個人的には犯人の正体だとか犯行理由、経緯も意外性があって唸らされた 前にも書きましたが折原一は(私的には)当たり外れが極端な作家ですが、本作は当たりだったと思えます |
No.208 | 3点 | 追想の探偵 月村了衛 |
(2025/07/27 16:33登録) 基本的には『人探し』にフューチャーした一風変わったミステリー作品 特撮専門の雑誌で人探しに定評のある主人公が、人脈や伝手を頼りに地道な調査で何十年も前に姿を消した人物たちを探し出す、というのがセオリーとなっている連作の短編集です ただ、良かれ悪かれ(…個人的には悪いの比率高め)内容はその一言に尽きる上に、大体は問題の人物に出会って「よく見つけましたねぇ」で終わりってパターンなので読んでいて妙な不完全燃焼の感が付き纏う 正直、カタルシスのようなモノは一切感じず、話が淡々として平坦なまま終わる為に面白かったとはとても言えない 着想自体は面白いが、ただそれだけって作品だと思いました |
No.207 | 5点 | ブラック・コーヒー アガサ・クリスティー |
(2025/07/23 23:28登録) 初めて戯曲に触れるに当たり、ノンシリーズ物より有名シリーズの方が馴染み易いかと思って手に取った作品 確かに脚本的…というか台本そのものなので文体は独特だし、基本的にセリフと演者のアクションしか書かれていない為、最初の方は若干の違和感もあったが次第に慣れてくるようでコレはコレで気にならなくなってきた 肝心の中身はというと、確かに他の有名所と比べると色々な意味でボリュームは不足している感は否めない しかし、一様に一癖も二癖もある登場人物が織りなす人間模様や、事件に絡む謎が一つずつ解きほぐされて最後に意外な結末をもたらす、いわゆるパターンを踏襲していてストーリーの展開を追い易く、内容自体はそう悪くないと思った 戯曲としても、ミステリー作品としても手に取りやすい作品ではあると思う |
No.206 | 6点 | 風神雷神の殺人 阿井渉介 |
(2025/07/22 15:06登録) 風神と雷神の力を借りて殺人を行ったと称する奇妙な殺害予告と、絶妙に接点が見つからないまま増えていく被害者。脅迫状を送り付け殺人を実行していく凶悪な犯罪者に、わりと直情型の若手ホープと、ギャンブルばかりで怠惰な老練という凸凹なコンビが挑む警察小説 個人的には、この手の小説に出てくる異常氾のなかでも本作の犯人は毛色が違っていて、だからこそ面白く感じたというのが一番です 人によっては遥か昔の恨みを忘れず、むしろ蓄積させ、嵌った怪しげな宗教から仕入れた呪いの儀式を行い、本気で風神雷神の力を借りていると信じ切って犯行を繰り返し、その犯行は相手の年齢・性別に関わらず容赦なく残忍…それでいてその精神性は中学生程度で止まっている なかなか見ない類の狂人っぷりがストーリーを盛り立てていたように思います ただ、私としては相方であるギャンブル狂いの刑事のキャラがあまり好きになれなかったので、その辺は残念に感じつつ、作品としては割と好きでしたのでシリーズの他作品も読んでみようという気にはなりました |
No.205 | 5点 | 六麓荘の殺人 吉村達也 |
(2025/07/20 16:43登録) 個人的に吉村達也という作家は、西村京太郎に次いで時間潰しに最適な作家です これは決して悪い意味ではなく、肩肘張らずに気軽、手軽に楽しめる作品が多いという事を指してます 本作もまさにソレで、離れた二つの屋敷で双子の姉妹が毒牙に掛かり、片や大量の頭髪と致死量を遥かに越える血痕だけが残され、片や頭を丸坊主にされた上で薔薇を恥部に活けられた姿の遺体が発見されるという猟奇的な謎を主軸に話が展開します 肝心のトリック自体は、(特に推理しながら読まなくても)何となくそうゆう事では?と思った事がほぼそのままだったので微妙と言えば微妙… 私の場合、このシリーズは適当に選んで1〜2冊読んだ(気がする)程度でかなり浅くしか知らないのでアレなんですが、主人公で探偵役の氷室含めキャラ的には意外とターニングポイントっぽいのかなと思いながら読み切りました 総じて、トリック等に意外性はあまり無いものの、一つのミステリー作品としてはまあまあ面白かったです。イマイチって程ではないと思ったのと、作家・吉村達也にそれなりに思い入れがあるので5点とさせて頂きます |
No.204 | 5点 | てのひらに爆弾を 黒武洋 |
(2025/07/15 15:51登録) 爆弾を仕込んだ携帯電話をばら撒き、爆発事件を起こした上での企業恐喝と警察の対決を描いたサスペンス わりと最近の中東で似たような事件(無線機に爆薬が仕込まれてた事件)があったのを朧げに思い出しつつ、本書を読了しました ストーリー展開に勢いがあり、一度は現金を要求しながら中断と沈黙の時を経て、再度脅迫を試みる犯人の不気味さとその思惑に、次第にのめり込んで楽しめた しかしながら、その〆は如何なものだろう? と思わずに居られない なんというか続編ありきなオチで、イマイチすっきりしない読後感が個人的にあまり好きでないからか、ちょっと納得いかない感が残ってしまった 一応、事件そのものは解決…と言えば解決したのかもしれないし、見方によっては何も解決しないで終わったとも取れる 序盤から中盤に掛けてに不満が無かった(それこそ評価8は固かった)だけに、終盤しかも最後の最後にモヤモヤを残されたのは大きな減点だと私は感じました。残念です… |
No.203 | 6点 | 奈良「ささやきの小道」殺人 本岡類 |
(2025/07/13 13:23登録) 犬や鼠を利用した殺人トリックは何かの作品で見聞きした記憶があり、今回は鹿を利用した殺人トリックという事で興味を持った作品 肝心のトリックですが、前提として「鹿が多く集まる地域」「何度も入退院を繰り返して心臓が限界寸前の老人(被害者)」、そこに来て「幼少期の強烈なトラウマ」という特異な下地があって初めて成立する可能性があるトリックで、そこに確実性や現実性はほぼありません とは言っても、本職の学者と比べれば素人のそれながらも作者自身が検証して可能性を見出した上で書かれている事もあって、単なる机上の空論とも言い難い絶妙な塩梅 その辺の創作姿勢やトリックそのものは大変結構で、意外と楽しめた一作でした |
No.202 | 4点 | 黄土館の殺人 阿津川辰海 |
(2025/07/12 17:06登録) 山火事に見舞われる「紅蓮館」、水害が迫る「蒼海館」と来て、地震で分断された「黄土館」として期待度が高かった館四重奏の第三弾 その感想として、ちょっと期待し過ぎたのかも知れないというある種の反省が… 館に配された塔が実は可動するという壮大なギミックが事件の鍵を握るトリックそのものは割と好みな部類ではある。果たしてそのトリックを実現可能か否か、塔が動く秘密を誰にも気付かれずに犯行が行えるのか?、無理がないか?とはちょっと…いや大分思ったが、それはそれとしてこういった大掛かりなトリックは好きだ しかし、前2作と較べると本作は見劣りするのは否めない。本の厚さの割に前作「蒼海館」のような惹きつけるストーリー展開に欠け、「紅蓮館」のように迫り来る災害の脅威も然程感じられない また探偵不在の事件という都合上、本作では探偵役の活躍が控えめであり、いわゆるワトソン役というか助手が頑張って事件を止めようとしたり、紅蓮館で登場したあの人のケジメがメインみたいな所があるのも、本作を中途半端なモノとして印象付ける要因になっていり気がしました 期待が高かった分、肩透かし感も半端なかったので個人的には評価「4点」とさせて頂きます |
No.201 | 7点 | 「双子座」12文字の殺人 矢島誠 |
(2025/07/12 16:46登録) 被害者が事前に自身のパソコンに書き残していた12文字の暗号解読がメインとなる本格推理小説 この作品の要と言える暗号は、個人的に面白いと感じた また、その暗号に秘められた犯人やその思惑、本作の探偵役を犯人に仕立て上げようと凶器を送り付けてきたり、捜査が進む毎に人死も増えていくサスペンス性もあって読んでいて楽しかった作品です 暗号に「ふね」や「ゆみ」が含まれるからと名前にそれらの単語が含まれている人物を犯人(かも知れない)と躍起になる警察関係のポンコツさにやきもきし、一筋縄ではいかないどんでん返し的な展開もあって最後の最後まで気の抜けない作品でした |
No.200 | 2点 | 夜までに帰宅 二宮敦人 |
(2025/07/12 16:34登録) 政策として夜間の外出が禁止された世の中で、禁じられた夜遊びを決行した高校生たちが狂気の殺人サークルと遭遇する戦慄の一夜を描いたサバイバルホラー とりあえず、数時間でさらっと読み終えた位には読み易い作品であったと思う しかし、その分(と言うべきか)内容に深みはなく、設定の面白さに反して展開等が淡々としていてサバイバルホラーとして非常に淡白だと感じた 正直、読んでいてハラハラした箇所が無きに等しく、かと言ってグロに徹した描写があるわけでもない とにかくホラーとして致命的な程に「恐怖」がなく、かと言ってホラーに慣れてないor苦手な人に入門として勧められる本かと言うと、ヤンチャ盛りな高校生がとにかく殺人大好きなヤバい連中から逃げ回るというややキツめなストーリーが足枷になって薦め辛い… あらすじやカバーを見て期待した作品だった割に、その期待の精々1/4程度の完成度にがっかりが優ったホラー小説でした |
No.199 | 5点 | 最上川殺人事件 旅行作家茶屋次郎の事件簿 梓林太郎 |
(2025/07/07 22:05登録) 山形を代表する河川「最上川」流域を舞台に、とある一家を襲う数々の凶行の真相を描く旅情ミステリー 作中、放火→誘拐→身代金奪取→殺人というように次々と事件が畳み掛けてくる為、サスペンス色が強めで読んでいて勢いがあるのは良かった 全体的に2時間サスペンスのような仕上がりではあるが、その真相は(標的にされた一家にとって)大分理不尽なモノで個人的には犯罪の無情さがあって面白かったと思う ただ一方で、主人公・茶屋次郎を取り巻く秘書の2人や編集者といった味方サイドのキャラクター性には微妙さを感じた部分もあった 話に緩急を付ける意味でも、ある種の清涼剤といった役割も担っているのだろうとは思うのだが、それはそれとして性格があまり好ましいとは言えず、シリーズ初見の身からしたらキャラ同士の繋がりもあまり見えてこず良い印象を持てないまま話が終わったのでその点に不満がない訳ではない作品でした |