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ミステリの祭典

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奈良「ささやきの小道」殺人
警視庁「独立捜査班」高月圭一

作家 本岡類
出版日1988年07月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 たかだい
(2025/07/13 13:23登録)
犬や鼠を利用した殺人トリックは何かの作品で見聞きした記憶があり、今回は鹿を利用した殺人トリックという事で興味を持った作品
肝心のトリックですが、前提として「鹿が多く集まる地域」「何度も入退院を繰り返して心臓が限界寸前の老人(被害者)」、そこに来て「幼少期の強烈なトラウマ」という特異な下地があって初めて成立する可能性があるトリックで、そこに確実性や現実性はほぼありません
とは言っても、本職の学者と比べれば素人のそれながらも作者自身が検証して可能性を見出した上で書かれている事もあって、単なる机上の空論とも言い難い絶妙な塩梅
その辺の創作姿勢やトリックそのものは大変結構で、意外と楽しめた一作でした

No.1 5点 nukkam
(2019/10/16 21:41登録)
(ネタバレなしです) 1988年発表の本格派推理小説で、「著書のことば」によればトラベル・ミステリーであると同時に「その地でなければ成立しない」大仕掛けなトリックに挑戦した作品だそうです。それが奈良公園で鹿恐怖症の老人を鹿の群れが取り囲み、老人がショック死するという前代未聞の事件の謎解きです(老人がわざわざ奈良公園に行く理由はちゃんと用意してあります)。私が思いついた鹿せんべいトリックは第2章であっさり却下されました(笑)。トリックが成立しても死ぬかどうかの確実性に乏しいとか突っ込みどころもありそうですが、成立するか実験までしたという作者の努力は評価したいです。

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