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ミステリの祭典

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ブラック・コーヒー
戯曲/エルキュール・ポアロ

作家 アガサ・クリスティー
出版日1984年05月
平均点4.00点
書評数4人

No.4 3点 レッドキング
(2022/07/02 17:50登録)
学者・教授がメインの戯曲二つ
 「ブラック・コーヒー」 クリスティー処女戯曲。ブラック=毒入りのコーヒーてなブラックな標題なのね。
           いかにもなダミーキャラともかく、” ~はポケットから錠剤を出して、コーヒーカップに入れ"
           なんて、当然に捻り伏線だろ思ってたら・・・逆に驚いた。3点
 「評決」 亡命モテ男教授の観念の信念が、周りの女たちを不幸の渦に巻き込んで・・(採点対象外)

No.3 4点 クリスティ再読
(2016/06/12 01:05登録)
クリスティのオリジナル戯曲である。一応小説版(チャールズ・オズボーン小説化)があるので、それも併せて評する。
要するにこの戯曲は、「ミステリ劇」であって、戯曲形式のパズラーではないからね。実はト書きのアクションの中で、犯人が誰かはバレてる。まあこれ俳優へのアクション指示のかたちで、「演劇のパズラー」としてフェアであろうとしたのかもしれないが、演出で強調しなければ誰も気が付かないだろう...それが狙い、かな。
で、実際この戯曲は芝居のいろいろな仕掛けをミステリの見地でうまく使ってやろう、という意図が結構見える。たとえば窃盗犯に返却の機会を与えるために、1分ほどの暗転(だんまり)があるとか、この直後に扉が開いてポアロが登場するとか、カレリ博士の毒薬紹介(ミュージカルなら「毒薬の歌」とか上出来なホラーコミックソングを歌いそうだ..毒薬の女王クリスティ!)とか、犯人に対する罠のシーンとか、舞台効果満点で面白いギミックが多いんだよね。だからこういう狙いの舞台ヅラを想像しながら読むのが本当なのであって、紙の上でのミステリとして読んじゃったら、ここらが全然不発になってしまい退屈だと思う。そういう読み方をすること自体が間違いじゃないかな。あくまで舞台の上で映えて意味があるような戯曲であり仕掛けだと思うよ。
なので、小説化は×。ト書きを地の文に考えもなく移行しているので、本当に犯人がバレてる。またオズボーンの文体の客観性が結構高いので、クリスティを読み慣れてると違和感が強い。クリスティは客観描写をあまり細かくせずに、ほとんどセリフorキャラ視点での主観的な観察で小説を組み立てている傾向が強いので、クリスティらしさが出てないなぁ。そもそもヘイスティングス登場作なんだから、原典に準じてヘイ一人称で書いてもよかったのかもね。あと、室内劇なので当たり前だけどセット1杯で変わりようがないから仕方ないんだが、これが小説となると、当然別室に移動して...になるのがそうならないので、とっても不自然。
というわけで、評価は、戯曲は「あくまで上演のための台本」だと思って読めばオッケーで5点程度。小説は...なんでこんなの準公式作品扱いするんだろうね、で3点として、平均で4点。

No.2 4点 ボナンザ
(2014/11/23 11:22登録)
クリスティらしい話運びなのだが、他の名作に比べるとパンチが弱い。

No.1 5点 あびびび
(2014/08/13 10:06登録)
クリスティ初の戯曲。「ねずみとり」ほどのロングランはなかったものの、らしさが随所に出て来る。

高名な科学者が新たな原子力を開発し、数式となって一枚の書面に収められている。それを狙われていると感じた科学者は、ポアロに調査を依頼するのだが、ヘィスティングとともに到着したときには彼は殺され、書類も奪われていた…。やがてジャップ刑事も来て、オールキャストとなり、いつもの推理劇となつた…。

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