home

ミステリの祭典

login
あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.669 7点 屍人荘の殺人
今村昌弘
(2020/06/19 00:02登録)
現代風の孤島ミステリ。ホテルの周囲にゾンビがいて、外に出られない!何人も殺すのには動機がしょぼい気もするけど(自分自身の事ではないので?)、アリバイとか、密室とか、色々な要素が散りばめられていて、最後まで楽しめた。有栖川さんが激賞しているのも納得できます。


No.668 7点 そして誰もいなくなる
今邑彩
(2020/05/28 12:26登録)
初版から何年か経って、作者曰く、「想定外の再版」だったらしい。ミステリ好きなら、「まさかあの作品を超えることはないだろうが、少し気になる…」というタイトルである。

最初の殺人である青酸カリの有無は笑うしかないが、その後も見立て殺人は続く。被害者の危機感なしはあきれるほどだったが、落ちになり、最後のどんでん返しが終わると、なるほど、そうだったのか…と感心するしかなかつた。


No.667 6点 望み
雫井脩介
(2020/05/09 11:11登録)
雫井さんは、自分から見ればほとんど外れのない作家。これは正義感の強い息子が、正義感が強い故に陥った事件で、どの街でもこういう事例はいくらでもありそうだ。確かに息子の立場になれば、逃れようのない若さと責任感を感じる。

苦悩する両親と家族…。だが、警察に対して、あるいはマスコミに対しての不信感、対策の無さ、そのジレンマが痛いほど伝わってくる


No.666 8点 訣別
マイクル・コナリー
(2020/05/03 12:17登録)
発売されるや否や、ベスト1になるマイクル・コナリーのボッシュシリーズ。ロス警察を追われ、探偵業に戻ったのかと思いきや、ロス近郊のサンフェルナンドという小さな市の無給嘱託刑事として捜査に参加していた。

ある日、85歳の大富豪から探偵業の「人捜し」を依頼され、同時にレイプ事件の捜査も同時進行。老いても事件への追跡は手を緩めないボッシュの魅力満載。同時に異母兄弟の「リンカーン弁護士」ハラーとの共同作業も痛快だ。


No.665 6点 燃える部屋
マイクル・コナリー
(2020/03/31 01:42登録)
発売されるや否や、ナンバーワンになったと言う。確かに、マイクル・コナリーの魅力満載ではあるが、いつものコナリーであり、安心して読めるが、目新しい部分はない。事件解決も、ほぼ想定通りである。

謎がない。教科書のようなストリーだが、それがまた、安定感に繋がっているのかも知れない。実は、武漢コロナで図書館がずっと閉館、久しぶりに上下巻を購入したが、その価値はあった。また、次の章を買うつもり。


No.664 7点 罪責の神々
マイクル・コナリー
(2020/03/04 00:55登録)
アメリカでは、この作者の本が発売されるとほとんどがナンバーワンになるらしい。高級車リンカーンを事務所にして、素早く行動するハラー弁護士。スタッフと作戦会議をするときは、廃墟のようなビル使う。実は毎回予算はぎりぎりだけど、それがハラハラ、ドキドキ感を加速させる。

今回も高級コールガール、メキシコ麻薬マフィア、悪徳捜査官と、役者はそろっている。


No.663 9点 カーテン ポアロ最後の事件
アガサ・クリスティー
(2020/02/23 00:52登録)
初めて2度目の投稿です。前回は2014年、まだクリスティーを読み切っていない時だった。今考えるとダムコップさんのように、ポアロの結末はこれしかないように思います。

事件は人間関係が起こす。それを根本的に語っていると思う。やはり、クリスティーは素晴らしい!


No.662 8点 砂のクロニクル
船戸与一
(2020/02/11 23:43登録)
ここに投稿される方は、ギャンブルに興味はない思いますが、当時、ボートレース住之江の選手控室(記者をやっていた)に転がっていた作者の「猛き箱舟」は、本当に面白かった。としても、読書に興味のない自分は、他の本を読む気はさらさらなかった。

その後、一人旅をするようになり、移動の合間に本を読んだ。推理小説にはまった訳だが、いろいろ読んで20年。ふと、船戸さんを思い出した。そして手にしたのが「山猫の夏」。やっぱりこの人の作品は面白い!と思って次を検索した。その中で口コミの一番評価が「砂のクロニクル」だった。中東、アラブの問題だが、安易ではない。さいとうたかお氏に依頼され、「ゴルゴ13」のシナリオも書いていたらしいが、誤魔化しの効かない物語の流れがある。クルド人の苦悩が、他人ごとではなくなってくる。


No.661 5点 煽動者
ジェフリー・ディーヴァー
(2020/01/27 03:42登録)
人が集まっている音楽コンサートや、スポーツ観戦の体育館など、あらかじめ有力な出口を塞いでおいて、場内に煙など発生させ、「火事だ!」とかで先導し、人々のパニックを誘発させる。出口はある程度封鎖状態にしているので、狭い一か所に人々は集中し、頭をぶつけたり、人に踏まれたりして何人かが死ぬ。それを楽しんでいる人物がいるが、依頼者の闇はもっと深く…。

キャサリンダンスはいつもより読みが甘いし、切れ味が鈍い。これは身内のスパイをあぶりだすためだったと思われるが、それはお見事だった。しかし、最後の恋愛劇には同意しかねるなあ。現在進行形なのに(おそらく体の関係も)、男も女もパッと切り替えられるものだろうか?


No.660 6点 限界点
ジェフリー・ディーヴァー
(2020/01/16 14:14登録)
ある家族を「調べ屋」から護る連邦機関の護衛菅コルティ。調べ屋ヘンリー・ラヴィングはその道のナンバーワン的存在で、いったん標的を追うと、家族の親族、友人らへの殺人もいとわず、あるゆるところから情報を得て、標的に迫る。だからコルティには家族、友人はいない…。

追うものと逃れるもの、あらゆる駆け引きが始まるのだが、そこはジェフリーディーヴァー。小粒ながらもどんでん返しの連続で読み手を楽しませる。でも、この作家を読みなれている読者にとってはごく普通の流れかな?

自分的には最後の「エンドゲーム」がほのぼのして良かった。


No.659 8点 山猫の夏
船戸与一
(2020/01/06 21:16登録)
実は、冒険小説とSF小説は苦手。それでも読みたいのは船戸さんの作品だ。だいたいが上下巻の分厚さで、読みきるには覚悟がいる。面白いのは分かっているのだけど、仕事をしている今、なかなか手が出せない。「猛き箱舟」、「夜のオディッセイア」と、すごくおもしろかった。おもしろかった?そう、読みだすと止まらない中毒性があるのだ。

この作品も舞台は外国(ブラジル)で、主人公は日本人。山猫と呼ばれる完全無敵な男が繰り広げる冒険物語である(語り手も日本人)。改めて作者の作品を検索してみると、この作品以上の評価を受けている本が多数ある。特に、このミステリーがすごい!で、年間1位の「砂のクロニクル」は早急に読まなければならない。


No.658 6点 スキン・コレクター
ジェフリー・ディーヴァー
(2019/12/26 02:23登録)
さすがジェフリー・ディーヴァーと言える面白さだが、過去の作品とほぼ同じ流れ、同感覚のどんでん返し。これを求めて読んでいるのだけど、どこか物足りないのも事実。

しかし、犯人のXがあの人間だと、誰も気づかなかっのだろうか?それが不思議。少し飛ばし気味に読んだ部分もあったので、自分がどこか見落としているのかも?精緻を極める作者だけに、多分そうだろう。


No.657 7点 煙の殺意
泡坂妻夫
(2019/12/12 14:51登録)
一つの短編を書くのに、その分野においてどれほどの蘊蓄が必要なのだろうか…と唸る一方、表題の「煙の殺意」は、しでかしたことに対して、そんな誤魔化しで精神状態が維持できるのだろうか?と、疑念を抱いたりする。

しかし、あらゆる分野に精通する作家であることを、再確認する自分がいる。


No.656 7点
北方謙三
(2019/12/12 12:28登録)
北方さんの風貌そのものがハードボイルドで、主人公の顔が彼の顔になっている。元は筋もので、今はスーパー、喫茶店を経営し、静かに暮らしていた男が土地売買に絡む騒動で、熱い血潮がたぎっていく。どう抗っても男の人生は変わらなかった、そんなストリーがどこか共感を呼ぶ。

今となってはありふれたストリーだが、物語の面白さは変わらない。


No.655 6点 この闇と光
服部まゆみ
(2019/12/04 22:26登録)
見事な構成力と結末の爽やかさ。でも、ミステリを初めて読む方は賛否両論だろうなと思う。途中でギヤチェンジと言うか、いや、乗り物自体がすっかり変わってしまって、その違和感が興味をそそるけど、快く満足したわけではない。むしろ、なぜ、そちらの方向に行ったのか?

自分的には、「ハムレット狂詩曲」の方が好きだけど、またほかの作品を読みたいという意欲が湧いて来た。


No.654 9点 ハムレット狂詩曲
服部まゆみ
(2019/11/21 13:16登録)
図書館から3冊借りてきて、一番最後に読んだのがこの作品。その題名からして苦手意識が先行したが、今までで読んだ本の中で最高の読後感の良さ。シェイクスピア関連の作品ということで尻込みしていたが、凄く分かりやすく、歌舞伎の落ちも納得、納得…。

この作者の本をもっと読みたい!


No.653 6点 5時30分の目撃者
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2019/11/15 15:36登録)
「刑事コロンボ」のテレビシリーズで見ていた通り、小説もそのままの流れに苦笑。しかし、当時はあらかじめ犯人が露見しており、それをじわじわ追い詰める逆転の発想が新鮮でよく見た。

この犯人の計画はパーフェクトに近く、実際の事件だったら、この謎を解く刑事はいなかったのではないかと思うほど。しかし、やっぱりコロンボはしつこいねえ~(笑)


No.652 6点 犯罪コーポレーションの冒険
エラリイ・クイーン
(2019/11/06 23:39登録)
同じラジオドラマの「ナポレオンの剃刀の冒険」や、「死せる案山子の冒険」に比べると今一つの感。他で使ったトリックの使い回しなどもあり、少し評価は下がる。

それに、殺人予告を受けた被害者と同席しながら、いずれも犯人に殺されてしまうのも残念である。


No.651 8点 死者が飲む水
島田荘司
(2019/10/17 13:40登録)
三分の一くらいで犯人に気づき、他の人への捜査がもどかしかったが、メイントリックは見事だった。そこまでは思い浮かばなかった。だいたいが、相性の悪い作家だけど、初期の作品は好みです。

「黒いトランク」以上に楽しめた気がする。


No.650 7点 ミステリの女王の冒険
エラリイ・クイーン
(2019/10/15 00:45登録)
1975年から1976年にかけてテレビ放映された、「エラリー・クイーン」という推理ドラマを、刑事コロンボのを作り上げたR・レヴィンソンと、W・リンクが作成。当然、質の高いミステリドラマになった訳だが、さすがに面白い構成になっている。

ただ、自分的には、エラリー・クイーン本人が作成した「ナポレオンの剃刀の冒険」や、「死せる案山子の冒険」のラジオドラマの方が好きかも…。

669中の書評を表示しています 1 - 20