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ミステリの祭典

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犯罪コーポレーションの冒険
エラリイ・クイーン、シナリオ・コレクション

作家 エラリイ・クイーン
出版日2018年07月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 nukkam
(2024/12/11 22:28登録)
(ネタバレなしです) フレデリック・ダネイ(1905-1982)とマンフレッド・リー(1905-1971)のコンビ作家であるエラリー・クイーンの生誕100周年記念として15のラジオ・シナリオを収めて出版された「殺された蛾の冒険」(2005年)は国内では「ナポレオンの剃刀の冒険」(2008年)と「死せる案山子の冒険」(2009年)の2冊に分冊された論創社版で読むことができるようになりました。これが好評だったのか、国内独自編集によって1939年から1945年の間に放送された11作のラジオ・シナリオを収めた本書が2018年に出版されました。但し本来は1時間シナリオである「殺されることを望んだ男の冒険」(1939年)は他作家による小説化版(1940年)に替えられています。オリジナルから4割程度に短縮され、小説化で割愛された「読者への挑戦状」が翻訳時に追加編集されている代物です。巻末解説で言い訳していますけど、個人的にはオリジナルのシナリオ版を収めてほしかったです。他の10作は全てオリジナル通りの30分シナリオで、レギュラーキャラクター以外の登場人物が1人しかいない「見えない手がかりの冒険」(1942年)、「読者への挑戦状」の中で「いつものような隙のない解決ができません」と弱気(?)コメントしている「ハネムーンの宿の冒険」(1940年)、犯人探しでなく善人探しの「善きサマリア人の冒険」(1940年)など異色の設定の作品が目立ちます。個人的には本格派の謎解きとして解決に納得できるかを重視しており、「カインの一族の冒険」(1940年)、「ハネムーンの宿の冒険」、「放火魔の冒険」(1940年)はなかなかの出来栄えと思います。巻末解説でベスト評価されている「犯罪コーポレーションの冒険」(1943年)は大胆なアイデアは確かに印象的なのですが、失敗リスクの高い(しかも失敗をリカバリーできない)トリックに挑戦しているのが気になりました。

No.3 6点
(2023/01/06 22:25登録)
このクイーンのラジオドラマ・シナリオ集第3作は前の2冊と違い、日本で独自に編集されたものだそうです。『死せる案山子の冒険』は読んでいないのですが、『ナポレオンの剃刀の冒険』に比べると全体的に軽い感じがしました。ただシナリオ集と言っても、11編中最後の『殺されることを望んだ男の冒険』だけはノベライゼーションです。巻末解説によればダネイ、リー以外の人によるダイジェスト版だそうで、最もつまらないと思ったのは、アイディアの問題だけでなくそのせいもあるでしょうか。
表題作は非常に意外な真相ですが、家の間取りが明確にされていないせいもあるでしょうか、矛盾点があると言わざるを得ません。どの作品もそれなりに見どころはあり、なんとなく予想できたものもありますが、完全にエラリーの推理と一致したのは『善きサマリア人の冒険』だけでした。タイトルどおりのなかなか気持ちのいい話になっています。

No.2 5点 レッドキング
(2022/07/13 20:33登録)
これも、エラリー・クイーンラジオシナリオ作品集
  「盲目の弾丸」 暗闇の列車内射殺事件のHow、が自動的に、=Whoとなる所がgood 7点
  「一本足の男」 片足のみの足跡トリックHow、と、WhyからのWhoロジックなかなか。6点
  「カインの刻印」 遺産相続殺人。遺書ロジックの状況証拠だけなのに、説得力は溢れて・・(-"-) 6点
  「犯罪コーポレーション」私刑執行の容疑者4人に鉄壁アリバイがあり・・なんたるトンデモおち(^_-) 7点
  「奇妙な泥棒」 靴・手袋・義歯・眼鏡・次は? まーた、この手のあれか、せっかくここまで・・2点
  「見えない手がかり」 あえてチェスタトン宣言して聴取者へ挑戦して・・でも、あれって、見えないか? 4点
  「見えない時計」 んな装置は、ノックス十戒レベル(*_*) ヴァンダイン戒律「爺やはイカン!」破戒付き。3点
  「ハネムーンの宿」 花嫁の死体に刺さった矢の持ち出しの、これもHow=Who 7点
  「放火魔」 被害者に関連のある連続放火事件のWhyとWho 5点
  「善きサマリア人」 困窮の下宿人達に届けられる紙幣のいい話。が、あの「暗号」、分かるわけない。2点
  「殺されることを望んだ男」 己の殺害を賭けにして唆した男。殺害のHow・Whoダミー付き。5点
で、7+6+6+7+2+4+3+7+5+2+5=54÷11=4.9090…、5点

No.1 6点 あびびび
(2019/11/06 23:39登録)
同じラジオドラマの「ナポレオンの剃刀の冒険」や、「死せる案山子の冒険」に比べると今一つの感。他で使ったトリックの使い回しなどもあり、少し評価は下がる。

それに、殺人予告を受けた被害者と同席しながら、いずれも犯人に殺されてしまうのも残念である。

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