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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.31点 書評数:1047件

プロフィール| 書評

No.1047 4点 忙しい蜜月旅行
ドロシー・L・セイヤーズ
(2026/03/29 07:02登録)
ミステリ言うよりも、殺人事件つきコジャレた毒あるユーモア(終盤チト趣き変調)小説。英国の半可通教養人階級が喜びそうな、古典等引用句*多投セリフの偽悪的味わいも、和文翻訳通すと、なんか隔靴搔痒のイヤミに薄まりイマイチ。こっちの「貴族探偵」、あんまり愉しくないなぁ(-_-;)
*猪俣美江子って翻訳者の文中注解・・詳細にして簡潔・・が実に解りよい。


No.1046 7点 空に浮かぶ密室
トム・ミード
(2026/03/26 07:18登録)
"二十一世紀のロースン"長編第二弾。観覧車密室・魔術ショー不可能・楽屋密室・・・ぐっじょぶ!ദ്ദി(^.^) 
(観覧車のオチに至っては、もう、"英国の麻耶雄嵩"^^;)


No.1045 5点 白雪姫と五枚の絵 ぎんなみ商店街の事件簿2
井上真偽
(2026/03/23 22:34登録)
商店街の三姉妹と四兄弟がメインの"日常の謎"系ミステリ続編。前作は、同じ三つの"事件"を、姉妹側と兄弟側から描いた、言わば「多重解釈」趣向だったが、今回は、四兄弟の亡き母が残した五枚の絵を廻る「連続見立て」展開。次々起こる四つの"事件"が、白雪姫・三匹の子豚・赤い靴・おかしの家、四枚の童話画との「見立て」で解釈解明されて行き、五枚目の雪女画ネタで、前四画含めた統一見立てへ収束し始め、改釈解釈・推理対決・転換・再転換で、Happyにエンド。


No.1044 7点 密室大集合
アンソロジー(海外編集者)
(2026/03/21 21:38登録)
密室短編の名手、エドワード・D・ホック編の、密室短編集。

 「山羊の影」(J・D・カー) 短編一編に、連結した密室三つ!・・消失2件に殺人1件・・すげえ ・9点。
 「クロワルース街の小さな家」 (G・シムノン) 作者唯一の密室もの・・らしい。4点
 「皇帝のキノコの秘密」 (J・ヤッフェ) 歴史ミステリをテキストに企図される・・うーん、"不可能"て事は・・3点
 「この世の外から」 (C・ロースン) 「爬虫類館~」との「目張り」競作とか。あっちよりも"模範的"な密室。6点
 「鏡もて見るごとく」 (H・マクロイ) 長編「暗い鏡の中に(原題は同じ)」の元版とか。どおりで既視感。5点
 「七月の雪つぶて」(E・クイーン) 列車消失もの。同じ"クイーン検察局"の「あなたのお金を倍に」の方が白眉密室。5点
 「ニュートンの卵」(P・ゴドフリー)「ゆで玉子密室」(になってない!)のHow、言うより、捻りWhy. 3点
 「三重の密室」(L・デラトーレ)"三重"て、こういう事かぁ? このトリック自体なら、乱歩の方が先駆してる。6点
 「真鍮色の密室」(I・アシモフ)悪魔(!)創作の完全密室を破る、悪魔より授けられし力(How)とは・・7点
 「火星のダイヤモンド」(P・アンダースン) ロケット密室から消えた宝石。推理するのは火星人(!)探偵"シァロック" 6点
 「子供たちが消えた日」(H・ペンティコースト)密室状態の山道から消失したスクールバス。劇的なWhy・How. 7点
 「魔術のように」(J・シモンズ)殺人現場の封鎖された桟橋から消失した刺殺犯。3点
 「不可能窃盗」(J・F・スーター)徹底監視下の密室からの"不可能窃盗"、監視者唯一の死角は・・6点
 「ストラング先生と博物館見学」(W・ブルテン)博物館展示室から消失した黄金仮面のHow.4点
 「お人よしなんてごめんだ」(M・コリンズ)密室内の容疑者の不可能射殺トリックと操りツイストWhy・What.8点
 「アローモント監獄の謎」(B・ブロンジーニ)監視下の絞死刑から消失した死刑囚のHow. 6点
 「箱の中の箱」(J・リッチー)密室内の殺害された妻と失神した夫。あまりに明白な状況からの捩れ&捩れ&・・6点
 「魔の背番号12」(J・L・ブリーン)ベンチからロッカールームへの密室状態の通路で消失したプロ野球選手. 4点
 「奇術師の妻」(J・F・ピアス)マジシャンと妻と義妹の魔術舞台消失マジックのトリック。5点
 「有蓋橋事件」(編者)「マディソン郡の橋」みたいな橋の途中で馬車ごと消失した男。雪足跡トリック付き。7点

※短編集として各点を平均してしまえば 5~6点だが、「密室」が主幹となっているので、当然オマケつき、7点!


No.1043 5点 元彼の遺言状
新川帆立
(2026/03/17 08:50登録)
才色兼備で傲岸不遜、子供と動物に嫌われるキャラの美人弁護士がヒロイン。奇天烈な遺言を残して”病死”した元カレの事件真相をめぐる、相続殺人ミステリ変化球版。作者自身、東大卒の弁護士とかで、ヒロイン、セルフパロディ?とつい勘繰りたくなり・・もちっと戯画化したら" 女メルカトル "(-"-) ・・が、よみ進めたらラストあたりでは、"The Good" キャラなヒロインで、お話自体も爽やかに仕上がっているではないか。※またも、このサイトで楽しみなシリーズ教えられ(ベストセラーとは知らんかった)


No.1042 4点 ウィンター・ビート
サラ・パレツキー
(2026/03/15 23:00登録)
ヴィクシリーズ第十四弾。ヒロインヴィクもいまや五十路(!)。アヴァンギャルドな女アーチストの全裸ペインティング舞台を要に、民間軍事産業・ウクライナ系マフィア・イラク戦争スキャンダルねたが絡む巨悪暴露・善悪対決バトルで、シリーズ久々に"勧善懲悪"風味が濃く。※ヴィク自ら体をはったラストネタは、ホームズ女装なみに・・(^^;


No.1041 7点 死はすぐそばに
アンソニー・ホロヴィッツ
(2026/03/08 04:37登録)
ホーソーンシリーズ第五弾。前四作は、ワトソン役の作家が、探偵が解決して行く事件に立ち会い、その経緯を第一人称叙述するスタイルだったが、今回は、既に解決済み事件の経緯を、探偵から聴き取り、結果を知らされないままに、第三人称物語に仕上げて行く趣向。物語の過去章と、作家・探偵やり取りの現在章が相互に挟まれ、そのギャップが面白い・・「こんな事、実際には無かったゾ!」「んな事は解ってるが、この方がイイんだヨ」etc・・
で、一度は解決した過去の殺人事件・・ハイソ版ご近所トラブルが拗れた事件・・が、密室ネタ*と操り真相のドンデン返しへ・・と思わせて肩すかしの再ツイスト、からの、なんと、現在に侵入する、ウッと呻きの再々ツイスト・・で、複雑ビターな後味エンド。
*「三つの棺」ともかく、「斜め屋敷の犯罪」「本陣殺人事件」の書名まで出て来て、あげく、” 最高の密室物が書かれているのは、おそらく日本・・” て、うーん、そうなのか?


No.1040 4点 犬の力
ドン・ウィンズロウ
(2026/03/06 18:06登録)
「ゴッドファーザー」思い出したんでこれも。" 捜査官 vs 諸組織 vs その他諸々" の絡み合い騙し合い殺し合い etc、
ラテンカトリックの激情とメキシコの砂塵が臭い立つ様な迫力。
※にしても、村人達をチェーンソー (✹Д✹;;) で殺戮処刑しちまうエピソード、あれ、エグかったなぁ。


No.1039 5点 ゴッドファーザー
マリオ・プーヅォ
(2026/03/06 18:02登録)
コッポラの映画の方は「我が生涯の映画ベスト10 」 とまでは言わずとも、ベスト20(か30)には入る(かな)。で、この原作の方、三男マイケルが麻薬商マフィアと悪徳警部を射殺する"How”、敵黒幕と長男ソニー暗殺経緯の解明、ヴィトー死後の裏切り者"Who”てあたりをミステリ要素と評価して・・・
※映画では割愛されてる、スター歌手(フランク・シナトラ モデルとか)や、新旧二人のドン専属用心棒エピソードなんかの方が面白かったりする。


No.1038 5点 骰を振る女神
ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
(2026/03/04 18:10登録)
待ってました!ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ、夏来健次訳! 今回は、長め中編1作と短め中編2作の3作入り。標題作以外の2作は、ミステリと言ってもいいかな。
「骰を振る女神」 悪党ジゴロ男のシュールなピカレスクと言うより半倒叙極悪譚。クリスティ「終りなき夜に生れつく」やハイスミス「リプリー」の美形青年と設定同じながら、当作主役はズッと「ムナくそ」な男。倒叙だと、その主観に読者情念も巻き込まれるものだが、ここでは、ただひたすら、因果応報エンドに拍手パチパチ。
「ピンクのダイヤモンド」 白昼街中、拳銃を乱射して逃亡する宝石強盗団。グロテスクにしてコミカルなサスペンスが、偶然居合わせた女を巻き沿いにした宝石Whereミステリに合流。
「死はわが友」 地味な銀行員の夫婦旅行休暇が、悪夢の様にシュールなバラバラ殺人サスペンスと混じり合い、驚きの捻りエンドへ。


No.1037 6点 音楽
三島由紀夫
(2026/03/02 06:00登録)
昭和21年、東大法学部の学生だった21歳の三島由紀夫は、37歳の太宰治に会いに行った。崇拝していた森鴎外について蘊蓄を傾けた三島に、太宰は気のない対応でいなした。三島は「僕は太宰さんの文学は嫌いなんです」と言う"有名な"セリフを吐くが、太宰は隣にいた亀井勝一郎に向かって「そんなこと言ったって、こうしてここに来てるって事は、やっぱり、ボクの事、好きなんだよな」と言ったとか。

坂口安吾や大岡昇平よりも、三島こそ、ミステリ小説に力を注ぐべきだった。三島の死について、安部公房は「三島君が死んだのはねえ、何にも書くことが無くなっちゃったからなんだよ。これは小説家として何よりもつらい事だからね」と詠嘆した。

※あまり「音楽」と関係のない話になってしまった。(突然、この作品が登録されていたので、つい)


No.1036 7点 密室殺人傑作選
アンソロジー(海外編集者)
(2026/02/27 21:38登録)
「ある密室」* (J・D・カー)  "The Locked Room":「密室」と言うより「鍵をかけられた部屋」からの犯人消失。7点
「クリスマスと人形」 (E・クイーン) 完璧な監視状態から予告通りの盗みを働いた米国版ルパンのWho・How. 6点
「世に不可能事なし」 (C・ロースン) 密室内には射殺死体と失神した全裸男、だが、凶器が消失しており・・ 5点
「うぶな心が張り裂ける」 (C・ライス) 再審が決定した死刑囚の首吊り自殺のWhy. (まぁ「密室」に違いないが…) 1点
「犬のお告げ」 (G・K・チェスタトン) 侵入不可能な庭での凶器なき刺殺。凶器隠蔽Howとダミーネタも併せて、9点
「囚人が友を求めるとき」 (M・ハーシュマン) 刑務所という密室(ソリャソウダ)から出入自在な小人男のHow・What. 3点
「ドゥームドーフの謎」 (M・D・ポースト) 西部劇版密室殺人。超有名なWho&Howで特許権(たぶん)付けて 8点
「J・D・カーを読んだ男」 (W・ブルデン) でも、成功してたら、してたで、徹底した分析捜査となったんでは? 7点
                  ( ※こんなのどお?・・・計画通り完了、ただ、殺し忘れてた・・・)
「長い墜落」 (E・D・ホック) ビルの21階の窓から飛び降りた男が地面に墜落したのは、3時間45分後だった。7点
「時の網」 (M・A・ディフォード) 悪魔を謀った契約で独居密室から未来へ脱出した精神病入院患者の奸計。4点
「執行猶予」 (L・G・ブロックマン) 密室での謎のガス死事件、主題より背景の事件解明の方が印象鮮やか。7点
「たばこの煙の充満する部屋」 (A・バウチャー) これも凶器無き刺殺解明よりも、背景顛末が面白く。3点
                    (ヒラリー・クリントンを20年早く予言したかの様なヒロイン)
「海児魂」 (J・カミングス) 海底という密室での男女刺殺事件、Who・How言うよりWhat. 8点
「北イタリア物語」 (T・フラナガン) 中近世の峻厳な石城での宝石不可能消失事件。歴史ミステリ風捻り付き。7点
                 ( 「時の娘」 「薔薇の名前」コンパクト版て言って良い位に面白い。)

*ズバリ、"The Locked Room"なんて標題付いちゃってるから、これ選ばざるを得んだろが、カーならば「妖魔の森の家(長い?)」 「山羊の影」、クイーンなら「あなたのお金を倍に」をチョイスしたく・・・
※点数は、全体平均 6点だけど、密室全集(^^♪なんでオマケして7点


No.1035 4点 虚空から現れた死
クレイトン・ロースン
(2026/02/25 20:52登録)
クレイトン・ロースンの「密室(まあ、ねえ (^^;)」中編二作。
「過去からよみがえった死」 コウモリ男・吸血鬼・魔術師・交霊会・と、消失劇・・どたばた活劇サーカスやね。
「見えない死」 警官殺しの部屋からの犯人消失、高価な宝飾美術品の怪盗宣言サスペンス、おお、「帽子から飛び出した死」なみの出来か?期待させといて・・こちらもどたばたコミックに炸裂エンドであった。ま、これはこれで・・・


No.1034 5点 天外消失
アンソロジー(出版社編)
(2026/02/23 17:55登録)
「ジャングル探偵ターザン」(E・R・バロウズ) 略奪されたメス類人猿(ゴリラ?)の行方を追うターザン探偵譚。2点
「死刑前夜」(B・ハリディ) 死刑執行前夜に語られる、ある「サイドストーリー」からの・・4点
「殺し屋」(G・シムノン) 残酷な強盗団を見張るメグレ警部とそのチーム。首領「殺し屋」Who? からの・・5点
「エメラルド色の空」(E・アンブラー) 初老富豪男のヒ素毒殺事件。後妻・息子・娘、犯人Who? (ヒソノチシキナド シラン) 4点
「後ろを見るな」(F・ブラウン) 贋金作りピカレスク譚が、現前「読者」へ突き付けた匕首の如きサスペンスへ・・5点
「天外消失」(C・ロースン) 予言通りの日時に消えた女に続き、愛人の悪徳判事も密室電話BOXから消失して・・9点
「この手で人を殺してから」(A・ウイリアムズ) 妻殺しの養鶏所男、死骸隠蔽Howの倒叙ピカレスクショート。3点
「懐郷病のビュイック」(J・D・マクドナルド) 銀行強盗団の行方捜査譚。(ビュイック て車種ナノネ 「カイキョウビョウ」…初耳) 3点
「ラヴディ氏の短い休暇」(E・ウォー) ある精神病入院患者の一時外出に情熱をかける娘と、ブラックな顛末。2点
「探偵作家は天国へ行ける」(C・B・ギルフォード) 己の殺害犯を知るために天国から復活した作家のWho探偵譚。6点
「女か虎か」(F・R・ストックトン) 愛する男の命か、女としての矜持か、"女の選択や如何"は読者各々に任されて。5点
「白いカーペットの上のごほうび」(A・ジェイムズ) とびきりの美女にカモにされた強盗男のプチサスペンス小噺。3点 
「火星のダイヤモンド」(P・アンダースン) ロケット密室から消えた宝石。推理するのは火星の"シァロック"<^!^> 6点
「最後で最高の密室」(S・バー) 内側からの完全密室館で首切断された父と、不可能消失した息子のHow. 7点                     
                  で、(2+4+5+4+5+9+3+3+2+6+5+3+6+7)÷14=4.571、平均して 5点

※しまった!てっきり、クレイトン・ロースン密室短編集かと勘違いしてしまった。(^^;


No.1033 6点 人喰いの時代
山田正紀
(2026/02/20 22:47登録)
作者、元々有名なSF作家だった(知らなかった)とか。で、これが最初の「本格ミステリ」とか。
    「人喰い船」 船マストから吊るされた下着姿の男の死体。瞬時に背広着に、更に再び下着姿へ変容の怪。6点
    「人喰いバス」 雪中バスから消失した五人の男女。「人喰いバス伝説」の真相。4点
    「人喰い谷」 夜間スキーで遭難した二人の男の死体消失と、残された一人の女の、What. 3点
    「人喰い倉」 密室蔵内の刺殺死体。「犯人不在なら事故か自殺、凶器不在ならば殺人」大原則からの・・7点
    「人喰い雪まつり」 これまた殺人が疑われる「凶器無き雪密室」からの・・6点
・・・以上、「~砂絵」や「サム・ホーソーン」のトリック物というより、美しくない「戻り川心中」、不器用な「宵待草夜情」であった・・・と、ここまで短編集かと思わせておいて、最後の中編「人喰い博覧会」 (8点)で、一気に全編が一本の「新本格」長編と化した。ただ、全体としてはバランスがよろしくなく・・


No.1032 7点 早朝始発の殺風景
青崎有吾
(2026/02/18 23:10登録)
男女高校生の、いわゆる「日常の謎」五譚を、5定点でカットした短編集。エピローグで第一編を「解決」させた上で、
全編をさり気なく・・そこがよく・・纏めてあり
     「早朝始発の殺風景」 偶然に始発電車に乗り合わせた同クラス男女、それぞれの始発乗車のWhy。5点
                 ※エピローグでの後日解決譚(非日常ダケドネ ^^; )に+1点オマケあげちゃう。
     「メロンソーダ・ファクトリー」 学園祭Tシャツデザイン、考えにくかった親友間の嗜好違いのWhy。6点
     「夢の国には観覧車がない」 引退するクラブ先輩と同じ観覧車に乗り込む後輩の捻りWhy。4点         
     「捨て猫と兄妹喧嘩」 捨て猫犯人Whoのロジックと、離別兄妹のこれからの猫飼育Howの希望話。7点
     「三月四日、午後二時半の密室」 " もう会うこともない " 孤高の女子高生に卒業証書を届けたクラス委員の
                     最初にして最後の・・心の密室を開けた・・邂逅。9点
※最終編の、シンプルにして説得力ある伏線回収ロジックと、感動的な青春短編小説の連結に脱帽。点数オマケ。


No.1031 4点 ミッドナイト・ララバイ
サラ・パレツキー
(2026/02/16 22:31登録)
ヴィクシリーズ第十三弾。今回のテーマは「黒人問題とシカゴ」。もはや、行方不明捜しも、背景の「民主党王道=権力と富あるリベラル」 vs 「黒人修道女=民主党マイナー」も、ハードボイルドおろかミステリ自体さえも、「黒人問題」・・米国にとって国家の脊髄に突き刺さった銛(棘レベルではなく)・・の前にかすんでしまい、もう、「シカゴサーガ」として読むべきなのかな、ヴィクシリーズ。白人の過酷な抑圧と黒人の破壊的な暴動、陰湿化する反動弾圧と更なる暴発・・見えない出口。「白人・黒人」のみならず、「男・女」「WASP・非WASP」「富者・貧者」「クリスチャン・異教徒」「強者・弱者」・・誰もが差別者で誰もが非差別者・・大変だなアメリカ(ま、けしてヒトゴトでないけどね)


No.1030 7点 人生は小説(ロマン)
ギヨーム・ミュッソ
(2026/02/13 22:56登録)
" 幼い娘に現前で「密室消失」された女流作家 "・・を創作した小説家の男。イデオロギーに憑りつかれた元モデルの妻に実生活を破壊され、愛する一人息子を奪われ、己の創作した"女流作家"との「邂逅」を試みるが、逆に"彼女"から実生活への「介入」を受け返される。実人生とフィクションの相互浸透。そして、"女流作家"が架空の存在であると知りながら、その実在を演出して、"彼女"の小説を出版し続けた女編集者。小説家と編集者と"女流作家"のミステリ解明にして文学的な捻りラストが見事。前作「作家の秘められた人生」では、ラストでのメタ飛躍逃避が興ざめだったが、今回はプロット自体の「エクリチュール論」的文学展開を、ミステリエンドに収束させて、当サイトでは採点、高くつけちゃうよ(ミステリサイトだからね)


No.1029 6点 ナイフをひねれば
アンソニー・ホロヴィッツ
(2026/02/12 00:21登録)
ホーソーンシリーズ第四作。皮肉・辛辣にして陰湿かつ策略的な女劇評家*の刺殺事件。殺された女に重篤な怨念を持っていた容疑者の劇関係者達と、不利な状況証拠から冤罪の罠に追い詰められていくワトソン役の脚本家。真相の、捻りWhy・How・What、人物トリック絡めのWhoダニットと、さり気なく豊富な伏線**が、相変わらず見事。苦笑を誘う曲者の主役探偵および女エージェント、それ以上に、敵役から憎めない好キャラに移転し始めた巨漢の女警部が良く。
*英国って、芝居の社会的地位、劇評家の権威が高いんだね。
**ところで「日本の桜」は、どうなったんだ?


No.1028 6点 消失村の殺戮理論
森晶麿
(2026/02/07 21:30登録)
民俗学的構造主義ミステリ(勝手に命名しちゃう)から、ラストで一気にSFファンタジーに飛躍した「切断島の殺戮理論」の続編ぽいので、今回もまた・・と予断して読み始めたら、「ホラー」に始まり「土俗奇譚」「密室ミステリ」「精神SF」「生物SF」が軽やかに混合していて、ポップに楽しませて頂きました。既に免疫あるので、この手の悪趣味オチには、もう驚かないヨ(ꒉ:)و ̑̑

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