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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.29点 書評数:1015件

プロフィール| 書評

No.1015 5点 暗く聖なる夜
マイクル・コナリー
(2025/12/31 23:25登録)
ヒエロニムス・ボッシュシリーズ第九弾。警官を辞めて私立探偵となったボッシュ。過去の未解決事件を掘り返し、金にもならないドブネズミ仕事に這い回り、一人称語りで進行する淡々と渋いハードボイルド・・からのラストバイオレンス爆発。謀議された犯罪と偶然に見舞われた痛ましい運命、本格風味の操りオチも付いてミステリ具合もナカナカ。
※2025年も、じきに終わり・・諸兄、良いお年を!(^.^)


No.1014 8点 その可能性はすでに考えた
井上真偽
(2025/12/28 01:06登録)
「逆密室(=密室)」空間に存在した首切断屍体と足負傷少女。少女以外には加害者は存在し得ず、が、少女には犯行は行い得なかった。状況が「奇跡」か否かを争う、「可能性」否定の論証。移動トリック・投擲トリック・入代りトリック・・・三つのトリックの可能性を否定する諸ロジックと、その「否定ロジック」を否定する「否定の否定(≒肯定)」ロジック、さーらに、それを再否定する、背理法駆使の否定ロジック・・・精緻にして見事!!
見事ではあるが、青崎有吾のシンプルにして切れ味ばつぐんロジックの方に軍配上げたくなるなあ。
ファイナル「真相」なかなかで、密室トリックは・・まあ、これはこれで・・^^;


No.1013 4点 ウィンディ・ストリート
サラ・パレツキー
(2025/12/23 21:37登録)
ヴィクシリーズ第十二弾。ヒロインの生まれ育ったシカゴ市南地区・・荒廃状況の地区らしい・・、出身校である荒れた高校の女子バスケット部コーチを引き受けざるを得なくなったヴィク。ここ数作に似て、今回は、中南米移民と米国セレブ階級の齟齬軋轢がテーマ。大企業経営者一族の子息とメキシコ移民貧困家庭の娘、またも、米版「ロミオとジュリエット」で話は進む。ラテンカトリック・・貧困と因習、色情と篤信、熱狂と教条の混合・・に対する、ヴィクのアンビバレントな立ち位置・・弱者救済・社会的平等への共感と、教条崇拝・偏狭的戒律への反発・・がバランス良く表現されている。(でも、「ミステリ」としてオマケ評価するには、そろそろ、息切れなのかな、このシリーズ・・・もちっと付き合ってみるか・・)


No.1012 5点 恋と禁忌の述語論理
井上真偽
(2025/12/20 22:13登録)
才色兼備のアラサー叔母*と、大学生のティーン甥が主役の中編3作・・(おまけの第4編付き)
ワトソン役の甥が「出会う」三つの事件、とりあえず解決するユニークな三人の探偵、その「解決」を論理学により検証する「真の」ホームズ役の叔母。(に、「驚き」の第4編ドンデンだが・・)
  
  「スターアニスと命題論理」 容疑者達に対する故殺か事故かの判定と、記号論理学の形式的証明による批判。
               精緻な記号演算過程の記載はネタとして面白くなくはないが、そんな表現せずとも、
               「容疑者 Xには、目的 Aの為に、行為 Bが、手段となり得る事を、知り得た可能性が
               あった」と言うだけで済む話で・・3点(点数はネタのミステリ事件「のみ」へ)
  「クロスノットと述語論理」 古典論理学の排中律を直観主義論理学(ま、時間や弁証法で説明できるがな)で乗り
               超えるネタとしては、事件プロットのシャープさに欠けるなぁ。4点(同上)
  「トリプレッソと様相論理」 これも排中律批判だが、可能性の様相論理を取り入れて・・でも、結局は時間性の
               話だなぁ。7点(足跡トリック見事で、そこのみへの採点)
                      で、三作平均で、5点(あくまでもミステリネタ部分のみへの採点)
( 第4編は、蛇足以上に有害・・なので、無かった物として・・)

*「叔母 - 甥」エロチシズム(論理学ウンチクよりヨッポど面白い)、現代日本では「禁忌」だが、通婚可の民族もある。逆に、我が国で許容範囲の「イトコ」婚が、多くの民族でタブーだったり。


No.1011 5点 棺のない死体
クレイトン・ロースン
(2025/12/16 22:48登録)
密室から消失する幽霊、埋葬死体の復活・・・これを「カー作品」とタバかられたら、自分は、何かチガう*と感じながらも、ああそうか、とダマされると思う。が、「キュビズム期ピカソ」とブラックが区別できなくとも、ピカソとブラックでは比較にならないて次元で、カーとローソンとでは、比較にならんかな、と。
*カーにしては、「多すぎ」、ないしは、「足りなすぎ」・・
※にしても、あの拳銃消失トリック、あれはないよなぁ・・と脱力したが、クィーンも似た様な事してたわ  ⊂・^ミ


No.1010 6点 その裁きは死
アンソニー・ホロヴィッツ
(2025/12/12 23:10登録)
ホーソーンシリーズ第二作。ワイン瓶で惨殺された弁護士を廻る二つの輪。輪の軌道上の容疑者達を辿りながら、Who・Why解明に歩む、Mr."人好きしない"探偵とMr."苛立ち"ワトスン役。「カササギ」「メインテーマ」に続き、今回もズッシリ伏線ガッチリロジック、加えて、シュールに*エンタメ・・だんだんと本格ボルテージ下がって来ちゃってるの否めんが・・・。
*巨漢の女警部・・前世紀のハードボイルドやエルロイの極悪警官の女版・・や、日系女流作家・・さすがにあんな日本女いなくね?・・のキャラ達、劇画チック過ぎて、唖然(⊙︿⊙) 苦笑(#^.^#)・・


No.1009 7点 メインテーマは殺人
アンソニー・ホロヴィッツ
(2025/12/08 23:02登録)
探偵役の元警官(狷介でホームズ風"ミスタープライド"やな奴)と、ワトスン役の物書き(作者自己パロディ設定テキな?)コンビの、"険悪"かつコミカル掛け合い実録風ミステリ。自身の葬儀を手配した初老女の殺害事件で幕を開け、その息子の惨殺劇に展開するが、もっぱら照明の当たる舞台は、老女が過去に起こした凄惨な交通事故。そして、「驚き」のWho・Whyドンデン閉幕へ。加えて、「私は如何にして実録犯罪モデルのミステリを書くハメになったか」メタミステリでもあり・・前作「カササギ」みたいな、大トリッキーどんでんではないが・・Goodよ。


No.1008 4点 幻色江戸ごよみ
宮部みゆき
(2025/12/04 06:00登録)
今で言う1月~12月各月に一話づつを充てた、江戸幻譚奇譚集。ミステリアスではあっても、ミステリではない。が、各話とも、見事。見事ではあるが、第二編「紅の玉」の後味"イタさ"が、最後まで尾を引いてしまい、大きくオマケ点付けたい気持ちに抑制がかかってしまった。


No.1007 2点 闇の中から来た女
ダシール・ハメット
(2025/12/01 21:29登録)
突風の夜道、迷い込んだ一軒家、いわくありげな住人・・イイ感じの出だしから・・イッキに、ほげ?何これ?エンドへ。うーん、ハードボイルド=「固ゆで」言うよりも、割って見たら、アッと驚く、「ユウセイ卵」・・・


No.1006 6点 廃集落のY家
遠坂八重
(2025/11/30 18:17登録)
作者第四作。タイトルと前三作から、ホラー風味の本格ミステリ予想してたが、ミステリ風味のホラー・・土俗奇譚、一族カルト、サイコ深層・・であった。おおコワ(*_*;
一人称ヒロイン、どこにもそんな描写ないのに、「可憐な女子大生」を思い描いて読み進めてたら・・アゲクの果てに、ヒョッとして、ルックス「・・・系」○女? オオこわぁ(;゚Д゚)・・人物トリック相変わらずオモロい。
(この作家、「本は一気読みして楽しみたい」むきにお勧めよぉ)


No.1005 7点 アミュレット・ワンダーランド
方丈貴恵
(2025/11/29 20:11登録)
上級犯罪者御用達ホテルが舞台、元殺し屋のホテル探偵がヒロインの第二集。
   「ドゥ・ノット・ディスターブ」 ライブ配信密室トリック双子ネタからの、二重三重いや四重転倒 8点
   「落とし物合戦」 薄汚れカモノハシ人形とブレスレット、落し物持ち主と人物正体の解明ロジック 7点
   「ようこそ殺し屋コンペへ」 ホテル滞在殺し屋達に配られた殺害指示書、三重展開から四重目返し 7点
   「ボマーの殺人」 ホテル披露宴爆破予告リミット付き緊迫劇・・んなパスコード、ワカらん (*^^) 5点                                      
                                       ・・・で、全体平均、7点
よくぞこんな精緻に捻った話、拵えられるなぁ ^_^ (ほんと、さり気なく凄い作家)


No.1004 4点 首のない女
クレイトン・ロースン
(2025/11/26 21:50登録)
クレイトン・ロースン第三作。サーカスの「首のない女」見世物・・へび娘・大イタチの類ね・・の、ネタが愉しい。
「首のない女」は出て来るが、「密室のないロースン」てのがなぁ・・


No.1003 5点 愚か者死すべし
原尞
(2025/11/23 23:47登録)
暴力団の抗争、警察内部の軋轢、齢九十超の情報屋フィクサー翁と義娘、怪人?面相の如き謎の男・・元々は無関係だった誘拐事件と射殺事件がクロスして、複雑にして怪奇なサスペンスミステリが展開する。話は面白く、真相解明もナカナカ。たーだ、相変わらず、物語の接点に居合わせる主人公サワザキがいただけない。クダクダしい長ゼリフ(お礼受け取らない理由を説明すんのに、なんで、文庫本10行にわたる演説いんの?)と、警官・ヤクザ相手に、やたら強がった不良中学生の様な鼻白む空威張り言動。リリカルなラストシーン、”・・私に何か言った。たぶん 「さよなら探偵さん」と言ったのだろう " 、これ活かす、もっと「愚か」に相応しいキャラがほしく。


No.1002 6点 46番目の密室
有栖川有栖
(2025/11/20 08:16登録)
”日本のデイクスン・カー” の異名を持つ、密室ミステリ作家が殺される密室殺人。二つの密室のHow、シンプルにして解りやすくGood ദ്ദി・◡・)。それ以上に、密室作成のWhy言うよりWhat解明ロジックが、べりいぐっど ദ്ദി(^ᗜ^) よ。さすがは" 日本のエラリー・クイーン" (※だれか、「ジョン・デイクスン・カーを殺した男」なんての、ど? (^^;))


No.1001 7点 虚無への供物
中井英夫
(2025/11/18 22:43登録)
「三奇書」を「本格ミステリ」としてクールに評価してみよう、その三。
    
    風呂場の密室、久生のダミー推理に 1点 
    風呂場の密室、藍司のダミー推理に 2点
    風呂場の密室、藤木田のダミー推理に 2点
    風呂場の密室、真相に、2点
    作中作「人間ロープ仕掛け」ネタに 1点
    *アンチ本格ミステリなWhyに、-1点
                 ・・・合計 7点
   「爺やはイカン、爺やは」・・何度読んでもフく。

*作者、元々は短歌誌編集者で、文学系統的には、高踏的審美派(勝手に命名しちゃう)三島由紀夫・吉行淳之介系に属すヒトかなと。なので、当然、乱歩にも親和性あるが、「本格」ミステリに対しては、アンビバレントな立ち位置にあるのかな、と。
が、無意味な死・・「人間オタマジャクシ」のネタはチトこたえる・・よりは、意味ある悪を、は、ともかく、” 真犯人は読者のあなた "ってのは・・(そのとーりだが)


No.1000 7点 黒死館殺人事件
小栗虫太郎
(2025/11/16 23:15登録)
「三奇書」を「本格ミステリ」としてクールに評価してみよう、その二。
     
    毒殺屍光密室に、1点・・(解りづらいな図がほしい)
    火術弩の密室に、1点・・(図があっても解りにくい)
    扼殺密室に、1点・・(その材質特性ホントか?)
    射殺密室に、2点・・(これが一番マトモ(^^;)なトリックだったりする)
    足跡・鐘鳴・回転椅子ロジックに、1点
    Who・Why解明ネタに、1点
                 ・・・合計 7点
※小説としては、「三奇書」の中で、一番好きだったりする <^!^>


No.999 5点 ガラスの鍵
ダシール・ハメット
(2025/11/13 12:03登録)
街を裏で仕切る「顔役」二人、上院議員、トバク胴元、検事、新聞屋、情婦や娘達・・。顔役二人の抗争が、殺人事件と選挙に絡んでモツれ、その間を戦略的に狡猾に、それでいて、あまりにも愚かに暴発的に関わる、賭博者探偵。クールでもダンディでもニヒルでもない、ホットで見苦しく愚直なクレイジーガイが、最後の最後に、ちょびっとハードボイルドヒーローする。


No.998 4点 天井の足跡
クレイトン・ロースン
(2025/11/10 09:06登録)
クレイトン・ロースン第二作。島(孤島でないが)・旧屋敷・オカルト儀式・天井の足跡・海賊財宝・奇病兄妹・死体出現「密室」・・・本格大道具は魅惑的で、話の展開もなかなか。これで、複数者の思惑・行為が複雑な歯車となって、偶然に驚くべき仮象を生ぜしめ・・ならヨかったが、出来上がった映像が「天井をツタう足跡」だけってのがチト淋しく。せめて、ホテル部屋の死体出現密室をキチンと拵えてほしかった。※その他、アリバイや弾道の明確なトリックねたも付いてる。


No.997 6点 ネズミとキリンの金字塔
門前典之
(2025/11/08 22:36登録)
門前典之第九作。冒頭に建築図面が何枚も付いていて、うーん、「エンデンジャード」良かったな「建築屍材」はツマランかったなぁ、と読み始めた。「社会派」文法・・リアリズム描写ではなく、不正糾弾ジャーナリズム文法・・が、ダマになって混入しててイタダケない、島荘同様、読んでて鼻白む悪い要素だな、ジュンスイに「本格」を楽しませてくれい、と文句を呟きながら読み進めていったら・・・なんと素晴らしき本格ドンデン返し! タイトルと何枚もの図面の伏線回収も鮮やかで、期待どおりの門前典之であった。( 密室は大きくズッコケだけどね ^^; )


No.996 7点 女囮捜査官 5 味姦
山田正紀
(2025/11/05 09:02登録)
オトリ役の女捜査官、五感シリーズ最後は「味覚」の巻。トランクを持ってバスに載った女の死体が、トランクの中から発見され、渋滞のトンネル車中での扼殺事件で、犯人は「衆視」の中を消失した・・二つの「密室」事件を含み、本格度はシリーズ最高。とりあえず、シリーズ最高点としよう。が、グルメねた・・「美食倶楽部」って・・ともかく、巨悪征伐の組織内抗争展開てのが、ちと異味気味で、鍋が煮詰まってしまったかなと。本格に絞った方が美味しかった。

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