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ミステリの祭典

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ブルックリンの少女

作家 ギヨーム・ミュッソ
出版日2018年06月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 八二一
(2021/11/30 20:15登録)
予想の斜め上をいく展開とはこのことかといったふうで、最後は思ってもいなかった類の胸の苦しくなる感動が待っていた。

No.2 6点 tider-tiger
(2020/03/30 05:58登録)
~「どうしてアンナは自分の過去の話を一切しないのだろう?」
幸せの絶頂にいる人気作家ラファエル・バルテレミの唯一の懸念だった。婚約者のアンナ・ベッケルに問い詰めるラファエル。アンナは観念し、一枚の写真を見せてくれた。そこには三体の焼死体が写っていた。
「これがわたしのやったこと」とアンナ。呆然とするラファエル。そして、アンナはいずこかへと消え去ってしまうのであった。~

2016年フランス作品。最初の数頁を読んだときには前に書評した『緋色の記憶』のようなじっくりと味わうタイプの作品を想像した。ところが、味わっている暇がないくらいに目まぐるしく展開していく話だった。次々と新たな事実が判明していくうちに発端の事件(婚約者の失踪)がなんであったのかを忘れてしまうくらいだ。
序盤はラファエルが単細胞に思えて仕方なかった。婚約者を問い詰めたり、協力者に対してつまらないことで腹を立てたりといったところにいささかの子供っぽさを感じた。
ラファエルらがいまいち煮詰まっていないロジックで猪突猛進していくのもあまり感心しなかった。うーん、ちょっとご都合主義かな。自分がおっさんだからこんな風に感じるのかもしれない。
キャラも面白そうな人が何人かいたのにいまいち印象が薄い。特にゾラー・ゾアキンについてはもっと掘り下げて欲しかった。
一つのことについて語り切れていないうちにどんどん次のことが起こる。息をもつかせぬスピーディな展開ともいえるので必ずしも短所とはいえないが。
面白く読んだが、私にとっては決定的ななにかが足りない作品でもあった。そういう意味ではこの前書評した『顔のない男』に近い読後感。

個人的に気になったのは三人称と一人称の混在。
人称、視点についてはさまざまな意見があり、まったく気にしない方もいると思う。自分は視点の移動には寛大だが、人称は基本的には統一した方がいいと思っている。一人称と三人称の混在は読みづらいばかりか、双方の利点を殺すことにもなりかねない。

↓少しネタバレ気味


たぶん作者は一人称多視点で書きたかったのだろうと推測している。なんでそれをしないで珍妙な形式を選択したのか。すぐに察しがついた。やはり本作は三人称多視点にすべきだったのでは?

No.1 6点 蟷螂の斧
(2019/07/15 21:30登録)
裏表紙より~『人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。なぜか過去をひた隠しにするアンナに彼が詰め寄ると、観念した彼女が差し出したのは衝撃的な光景の写真。そして直後にアンナは失踪。友人の元警部、マルクと共にラファエルが調査を進めると、かつて起きた不審な事件や事故が浮上する。彼女の秘められた半生とはいったい…。フランスの大ベストセラーミステリー。』~
前半はいろいろな謎が提示され緊張感がありました。しかし、後半は視点の転換(失敗?)により、ややダレてしまったかも。ストーリー自体は新鮮味があるとは言えません。まあ、この手の王道を行った感じですかね。けしてつまらないということではないのですが・・・。

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