home

ミステリの祭典

login
八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:413件

プロフィール| 書評

No.413 7点 奇術師
クリストファー・プリースト
(2025/04/30 20:19登録)
瞬間移動イリュージョンを持ちネタにする高名なマジシャン二人の確執と虚々実々の駆け引きがメインとなり、主な舞台はヴィクトリア朝英国。
二コラ・テスラも登場する一種の歴史ミステリだが、瞬間移動ネタの仕掛けではアッと驚く奇想が炸裂、ラストの種明かしには、思わず茫然とすること請け合い。


No.412 7点 ディスコ探偵水曜日
舞城王太郎
(2025/04/30 20:16登録)
名探偵たちによる謎解き合戦が世にも奇妙な時間、空間、宇宙論を超えて、壮絶なクライマックスに至る。
「名探偵」なる存在を意識することが作品をSFに向かわせる。ひどく奇妙に感じられるが、実は必然なのかもしれない。


No.411 5点 口に出せない習慣、奇妙な行為
ドナルド・バーセルミ
(2025/04/08 21:30登録)
ポストモダンな状況にあって、都市生活を営む人々の個人的幻想はいかなる形をとるか。その答えの端緒を従来の幻想の解体と再構築を通して示してくれる短編集。


No.410 5点
スワヴォーミル・ムロージェック
(2025/04/08 21:26登録)
出世主義者の動物園長が、ゴム風船で偽物の象を作ったことから起こるスラップスティックを語った表題作ほか、いずれも奇抜なアイデアをグロテスクな幻想的手法を用いて描いたシュールなマッド小説。


No.409 7点 女囮捜査官 2 視姦
山田正紀
(2025/03/20 20:30登録)
首都高の各所で発見されるバラバラ死体。ハイテンションな導入から不可能状況の提示まで間然するところのない緊密なプロットが見事。意外な犯人ものとしても秀逸。


No.408 6点 死のオブジェ
キャロル・オコンネル
(2025/03/20 20:28登録)
画廊で起きたアーティスト殺しは、12年前にマーゴヴィッツが追っていた猟奇殺人と繋がっているのか。
ニューヨークのアート界という伏魔殿が産んだ歪んだ愛憎と意外な動機が光る作品。


No.407 6点 ばくうどの悪夢
澤村伊智
(2025/02/26 20:17登録)
創作において取り扱いが難しいとされる「夢オチ」を巧みに織り交ぜる展開は、読者がまさに「ばくうど」の術中にいるかのような没入感を生み出す。まんまと騙された。


No.406 5点 踏切の幽霊
高野和明
(2025/02/26 20:15登録)
夜中の一時三分に鳴る電話。ただでさえ、なんでこんな時間にと怖いのに、幽霊からだったら。
ぞくぞくする心霊話と、社会派ミステリが融合したようなストーリーに震える。下北沢の踏切で亡くなった「彼女」は一体何者で、なぜ殺されたのか。ラストがひたすら切ない。


No.405 5点 兎の島
エルビラ・ナバロ
(2025/02/06 19:49登録)
都市に流れる川中の小島に高校教師が持ち込んだ兎が異常に繁殖し、という表題作をはじめ、現実とも妄想とも超自然ともつかない奇妙で曖昧な現象が登場人物の不安や疎外感と共鳴し、日常生活全体がシームレスな揺らぎの中に包まれる。特に何も起こらなくても不気味という雰囲気ホラー。


No.404 6点 誘拐の日
チョン・ヘヨン
(2025/02/06 19:43登録)
白血病の娘の費用を賄うため、起死回生の身代金誘拐事件を企てたシングルファーザーのミッション。だが誘拐した少女の両親が、自宅の豪邸から死体で発見されたことで、事件は予想外の展開へ。
天才少女とドジで情けない誘拐犯のコンビのユーモアたっぷりの掛け合いや、現実離れした強烈などんでん返しの連続が楽しめる。


No.403 7点 女には向かない職業
P・D・ジェイムズ
(2025/01/15 21:10登録)
相棒に自殺された私立探偵コーデリアは、単身ケンブリッジの田舎へ依頼された事件の捜査に出かける。
殺人か自殺かの謎を追求する彼女の身に危険が迫る。地味な作品ではあるが、かなりのサスペンスと、コーデリアの魅力が読み応えあるものにしている。


No.402 4点 青い花
レーモン・クノー
(2025/01/15 21:06登録)
夢のまた夢の物語。中世の城主と現代人の夢を交錯させ、やがて二人を出会わせることで、現実と夢との境界をとっぱらい、同時に従来の小説の時間への大胆な挑戦を試みた実験小説である。


No.401 5点 未完成
古処誠二
(2024/12/25 20:29登録)
シンプルで考え抜かれた小銃消失トリックの意外性、大柄な主題と大胆なミスディレクションの巧妙な結合、周到な舞台設定など、その技巧が冴えている。


No.400 4点 UNKNOWN
古処誠二
(2024/12/25 20:26登録)
小粒なトリックを精緻に組み合わせる盗聴器設置のからくりは見事。
自衛隊内のディテールも興味深く読めた。


No.399 5点 赫き女王 Red Alveolata Queen
北里紗月
(2024/12/05 19:34登録)
孤島での苛酷なサバイバルの中、次々と変容した生物が襲い来る、息もつかせぬバイオパニックホラー。
バイオ部分のアイデアは、SFファンにも読み応えあり。


No.398 6点 半暮刻
月村了衛
(2024/12/05 19:30登録)
ある事件が、青年二人の運命を変えてしまう。
本当の悪とは何か。罪を償うとはどういう事か。社会の闇に深く切り込んだノンストップの一気読み社会派小説。


No.397 7点 喜劇悲奇劇
泡坂妻夫
(2024/11/14 20:00登録)
全章題が回文、それ以外にも回文が大量投入され、殺人自体も回文との関連が強いという、言葉遊びに凝った作品である。しかもミステリとしても伏線などの見所がたっぷり。


No.396 6点 レイチェル
ダフネ・デュ・モーリア
(2024/11/14 19:57登録)
一人の人間の死後、二人の男女が故人の呪縛から逃れられず、愛と憎しみの葛藤に苛まれる心理サスペンス。
皮肉な幕切れで読者を突き放す一方、切々たる余韻が残る。


No.395 5点 文字禍の館
倉阪鬼一郎
(2024/10/27 20:02登録)
ある謎めいた私設ミュージアムに招待されたオカルト雑誌の編集者ら三人を襲う恐怖体験を描いているが、うねるようなタイポグラフィは、「文字そのものが孕む恐怖」を読者に体感させるに十分である。
作者のバカミス路線の作品群に通じるような趣向が用意されているのも興味深い。


No.394 5点 犬笛
西村寿行
(2024/10/27 19:57登録)
巨大組織に誘拐された七歳の娘を追って、日本中を駆け巡る父親と愛犬の物語。
あらすじ的にはかなり無理があるが、娘と愛犬に向けた想いの強さと彼らを取り巻き援助する人々の人情に、固いことを言うのは野暮な気になる。

413中の書評を表示しています 1 - 20