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ミステリの祭典

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ばくうどの悪夢
比嘉姉妹シリーズ

作家 澤村伊智
出版日2022年11月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 ぷちレコード
(2025/05/17 21:49登録)
人に害をなすゴーストハンターもので、敵は夢魔である。第一章から登場する語り手の僕は、小説家の父を持つ中学生。彼とクラスメイトが「夢で見たとおりに傷つけられている」被害に遭い、やがてクラスメイトの一人が命を落としてしまう。眠れば殺される悪夢を恐れる僕のため父は野崎夫妻の力を借りる。「見える」妻・真琴は僕に悪夢に対抗するための巾着袋を渡してくれるが。
物語の中盤で大きな転調を見せ、読み手の想像力を凌駕する意外な形でそれを投下する。サプライズと共に凶悪性増してくる。夢魔「ばくうど」の力をいかにして鎮めるかという未知なる命題は、知的好奇心を高ぶらせる。

No.2 6点 八二一
(2025/02/26 20:17登録)
創作において取り扱いが難しいとされる「夢オチ」を巧みに織り交ぜる展開は、読者がまさに「ばくうど」の術中にいるかのような没入感を生み出す。まんまと騙された。

No.1 6点 人並由真
(2022/12/09 06:23登録)
(ネタバレなし)
 『ししりばの家』以来5年ぶりの長編版・比嘉姉妹シリーズ。

 あらすじは書きにくい作品なのでパス。

 どうしたって途中の大仕掛けはミエミエなのだが、さらに(中略)。
 テクニカルぶりでは、シリーズ中でも上位の方であろう。
 真琴と琴子のこれまでと違う一面? が見られるのはシリーズのファンには興味深かった(と言いつつ、評者はいまだ『ぼぎわん』を未読であった~汗~)。

 しかし前作『ししりば』は元ネタが、あー、あのSFロボットアニメね、と読んですぐにピンときたが、今回のアイデア元はおそらく『ドラえもん』のあの名作エピソードであろう。いろいろと、読者に向けて作者が「わかるよね?」と、サインを忍ばせている感じもする。

 期待どおりに面白かったが、シリーズの中ではちょっと変化球な感じもしないでもない(まあそれを言ったら『ししりば』も同じか)。
 
 作者のシリーズ外作品『キリカ』に通じる、現実の一部のタイプの人間に向けた悪意と揶揄の盛り合わせはなかなか。今回の作品の軸はそこら辺であろう。

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