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ミステリの祭典

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欺しのD
キンジー・ミルホーン

作家 スー・グラフトン
出版日1988年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 レッドキング
(2025/07/20 23:19登録)
キンジー・ミルホーンシリーズ "D"の巻。「欺し=D(ダぁ)マシの"D"」ね(いろいろ無理あるが)・・原題は「"D" is for Deadbeat」 = 「D(ダぁ)めクズの"D"」ってとこかな・・。半浮浪者・半詐欺師の様な男からの仕事依頼 → 依頼人の怪死 → 事件究明へ物語ツイスト → 過去譚と連結した事件の真相解明、と起承転結するシンプルなハードボイルドで、ちよっと(ほんのチョビーっと)Whoトリックも付く。米国の底辺クズ白人男女の「細やかな」リアル描写が見事で、ヒロイン自身の半汚れ(と言うより2/3汚れ)語りもよく・・ゴミ置き場トレーラーで暮らすムショ常連男との「f●ck」を夢想し、妻子持ち警官との夜通し「fu〇k」で心身をリフレッシュする、ファンキーなダーティ具合がよく・・今回も点数オマケ。

No.1 5点
(2019/02/19 23:47登録)
欺し(普通「だまし」は「騙」の字を書き、「欺」は「あざむき」と読みますが)だから、DはDeceptionかと思っていたのですが、Deadbeat(のらくら者)だったんですね。確かに、依頼人が怪しげであることはあまりに明らかで、キンジーはその依頼人に欺されたというほどでもありません。
しかしこの依頼人が、当然すぐにばれる嘘をついてまでキンジーに人探しを依頼したのはなぜかという謎に対して何の解答もないのは不満でした。また訳者あとがきでは、彼が「根っからの悪人だったのか、それともなんらかの形で遺族のひとりである少年に償いをしようとしたのか、キンジーとともに読者みずからがそれぞれの結論を出さなくてはならない」としていますが、この小説構成ならこの点には明確な解答を与えるべきだと思います。
本作の真相説明部分は、褒める人も多いだけのことはあるのですが、それを考慮しても、この点数でしょうか。

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