home

ミステリの祭典

login
欺しのD
キンジー・ミルホーン

作家 スー・グラフトン
出版日1988年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2019/02/19 23:47登録)
欺し(普通「だまし」は「騙」の字を書き、「欺」は「あざむき」と読みますが)だから、DはDeceptionかと思っていたのですが、Deadbeat(のらくら者)だったんですね。確かに、依頼人が怪しげであることはあまりに明らかで、キンジーはその依頼人に欺されたというほどでもありません。
しかしこの依頼人が、当然すぐにばれる嘘をついてまでキンジーに人探しを依頼したのはなぜかという謎に対して何の解答もないのは不満でした。また訳者あとがきでは、彼が「根っからの悪人だったのか、それともなんらかの形で遺族のひとりである少年に償いをしようとしたのか、キンジーとともに読者みずからがそれぞれの結論を出さなくてはならない」としていますが、この小説構成ならこの点には明確な解答を与えるべきだと思います。
本作の真相説明部分は、褒める人も多いだけのことはあるのですが、それを考慮しても、この点数でしょうか。

1レコード表示中です 書評