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ミステリの祭典

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風神雷神の殺人
警視庁捜査一課事件簿

作家 阿井渉介
出版日1994年02月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2020/12/17 22:17登録)
(ネタバレなしです) 1994年発表の警視庁捜査一課事件簿シリーズ第2作の本格派推理小説と社会派推理小説のジャンルミックス型ですが、読者が自力で解決を目指せるプロットではありません。風神や雷神の助けによって実行された2つの殺人と次の殺人を予告する手紙が事件の発端です。更に堀刑事自身が目撃者になる中学生襲撃事件が起きるといういささか脈絡のないような展開です。殺人を宣言された2つの事件は鉄橋からの列車転落事故と列車同士の衝突事故で、さすがにこれを人為的なトリックで実行するのは無理だろうという難題です。仮に実現できたとしても大勢の犠牲者を出してまで実行するのかという謎も強力です。真相はそこをうまく処理しているなと感じました。とはいえタイトルに使われている風神雷神の演出が弱いし、犯人の行動力はあまりにも超人的に感じられます。まあこの作者の他の作品で大勢の共犯者を使った組織的犯罪の真相に比べればまだましですが。

No.1 5点 E-BANKER
(2011/11/05 21:36登録)
若きエリート警部補・堀進とギャンブル好きのロートル刑事・菱谷のコンビが活躍するシリーズ第2弾。
本作も作者独特の重い雰囲気の作品。

~「風神雷神の助けでおまえを殺す」。謎めいた脅迫が現実になったかのように、怪異な手口で起こる連続殺人。東京、静岡に次いで4通の殺人予告が列島を震撼させる。動機はなにか。犯人が起こしたと豪語する余部、信楽の列車事故の意味するものは? 捜査一課の名物コンビが凄まじい怨恨に駆られた犯人を琵琶湖畔に追い詰める!~

本格モノというよりは、なんだか「社会派」作品のような雰囲気。
中盤までは、犯人の狙いも犯人像も全く分からないまま、異様な事件が続いていく展開。
「列車シリーズ」をはじめ、氏の作品の特徴は、とにかく「不可能趣味満載の謎の提起」と大掛かりなトリック。
ただ、本作、トリック的な妙味ではなく、「動機」一本に絞ったかのようなプロットがある意味新鮮ではありました。
ただ、こういう作品の場合、犯人像が判明してしまうと、読み手の興味が半減してしまう功罪はありますが・・・
余部、信楽の大列車事故は現実の事件ですから、さすがに「トリック」的な仕掛けは無理だったのでしょう。
そういう部分では、氏の作品としては、やや不満の残る内容かなぁ・・・

でも、この「動機」はちょっとリアリティに乏しい気はしますねぇ。
(こういうヤツらは確かに憎むべき存在ではありますが・・・)

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