星くずの殺人 女子高校生・真田周 |
---|
作家 | 桃野雑派 |
---|---|
出版日 | 2023年02月 |
平均点 | 5.60点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 7点 | みりん | |
(2023/06/29 02:37登録) 3時間ちょいでパニック宇宙旅行サスペンスを存分に楽しめましたね〜 呼吸困難の心肺停止になってからAEDで蘇生するまでわずか2ページですよ!なんとスピード感の良い作品だろう。一番ラストのセリフで笑ったので+1点 私の思い描いたオチ 卒業式で校歌じゃなくBohemian Rhapsodyかましたった。本当はDon't stop me now弾きたかったけどみたいなことを周が言うシーンで爆笑した。いや待て!これはコミカルなシーンに見せかけて、こいつが犯人&殲滅後に宇宙船でKiller Queenを弾き語り配信して終わるのではないか また当ててしまった…なんてそんな心配はいつものように杞憂に終わりました。 本編のオチ これは当てるの難しいなあ。犯人の動機とトリックがリンクしてるの良いですね |
No.4 | 4点 | ひとこと | |
(2023/05/28 16:14登録) 設定のワクワク感はすごい |
No.3 | 7点 | 人並由真 | |
(2023/04/13 13:27登録) (ネタバレなし) 20XX年(2020~30年代らしい)7月。民間企業ユニバーサルクルーズ社の雄翼型宇宙船「HOPE!!号」は2名の乗員と6名の乗客を乗せて、地球の軌道上にある宇宙ホテル「星くず」に向かう。だがホテルに到着した一同の前に、不可解な変死が発生した。 先の乱歩賞受賞作は未読なので、この作者との縁は本書が初だが、設定が面白そうなので手に取ってみた。 近未来SF的なシチュエーションは、殺人事件そのものの不可能性を高める演出の類に寄与するものでは特になく、その辺りは、期待したものといささかニュアンスは違った。 が、舞台装置、あくまで少人数で進む作劇、話の転がし方、そして昭和の児童向け科学読み物に触れる際のそれっぽいサイエンス描写など、個人的には結構ツボにはまった作品であった。 (なにより全編に漂う、近未来時代的なロマン感が良い。) 頭数が少ない分、登場人物の描き分けは悪くなかったが、後半、いささか思うところはある。ただし文句を言う筋のものでもないのであろうから、その辺はムニャムニャ……。 動機に関しては、そういう文芸かと軽く驚いて、相応に感心。 叙述や話の組み立てを整理しきらないで、書き手の書きたい気分なのであろう場面を優先して綴っちゃった部分もそこかしこにあるような印象もないでもないが、自分的にはトータルとして好感触の一冊ではある(あえていうなら不満は、さっきちょっと言いかけた……)。 佳作~秀作。 |
No.2 | 5点 | 虫暮部 | |
(2023/04/11 10:58登録) 説明的だと感じる部分が少なくない。しかしそういう書き方だから真相(動機)が受け入れ易いとの側面もある(ちょっと皮肉)。陰謀論を登場させたのは上手い手だと思う。 スタッフ達の退去は事前に読めなかった筈で、“状況の想定外の変化が犯人の行動に与える影響” が何か欲しかった。 そもそも一人ずつ殺すやり方は目的にそぐわないのでは(本来なら12対1だ)。私だったら、一人を人質にして残りを宇宙船で還らせ、人質には脱出ポッドを使う、かなぁ。 Kiken! Mada modoruna. これは、会社の存続を優先して “(今すぐ帰還したいとの希望は)聞けん!” が真相だろうと思っていた。 後にメールの全文が明らかになってもこれと言った効果は上がっていないでしょ。読者に対する引っ掛け? |
No.1 | 5点 | 文生 | |
(2023/03/11 08:52登録) 江戸川乱歩賞を受賞した前作『老虎残夢』が南宋を舞台にした武侠ミステリーだったのに対し、本作は180度作風を転換したSFミステリーです。 舞台は民間での宇宙旅行ツアーが試験的に組まれるようになった近未来で、宇宙ホテルで起きる連続殺人が描かれています。ライトな作風でさくさく読める反面、コロナ渦からわずか数年という設定なのにすでに宇宙ホテルが出来ているなど、SFとしてのリアリティのなさはやや気になるところ。また、宇宙が舞台という設定を活かした仕掛けが複数用意されているものの、豆知識に基づく物理トリックばかりでミステリーとして大きな驚きはありません。ちなみに、帯の煽りでは無重力下での首吊り死体がすごい謎のように書かれていますが、はっきり言って単なるこけおどしでした。ミステリーを読みなれていれば(具体的な方法までは推理できなくても)大まかな原理はすぐに分かるはずです。結局最大のサプライズといえるのはは「互いに面識のなかったツアー客の間で連続殺人が起きたのは何故か?」という動機の問題でしょうか。全く予想外のこの動機には驚かされました。ただ、驚きはしましたが、この動機が成立する背景がありえなさぎるという問題があります。 とはいえ、ミステリーとしては動機以外に大きな破綻もなく無難にまとまっていますし、話としてはそこそこ楽しめたので点数はこのくらいで。 |