| みりんさんの登録情報 | |
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| 平均点:6.66点 | 書評数:564件 |
| No.564 | 8点 | 疑惑の霧 クリスチアナ・ブランド |
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(2026/08/16 20:11登録) 同シリーズの諸作品と比べて事件そのものに求心力はなく、退屈であった。犯人が判明しても「なぜそれが実行できたか」というのが腑に落ちず、疑問が残る。このまま終わるのかと思っていると、最初から作者の巧妙な罠にまんまと踊らされていたことが最後の最後に判明する。真相そのもの以上にこの焦らし方がいやらしいほど効果的だった。探偵による推理の披露ではなく、たった数行の犯人のセリフだけで、まさに霧が晴れるようにすべてが繋がるのがキザで格好いい。「うわああああ…!」ではなく「お、おおおお…!」って感じでやられた。本格ミステリとして特段凄いわけではないが、今のところ1番好きかも。 ちなみにコックリルとチャールズワースの推理対決要素は薄い |
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| No.563 | 7点 | 自宅にて急逝 クリスチアナ・ブランド |
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(2026/08/15 23:55登録) 大富豪の住む白鳥の湖邸(スワンズウォーター)、遺言状の書き換えによる混乱、遺産相続を巡る2つの足跡密室殺人、クライマックスは○の○○。実にホンカク^ ^ 十八番(?)の多重解決は探偵ではなく、なぜか容疑者達がただ安心を得るために必死に考案していくという斬新な趣向であり、それぞれ単独でナミの長編ミステリーが仕上がるレベル。登場人物はどいつもこいつもノンデリカシーのやばい奴ら‥これが恐るべきリチャード一族の血かw 最後に明かされる脱力物の足跡トリックは、あらかじめ仮説の中で潰しておいて欲しかったが、最後の1行を読むとブランドさんはどうしてもこれをやりたかったんだなと笑ってしまう。表紙裏の「ユーモア溢れる本格ミステリー」に偽りなし |
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| No.562 | 7点 | 緑は危険 クリスチアナ・ブランド |
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(2026/08/15 10:16登録) 第二次世界大戦でドイツ軍による空襲を受けている最中の陸軍病院で起こる殺人。手術中ということはどうせ専門的なメディカルトリックだろうとハナから諦めていたら、誰でも思い至れるようなシンプルなトリックであった。重要なのは第二の事件。被害者がナイフで2回刺され、白衣を着せられていたという謎で、そこから導かれる推理がなかなかに鮮やか。その他、前代未聞の兵糧作戦(?)や、探偵役の明白なミスなど見どころは色々あり、大技を決めた『ジェゼベル』ほどではなかったが満足。 ただブランドさん、クリスティーに比べるとすこぶる読みにくい ポケミス版の翻訳 ちょっと→ちよっと やっぱり→やつぱり 『ハイヒールの死』同様、意地でも小文字を使わないのはなぜ?訛りか何かを表現しているのかと思ったら、地の文でもこれなのでちよっと気持ち悪い |
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| No.561 | 6点 | ハイヒールの死 クリスチアナ・ブランド |
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(2026/08/15 10:15登録) 財力で女を誑かすろくでなし男べヴァンが経営するクリストフ衣装店で起こる毒入りカレー事件。 金髪美女ばかり登場して視覚的に心地よい(幻覚) が、一人一人の個性を記憶していくのが大変だ。容疑者のほぼ全員が怪しい行動を取り、真相を上手く覆い隠すテクニックは既に完成されているものの、最終的な解決が、『緑は危険』ほど論理的ではない。習作というやつかな。 容疑者達が揃いも揃って怪しい行動を取った理由に関しては、なかなか心に染みるものがある。 |
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| No.560 | 8点 | エコール・ド・パリ殺人事件 深水黎一郎 |
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(2026/08/11 23:28登録) これを読むまでキュビズムが麻耶雄嵩の造語だと勘違いしていたレベルに美術の知識がない自分でも、作中作の美術評論は興味深く、登場する画家達を検索した。評論がただの蘊蓄の披露に止まらず、物語の根底にまで深く関わっているのも、芸術に造詣の深い探偵が真っ先に解き明かすのも芸術探偵というシリーズの名に相応しい。読者への挑戦状で期待させた割に密室は肩透かしだが、犯人が憎悪に至るまでの過程が細部まで描かれていてこちらの方が印象的であった。密室なんてなくして被害者を救いようのないクズにしても良かったんじゃないかと思う。 エコール・ド・パリの評論はそのままミステリー作家の姿に重なって見えるのは深読みのしすぎだろうか。商業主義に陥らず、一人一派として作者にしか書けないものを書く。そんな作家としての矜持を体現した芸術ミステリーの傑作だと思う。 |
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| No.559 | 6点 | 痾 麻耶雄嵩 |
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(2026/08/11 11:40登録) 「翼ある闇」の密室トリックに感銘を受け、「夏冬」の意味不明さにブチ切れると同時に笑いが込み上げ、「麻耶雄嵩は俺には早すぎたのだ…」と戦略的撤退をしてから早3年が経過し、今の俺ならいけるかと再開。 (シリーズ前作も含むネタバレ) 前作に登場した概念である対象の絶対化「キュビズム」にあたるのが今作では「能」か?「リテラアート」か?前2作に続いて、無意識下における洗脳という反則級のトリックが用いられている時点でミステリーとしてはダメかもしれないが、メルカトル鮎というつかみどころのなかった銘探偵がこの回で一気に好きになった。1作目で死んでしまったが以降のシリーズでも登場する(逆時系列で?)ようなので楽しみだ。ところで、"桐璃"が和音島の惨劇の真相について烏有に嘘をついた謎や、メルカトル鮎と編集長の関係はまだ明かされてないよね?烏有サーガはまだ続くのか。 ※後日談とのことだったので、読む前に『夏と冬の奏鳴曲』をネットの考察サイトで復習すると「え、もしかして「夏冬」って大傑作だったの?」と俺も烏有のように洗脳されそうになった、危ない。 |
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| No.558 | 8点 | ジェゼベルの死 クリスチアナ・ブランド |
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(2026/08/08 22:52登録) ジェゼベルって格好いい名前だなと思っていたが、聖書から引用したこの名前自体がこの殺人の舞台装置に関わっていたのか。 全てが明かされてから思い返すとあのトリックから逆算してすべてが練られている。ページェントという舞台における衆人環視の密室殺人に首無死体、事件発覚の順番、自白合戦。すべてがトリックの演出とミスリーディングに上手く機能している。相当自信があったんだろう。 『薔薇の輪』と同様、リーダビリティに欠ける上に真相解明まで乗り切れないところがあったが、間違いなく本格ミステリーの傑作だと思う。「お手本のような」という言葉が相応しいかな。 てかシリーズ4作目かい!ブランドさんの他の作品も読まんとねえ。 |
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| No.557 | 8点 | 封鎖館の魔 飛鳥部勝則 |
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(2026/08/08 00:14登録) ほう…ここにきて王道の館ものとはずいぶん守りに入ったなアスカベさんよと心配したが、読んですぐに飛鳥部節炸裂で安心だ。この作者の女性キャラは今のところ2パターンくらいしかないと思われる(笑) 密室での顔面切断死体事件と、容疑者が全員密室に封鎖されていた中での殺人事件の2つが真逆の密室状況となっていて、過去の不可解な事件ともリンクするのが素晴らしい。流石カテリナ車輪の作者だなあ… また、犯人の動機についても、この登場人物達でしか説得力の持たないかつ他に類例の無さそうな禍々しいものであった。『抹殺ゴスゴッズ』と比べるとお話は結構退屈なんだけど、本格ミステリーとしては数段上かと思われます。堂々たる今年のベスト級(語れるほど読めてないけど) |
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| No.556 | 5点 | 火星の女王 小川哲 |
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(2026/08/04 22:05登録) 火星人と地球人の対立を描いたSF?火星人と言っても宇宙人ではなくルーツは地球である。 結晶構造をナノ秒単位で同時に変化させるスピラミンという物質の発見から、ハードなSFに誘われるのかと期待したが、普遍的(地球的)な人間ドラマに落ち着いた。こんな大層な舞台を用意しているのに、惑星差別だの貧困格差だの独立運動だの、ちょっと自分の期待とは別のベクトルに進んでしまった。独立に関心を示さない科学者の「だからなんだ」はいい言葉だと思う。 |
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| No.555 | 7点 | 白蟻 小栗虫太郎 |
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(2026/08/02 11:32登録) こ、これは!夢野久作『押絵の奇蹟』の小栗バージョンでは?視点も女性だし。 『押絵の奇蹟』が希望の物語だとすると、同じ先夫遺伝を扱ったこちらは絶望の物語だ。オチは読み違えているかもしれないが、ネットで調べても誰も解説してる人がいなかったので、2読して自分なりに結末の解釈を残す。 ①滝人は義妹の時江の中に真の夫・十四郎が生きているという妄執に取り憑かれる ②真の十四郎(時江)のために、偽の十四郎と邪魔になる義母を葬る計画を立てる ③ 「高」の影を落とす背中を持つ奇形児・稚市の、光に向かって進む特性を利用することで、喜惣の仕業に見せかけて十四郎を葬ることに成功。 ④ 蚊帳で寝ていた義母・くらを時計の針で亡き者にする。だが、最後の最後に太鼓の音が聞こえ、くらは生きていた。時江と間違えて誤殺してしまった。 ⑤くらと時江を勘違いしたのはお歯黒で歯が空洞になっていたことと、皺をお歯黒特有の斑点を勘違いしたから?時計で八九六を繰り返す滝人にとっての心理的盲点だった?? これで合ってるとすると、勘違い女によるあまりにも救いのない百合物語ということになる…ちなみに十四郎と技師・邦太郎と入れ替わっていたかについて作者は明言していないと思われるが、まあおそらく入れ替わってはいないのでしょう。 あぁ…夢野久作ってまだ読みやすい方だったんだな… 処女作『完全犯罪』は本格的な密室もの。実はトリックメーカー虫太郎おじさんの面目躍如。 短編とは思えないほど探偵と犯人のキャラクターが立っている。 [ネタバレ] 昔映画で、パイプオルガンの管の中に爆弾を仕掛け、演奏者がその音を打鍵するたびにセンサーが振動し、コンサートホールが爆破されるというトリックがあった気がするが、小栗虫太郎が本家だったのかな。本家の方は泡の仕掛けがよく分からない。というかオルガンでそんなことできるの?ネットでトリックの解説を調べてもこちらも誰も解説してない(笑) 動機は戦前だから許されたと言ってもいいほどタブーの領域だが、「亡き子を偲ぶ歌」を奏でられると、なぜかこの犯人を愛おしく感じてしまう。 ※AI「gemini」に聞きました。 シャボン膜の役割は、オルガンの演奏までに毒ガスが被害者の部屋に充満しないようにする逆止弁の効果(部屋の圧力>オルガンの圧力)。蓋などがあれば事件後にたちまちばれてしまう。シャボン膜は自然消滅が可能な便利道具とのことだ。おお!すげえ! 実現可能性について オルガンの風力と配管抵抗から送気能力不足であるため限りなく不可能に近く、ただの不確実な毒ガス散布実験になってしまいらしいです。しかしAIはこうも言っています。小栗虫太郎の真骨頂は「実際にできるかどうか」ではなく、「読者に『本当にできそうだ』と思わせるペダントリー(博覧強記)の魔術」にあります。専門的な心理学・化学・物理用語を緻密に織り交ぜることで、架空の殺戮機械をあたかも現実の科学であるかのように錯覚させる「虚構の美学」がここに完成しています。 うおお! 横溝正史の解説が癒しレベルで読みやすい(笑) |
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| No.554 | 6点 | 処刑館殺人事件 西式豊 |
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(2026/08/02 01:13登録) クローズドサークルにしては、無能な登場人物がおらず、全員が生存するために最善の策を取っている非常に珍しい作品かもしれない。途中で単独行動を強行してお決まりのフラグ立てた中谷の気持ちも分からんでもない。ただなんだろう、真犯人がなあ…もう少しアレならねぇ。それを差し引いても魅力的な作品でした。 読んでふと本格ミステリーの専門作家で食べていけてる人っているのだろうかと思いました。昨今の出版不況を鑑みるに、ヒューマンドラマや映像向けを意識した作品でないと厳しいのではと思います。それでも作家なら書くしかないのですね。 |
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| No.553 | 8点 | 吸血の家 二階堂黎人 |
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(2026/07/28 22:15登録) 注釈がミステリー思想強め。蘭子の台詞だったかもしれないが、戦後ミステリを支えた高木彬光のことを社会派に逃げた作家とか言い切るのはどうなんだ。作者も若かったのかな。 蘭子も黎人も無味無臭の探偵と助手で今のところあまりハマらず。 ただ、「血吸い姫」の伝説から吸血鬼を連想させる事件に繋げる雰囲気作りはとても良い。また、24年前の事件については、今まで読んだ数少ない雪密室ものの中で最高峰のトリックであり、今後も記憶に残るであろう。それとは別のディクスン・カー『テニスコートの謎』への挑戦も、1つ目の雪密室ほどではないにせよ、本家を超えることに成功したのではないでしょうかね。 なぜこれが鮎川哲也賞を落選したのか不思議でなりませんが、nukkamさんの(後記)をみてそのせいなのかな?とも思いました。いつかその作品に出会えることを祈ります。 |
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| No.552 | 7点 | 冬のスフィンクス 飛鳥部勝則 |
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(2026/07/25 18:56登録) 結構好きだ。連城三紀彦の某短編の夢想バージョンみたいな動機だ。 (ネタバレ?) 夢が紛うことなき夢であり、記述が全て正しいと仮定すると以下の点は謎のまま残るだろうか。 1. 楯と妹は会ったことがないのに夢に登場するビジュアルが一緒 2. 姉は「亜久が失踪した」という口実で楯を読んだが、実際には亜久は書斎にいた 3. 夢の中の状況と同じように、椅子で死んだように眠っていた亜久 1番は亜久から話を聞いていた。写真を見てから夢のイメージが書き換えられた。実は楯と妹は関係を持っていた等で説明可能。1番ありえそうなのは楯が神田の小説を読んでいたということで、楯が見た夢の内容は神田の小説に自身の抑圧された無意識下の性愛(京子)をプラスしたというところか。 2番と3番は楯の夢でなければ、単純に姉が嘘をついているということだ。亜久が失踪したと思い込み、姉は楯を呼んだが、なんらかの理由で変更せざるを得なかった。それはつまり、楯を呼んだ後に亜久が帰ってきて、何らかの理由で殺してしまったということだろうか。おそらく動機は妹との不倫が発覚したとかそんなところだろう。妹を淫乱な女として小説のキャラにした神田は慧眼であったのだろう。また、椅子の上で死んでいたのも、小説に準えて捜査を攪乱&神田に押し付けとかそんなところだろう(適当) まあ他にも矛盾点はありそうだが本格推理として決着させるにはこんな強引な解釈しかない。ただ、無難に幻想ロマンス小説として読む方が面白いかな |
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| No.551 | 10点 | 『石球城』殺人事件 北山猛邦 |
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(2026/07/20 21:29登録) 作者の発想力にただただ興奮。同著者『月灯館殺人事件』や『監獄島』『厳冬之棺』などを遥かに超える密室の物量に『星を継ぐもの』のような夢と奇想をプラスした愛すべき「ドリームミステリー」と呼びたい。1つの長編に13の密室ってもうギネス記録申請できるんじゃない? 主人公はどこから来たのか、父親の死の真相、13の密室殺人の謎、最果ての海、石球の役割、灯の役割、世界の真相。館ものにありがちな種明かしまでつまらないという欠点もこの作品にはなく(流石に13密室は少しダレるが)、謎に包まれた世界観でその謎を推進力に読ませてしまう。序盤は「9人の王様に13の灯台、壁、海、外の世界となにこれ進○の巨人のパクリじゃね?エルヴィンとその親父みたいなこと言い出しやがって」とか思ってしまいましたすみません北山先生。『火刑城』も楽しみにしています。 興奮冷めやらぬうちに10点をつけ、ハードルを上げてしまい申し訳ございませんが、多少の粗と(新)本格というジャンルに備わっているある種の馬鹿馬鹿しさを楽しめてしまう人におすすめです。 <ネタバレ> 恐らくネタバレにはならないから言っちゃうと密室の中で気持ちよかったのはレンツとサイフォンのツートップ。 |
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| No.550 | 7点 | 吸血鬼 江戸川乱歩 |
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(2026/07/19 16:25登録) <ネタバレ> 怪人の出現に人間消失劇、芸術嗜好の犯人像と明智への挑戦状。まさに江戸川乱歩を象徴するような長編作品。真犯人を隠す気はさらさらなさそうだが、「唇のない男」の正体はそれほど単純ではなく、火葬場からの救出劇の迫真さには一度は騙されかけた。最後の対決では芸術を完遂させなかった明智やるじゃんと見直したもののやはり…. 明智小五郎シリーズの中で今のところ最もスリリングな長編の1つかな。 ちなみに、なぜ『吸血鬼』というタイトルにしたのかは最後までよく分からない。 |
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| No.549 | 6点 | 未明の砦 太田愛 |
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(2026/07/17 20:17登録) 内容は期間工や派遣工といった非正規労働者が国家権力と癒着する大手企業という壮大な相手に立ち向かう話である。序盤こそ犯罪小説を期待するが共謀罪とは名ばかりの労働闘争であり、『犯罪者』と比べてもサスペンス要素は薄いし、あの状況で正社員までもがストライキを決行するのは現実性に乏しい、と思うのは平和ボケした日本人だからなのだろうが。 失われた30年の原因としてよく槍玉に挙げられるのは「派遣法」だが、どのような経緯で改正され、いかにして日本を壊したのかというのがよくわかる本。なぜ日本は欧州諸国と比べて労働生産性が低いのか、なぜ日本ではいつまで経っても賃金が上がらないのかなどもとても勉強になった。 ここ数年、日本企業が春闘で大幅なベースアップをしているのがまだ救いか。 |
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| No.548 | 5点 | 薔薇の輪 クリスチアナ・ブランド |
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(2026/07/13 18:32登録) 登場人物が私利私欲に塗れたクズばかり。 障がい者支援制度で不正受給摘発という話を最近ニュースで見ましたが、いわゆる障がい者ビジネスというものがこんなに古くから存在していたのかと悲しくなりました。人間は目に快いものしか応援したくないというのも残酷な真実。 |
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| No.547 | 7点 | 盾と矛 方丈貴恵 |
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(2026/07/05 12:34登録) 手がかりを捏造し、犯人を逃す仕事人という設定でいつもの多重解決にスパイスを加えている感じ。連作短編ながら3章とも技アリの不可能犯罪というのは流石でどれも独創的な状況を作り上げている。3つ目が人気そうだが、個人的にはチープなトリックと探偵に腐されている1つ目の密室が結構好き。麻耶せんせーが帯で言ってるとおり、ライバルとの対決がこの終わり方はズルい。もっと読みたかった。 |
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| No.546 | 7点 | スウェーデン館の謎 有栖川有栖 |
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(2026/06/28 23:55登録) スウェーデン(と日本)決勝トーナメント進出おめってことで書評。 タイトルによく合う雪密室。ちなみに雪密室というワードは不自然なほど出てこない、なぜ?また、有栖川有栖にしては堅牢とは言い難いロジック(当社比)であるが、煙突の破壊や枕カバーの消失など、事件の不可解性とトリックに関して『マジックミラー』に次ぐ出来と思われる。結局巨漢のあざらしが矢鱈モテる理由はなんだったんだ… お次は『ブラジル蝶の謎』を書評したいところだが全く記憶が… |
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| No.545 | 6点 | 四つの犯罪/七つの墓場 つげ義春 |
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(2026/06/21 18:36登録) 本サイトで見るまで聞いたこともなかった漫画家。漫画だがなぜか図書館に置いてある。 コマ割りが長方形しかなく、絵柄も手塚治虫っぽい。まだ漫画という文化が発展途上にあった時代の作品なんだろうなあという印象。また、想像よりも怪奇&ミステリー色が強い。というか乱歩色が強いのかな。『四つの犯罪』や『罪と罰』は立派にトリックと呼べるものが存在する。『クロ』はポーの『黒猫』の3割オマージュくらいの作品で、息子の平穏のために母親の取った行動が切ない。 全集1のマイベストは『罪と罰』で。 小学校1年生あたりからのミステリー入門に、乱歩よりも適しているのではないでしょうかね。 |
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