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ミステリの祭典

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光のアダム

作家 中井英夫
出版日1978年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 みりん
(2025/07/27 00:28登録)
森の廃屋に住んでいる名家・瀬良家に魅入られた美術評論家と失語症の画家。二人はそこで世にも美しい妖精のような人ならざるものを幻視する。
おお!とらんぷ譚よりもさらに反地上的な幻想小説。本作は"地上"というワードを現実という意味で多用する。主人公は"地上"の時間に囚われた人間なのに対して、失語症の画家は異次元へと飛翔する天使に近づこうと…うん、なんかよくわかんねーけど終盤はやたら俗っぽく・・・地上っぽくなる。話の掴みどころはないが、幻想文学ってこういうものか。あの世とこの世の境目のような雰囲気を出すのはうまい。"地上"の代名詞である主人公が傲慢で煩悩にまみれた性格なのはわざとなのだろう。

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