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ミステリの祭典

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雲をつかむ死
エルキュール・ポアロ/別題『大空の死』『マダム・ジゼル殺人事件』

作家 アガサ・クリスティー
出版日1956年05月
平均点5.23点
書評数13人

No.13 5点 レッドキング
(2020/09/18 22:00登録)
「黄色い毒蜂」とか「二匹のハチ」てなタイトルの方が良いのでは。
「家ついて行ってイイですか」に出てきそうな、半ばゴミ部屋に住んでる、あのエキセントリックなミステリ作家が実にいい。事件推理の「とんでもトリック」には大爆笑。ミステリはこうありたい。フェル博士メリヴェール卿ではよくある事だが、ポアロはあまり笑かしてはくれんな。
「人殺しは・・たいてい女性にもてる・・」って、そうなのか?

No.12 5点 虫暮部
(2020/06/26 12:03登録)
 21章で自作品のネタバレを。駄目だポアロ、その真相は内緒でしょ。
 “あの連中(考古学者)ときたら、ほら吹きばかりですよ”にもニヤリ。
 探偵作家クランシイ氏が考えた解決も捨てがたい。

No.11 6点 nukkam
(2017/08/21 00:03登録)
(ネタバレなしです) 1935年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第10作の本格派推理小説で飛行機内で起こった殺人事件の謎解きが特色です。もっとも飛行機の場面はわずかに序盤のみで、捜査は他の作品と同様に地上で行われているのが少々物足りなくも感じます。本書と同年発表でほとんどの描写が機内だったC・デイリー・キングの「空のオベリスト」(1935年)はその点ではずっと意欲的でしたね(但しキングは語り口がぎごちなくて読みやすさではクリスティーの圧勝)。犯人当てと同時にいかにして被害者を殺したかの謎解きにも力を入れています(結構綱渡りトリックですけど)。ポアロの説明で犯人に気づかれないように馬脚を現すよう巧妙に誘導していたのがわかります。それにしても当時の飛行機って機内から乗客が物を外に捨てられたのですね(ネタバレではありません)。

No.10 6点 青い車
(2016/02/07 21:35登録)
トリックの古臭さも含め、独特の雰囲気と味のある作品です。飛行機の中という当時としては先鋭的だったであろう舞台設定もそれに一役買っています。謎解きにおいても、乗客の持ち物から犯行方法を推理してみせるところなど、いかにもクラシカルな推理小説といった感じで好ましいです。それだけに、追い詰めた犯人が口を滑らせて犯行を認めてしまうという締まりの悪い終わり方は惜しいです。

No.9 5点 りゅうぐうのつかい
(2016/01/19 19:31登録)
飛行機の客席見取り図を付け、11人の乗客と2人の乗務員の全員について、犯行の可能性と動機をつぶさに検討する、本格志向の作品だが……。
終盤までは楽しめたが、真相はいただけない。
他の方も書かれているが、このような殺人トリックで騙せるとは思えないし、うまくいかなかった場合のリスクが大きすぎる。
また、事件の背景にある人間関係だが、警察の捜査で明らかとなることであり、計画に無理を感じる。
終盤になって、ようやく明らかとなる「あの人物」の存在も、普通は警察がとっくに訊問していて、その正体がばれているはず。
また、事件に関係する人物がこんなにもうまくつながっているというのは、ちょっと出来過ぎ。

(ネタバレ)
空さんの指摘ですが、白衣が入っていたアタッシュケースは、荷物置き場に置かずに、座席近くで保管していたと考えれば、矛盾はないと思います。

No.8 4点 クリスティ再読
(2015/12/20 21:21登録)
クリスティって新しいモノ好きだなぁ...けど本作で描かれた飛行機の旅と今のそれとではかなり違うので、イメージするのが大変だ。向かい合わせの席があると思ってなくて、最初位置関係が??になってたよ。で本作の場合トリックに必要なものがイメージと違いすぎる(あと飛行機からゴミを捨てられる!)ので、今となっては賞味期限切れな作品..ということになるだろう(空さんの指摘も確かにそうだ...座席後部に共用の荷物置き場がある、なんてね)。
で思うのだが、本作は「青列車」と共通点がかなり多く、「青列車」のリベンジ!だったのかも。ヒロイン造形からしてそうじゃん。「青列車」と比べれば本作の方がミステリ度は高いが、小説的にはこっちのが退屈。ポアロがヒロインに気を使いすぎな気がするよ。けどヒロイン、ジェーン・グレイとは凄い名前だ。案の定、ジャップ警部がツッコんだな。
まあ良いキャラというと被害者の腹心のメイドと彼女が語る被害者像。なかなかハードボイルドな人生を歩んだ被害者で、役どころを言えばシモーヌ・シニョレというところ。

No.7 6点 斎藤警部
(2015/06/16 04:42登録)
謎解き物語として深くはないし、サスペンスも緩いですけど、全体的に憎めない作品です。
クリスティと自分との相性を考えると、ミステリーの骨組とはまた別の所にあるちょっとした何かで好き嫌いが大きく分かれてしまうなあ、といつも思うのですが、これはまあ相性がいい。 航空機内という浮遊する密室感がまた良いのかも知れません。
邦題は「大空の死」が好きだ。

No.6 5点 E-BANKER
(2011/08/12 23:58登録)
ポワロ登場作でいえば10番目の作品。
大昔にジュブナイル版で読んで以来、超久々に再読。
~パリからロンドンに向かう定期旅客機が英仏海峡にさしかかったとき、機内に蜂が飛び回り始めた。乗客の1人が蜂を始末したが、最後部席には老婦人の変死体が。そして、その首には蜂の毒針で刺されたような痕跡が残っていた! 大空を飛ぶ飛行機という密閉空間で起きた異様な事件にポワロの推理は?~

他の佳作に比べると、確かに1枚落ちる作品と言わざるを得ないかなぁ・・・
飛行機の機内というほぼ完璧なクローズド・サークル。どれもいわくありげな乗客(容疑者)が12名も登場。毒蛇の毒による毒殺・・・
など、事件設定は実に魅力的なんですがねぇー。
ポワロが最終章で指摘する真犯人と殺害の手口、そして動機。
「動機」についてはまぁ納得できます。(読者には推理不能だとは思いますが)
問題はやはり殺害の手口でしょうか。
ある乗客の「持ち物」が問題になるのですが、これはかなり疑問符ですねぇ・・・
(ネタバレかもしれませんが)この「持ち物」だけで、ある人物になりすますのは相当に困難(ていうか、普通気付くよ!)。
全体的には好感の持てる作品だけに、非常に残念!

No.5 5点 seiryuu
(2010/12/16 14:43登録)
ミステリー度は低いけれど、ポアロが疑われたりポアロの魂胆に驚かされたりと
ポアロ好きにはなかなか面白い作品になっていると思いました。

No.4 6点 okutetsu
(2009/07/01 05:46登録)
標準的な作品ですね。
既読だったので良かったのですが僕が読んだバージョンではオリエンタルのネタバレがあったような気がします。
一応先にあっちを読んだほうがいいかと。

No.3 6点 測量ボ-イ
(2009/06/19 21:14登録)
発表当時はまだ珍しい乗り物だったでしょう飛行機の中で
起こる殺人事件を取り扱っています。これも一種の密室殺
人、というかクロ-ズド・サ-クルものですね。
内容的にはまあ水準レベルですが、こういうのをいち早く
取り入れるあたりがクリスティ氏の先見の明といったとこ
ろなのでしょう。

No.2 4点
(2009/01/09 21:31登録)
犯人の意外性も、よくあるパターンなのですが、この作品には、犯人が計画実行のために準備しておいたあるものの置き場所には、近づけるはずがなかった、という重大な論理的欠陥があります。かなり大きなものですので、ひそかに隠し持っておくことも困難ですし、置き場所に戻すこともまず無理です。今までに読んだクリスティーの中で、これほど明らかな穴があるのはこの1作だけです。
私自身、解説される前に大筋の見当はつけていたのですが、この「あるもの」をどう入手したのかがわからないという状態でしたので、そこが説明されないままの「解決」には失望しました。
追記(2020/9/16):本作のトリックに関しては、犯人がそれをずっと手元に置いていたのではないかという意見もあるようですが、あの時まで肌身離さずというのは、いくらなんでも不自然だと思います。しかし、この欠点をカバーする案を最近思いつきました。機内見取図の設備位置が間違っていて、あそこのすぐそばにあれがあったとしたら、というものです。

No.1 5点 こう
(2008/05/19 23:36登録)
 いわゆる地の文章(独白)の騙りの初体験した本でした。クリスティはそして誰もいなくなったなどで騙りを頻繁に使っていますが雲をつかむ死の方がわかりやすいです。
 殺人事件自体は他愛のないものでクリスティとしては標準作だったと思います。

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