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ミステリの祭典

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okutetsuさんの登録情報
平均点:7.05点 書評数:135件

プロフィール| 書評

No.135 6点 贖罪の奏鳴曲
中山七里
(2023/10/22 21:25登録)
非常に読みやすく設定も面白かった。
主人公が元殺人犯というのもいいし、少年院での描写もよくて、主人公の好感度は最低のところから少しづつ上がっていった。
とはいえやっぱり酒鬼薔薇聖斗が頭に浮かんで、素直に応援しづらいところもあるので複雑な気持ち。
ミステリ的にはひねってはいるけどやっぱり最後の犯人のところはいくらなんでも無理がある。あれを計画的にやろうなんて考えられるやつはいないし、自分の身が危険すぎる。最初の犯人指摘のところで終わって十分な気はする。
あとやっぱり主人公の死体遺棄はどう考えてもダメでしょ。救われたかったとしてそこまでやる義理はないし、贖罪になってないと思う。


No.134 8点 折れた竜骨
米澤穂信
(2023/10/08 01:32登録)
中世という時代設定だけじゃなく魔術という設定まで盛り込んで普通にファンタジー小説としても楽しめた。
ミステリーとしても非常にロジカルで解決編は美しい。
ファルクとニコラの物語がもっと見てみたかったなぁ。


No.133 7点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2023/08/26 18:31登録)
有名な密室講義でのいきなりの爆弾発言に笑ってしまうが、この時代にメタ要素を入れてるのは素直に感心する。
全体的なトリックは強引やありえないだろって部分はあるけど結構好き。
特に時刻の誤認のさせ方は賛否ありそうだが個人的にはああいうさりげない描写を伏線にするのは大好物である。
ただ密室に関してはあんまりかな。
単純に密室ものがそこまで好きでないこともあるけど、やっぱりネタがわかるとがっかりしちゃうもんだよね。
ただそこらへんも見越して密室講義で言及してるのはさすがと言える。


No.132 7点 ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎
(2023/04/16 20:50登録)
また、車の置き手紙のシーンは正直ウルっと来た。
伏線はほんとに見事でここであれを使うのか~って何度も思わされたけど、やっぱり最後の最後にあっと驚くような展開とか主人公に救いがあればもうちょっと評価が高くなったような気がする。
冤罪の主人公が不憫で、なんの解決もしてないことに釈然としない思いはあるものの最後のハンコのくだりには救われた気持ちになった。


No.131 6点 楽園とは探偵の不在なり
斜線堂有紀
(2022/11/28 19:37登録)
二人以上殺せないはずの世界で連続殺人が起こるという設定が面白い
天使というギミックもいい

解決編も鮮やかで嫌いではないが、さすがに無理があるようなところも多いと思う
そもそもどう考えても苦労して連続殺人に仕立て上げるより全員いっぺんに殺したほうが効率的だ。
争場だけは地獄に落としたかったと言ってたけど争場だけ特別恨む理由もよくわからない。

あと文章が青臭いなと思った。でもそこは好きな要素でもあるので変わらないでほしいとも思う。


No.130 10点 かがみの孤城
辻村深月
(2022/10/09 22:17登録)
素晴らしい傑作。
ミステリというよりSFファンタジーではあるが、ちゃんと謎もあって伏線も丁寧にはられている。
上巻は読んでてしんどかったけど、下巻からの怒涛と展開は読み進める手が止まらなかった。
いろんな人にオススメできる名作だと思う。


No.129 5点 十三回忌
小島正樹
(2022/09/15 00:01登録)
ハウダニットに重きを置いた作品だと感じたがいくらなんでも大味すぎてあまり好きにはなれない解答だった。
とはいえそこまでは楽しく読めたのでこの点数。


No.128 7点 魔眼の匣の殺人
今村昌弘
(2022/09/14 23:29登録)
さらっと読めて面白い作品だった。
さすがに動機のところは強引さを感じるところだが一応丁寧にそこまで追い詰められる要因を描いているのでありの部類だと思う。
ミステリとしては論理的でよくできているなと感じる反面、なんかあんまり伏線とか解決編に感動とか驚きがなかった。
とはいえ好きなシリーズなので次も楽しみである。


No.127 10点 medium 霊媒探偵城塚翡翠
相沢沙呼
(2022/08/13 13:31登録)
まさか今になってミステリの大どんでん返しで驚くことになるとは思わなかった。作中にも言及があったように「特殊設定ミステリも流行っている」からなぁなんて呑気に考えてたのが全部作者の掌の上だったというのは恥ずかしい限りである。
正直犯人の正体は早い段階で目星がついてしまったので油断しまくっていた。
「わかりやすい謎を提示し、あえて読者に解かせ」るという心理的なミスリードをまんまとくらってしまった。

もちろん作中の論理はいくらなんでも論理展開が早計すぎるだろという部分もなくはないが、そこはミステリとしての面白さを重視したと思えば許せるくらいのものである。
久々にやられたっていう感覚に陥った作品で傑作だと思った。


No.126 5点 ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン
(2022/01/05 00:30登録)
内容は好きだけど、ある程度キリスト教の知識をもってたらとんでも本であることはすぐわかる。
とはいえ、まぁこういう解釈もありかなって感じでサラッと読めた。


No.125 7点 恋に至る病
斜線堂有紀
(2022/01/04 18:19登録)
殺戮にいたる病にタイトルが似ていたのでちょっと興味を引かれて読んでみた。
若者向けの作品ということで軽く読んでいたが、帯にあったラスト4行には頭を悩まされた。
確かにどちらの解釈もありうるしそれを最後の提示する作者の技量は素晴らしいと思う。
個人的にはあれはタイトル通り恋に至った証拠じゃないかと思うしそうであってほしい。すべてがサイコパス女の手の平の上のお話だったなんか悲しすぎるじゃないか。


No.124 8点 黒いトランク
鮎川哲也
(2022/01/03 15:07登録)
時刻表ものは基本的にあまり好きではないけど、これは純粋にトランクの入れ替わりに関する謎が最後まで解けなかったので面白かった。
まさに盲点と言うべき解答で素晴らしかった。
またアリバイトリックの崩し方も非常に論理的で美しく素晴らしいと思った。
細かい伏線も多く本格ミステリとしてリラ荘事件に勝るとも劣らない出来だと思った。
一点だけ疑問があるとすると、10時10分に高松に着いた人間が11時までに別府にたどり着けるのかという点が正直怪しいと思うのだがどうなのだろう。


No.123 8点 りら荘事件
鮎川哲也
(2021/09/13 23:15登録)
これだけ多くの殺人が起きて、多くの謎があるのにキレイに解けていくのは気持ちが良かった。
作中のありとあらゆる細かな描写に伏線が含まれていて二回読み返したくなる作品だった。
毒殺の手段と最後の殺人の真相に不満というか疑問はあるが、それを考慮しても名作だと思う。


No.122 6点 不連続殺人事件
坂口安吾
(2021/08/30 22:00登録)
心理の足跡の推理はかなり面白く納得できるものだった。
あそこの推理は鮮やかだし、盲点だったのでこの作品の評価の高さが理解できた。
散々言われているが人物一覧表は欲しかったし、間取りもさっさと載せてほしかった。



以下ネタバレ含めた不満点



第一の殺人は最後の殺人のためのアリバイづくりと不連続に仕立てる目くらましいう目的があったのは理解できるが、あまりに多くの人を殺しすぎて犯人が複数いる、または共犯で行っているということが後半は自明になってしまっている。これではせっかく最初の事件で作った信用が最後のほうには成り立たない可能性がでてきてしまわないだろうか。実際共犯の可能性は作中の人物が指摘しているし、すべての事件でアリバイがない人物も限られてしまっている。死者が出ることによる警戒を考えたら、王仁殺しはメリットが少なすぎるのではないかと感じた。同様に秋子殺しもアリバイ作りと目くらまし目的にしてはあまりにも危険度が高く、必然性を感じなかった。


No.121 10点 戻り川心中
連城三紀彦
(2021/08/21 22:34登録)
文章が美しく、ミステリとは思えない出来で惹き込まれた。
全部好きだが、特に「桔梗の宿」の読後感はなんとも言えないものだった。
表題作も素晴らしく、読んでてほんとにあったことなんじゃないかと思うほどだった。
国内短編ミステリの最高傑作に挙げられるのも納得の一冊だった。


No.120 9点 生ける屍の死
山口雅也
(2021/08/15 23:34登録)
死者が生き返るという設定の時点で殺人事件として面白くするというのは難しそうなのにそれをあれだけの大作で完成させているのは本当に凄い。
確かに事件が起こるまでが長いし挫けそうになる瞬間も多かったが、最後まで読めば納得する出来である。
人が生き返る世界でなぜ殺すのかという動機の解明も納得がいくものだったし、ラストシーンはミステリとは思えない感動があって泣きそうになった。
素晴らしい名作。


No.119 8点
麻耶雄嵩
(2020/09/19 23:52登録)
一つ目のトリックに関してはミステリ読み慣れたら途中で気付けるレベルだと思うし、自分レベルでも見破れた。
それでネタが割れてつまんないな~と読み進めたら最後の最後でどんでん返しにあってびっくり仰天。
ここまできれいに騙されたのは久々である。
まぁこのトリックを使う必要性があったのかは疑問だけど。
共犯者の動機がいまいちわからないし、真相、ラストの展開などは好きではないので減点だけど久々にやられたって感じを覚えたのでこの点数。


No.118 7点 毒入りチョコレート事件
アントニイ・バークリー
(2020/09/05 20:02登録)
作品のほとんどが解決編になるので読んでいて面白かった。
どの解答もそれなりに信憑性があってそれで終わってもいいんじゃないかと思わせる出来。
4人目の解答がミステリとしては一番それっぽいし収まりが良さそう(実際そういう短編もあるそうだ)だけど、そこで終わらないところが凡百の作品との違いだと思う。


No.117 4点 点と線
松本清張
(2020/08/21 07:19登録)
社会派といわれるわりにはそこまで成分は強くない。
アリバイ崩しをやっていく過程は非常に面白かったが、結末はあんまり好きではない。
そもそも共犯なら一人があんなに必死でアリバイ作らず、共犯者にやらせたらいいじゃんという気にしかならなかった。


No.116 8点 カササギ殺人事件
アンソニー・ホロヴィッツ
(2020/08/21 07:04登録)
上下巻もあるミステリなんて読むの大変だなと思ってたけど終わってみれば納得の構成。

真相に関しては上巻部分のほうはちょっと論理性に欠ける部分があって、絶対犯人って言えるのか怪しいと思う。そもそも決定的な証拠がないのは不満。ただ上巻最後のセリフは素晴らしく、見事なクリフハンガーだったと思う。

全体としては、発想の勝利という感じがする。これは書評とかを読まずに読むと最高に楽しい小説だと思う。

翻訳も素晴らしく、海外ものと思えないくらい読みやすかった。訳に苦労しただろうなという部分も含めて称賛したい。

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