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ミステリの祭典

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ダ・ヴィンチ・コード
ロバート・ラングドン

作家 ダン・ブラウン
出版日2004年05月
平均点5.00点
書評数12人

No.12 7点 zuso
(2023/05/18 23:08登録)
シオン修道会とダ・ヴィンチをめぐる神学ミステリ。
警察の追跡を逃れながらの、ルーヴル内での暗号解説がスリル満点。ひとつが解明されると、また別の暗号が立ちふさがる。
ソニエールが命を懸けて守ろうとした「秘密」はキリスト教を根幹から揺るがすようなものだった。あの「最後の晩餐」にまつわるあっと驚く謎解きも出てきて、ページをめくる手が止まらなかった。

No.11 5点 okutetsu
(2022/01/05 00:30登録)
内容は好きだけど、ある程度キリスト教の知識をもってたらとんでも本であることはすぐわかる。
とはいえ、まぁこういう解釈もありかなって感じでサラッと読めた。

No.10 1点 クリスティ再読
(2020/06/02 22:52登録)
昔街歩きをしててついつい映画が見たくなって、その時封切してた映画は見たな。見終わったあと呆れまくってた。
なので大体内容は把握してたが、原作読む気にはまったくならず。「フーコーの振り子」をやったから、まあそれでもやろうか?とも思ってブックオフ百均棚で購入。上中下と百均でも300円になるのがもったいない。
要するにね、炎上商法。今回通読して、それでもソフィーの両親はヴァチカンに暗殺された(と少なくとも祖父が思わない)ことには、話のつじつまが合わないように思うよ。やはりカトリックにあらぬ疑惑をかけていることには間違いないのでは? なんやかんや言って、実在の宗教団体に所属する設定の修道僧が、大量の殺人を犯したことになるわけで、カトリックに対する攻撃の意図がない、とするのはどう見ても無理。
まあ純粋にミステリとしてはアンフェアだし、後半のつじつまが合ってなくて馬鹿馬鹿しい。暗号もソニエールが準備したものを解くだけで、それもタダのアナグラムのレベル。頻繁なカットバックがなければ、実際単調な一本道のスリラーで、登場人物はあたかも紙人形のごとし。小説家としては無能な部類に入る。いろいろ主人公に教えてくれる大貴族のティーピングに至っては、品格皆無で下賤な人物。とっても貴族に見えないんだがな....貴族がサッカーのファンとか階級意識の強いヨーロッパじゃそもそもありえないから、柄の悪いオッサンみたいだ。で「聖婚」の名のもとの乱交パーティとか、主人公にミッキーマウスの時計をはめさせて「カッコイイ」と思うような著者だから...と何となく腑に落ちるのが情けない。センスがすべてお安いのに閉口。

で、ウンチクに関しては、もちろんトンデモ。テンプル騎士団なんて「フーコーの振り子」によれば、「テンプル騎士団を持ち出す人間はすべて陰謀論でオカシくなった奇人」だそうだ。で、本作の呼び物であるマリア福音書やらピリポ福音書やらのグノーシス福音書だけど、これらは実際には、ナグ・ハマディでの発見から1970年代に研究が進んで、評者も80年代の学生時代に、ペイゲルスの本の翻訳書なんかで知ってたな。日本にも荒井献という有名な研究者がいるから、日本語のマトモな一般向けの本だって、ずいぶん昔から出ているんだよ。なのでそもそもネタの鮮度は悪い。でしかも、この本の中ではしれっとグノーシス福音書を、具体的な説明もなしにマタイマルコルカヨハネと同列に扱っているけど、そんなもんじゃ、全然ない。2世紀の教父たちもグノーシス福音書の内容を知っていて、異端反駁の中で徹底的にやっつけているわけだ。伝統に取り入れられずに完全に排斥された内容なので、今更テキストが発見されたからといって、現在のキリスト教に与える影響があるかというと、あまり、ないというのが現実的なあたりになる。
グノーシス福音書の内容が史実か、といえば、逆に正統的な福音書の内容だって、史実かどうか確認する手段がそもそもあるわけではない。イエスの結婚がピリポ福音書にあるからといって、それが史的イエスとの関連を肯定できるか、といえばそんな証拠もない。この説はキリスト教の教義にはまったく取り入れられなかったから、せいぜい証明不可能で無関係な説にしかならないわけだ。グノーシス主義は自分の宗教的な「悟り」を創作で示す、という傾向があったらしいから、実に多様な主張をする「福音書」が作られて氾濫したらしい。「ユダの福音書」とかホント二次創作みたいなものだよ。そうしてみると福音書と名乗るからっていって、そもそも史的イエスを伝えるか?さえアテにならないよ。

ま、誰もが指摘するけど、シオン修道院はオカルトマニアによる有名な詐欺だし、古びたネタをパッチワークしてでっちあげた安手のスリラーを、カトリックを攻撃する炎上商法で売りつけただけのことである。「フィクションだから、いいじゃないか」とするご意見には、ちょっと反論したいな。評者は「遊びには他人に迷惑をかけない」のが大前提だと思うんだ。実際この本は、カトリックとキリスト教全般に多大な迷惑をかけた本である。「遊びだから他人に迷惑をかけてもいい」のは傲慢極まりない...と思うんだが、反論のある方、いるかな?
というわけで、本書の行き先は決まってる。ゴミ箱直行、である。

No.9 9点 バード
(2020/03/13 07:35登録)
いや~面白かった。
しつこい蘊蓄、専門知識が無いと解けない暗号、神の視点を持つかの如く機転が利きすぎる登場人物達、と普通ならば低評価の原因になりそうな要素がてんこ盛りなのだが、面白かった。
上記のようないくつかの問題を抱えているにもかかわらず楽しめたのは、扱っている題材(宗教の歴史、絵画、科学など)が自分の趣味とマッチしていたのが大きい。宗教関連のバックグラウンドを知っていればより楽しめたと思うと、そこは悔しいが、それを差し引いても非常に豪華な一品だった。
ただ本作の評価は、あまりにも読者の題材(宗教の歴史、絵画、科学など)への興味に依存しており、趣味が合わない人にはてんでダメだろう。幅広い支持は集めにくいと思うのだが、映画の評判はどうだったのかな?

題材以外での加点ポイントは

・ソニエールの徹底的にダブルミーニングをこさえた暗号
やりすぎ(笑)な気もするが、守っている謎を考慮すればこの難解さも妥当か。また、ダイイングメッセージ以外は急ごしらえの暗号ではないので、凝りすぎでも不自然さは少ない。

・導師の正体
聖杯の行方に次ぐ本作の肝となる謎。エンタメとしての面白さの大部分はこの謎が担っており、ここで驚けないと本作の評価は辛くなりそう。私は迂闊だったので、見事に裏をかかれましたが、勘のいい人なら当てちゃいそうだな~。これについてはボケっと読んで、素直に驚いた方がいいかも(笑)。

である。

最後に、ラングドンはシリーズキャラクターということを巻末の解説で知ったが、象徴学者というマニアックな設定のキャラで何話も作るのは大変そう。他のも読んでみようかしら。

No.8 6点 いいちこ
(2018/11/20 15:01登録)
toukoさんの書評に同感。
使い古されたネタかもしれないが、それらを活用して、よい意味でも悪い意味でもハリウッド的なサスペンス・スリラーにまとめ上げた手腕は一定程度評価。
一方で1個のミステリとしては竜頭蛇尾と言わざるを得ない

No.7 5点 TON2
(2012/12/05 10:35登録)
角川書店
(ネタバレ)
 トム・ハンクス主演映画の原作であり、全世界で単行本・文庫本合わせて1000万部以上売れたという大ベストセラー。
 読後感じたのは、なぜこれほどまでに大騒ぎする必要があるのだろうかということでした。
 イエスが磔で死なずに、子どもをもうけていたという話は、相当一般的なのではないでしょうか。「レンヌ・ル・シャトーの謎」などで、しばらく前にも話題になっていました。これにシオン修道会やテンプル騎士団といった秘密結社がからむところが、少々おどろおどろしい感じがするだけです。
 カトリック教会(バチカン)は、イエスに子がいたということになると、教義が崩壊するため、女性を不当に差別してきた歴史があります。
 現代では、死海文書の発見・解読による、共観福音書以外のユダの福音書などの研究により、新約聖書の語る内容が現実か否かの問題が提起されています。
 こうした時代の流れにのった話といえますが、本文の前に「この内容はすべて事実に基づいている」とあるのは、いかがなものでしょうか。トンデモ本すれすれの内容だと思います。

No.6 1点 abc1
(2011/09/05 23:45登録)
いやこれ、肝腎のシオン修道会のdossie secret(秘密文書)が真赤なニセモノ(ニセモノを作った本人が告白した)である時点で、トンデモ本の枠を出ないでしょう。
だから全部フィクションだと断るならばまだ救いがあるが、ダン・ブラウンはご丁寧にも冒頭に「全部本当」と言い切っている。
そのモラルの欠如が許せない。

No.5 10点 蟷螂の斧
(2011/09/05 14:02登録)
物語の展開はまるで映画をみているような感じ。センセーショナルな話題、世界でのベストセラーだけのことはある。日本でのミステリーファンの評価は普通らしい?。日本人は宗教に無関心だからか?。絵画鑑賞が趣味の私にとっては、最高の一冊となっている。「最後の晩餐」の実物をぜひとも鑑賞したくなる。また「天使と悪魔」もいいですね。2作品とも映画をみましたが、小説にはやはりかなわないという感じでしたが・・・。

No.4 5点 touko
(2011/04/17 21:38登録)
実はこの作品、西洋史のトンデモ系としては古くからある鉄板のネタが多くて(日本史で言えば、ジンギスカン=源義経の類)、作者のオリジナリティのあるネタはさほどありません。

それでも、それらのネタを縦横に使って、インディ・ジョーンズばりのハラハラドキドキの娯楽作品、たとえ背景も知識も何もなくても楽しめるような、大変、敷居の低いサスペンスミステリに仕上げたのはすごいと思います。


個人的には同じく西洋史のトンデモネタを扱ったものならウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」の方がずっと好きだし、出来もいいと思うんですが、同じ世界的ベストセラーでも、こっちは敷居が高いんだろうな……。

No.3 4点 ムラ
(2010/12/17 03:49登録)
やはりトリビア的感覚で楽しめます。
ハラハラしながら知識が広がって行く感覚です。
犯人に関してはありえないくらいつまらなかったですが、その前までなら、すらすらと読めるのではないでしょうか

No.2 3点 江守森江
(2010/05/10 21:55登録)
先日地上波で映画の再放送があり録画視聴した。
そしてファジーなミステリー読書の実践として、古本屋の特売文庫棚にゴロゴロあったので購入(上中下3冊セットで二百円)し読んでみた。
冒頭のダ・ヴィンチ作品がらみな謎だけでお腹一杯な感じで、映画同様にキリスト教蘊蓄な話になるとゲンナリしてしまった(個人的には神の存在を信じていないし、葬式仏教徒なので宗教思想絡みは興味が沸かないし嫌悪感さえある)
スリラー部分のみを楽しむ読書では苦痛になる分量で、(原作に沿った作りなので)私的に不要と思う部分を早送り出来る映画の録画視聴が「一番楽チン」だろうと思えた。
宗教的関心が薄い日本人だが、流行物に弱い面が打ち勝ち世界的ベストセラーの評判に踊らされたのだな〜と溜め息が出た。
それでも日本人には、わざわざ所有する程の作品でない事は古本屋に掃いて捨てる程ある事が証明している(今では、古本屋のオヤジも引き取らないと言っていたし、資源ゴミにしかならない)

No.1 4点 mini
(2009/05/15 09:57登録)
本日5月15日は、映画「天使と悪魔」の世界同時公開日である
「天使と悪魔」も読了しているけれど、それに先立ってやはり「ダ・ヴィンチ・コード」の書評を先にしておこう
映画では「天使と悪魔」がラングドンシリーズ続編の扱いになっているが、原作ではもちろん逆で「天使と悪魔」の方が3年も早く書かれており、しかもその間に非シリーズの「デセプション・ポイント」も書かれている
執筆順序を考えてシリーズ両者を比較した感じでは、「天使と悪魔」に比べたら「ダ・ヴィンチ」はこれでも随分と地味に大人しくなったなという印象である
いや、と言うより「天使と悪魔」が派手過ぎ荒唐無稽なのだが、流石に作者もそう思ったのだろうか
「ダ・ヴィンチ」はスリラー小説の部分について言えば、後半はグダグダで、終盤も上手く纏めきれておらず尻つぼみだ
ラストでのもう一つの解釈も成り立つかのような余韻は嫌いではないんだけどね
ただキリスト教史の裏側についての歴史薀蓄の部分だけに限れば、「天使と悪魔」よりも「ダ・ヴィンチ」の方がインパクトはある
もちろん根本のネタ自体に目新しさは無いが、このネタを美術史と絡めた点が売りなんだろう

映画のほうは原作に忠実過ぎて、映画版を先に観た人は解り難かったんじゃないかな
映画を先に観てのおさらい読書の方が必ずしも分り易いって訳じゃないんだよ、薀蓄部分は小説版の方が説明が丁寧だから小説→映画の順番の方が分り易い
まぁ薀蓄分には全く興味無くてストーリーしか追わないって人は別だけどさ

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