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ミステリの祭典

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zusoさんの登録情報
平均点:6.13点 書評数:310件

プロフィール| 書評

No.310 6点 カディスの赤い星
逢坂剛
(2026/05/15 20:55登録)
幻のギターを巡り、生き馬の目を抜く広告とPR業界の確執を描くハードボイルドタッチの前半と、独裁政権が支配するスペインでの官憲やテロリストとの凌ぎ合いを描く冒険小説風味の後半と両方の要素を融合させた作品。
プロットよし、キャラクターよし、会話よしとデビュー作とは思えない出来栄え。


No.309 7点 帆船軍艦の殺人
岡本好貴
(2026/05/15 20:51登録)
英国海軍は帆船軍艦ハルバート号の水夫不足を補うため、強制徴募隊を陸に派遣。靴職人のネビルは、同僚のジョージと共に連行されてしまう。
すると新月の晩、甲板で水平の一人が何者かに殺害されてしまう。さらに不可解な事件が。
ディテールに優れ、海洋冒険小説として読み応えがある。そこに本格ミステリも奇を衒ったものではなく、作り込まれた正統的な内容で好感を覚えた。


No.308 5点 透明カメレオン
道尾秀介
(2026/05/03 20:58登録)
冒頭から中盤までは、愉快な雰囲気で展開していくが、ある事件が起こり物語は加速する。
そして最後の数十ページで見える世界がガラリと変わる、泣ける作品。


No.307 7点 ずっとあなたが好きでした
歌野晶午
(2026/05/03 20:56登録)
様々な恋愛模様にトリックが仕掛けられた連作集。
連城三紀彦を想起させる雰囲気もあり、ラストで明かされる真相も素晴らしい。ストリーテラーとしての実力と、トリックのセンスが集約された一冊。


No.306 6点 誰彼
法月綸太郎
(2026/04/19 21:18登録)
新興宗教の教祖の死を巡って、首のない死体というテーマに挑んだ作品。
さまざまな意匠を組み入れながら、同テーマの極みといえる双生児の入れ替えを巡ったパラノイアックな推理で読者を混乱の渦中に陥れるパズラーとして優れている。


No.305 5点 失踪者
折原一
(2026/04/19 21:14登録)
少年Aと呼ばれる少年犯罪たちの行く末を見つめた、少年法にも問題を投げかけているサイコサスペンス。
本作でのどんでん返しは、単なる読者への挑戦ではなく、作者の少年犯罪に対する見解を示す役割を担っているように思える。


No.304 4点 ハーモニー
伊藤計劃
(2026/04/04 21:18登録)
生命主義が行き着いた末の未来社会を描いている。
人々は健康管理に熱心であり、体内にWatch Meと呼ばれる医療機器を埋め込んで、ネットワークで管理されている。この作品では、人間の脳や意識も管理する段階に進むべきか否かを巡る動乱を描いている。
しかし難しすぎてついていけない部分が多い。


No.303 5点 帝都探偵大戦
芦辺拓
(2026/04/04 21:15登録)
幕末、戦前、終戦直後の三つの時代を舞台にして、そこに日本のミステリに登場した数々の名探偵たちが協力して事件に挑む。
さすがに総勢50人という大量の名探偵たちが行き交うだけに物語の展開は複雑だが、それでもきれいに謎を解いて着地してみせる。なお巻末には名探偵名鑑がついていて一種のブックガイドにもなっている。


No.302 4点 思い通りにエンドマーク
斎藤肇
(2026/03/20 21:44登録)
洞窟の中に半分めり込んで建てられた奇館を舞台に起きる連続殺人事件を描いた本格謎解きもの。
設定やトリックは凝っていると思うが、事件そのものに膨らみがなかったのは致命的。キャラクターも魅力に乏しい。


No.301 6点 薔薇の女
笠井潔
(2026/03/20 21:41登録)
パリで連続猟奇殺人事件が発生する。犯人のアンドロギュヌスは、各死体の一部を持ち去るという異常ぶり。
犯人を巡ってたたかわされる犯罪心理学や普遍経済学のペダンチックな講義も楽しいが、本格パズラーとしてのトリックもしっかり用意されている。


No.300 5点 ブラックバード
安東能明
(2026/03/05 21:17登録)
朝鮮戦争を背景に、国籍マークのない軽爆撃機で秘密任務に従事する元日本軍飛行士の物語。
不利な戦局を迎え共産国家を滅ぼすため原爆使用容認に傾くマッカーサー。爆心地の長崎で地獄を見た主人公が取る行動が胸を打つ。起こり得たかもしれない現実を描いた歴史サスペンス。


No.299 7点 不夜城
馳星周
(2026/03/05 21:11登録)
主人公の劉健一は、歌舞伎町の中国マフィア社会に生きる、日台混血の故買屋。思いがけないトラブルから上海のマフィアと北京のマフィア、そして夏美と名乗る正体不明の女の狭間を彷徨うことになる。
全編を通して危険な空気、裏切りに次ぐ裏切り、幾重にも絡み合う駆け引きの緊迫感、火を噴くような銃撃戦と楽しめる要素が多いノワール小説。


No.298 5点 女優
春口裕子
(2026/02/13 21:19登録)
人もうらやむキャリアを持つ平川佳乃は、突然の人事異動で運命が大きく狂い始める。
完璧を期する女性の心に生まれる隙間、嫉妬や虚栄が生み出す人間模様。女心の嫌らしさ全開で、女同士の見栄の張り合いが事件へと繋がっていく。見えない悪意によって追い詰められていく破滅の物語。


No.297 5点 骨灰
冲方丁
(2026/02/13 21:12登録)
渋谷の再開発を背景に、東京という都市の「地下水脈」を描き出す。駅再開発事業を手掛ける大手デベロッパーの危機管理チームに属する松永は、不穏な噂に対処するため潜った地下の現場で不気味な祭祀場に鎖でつながれた男を発見する。
伝奇的なテーマを、ミニマムな実話系怪談的心理描写によって鬱々と描き出す奇妙な作品。


No.296 6点 剣の道殺人事件
鳥羽亮
(2026/01/24 21:17登録)
剣道の試合中に対戦相手の一人が刺されて殺された事件をきっかけに起きる連続殺人事件を描いた謎解きサスペンス。
トリック自体はかなり綱渡り的ではあるが、不可能犯罪に挑んだ意気込みは買う。青春小説としても一読の価値あり。


No.295 5点 眠りの森
東野圭吾
(2026/01/24 21:15登録)
バレエ団の稽古場で起きた殺人。正当防衛事件を端緒にその打つ幕が暴かれていく謎解きサスペンスものだが、オーソドックスな謎解きサスペンスの衣装をまとってはいても、その実、切々と純愛を謳い上げたボーイ・ミーツ・ガールもの。


No.294 8点 生ける屍の死
山口雅也
(2026/01/09 21:08登録)
死人が続々と生き返る中、「墓の町の葬儀屋一族」で連続殺人が巻き起こるという状況設定といい、ブラックでスラプスティックな物語展開といい、まさにマニアックの極致、異色ずくめと呼ぶに相応しい作品。
死や葬儀にまつわるペダンチックな叙述ひとつとっても、いかに手間暇かけた労作であるかが分かる。


No.293 5点 鳥人計画
東野圭吾
(2026/01/09 21:04登録)
スキーのジャンプ競技会の内部で発生した殺人事件の謎を巡るスポーツミステリ。
内幕ものでスター選手の死の謎から、やがて思いも寄らぬ内情が浮かび上がってくる。フーダニットからホワイダニットへと謎の仕掛けが鮮やかに転換する謎解きサスペンス。


No.292 5点 時のアラベスク
服部まゆみ
(2025/12/21 22:52登録)
幻想作家の澤井慶とその作品をめぐる見立て殺人が扱われているが、その背景を彩るヨーロッパ世紀末幻想芸術の強い香りにもかかわらず、根底をなしているのは激しい悪意である。にもかかわらず、どこか夢の中を彷徨っているような冷たさが残る。


No.291 6点 冷えきった街
仁木悦子
(2025/12/21 22:49登録)
作者には珍しい私立探偵が活躍するハードボイルド小説。
テーマは父と子、家庭内の犯罪、利己的な親に傷つく子供たちと重いが、作者独特の爽やかさとミックスして独特の余韻を醸し出している。最後の美しい樹玉のような一行とともに記憶に残る作品。

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