home

ミステリの祭典

login
zusoさんの登録情報
平均点:6.24点 書評数:195件

プロフィール| 書評

No.195 6点 大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう
山本巧次
(2024/04/15 22:23登録)
現代人がタイムトンネルを出入りして、江戸時代の目明として二重生活を送るという設定のシリーズもの。
現代人であることを隠すため主人公が努力するのが読みどころだが、意外なところでタイムパラドックスの話題が出ることもあり楽しい。


No.194 10点 白夜行
東野圭吾
(2024/04/15 22:20登録)
十九年前の事件が発端で、その頃小学生だった人物に、ずっと付きまとう事件の影が、ある周到さをもって次第に実態を現してくる。そして多様な登場人物が、それぞれに鎖状に絡まり、ほつれ合い最後には犯人へと繋がる。
そこまでの過程が、映画のカットバックのように経過していく。その時の流れが、タイトルの「白夜行」と調和しており素晴らしい。


No.193 6点 アクセス
誉田哲也
(2024/04/01 22:34登録)
登録すれば携帯電話の料金が一切無料になるという不思議なプロバイダーから始まる物語で、タガの外れたドタバタ劇が小気味よく描かれている。キャラクターも個性的なライトタッチパニックホラー。


No.192 6点 闇祓
辻村深月
(2024/04/01 22:29登録)
謎の高校生・要へ親切に接した委員長・澪。そんな澪へ不自然な行動をとる要。部活の先輩・神原が澪の身を案じるが。悪意を持って人の心に宿る闇を増幅し、家族ごと追い詰める恐ろしい存在がすぐそばに。心の奥底まで入り込む恐怖に震えた。


No.191 6点 赤い部屋異聞
法月綸太郎
(2024/03/19 22:54登録)
作者が各媒体に発表した、古今東西の傑作ミステリにオマージュを捧げた短編を集成した作品集。
江戸川乱歩の有名短編を基にした表題作のように、オリジナル作品を捻りに捻ったものが勢ぞろい。元ネタと読み比べながら鑑賞すると楽しみは倍増するだろう。


No.190 6点 赤朽葉家の伝説
桜庭一樹
(2024/03/19 22:50登録)
ミステリであると同時に「赤朽葉家」という旧家の女性たちの三代に渡る壮大な大河小説である。その豊饒な物語性は通常のミステリとは異質の強力な牽引力となって、未曽有の結末へと誘っていく。


No.189 7点 水車館の殺人
綾辻行人
(2024/03/07 22:21登録)
トリックがクラシカルで美しいし、現在と過去の視点が交錯するところも良い。結末も幻想的な味があって、地味ではあるが作者の持ち味がストレートに出ている。


No.188 5点 匣の中の失楽
竹本健治
(2024/03/07 22:18登録)
登場人物の名前がみんな人形からとられているといった遊戯性や、記述の虚実が入れ子のように反転する構造など、極めて意欲的な作品。作者が24歳の時に書いた処女作であり問題作。


No.187 6点 太平洋の薔薇
笹本稜平
(2024/02/23 22:21登録)
灼熱のマラッカ、ベテラン船長の引退航海に、日本の老朽貨物船が謎のテロリスト集団に乗っ取られる。
冷戦時代に開発された、最強のウイルス兵器の謎、荒天の下、男たちの野望と憎しみが錯綜する海洋冒険小説で、複雑怪奇な国際事情が巧みに取り込まれている点も抜かりない。


No.186 6点 パーフェクト・プラン
柳原慧
(2024/02/23 22:18登録)
「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」というそそる文句をキャッチフレーズに、誰も殺さず誰も損をしない誘拐計画を描いた、極めて前衛的なミステリ。
オンライン・トレードやハッキング、代理母などのキーワードがふんだんに散りばめられ、スピード感ある痛快さが最大の特徴。


No.185 6点 午前三時のルースター
垣根涼介
(2024/02/08 22:21登録)
旅行代理店勤務の主人公が、少年のベトナム行きにつきそい、彼の失踪した父親を捜し求める物語。
何者かによる妨害の中、主人公の親友とベトナム人運転手、ガイド代わりの娼婦らとチームを組んで冒険を繰り広げる展開がスリリング。車やバイクのこだわりが渋く、少年と父親の再開後の態度に感動させられる冒険小説。


No.184 6点 雪密室
法月綸太郎
(2024/02/08 22:15登録)
雪の離れで女性が殺されて、足跡は彼女のものと思われる一組しかない、という雪の密室トリックもの。
非常に洗練され最適化されており、ほとんど無駄なものがない。探偵の動きもよく描かれているし、トリックの出し方も際立っている。地味ではあるが、オーソドックスな本格ミステリの魅力が詰まっている。


No.183 5点 九度目の十八歳を迎えた君と
浅倉秋成
(2024/01/26 22:12登録)
主人公が、かつて思いを寄せた同級生が、ずっと十八歳を繰り返し続けているという謎をめぐるミステリ。彼女はなぜ十八歳のままなのか、なぜ周囲はおかしいと思わないのか。
時間SF的な解決が与えられるわけではないが、異常な設定を生かして鮮烈な青春小説とほろ苦い大小の小説が同時に進行する。二つが重なり合う結末が美しい。


No.182 6点 最悪
奥田英朗
(2024/01/26 22:05登録)
それぞれの事情で精神的、経済的に追い詰められた町工場の社長、女性銀行員、パチプロの三人が、物語のある点で交わり、さらなる狂気の世界へと突入する。
三人が出会うまでの、エピソードを一つ一つ積み上げて、一人の人生がほんの些細なところから狂いだし、どんどん壊れていく様を諧謔味をきかせて描く部分もいいが、三人の主人公が出会う中盤以降のオフビートな展開もいい。


No.181 6点 ダイヤル7をまわす時
泡坂妻夫
(2024/01/15 22:59登録)
元刑事が語り手となる犯人当て、貴重なトランプに飾られた死体の謎、同じ名前に惹かれ続ける女性、アトリエの主が殺された事件など、様々な謎をめぐる常識を一段も二弾も超越した論理展開に魅了される。
思わぬ角度からの衝撃は、いまだに色褪せていない。


No.180 7点 背の眼
道尾秀介
(2024/01/15 22:56登録)
猟奇殺人と心霊現象をを等価に置き、ふたつながらに論理で解き明かしていく。京極作品の影響も見られるが、主人公が心霊現象を探求する動機の切実さ、その心霊現象や陰惨な心象風景の描写などには、ホラーとしても読みどころがある。


No.179 7点 プリズム
貫井徳郎
(2023/12/30 22:28登録)
学校の女性教師が変死した事件について、四つの章を通じて、教え子や同僚など四つの視点から真相を探していく。
その過程で彼女をはじめとする登場人物の表面と内面の差異が明らかになっていく様が興味深いし、四者四様の推理も愉しめる。その四つの推理が重なった果てに提示される結末が独特で、しかも相当に衝撃的。


No.178 8点 月の扉
石持浅海
(2023/12/30 22:23登録)
厳重な警戒下にあった空港で発生したハイジャック事件。
飛行機という閉鎖空間を舞台にし、緊迫した状況の中、機内のトイレで乗客の死体が発見される。誰がなぜ、どのようにして。
フーダニット、ホワイダニット、ハウダニットを一冊に凝縮した意欲作。


No.177 6点 十二人の手紙
井上ひさし
(2023/12/17 22:09登録)
上京した少女が郷里の弟や親友などに宛てた便り、海外赴任している夫に隣家の異常を手紙で訴える妻など、ラブレター、礼状、文通にメモ、様々な形の手紙で構成される12の物語。
とりわけ、ある修道女の不幸な生涯を公式書類で描き出す「赤い手」に唸らされる。全ての話がエピローグにて結ぶつくのも心憎い。


No.176 6点 魔術はささやく
宮部みゆき
(2023/12/17 22:05登録)
相次ぐ女性の自死に図らずも巻き込まれた日下守は、一連の事件に不審を抱く。本書は彼がその真相に迫る謎解きサスペンス。
展開の妙もさることながら、何より孤独な境遇に置かれた守少年が、事件を通して成長していく姿が感動的。最後の一行の決め台詞がいい。

195中の書評を表示しています 1 - 20